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Futsal Philosophy (フットサル・フィロソフィー)

30 12月

2017/12/16(土) 関東1部 柏市中央体育館 『懐かしい名前から』

2017/12/16(土) 関東1部 柏市中央体育館 『懐かしい名前から』
ゾット早稲田 0 - 3 カフリンガ東久留米
リガーレ東京 2 - 7 ファイルフォックス府中
トルエーラ柏 0 - 0 ブラックショーツ
コロナFC/権田 3 - 4 PSTCロンドリーナ

平成の中頃からイキった男子を中心に日本語として定着していった『総合格闘技』のパイオニアでカリスマ的な人気を博した佐藤ルミナ氏の甥がロンドリーナ(関東1部(Fリーグ湘南のサテライトチーム))に所属している。
ながら作業をしながら流していたAbemaTVのキャプションでハッとしてからいつか見に行こうと思っていた関東1部を久々に観戦した。

選手の名前は佐藤玲惟(レオ)。若干20歳。

天性の当て勘による打撃センスと、足関節や飛びつき腕十字などの外連味溢れるサブミッションを武器にするも最後はサイズ差(167cm/65kg)と打たれ弱さに泣いた叔父とは裏腹に、背番号3を背負い強豪チームを引っ張る若武者は178cm/73kgとフットサル選手としては十分なフィジカルを誇り、背中に鉄板でも入っているような好姿勢でフィクソ・ピヴォの位置を戦況に応じて上下動しては馬力十分のがぶりやシュートで半径2メートルを制圧する。
昨シーズン、フロアで絶対王政を振るったアルトゥール(大阪)を彷彿させる活躍は目を見張るものがあった。

リーグ自体は10/28(土)小田原アリーナで湘南浜松戦の後座に行われたブラックショーツとの首位対決の結果(3-4でブラックショーツの勝利)により、独走していたロンドリーナにブラックショーツが肉薄し神奈川の2チームが優勝争いをリードする形になったが、その後はプレッシャーからか両者ともガチガチの試合が目立ち、ブラックショーツは2分1敗、ロンドリーナは1勝1分の軟着陸。
最終節は後ろを追いかけるチームにも優勝の目を残す形になったが、準優勝のブラックショーツに勝ち点3差をつけロンドリーナが昇格1年目で嬉しい初優勝を遂げた。

Fリーグ下部組織勢の関東リーグ制覇は史上初で、来年は町田の下部組織も関東1部に昇格する。
未来ある若者たちにはゼヒここを通過点にFリーグ、日本代表まで駆け上がっていってほしい。

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関東1部を制したロンドリーナの円陣。
フィジカル、テクニックに光る選手が多く、来シーズン、トップに昇格する選手も多く出そう。


今では大晦日にファイターなのかバラエティなのかわからないキャラクターの強い面々が殴り合い、元旦に祖父母と孫がボブサップのコミカルな表情や曙の不甲斐なさを論じるなんて光景も生んだ総合格闘技。

日本におけるその産声はタイガーマスクとして昭和のプロレス史を彩った佐山聡氏が1984年にタイガージムを設立したことに始まる。
ここから打投極(それぞれ打撃技/投げ技/間接技を表し、ダトウキョクと読む)を体系化した日本初の総合格闘技の原型である『修斗(シュウト)』が生まれ、1989年に初興業が行われた。

今ではプ女子(プロレスを愛好する女性ファン)がリングサイドを占拠するようになったプロレス&格闘技も、当時はやる側も見る側も泥臭く、昭和感溢れる野暮ったいアンダーグラウンドな出し物だったが、前述した佐藤ルミナは1994年に修斗デビューし、日本人、外国人を相手に1分けを挟んで破竹の11連勝。

トレードマークの銀髪が似合う精悍なルックスとシャープでセクシーなボディ(人気絶頂期の藤原紀香と噂になったこともある)、当時のバズワードである『裏原』感溢れるストリートファッションを着こなし、サブカルチャーの世界からも引っ張り凧。
既成概念をブチ壊す存在として一気に若者の人気を掴むと、クールでスタイリッシュな新しいスポーツ『総合格闘技』のアイコンになった。

黎明期のアダか当時のリングに彼が適正体重で戦える階級は整備されておらず、1999年、2000年に迎えた実質1階級上のタイトルマッチで2年後輩の宇野薫に2連敗。
人気と華がありカリスマ性を備える佐藤が太陽、堅実な実力がありながらで朴訥で地味な宇野が月に例えられたが、タイトルでは佐藤に目立った光はなく、勝ちっぷりも負けっぷりもとにかく美しい、強烈に記憶に残る選手としてデビューから20年目にあたる2014年に引退を迎えている。


ここからはなぜか大晦日のイベントとして定着した総合格闘技のマイルストーンを追っていきたい。

・1999~2000年:台本のあるプロレスの世界ではスポットライトを浴びなかった桜庭和志が当時世界最強とされていたグレイシー一族(ホイラー・ホイス・ヘンゾ・ハイアン)に4連勝。
既存のプロレスファンへの格闘技の訴求に成功する。

・2000年:橋本真也が『負けたら引退』と銘打ってバルセロナ五輪柔道銀メダリストの小川直也と対戦。金曜日20時からテレビ朝日で中継された一戦は視聴率15%(最高は24%)を記録。
久々のゴールデンタイムのプロレス中継で『格闘技>プロレス』がお茶の間に披露された瞬間でもあり、惨敗した橋本真也を少年ファンが応援してカムバックさせるという後日談も発生。
殺気と温もりが交差するこれぞプロレスという人間ドラマと合わせて異様に濃い一戦になった。

・2001年:これまで紅白歌合戦の独壇場だった大晦日のTV番組に、格闘技に熱を入れ出したTBSがアントニオ猪木と組み『INOKI BOM-BA-YE 2001』と銘打った格闘技興業を放送し、大相撲で小結昇進後、プロレスに転身するるも目立った活躍のなかった安田忠夫がK-1最強の一角、ジェロム・レ・バンナと対戦。
試合前にギャンブルによる借金、離婚などの私生活の暗を抉ったVTRが繰り返し放送される中、格の違い過ぎるバンナをギロチンチョーク葬。
勝利後、娘をリングに挙げて『お父さん、勝ったぞー!!』のマイクアピールと共に笑顔で肩車する大晦日の奇跡にお茶の間が泣いた。
視聴率は大健闘の14.9%(紅白は48.5%(2部) 38.1%(1部))

・2003年:2001年以降からの余波を借り、大晦日に日本テレビが『猪木祭』、TBSが『Dynamite!!』、フジテレビが『PRIDE 男祭り』を開催・放送する異常事態に。
Dynamite!!ではCDデビューも果たし、バラエティ番組でも機知に富んだ受け答えで人気者になったボブ・サップと元大相撲横綱の曙が対戦し、曙の何もできないやられっぷりが新年の話題をジャック。

・2006年~2007年:TBSが強烈にプッシュした亀田3兄弟がボクシング界を席巻。
グレイシー一族を模した入場、ボブサップを彷彿とさせるコミカルとシリアスが融合した対戦相手の挑発など、21世紀型格闘技放送の美味しいところをつまんでブランディングした演出で人気を博した。

3兄弟とも競技者として一定のレベルを越えていたと思うが、結果を出すことがストーリー存続の絶対条件という大人の都合上、東南アジア・中南米からいわゆる『噛ませ犬』と組んだ試合で戦績を稼ぎ、不可解な判定での王座獲得や、負けが濃厚になった試合で露骨にラフファイトに走るなど、徐々に彼らのキャラクターを支持していたお茶の間の視聴者からのヘイトが重なり、いつの間にか飽きられて終わった。

・2007年~2015年:2006年、PRIDEを地上波放送していたフジテレビが、PRIDEが反社会的組織と関わりの疑いありということで放送中止。
2000年代は日本(PRIDE)とアメリカ(UFC)で人気のある総合格闘家と契約するためのファイトマネー・バブルが発生しており、ファイトマネーを支払えなくなったPRIDEは2007年に消滅。
その後は『HERO'S』『戦極』『DREAM』などの団体が生まれては消える冬の時代になる。
この時期は長谷川穂積(世界王者防衛10回)、内山高志(同11回)、山中慎介(同12回)らのボクシング勢や、女子レスリングなどの古参競技の話題が目立った。

・2015年:PRIDEを運営していたスタッフが再集結し、視聴率低迷に苦しむフジテレビと組んで『RIZIN』を立ち上げ、2010年の『Dynamite!!』から5年ぶりに大晦日の格闘技地上波放送が復活した。
PRIDEで活躍したネームバリューのある選手を中心とした『昔の名前で出ています』なマッチメークで初期を凌ぐも、冬の時代ににわかに盛り上がりを見せていた『女子』総合格闘技の実力者、RENAが立ち上げ戦から5連勝とブレイク。

かわいらしいルックスに不釣り合いなエゲつない打撃を武器に人気を集め、7,732人を集めたマリンメッセ福岡では男女混合の試合構成ながらメインイベントに抜擢され、試合もキッチリKO勝ち。
大阪から上京し、BEAMSの倉庫でアルバイトをしながら練習を続け小さな興業からコツコツと実績を積んだという経歴もなかなか味があり、若者が好きなことを見つけて努力し、工夫し、もがき自己実現をする姿はオーソドックスながら無性に応援したくなるものだろう。


選出に個人的な趣味はあったが、総合格闘技がコンテンツとして定着した理由は以下なのではないかと思う。

①親和性のある他競技からの有名選手の登用
②人間味溢れる選手のキャラクター
③悲喜劇のどちらにもわかりやすいストーリー
④時流

①小川直也や曙(彼らは③④も兼ねる稀有なタレント)らはもともと取り組んでいた競技でも実績十分であることから、彼らの強さへの興味とワイドショー的なネタの両方が提供可能で、普段格闘技を見ない人にも食いつかせることができる存在だった。
大晦日興業ではボビー・オロゴンや金子賢らのイロモノが登場することもあったが、どれも単発でその後のインパクトが薄いことからも単純なタレントではないアスリートの存在が鍵だったのだろう。

②キャラクターと聞いて真っ先に思い浮かぶのがボブ・サップだ。
一般的に格闘家といえば強面の印象が強かったが、試合前のコミカルな煽りが話題となってバラエティ番組に出演すると、意外にも知的さとユーモアがあり、一躍時の人になってCDデビューまでしてしまう。
格闘家というパブリックイメージに反するギャップが人気の秘密で、リング外で虚勢を張らない姿勢はなかなか好感が持てた。

③は何といってもバンナ戦で涙を誘った安田忠夫の大逆転ストーリーだろう。
相撲取りからプロレス転身後、目立ったチャンスがないことに不満を持って格闘技に挑戦した冴えないオッサンというイメージだったが、相撲廃業後のギャンブルによる借金、離婚というイメージ以上のなんだかなっぷりから、超格上のジェロム・レ・バンナに勝つという乾坤一擲の大逆転に泣いた。

オラつきだけでない家族愛を見せた亀田兄弟もそうだが、密着してみると表面のイメージだけでないものが見え、それが結果に対する共感を何倍にも増してくれる。

④2001年から2010年まで大晦日に大規模な格闘技興業が実施&放送されたが、それまで大晦日の国民行事だった紅白歌合戦の視聴率が徐々に落ちてきたことにより『打倒紅白』の機運が高まった当時のTV業界も背景にある(正攻法では牙城を崩せないため、例年各局とも実験的な番組を当てることが多い)。
結局、健闘はするものの紅白に視聴率で勝ることはなかったが、話題・露出という面では最高のシチュエーションだった。


メインテーマのフットサルでこの4点を考えるが、④についてはスマホが普及し、映像コンテンツをマルチデバイスで見るようになった今、AbemaTVがついてくれたのは僥倖だろう。

今後に期待したいのは②③で、試合後のデジッチではどのチームもコミカルな寸劇を流しているが、より選手の実生活に突っ込んだものを取り上げるのはどうだろうか。

若くしての引退、300人を切る観客数、専門誌の廃刊などネガティブなニュースが続いたフットサル界だが、それでも一番の宝は魅力的な選手たちで、ファンはクリニックで接する人当たりのいい応対しか知らないのではと思う。

オシャレでスタイリッシュだと思ったフットサル選手が試合の次の日には7時に起きて仕事に行っていたり、年間スケジュール発表と合わせて有給申請が通るよう同僚たちと調整するというのもなかなかシブイ絵になだろうし、親(あるいは義親)や嫁から諸々の犠牲を強いて好きなことを続けていることの小言を浴び、それでも試合後に応援してくれた子供を抱くのが幸せだ、なんてストーリーはちょっと心にくるものがある。

強くて上手くて速くて競技への愛着もある面々が試合後に喜怒哀楽を爆発させる光景はどのスポーツでも最高のカタルシスだ。

その選手が背負う背景がわかればより共感、感動できるのではと思うし、選手にとっても勝手なイメージではない自分を知ってもらうことは競技者としても、ひとりの社会人としても嬉しいことなのではないだろうか(アメリカでも総合格闘技が人気でファイトマネーが日本以上になっているが、そのキッカケは格闘家の卵たちを集めて共同生活させつつ練習→デビューを目指すというTV番組のリアリティショーが人気になったことからだった)。

2017年もあと1日だが、例年通り紅白とガキの使いと格闘技をザッピングするダメな大晦日を過ごしつつ、フットサルに賭けた選手たちが送るプレーオフの熱戦に期待したい。

28 10月

2017/10/28(土) Fリーグ第24節 墨田区総合体育館『体育館はスポーツをするところだった』

2017/10/28(土) Fリーグ第24節 墨田区総合体育館
フウガドールすみだ 3 - 2 府中アスレティックFC

体育館はスポーツをするところだ。

大人になるとなぜかできなくなっている後転を練習した体操用のマットや跳び箱、やたら高く感じたバスケットボールのゴール。
夏はムシ暑く、冬は足先が痛くなるほど寒く、やたら茶色いハコの中はちょっと息苦しい思い出だ。

そんなスポーツをするところだった体育館だが、TVやインターネットなどの普及により、スポーツがコンテンツとして楽しまれるようになってからは『アリーナ』という名称が広く使わられ、やる人よりも観る人に向けての施設が大多数になってきた。


各チームともハーフセントラルを2日間開催することになる今シーズン、府中市立総合体育館が8月いっぱいでFリーグでの利用が禁止になることから、10/21(土)・22(日)の府中担当分のハーフセントラルはリーグ開幕時点ではオーシャンアリーナを間借りして開催されることになっていたが、府中の隣町の立川に10月にオープンするアリーナ立川立飛での開催に変更されることが9/14に発表された。

試合自体は仙台/府中/すみだ/湘南/浜松/名古屋の6チームのキャラクターがギュッと詰まった好ゲームが多かったが、アリーナ立川立飛の床面は観客席から非常に見づらい角度にあり、バックスタンドからは手前のサイドラインが見切れ、ゴール裏からは手前のゴール前が見えないという具合だった。

メインスタンドの中段が全体の把握にはもっとも良さそうだったが、観客席最前列には転落防止の腰高の柵があり、これがまた競技中のフロアへの視界に干渉するというKYぷり。
もっともこの施設自体が、予算を安く、工期を短く済ませるために組み立てが容易な汎用的な資材を調達して施工するという建築方式だったので贅沢も言っていられないというところだろう。

SNSを見るとBリーグのアルバルク東京がホームアリーナとして利用する場合でも同様の見切れ、柵干渉に関する話題が出ているらしく、全席から問題なく観戦できるコンテンツは中央に舞台装置を用意する格闘技くらいになりそうで、意思決定のプロセスはわからないが、自分がやることよりも観られることにフォーカスすべき現代式の体育館が帯に短く襷にも足りなさそうな風体で仕上がったのがなんとも残念だった。

SNSを見るとBリーグのアルバルク東京がホームアリーナとして利用する場合でも同様の見切れ、柵干渉に関する話題が出ているらしく、全席から問題なく観戦できるコンテンツは中央に舞台装置を用意する格闘技くらいになりそうだが、2,000人規模で現実的に使用料をペイできる府中近郊の会場としてはアリーナ立川立飛は及第点というしかないだろう。

煽る気はまったくないが民営管理でお値段相当のアリーナ立川立飛の1週間後に、墨田区が事業主体の墨田区総合体育館に訪れると快適さはある程度お金で保障されることが非常によくわかる。
(もちろんロー/ハイコストとも利用用途から逆算した設計は必要だが、ローコストほど工夫や知恵が必要であり、他の構成要素とのトレードオフになることは間違いない)

コスパという言葉が評価項目の上位にノミネートされる昨今だが、コスパは本来『価格性能(内容)比』を表現する言葉だったはずで、本来の目的を実現するための性能を度外視し、安さのみにフォーカスする安易な意思決定材料として大小様々なところで用いられている雰囲気があるところがちょっと気になるところだ。

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こちらがアリーナ立川立飛。
写真中央の赤枠の列が見切れ、柵干渉のない良席。


地域リーグだとありがちな最寄駅から徒歩30分の会場までのアクセス、見切れ席、柵の干渉、冷暖房なしという酷アリーナなだが(これはこれでどうすれば解決できるかを色々考えるのが結構楽しい)、せっかくの機会なのでいいアリーナとは何かを勝手に考えてみた。

①アクセス
マニアにはたまらない酷アリーナ3箇条に入れたが、競技のトップカテゴリーであるFリーグなら駅近(徒歩10分程度/遠方でも敷地へのバスの乗り入れありなら○)が当然望ましい。

もちろん条件を満たさないアリーナもあるが、大分がホーム開催する別府駅から徒歩20分のビーコンプラザは温泉地別府のワクワク感と小高い山を登っていく度に高鳴る高揚感がなんとも言えなかった。

近いに越したことはないが会場までの道のりで地域性を感じられたり、高揚感が高まるような環境であればそれはそれで歓迎だ。

②見やすさ
手前のゴール前が見切れてしまうものの、狭い体育館に響く歓声が集積されるゴール裏の熱気は府中市立総合体育館ならではのものだった。
個人的には一部が見切れていても見切れに代わりうる価値が提供されていれば問題ないのではと思う。

2,500人のキャパを誇るものの見やすさに難点があるアリーナ立川立飛だが、均等にフロアを使うのではなくコートの設置場所をメインスタンドから見やすいようにバックスタンド側にズラしてアリーナを設置、バックスタンドを立ち見として価格差を出すのもアリではないだろうか。

府中市立総合体育館でのホーム開催(ラストゲームの8/19(土)が1,520人)と10月のハーフセントラル2試合(メインイベント感満載の府中vs名古屋が1,217人)を見ると動員は1,200~1,500人の枠内に落ち着きそうなので、2,500人の集客を目指すよりはまずはこの人数の満足度を上げる施策がベターだろう。

全員が等しく座って応援する全角度から見やすいアリーナ、というのも理想だが、ライブの醍醐味はそれぞれの楽しみ方でコンテンツを楽しめることだ。

バックスタンドでサポーター同士が応援合戦を繰り広げ、アリーナでは間近に迫る選手の表情に熱くなり、全体が見やすいメインスタンドでは監督の采配や戦術論に花を咲かせ、スペースに余裕のあるゴール裏ではファミリーがゆったりも騒々しくフットサルを見つめる...。

そんな光景を想像するだけでとてもワクワクするのは自分だけだろうか。
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Fリーグで一番好きな席種。墨田区総合体育館の選手ベンチ裏に常設されている『スミダイルシート』。
ハーフタイムには愛想のよいマスコットのスミダイルを愛で、試合終盤にはタイムアウト時のボードを覗き込む体験はここならでは。

③冷暖房完備。
酷3の最後の一角。
会場によっては空調の使用料が施設使用料と別立てのところもあり冷房が50,000円/1時間なんて話も聞くが、これについては①②のようにトレードオフになるものがない。

無い袖は振れないだろうが夏場は熱中症などの安全面からも必要な要素なので頑張ってほしい。

④物販
定番どころだとタオルマフラー、レプリカシャツ、Tシャツ、キャップあたりだろうが、モバイルバッテリーやハンドスピナーなんてご時世やトレンドを抑えたものもある。
趣旨を凝らしたチームの物販ブースの前に立っていたらいつの間にか散財していたしていた、という人も結構いるのではないだろうか。

プラス要素のみの入場料収入に比べて、在庫が損益にもつながる物販は人気選手のグッズを作ったのにケガで露出機会が減ったり、移籍でお蔵入りなんてリスクもつきまとう。

個人的に上手いなと思うのがすみだ浦安で、すみだはスポンサーのスーツメーカーのネクタイ(これを須賀監督が清々しく着用)や、お出かけのお供に定着しつつあるモバイルバッテリーを一見スポーツチームらしからぬスタイリッシュなデザインでリリースしている。
浦安は前述のハンドスピナー(定着するかはまだ不透明なので在庫時の損益が若干心配)や、フットサルのサポーターアイテムとしてベースボールシャツ(チームの女子選手にダボッと可愛らしく着させる販促がお見事)など攻めたラインナップが光る。

わかりやすさとしては定番どころがあれば十分だし、グッズの少なさで不満の声があがることは少ないだろうが、無くても我慢できるがあったら便利なもの(モバイルバッテリー)や、話題性があり機会があれば欲しいと感じるもの(ハンドスピナー)はビジネスチャンスとして機を見るに敏で裏方陣の才覚が光る。

⑤スタジアムグルメ
もはやそれ自体が目的にもなる規模のサッカーと比較するとひっそりと営業されるフットサルのスタジアムグルメ。
スタジアム近辺の名店か、スタジアム近辺の土地柄に合わせたものが並ぶことが多い(ブラジル人コミュニティが至近の浜松のブラジルフード(ポンテケーニョやガラナ)など)が、昨・今シーズン衝撃だったのが町田の中井農園シリーズだ。

農業を営むご実家から町田に在席する中井選手が取り寄せた焼き芋に始まり、今シーズンは各種フレーバーを取り揃えてのオシャレな冷やし甘酒を披露。
選手との距離が近いフットサルならではの展開(?)で、寒さが堪えるこれからの時期に新たな施策もありそうだなと密かに期待している。

食事に関しては火を使う、使わないなどで色々と制約が厳しかったり、食中毒等の事故時の評判を考えてあえて出さないチームもあるのではと思うし、1試合開催よりもセントラル/ハーフセントラルなどの複数試合開催日のほうが商機ありなのでそこから限定的にというのもいいだろう。

個人的にはキックインすら4秒以内にこなさなければいけないフットサルを見ながら飲み食いするのはムリがあると思うので、ないならないでまったく不満はない。

⑥トレーニング
やる/観るを両立させた近代型のアリーナをざっと見渡すと、きたえーる、小田原アリーナ、墨田区総合体育館、浦安市総合体育館あたりはトレーニングルームやプールが常時営業していてFリーグ開催日も利用可能だ。

市販されているレプリカウェアを身に着けて試合を観戦し、試合終了後に普段選手たちも使ってるであろう器具で軽くトレーニングをし、おもむろにプロテインをキメるなんてなりきりツアーもまた一興だろう(もちろん自分はやったことはない)。


昨年始まったBリーグは会場ごとに10種類前後の席種が細かく設定されていて、半ば無理やり感があるがそれだけの価値を創出し、提示している(360度カメラから各客席の画像を用意した千葉ジェッツのコンテンツが非常に秀逸なのでゼヒ見てみてほしい)
個人的に最も手を入れるべきは②の見やすさだと思っていて、長く同じ設営でやってきたホームゲームにも何か新しいアイディアがないかは年に1度でいいのでゼヒ検討してほしいところだ。

体育館はスポーツをするところだった。

今年はAbemaTVでFリーグを観戦する機会が増えたという人も多いだろうが、それでも会場には会場の味や熱があり、他メディアや他競技からのスパイスが活かせることもあると思う。

外部からはわからない制約が色々とあるのかとは思うが、狙いが明確な施策ならファンは納得するものなので『今までこれでやってきたから』の壁を壊してドンドン攻めてみてほしい。

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ゴール数は少ないが前線からのプレスと、ボールを受けて時間を作り冷静な判断で好アシストを連発する岡村選手。
フィジカルが強いピヴォというイメージがあったが実際は最前線のゲームメーカー。
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岡村選手が作った時間を活かしてゴール前に飛び込み、ダイレクトプレーでゴールを決める宮崎選手。
岡村→宮崎ラインは1stセットの大きな武器。
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2点目のゴールは清水&ボラvs皆本という豪華キャストの2v1カウンターからボラがクロモトのニアを抜いて手堅くゲット。
全員が芸達者の緊張感は生観戦ならでは。
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片膝を折り、もう片方を伸ばして前に詰める変則ダブルニーが面の幅・高さ・移動距離とも効果テキメンで大きな武器。
充実のシーズンを送る矢澤選手。
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トルクメニスタンでのアジアインドアゲームズではクアトロをこなすアラとして奮闘した田村選手がフィジカル自慢の上福元選手をマーク&先制点をアシスト。
清水/田村/矢澤の日本代表組は異国の経験値が余裕に繋がっているなという印象。
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毎年新加入やトップ昇格のあるチームで出場時間を伸ばす栗本選手。
諸江/栗本/渡井/清水というテクニックのある3フィクソ+ピヴォの仕掛け担当が明確になれば面白そうな新セットで攻守に奮闘。
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完山選手がケガで不在の1stセットに入って出場時間を伸ばす内田選手。
ゴールという形で一気にブレイクしたいところ。
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こぼれ球から肩口を抜くコントロールショットと、パワープレーからのファー詰めで2ゴールの渡邉選手。
24試合で35ゴール。残り9節でヴィニシウスの持つシーズン最多得点の43点越えが見えてきた。
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冷静な判断と時々見せる正確なスライディングが光るマルキーニョ。
右角から中に侵入してフリーで受ける展開でチャンスを多数作ったパワープレーは今後各チームの脅威になりそう。
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まだ地域リーグに在籍していたすみだが名古屋と戦った2013年の全日本選手権決勝戦。
PKまでもつれた大熱戦でシュートをブロックされた諸江選手にすみだの選手が歩み寄り肩を組んだのが、個人的にフットサルで一番美しかった場面。

苦しい時に肩を組める仲間がいるのはとても嬉しく、頼もしいのではないだろうか。




21 10月

2017/10/21(土) Fリーグ第22節 アリーナ立川立飛 『ゴレイロの型』

2017/10/21(土) Fリーグ第22節 アリーナ立川立飛 
ヴォスクオーレ仙台 1 - 4 湘南ベルマーレ
フウガドールすみだ 2 - 0 アグレミーナ浜松
府中アスレティックFC 3 - 0 ヴォスクオーレ仙台

2012年末の第2次安倍内閣から『アベノミクス』の謳い文句でテコ入れされた経済政策による好景気の結果、今年9月の有効求人倍率が1.5倍を越えた。


就職氷河期と呼ばれ『0.54』という激シブな有効求人倍率と、求人&離職率の兼ね合いでこの業種以外の求人が極端に少ないという理由で自分は2002年にシステム業界に就職した。

それから15年間なんとか働き続けているが、当時はシステム業界を舞台にサービス残業/未払い休日出勤/パワハラ/管理者不在のザ・ブラック会社を描いた『ブラック会社に勤めてるんだが、もう俺は限界かもしれない』という掲示板発のコンテンツが業界あるある(あるいはこれ以上も普通にあるある)として話題になるくらいの無茶苦茶なスケジュールや体制の案件も多々あった(らしい)。

当時に比べて労働環境は格段に良くなったが、今は介護・福祉・保育・飲食などの労働環境の悪化が度々取り上げられるし、仕事=自分自身という方程式で成り立っている一見華やかな報道・広告業界はふと冷静になってみると労働者の時間の搾取で成り立っている感がありありだ。

こと、仕事を進めるうえで通過する一般的な成長サイクルは、

・自分の能力を把握する
・能力に適した仕事の入出力を管理する
・必要な入出力をこなす
・自分の能力を開発をする
・能力も認めてもらう

といったものだろう。
このサイクルを繰り返すことで自分の基本になる『型』が構築でき、その型を活かして複数の事象が連続する応用にも適応できる。

ある程度成熟している業界であればいわゆる『業務経験』という定性的な経験だけでなく、省庁や業界団体が運営し、合格者の質を担保する定量的な『資格』が整備されていて、資格取得へのプロセスが型の構築の助けになったりもする。

どちらが牽引する形になるかはその人のキャリア次第だろうが、一定の年齢を越すと経験を過信して軽んじがちな資格勉強にも経験を知識として定着させる効果があり、やってみると自分のキャリアの答え合わせをしているような感覚で意外と面白い。

なんにせよ『型』を作り、壊し(あるいは壊され)、振り返り、修復し、徐々に強固にしていくプロセスは自分に自信を持つために避けては通れないものだろうし、型の獲得がそのまま自分の武器になるものだ。


『型』という観点でフットサルを観ると特徴的なのが『勝敗の50%はゴレイロで決まる』と言われるゴレイロだ。

カザフスタンのイギータや、元大阪の宮竹選手のようにマイボールから流れの中で持ちあがってパワープレーに参加するような場合を除き、自分のサイズや身体能力を理解した上で、ボールの位置に合わせたポジショニング、ブロック姿勢、相手との距離などを微調整するリアクションが要求されるポジションで、ゴールの中央とボールの直線状に立つことや、手+足/腹/顔で保険をかけて捕球体勢を取ることなど、サッカーとの類似点も多いが、フットサルのゴレイロとしての花形は以下のブロックの3姿勢だろう。

①クロス
上半身を起こして片膝を折り、両手を体側に構え、手のひらを相手に見せて正対する。
1vs1で最も良く見る姿勢で、足は股を抜かれない、手は脇を抜かれないよう隙間をケアしつつ上体を起こして面の面積を稼ぐ。
フットサルのゴレイロというとこの姿勢を連想する人も多いだろう。

面の面積が大きく、両足がフロアに着いているため次の動作に移りやすいのが長所だが、面を作るのに時間がかかることと、再現性に欠けること(不十分な場合は股/脇を抜かれたり、面を作る位置がズレて折った足の上から対角に決められる)が弱点だ。

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少々極端だがクロスの型。
今期嬉しいFリーグデビューを飾った遅咲き苦労人の飛騨選手のウオーミングアップ。


②フェンス
上体を起こしてスライディング+両手を足の上に被せて柵を作り相手のシュートコースをカバーする。
ファー詰めや2vs1カウンターなど早いボールを振られてクロスでは間に合わない場合に対応する型。

勢いをつけて飛びこむので距離を移動しながら面を作れることが長所だが、シュートコースへ体を投げ出すことになるため、ナメてかわされる、止めて見られるなど相手がシュート以外を選択した場合のリアクションに弱い。

また、基本的には股を抜かれないことがゴレイロのイロハのイとしてあり、そのためスライディングは低くあることが必須で、中腰で構えるクロスに比べて高さに欠ける(ファー詰めは浮かせて上を狙え、と言われるのはこの逆説)。

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フェンスの型。
ニアサイドで一度ボールを止めてからファー詰めにフェンスで対応する。


③ダブルニー
クロスの上半身から両膝を前に折って正座の姿勢で膝で滑る型(学校の廊下などの滑る床面で一度はやったことがあるだろう)。
両膝を着くため2次動作の選択が極端に狭まる捨て身技で、この姿勢を取る場合はボールをラインから出す、大きくクリアできることが必須条件になる。

長所はフェンスと同じく距離を移動しながら面を作れることと、姿勢自体が簡単(姿勢を作り切れば股のケアが不要)でフェンスよりも高さと面積が稼げる点。
短所は前述した2次動作の関係で相手のリアクションに弱いことと、ゴールから離れることになるためボールに触れられなかった場合のリスクが甚大なこと。

使い所は限られるがシチュエーションを間違えなければ阻止率は非常に高く、1vs1で相手がコントロールをミスした場面や、ゴール前の混戦でのこぼれ球、セットプレーで裏をかかれた際に一気にブロックに入るなど、出しどころを心得たゴレイロにとっては一撃必殺の見せ場だ。
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はっきりとしたダブルニーではないが、2v1カウンターでパスを出された後の場面。
相手のトラップが乱れたのを確認し、片膝を立てて滑って詰めている。
矢澤選手はこの詰めの判断が抜群にいい。

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名古屋戦では大量7失点を食らったがFリーグ屈指のダブルニーの使い手である府中のクロモト選手。
ここぞの場面で必殺技が出るかがこの人の調子のバロメータ。


上記、クロス・フェンス・ダブルニーの3つの型を股と脇と上体の傾斜を意識しつつスムーズに出せるまで熟練することがゴレイロにとっての型の獲得だろう。

その後は3型の出しどころを考えつつスピードやステップを活かした距離の詰め方や、シュート力を活かして前線に上がってのロングシュートなど各自の個性の上乗せがあり、経験を積むことによる予測や視野の広がりによる判断力の向上がゴレイロとしてのスケールアップに繋がる。


仙台、すみだ、府中、湘南、浜松、名古屋の6チームが集まった立川立飛のハーフセントラルには矢澤(すみだ)、石黒(浜松)のふたり(前身のバンフを含めれば飛騨(府中)の3人)が集まり、リーグ全体を見渡しても小石峯(神戸)や岡島(浜松)など、名古屋トップ/サテライト出身のゴレイロが数多く活躍している。

強シュートを持つ石黒選手、サイズを活かす矢澤選手/岡島選手、安定感の小石峯選手/篠田選手と、在校生、卒業生ともに個性的なゴレイロが多いが、共通するのはクロス、フェンス、ダブルニーの3型が非常にしっかりしていることだ。
(試合展開にもよるが、北海道出身で名古屋在席2年目の関口選手は出足の良さと前目のポジショニングで型を使わず前で処理するケースが目立つのが篠田選手との比較として面白い)
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強シュートを持つ石黒選手と、出足の早さ&反応で勝負する関口選手


日本唯一のプロチームである名古屋だからと言ってしまえばそれまでだが、このチームには型をベースに優れたゴレイロを育成するメソッドがあるのだろうし、各自が違うチームに移っても活躍できるのは自分のベースとなる型をしっかりと身につけられたからなのではと思う。

涼しい顔で繰り出す安定感抜群のクロス
ファー詰めに追いすがる迫力満点のフェンス
居合切りよろしくここぞの場面で飛び出すダブルニー

『勝敗の50%はゴレイロで決まる』と言われるフットサルだが、ゴレイロの面白さはどの局面でどの型を使う(あるいは型ではなく前や反応で勝負する)かの判断にあるのではと思う。

チームの最後尾に構えるゴレイロの面々が、その局面でその型を出した必然性にゼヒ思いを巡らせてみてほしい。

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通常ゴレイロが装着する肘当てを身に着けないフィウーザ選手。
クロス→不要
フェンス/ダブルニー→膝当てがあればよくない?
という高度な判断か。
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今期台風の目になっている湘南。
エースロドリゴの覚醒が数字的には顕著だが、鍛代/刈込/内村/植松選手らのサボらず技術とフィジカルを活かして貢献するレベルの高いアラが攻守の屋台骨を支える。
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湘南の小門選手(25歳)と仙台の堀内選手(24歳)の若手ピヴォ対決。
近いうちに日本代表で再会なんて展開も十分ありそう。
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一気に日本代表のピヴォに定着したすみだの20歳、分厚い体躯で強烈なシュートを放つ清水選手。
山元選手、須藤選手ら海千山千の浜松ベテラン勢に削られてイイ表情。
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今期、戦力の劣る仙台から、勝てるチームのすみだに移籍して頭角を現した矢澤選手。
185cm/75kgのサイズに目が行きがちだが、安定した型と、どの距離でどの型で止めるかの判断が抜群で日本代表選出&出場時間を伸ばしたのも大いに納得。

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来季のホームアリーナになりそうな立川立飛で名古屋相手に0-7のスコアで敗れた府中。
皆本選手のアイソレーションからのドリブルで活路を見出したかったが、Y字プレスの頂点で踊るような鬼ステップで追い込むラファ&吉川選手に大苦戦。
9 9月

2017/9/9(土) Fリーグ第15節 墨田区総合体育館 『助っ人の条件』

2017/9/9(土) Fリーグ第15節 墨田区総合体育館
府中アスレティックFC 4 - 3 名古屋オーシャンズ
フウガドールすみだ 4 - 2 アグレミーナ浜松

昨年はアルトゥール、チアゴ、ヴィニシウスの3人で113得点を荒稼ぎした大阪がリーグと全日本の2冠に輝き、今年もブラジルトリオのラファ、ヴァルチーニョ、ルイジーニョらがゴールを量産する名古屋がリーグをリードしている。
開幕から11連敗を喫していた仙台もアレックス、ノエ、マクロンの3人が馴染んできた12節からクラブ史上初の3連勝を果たし、第一クールを席巻した湘南はエース・ロドリゴのキレのあるドリブルと強烈なシュートが光った。

チーム力のバロメータやゲームの分水嶺のポイントとして、

『助っ人外国人選手』

の有無が話題になる。

助っ人という身も蓋もない言葉が示すように、日本人より優れているとされる彼らの何が助っ人たらしめているのかを考えてみた。

①フィジカル
パッと思いつくのが静止姿勢からの初速でブチ抜くスピードや問答無用の強シュートだが、コートサイズが小さく、カバーの距離が短いフットサルでこういった場面に出くわすことは1試合で数回だろし、これだけでは簡単に研究される。

個人的にフットサルのフィジカルと聞いて思い浮かぶのは、背中からお尻をアーチ状に曲げて面を作り、腰周りの厚さを活かして後ろ向きにボールを収めて『時間を作る』場面だ。

仙台に加入した187cmのアレックス、192cmのノエ、182cmのマクロンのサイズを活かした起点作りや、173cm/80kgのタンク体型のジョンレノン(浜松)の振り向きシュートなど、日本人相手ならガブって届きそうな距離を前述のアーチのキープでガッツリ収めたところの攻防戦は日本人VS外国人の花形だろう。

8名2セット+オプション2名のFP登録ではスピード自慢の切り込みや、キャノンシュートだけではオプションに周りがち。
説得力十分な背中とお尻をお持ちの外国人の存在感はなかなか魅力的なものがある。

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ボディバランスのいい諸江選手を鋭いターンで振り切ってシュートを放ったジョンレノン。
一本決めればノッてきそうな存在感のあるパワーシューター。

②テクニック
数試合前にアラウージョ(浜松)がヒールリフトでのサイド突破という派手なシーンを見せたが、左右の揺さ振りで相手の重心をズラして右足シュートというわかっていても止められないロドリゴ(湘南)のゴールパターンや、ボールの中央から上下左右へ僅かにミートポイントを微調整したトゥーキックでゴールの四隅を器用に打ち分けるボラ(すみだ)など、基本を仙人レベルまで突き詰め、再現度を極限まで高めたものにこそテクニックの本質はあるだろう。

特に胸の高さのボールを肩の窪みで受け止めるトラップや、腿から爪先まで左右両足をムダなく使ったリフティングなど、基本技術のオンパレードでボールを奴隷のように使役するボラのウォーミングアップは見惚れること必至でゼヒ早目に会場入りをしてほしい。
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抜群の足技を持つアラウージョは2016年のワールドカップでアゼルバイジャン代表としてベスト8とFリーグ在籍外国人ではワールドカップ最上位の選手。
トランジション過多のゲームでテクニックを活かせるかがこれからの課題か。

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現役時代は多彩なキックで名古屋の攻撃陣を操ったペドロコスタ。
負けゲーム後半のパワープレーの場面でニヤリの笑み。

③イマジネーション
ラファ(名古屋)が見せたボールをホイップするバックヒールや、ボラの相手を背負った状態でのヒールキックなど『そうきたか!!』や単純に『スゲー!!』といってしまうプレーは彼らならではだろう。

見た目は派手だがこういったプレーは相手を手や間接視野で確認したり、プレーのセオリーから逆算してこそ成功するもので平常時の状況判断も非常に長けている。

前に立っていたり、スライディングに来ているディフェンスにシュートを当てる回数が少なく(それでも打つ場合は股下や、体の側面から巻くなど相手DFすらゴレイロのブラインドとして利用)、キックフェイントで相手を寝かせてからのループや、天井から状況を俯瞰しているように味方のフリーの選手にスラす好選択が多いのもファンタジスタの特徴だ。

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割とマイペースそうなリーグ屈指の天才、ボラとラファ。
今期の仙台戦でのボラの4ゴールは圧巻。

④競技の理解、フットサルIQ
強烈なシュートやズバ抜けたテクニックがあるわけではなく、170cm/68kgという中肉中背のマルキーニョ(府中)が来日後から着々と出場時間を伸ばしている。
カウンター合戦から自軍のバランスが崩れた時にファウルを受けてゲームを切るなど冷静な状況判断が光り、セットプレーやパワープレーのメンバーに入っていることからもプレッシャーの中でも再現性の高い技術を持っていることが伺える。

数字が評価材料となる助っ人としては物足りなく映るかもしれないが、地味だが的確な繋ぎと戦術眼でどのセットに入れても潤滑油として計算できる彼らがいるだけで監督としては非常に楽だろう。

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セットプレーの場面で指差し確認をするマルキーニョ。
攻守にサボらない勤勉助っ人。

⑤勝負強さ
バスケットボールではここぞという場面での得点の多い選手のことをクラッチシューターというが、どの競技でもプレッシャーのかかる局面において良い働きができるのは名選手の証。
最近ではシビアゴール(先制/同点/逆転/勝ち越しなどゲームの趨勢に意味のあるゴール)という言葉も見かけるようになってきたが、相手の戦意を挫き、味方の士気を上げるゴールは何よりも価値のあるもので、美しさよりも感動とともに何十年後も語り草となるゴールはこの文脈からあげたものだろう。

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ゴールを量産するヴァルチーニョ(10)/ルイジーニョ(11)/ラファ(13)。
贔屓チームとの対戦で『名古屋の外国人にゴールを決められる』というだけで、一気にガックリくるファンは少なくないはずだ。

⑥間合い
外国人というよりは彼らが主戦場にしていたリーグの特性と言える。

パスラインを切りつつジワジワ詰めてヘッドダウンさせてからガッツリ追い込むこともあれば、内腿にヒザをブチ込む勢いで突進してくることもある。
国際試合や外国人選手のデビュー戦は彼らのプレスの距離感にリーグ文化が透けて見えていて非常に興味深い。

ここが激しいほどその選手の球際の強さが図れる。


助っ人外国人を助っ人たらしめるものについてダラダラと書いてきたが、当然これは日本人選手にも当てはまる。

今日の試合であれば岡村選手の背面キープで相手を引きつけてからの展開がすみだの1stセットの強みになっていたし、西谷選手や吉川選手(両名古屋)の相手の狙いを削ぐワントラップ目でのマークの外し、渡邊選手(府中)のボレーシュートには様式美すら感じる。
小兵ながらゴールを挙げた関選手(府中)や中村選手(大分)の痒いところを埋めるフォアザチームの献身は感動的で、追い込まれた時に見せる皆本選手(府中)の火事場のクソ力的なクラッチシュートは助っ人外国人顔負けだ。

他競技になるが体操では内村航平選手がオリンピック個人総合を2連覇し、陸上の桐生祥秀選手が100メートル走で10秒の壁(9.98秒)を破る。
野球では並み居る大男たちを相手に松坂大輔やダルビッシュ有、イチローらの力と技を武器にWBCを2連覇してもいる。

毎大会メダルラッシュに沸くレスリングや柔道、長谷川穂積(10回)、内山高志(11回)、山中慎介(12回)らが連続防衛記録を伸ばしたボクシング、型の追究とメンタルと相手の分析がキモになる卓球やバドミントンでも世界と伍する日本は控えめに言っても個人、団体種目ともスポーツ先進国だ。

半面フットボール全般はとかく『世界との距離』や『日本人だから』という言葉をネガティブな用途で使いがちで、お釣りがくるほど他競技で溜まっている正しいプロセスを踏み、努力を信じれば結果に繋がったという事例は忘れがちだ。
大国に学ぶことはもちろん大事だが、過度な劣等感は日本サッカー協会側の神田川にでも即刻沈めるべきだろう。

個人的な考えだが日本人選手に足りないのはゴール前の工夫だ。

今日の試合も11本のシュートを撃った清水選手(すみだ)のシュート力が目立ったが、決まったのはゴールを横断するサイドからの速いパスにファーから飛び込んで決めた1ゴールのみだ。
ゴールの狭いフットサルではゴレイロを外す、寝かせるのがゴールへの早道で、正対したゴレイロに向けた強烈なシュートがゴールの量産に繋がるとは言えず、③のイマジネーションの項目でも述べた、ラファやボラのゴール前で相手を観察し、相手DFすら活かしてしまうイヤらしさをゼヒ盗んでみてほしい。

9/16からトルクメニスタンで開催されるアジアインドアゲームズへ育成を観点にU25日本代表という苦戦必至の謎カテゴリー(対戦相手はすべてフル代表)で挑む日本代表だが、未来ある若者たちにはゼヒ自信を持ち、相手をよく見て小馬鹿にするようなプレーにチャレンジしてもらいたい。


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スペインでの2シーズンの経験で判断を含めたスピードアップが顕著な吉川選手と、ボレー/ミドル/ファー詰め/振り向き/1VS1と万能型ピヴォに変貌した渡邉選手。
30歳前後で一皮向けたベテラン勢の今後も非常に楽しみ。
19 8月

2017/8/19(土) Fリーグ第11節 府中市立総合体育館『マイナースポーツの自縄自縛』

2017/8/19(土) Fリーグ第11節 府中市立総合体育館
府中アスレティックFC 5 - 4 湘南ベルマーレ

最近なにかと耳にする評価項目『インスタ映え』に無縁な会場、それが府中市立総合体育館だ。

最寄駅の府中本町駅からご新規さんには敷居の高い府中競馬場、大東京綜合卸売センターを横目に15分ほど歩き、地元の親子連れが1周100円のゴーカートで遊んでいる光景を尻目に、風化した体育館の公民館然としたタイルの床を歩く。

チケットのもぎりをお願いしてアリーナに入るとオレンジ色の観客席がコの字型にフロアを取り囲む光景が飛び込んでくる。
ゴール裏は手前側ゴール前の攻防が見切れて見えず、両サイドの席は通路が非常に狭いし、躍動する選手を間近に見られるアリーナは迫力はあるものの、座席高がイマイチで個人的にはもう少し高い位置から観戦できるとありがたい。

キャパシティはFリーグ規定の2,000人に満たない1,500人前後。
コートサイズはこちらも規定の縦40メートル×横20メートルに満たない縦38メートル×横20メートル。
Fリーグ参入初年度はクーラーが無く夏場のデーゲームは蒸し風呂状態だった。

2008年に府中アスレティックがFリーグに参入する際、キャパシティとコートサイズを満たす代替のアリーナの確保(あるいは現会場の改修)を条件として提示されていたとのことだが、今シーズン開幕前に突如今年の8月を期限として府中市立総合体育館の利用禁止が決まったらしい。

駅近で公園内に設置された都市型総合施設の典型である墨田区総合体育館や、美術館を彷彿とさせる外観のオーシャンアリーナのような利便性や快適さはないド・昭和な会場だが府中市立総合体育館の試合は非常に盛り上がる。

小さ目のハコに毎回1,000~1,200人の観客がコンスタントに入るギュッとした会場密度はコッテリ濃い目。
異常に近い観客席と周囲を壁が取り囲み、目の肥えた観客が挙げるブーイングはアウェーの選手たちにとっては牢獄に入れられてプレーをしているような感覚だろう。

ワンプレーを一同が目で追い、狭い体育館に熱のこもった歓声を響かせた後は、入口前のロビーに三々五々集まり、くたびれた長椅子に腰かけて世間話や感想戦に興じる。

おひとり様、友人、カップル、ファミリーと客層も多様で、そんな姿をアリーナ併設の学食風のレストランけやき(試合日は営業を途中で切り上げスタジアムフードを提供)が見つめる光景はどのスポーツも理念に掲げる地域密着や、スポーツを通したコミュニティの相互理解の理想的な姿だ。

およそ近代的ではないが個性という点ではこの会場がFリーグでNo1なのではないかと思うし、全てのジャンルのスポーツチームが欲しがる試合以上のものを提供しているアリーナの使用を禁じたリーグの決定が本当に残念でならない。


マイナーからメジャーへのブレイクスルーを目指して2007年に始まったFリーグは昨シーズンから観客動員数の減少が顕著で500人を切る試合も珍しくない。

11年目を迎えたリーグで2,000人以上の会場を持っていて2,000人をコンスタントに集客できているのは北海道(と集客力のあるイベントを打った際の名古屋)ぐらいだろうし、喫緊の課題は2,000人規模の会場を保持しているかではなく、落ちこむ観客動員数を上げるためにリーグとして指針を示し各チームのアプローチを先導することだ。

参入希望のチームを集めて運営能力をテストするとして2012年から始まった準加盟リーグ(現Fチャレンジリーグ)だが、今年は5年間参戦した柏TOR(今シーズンからトルエーラ柏に名称変更)が脱退し、3年目を迎えるはずだった徳島ラパスは特にアナウンスもなくチーム自体が解散した。

今年はボアルース長野、浜田フットサルクラブが参戦したが、2014年の仙台(2011年で脱退した花巻の後継および地域的なバランス)とすみだ(人気、実力が抜群)の加入以降、これはと思う強力なファクターを持つチームは現れていないし、準加盟リーグは目指すステージに対して勝敗よりも金銭面や体制、全体の意思統一やモチベーションの維持が現実的な目標となる場で、優勝イコールFリーグ参入となるわけでもないリーグでチームの各員がそれぞれの立場で設定する『勝利』を得るのは並大抵のことではないはずだ。

昨年開幕したBリーグをはじめ、スポーツ、音楽、演劇などの競合が多々おり、首都圏のアリーナが相次いで体育館の改修期に入った現状で条件のいい会場の争奪戦は熾烈だ。

率直に言って今のFリーグの観客動員数で2,000人の体育館は不要だし、国際大会の規約としては縦38~42m×横18~22mの幅が認められており、フットサル以外のラインをすべて消しているピッチも、海外リーグを見ると割合雑でバレーやバスケットボールの線が残っている会場も多く見られる(スポーツコートを設置する場合や、国際大会を除きほぼそんな感じだ)。

Fリーグは必ずしも必要のないルールで自縄自縛している。

会場は見に来る観客数に見合ったキャパシティがあれば十分だし、フロアサイズの差異を肴に語る感想戦も面白いだろう。
ラインは外枠とゴールエリアが判別できれば競技進行には問題ないので、その分の労力を集客営業に充ててほしい。

納得のできるプロセスを踏み、結果に満足する。
選手はフットサルの練習と試合が、運営は営業と利益がそれにあたるだろうし『競技を楽しむ」という本質は選手も運営も同じだろう。

現状に即していないルールがあるせいでリターンが出ないようであれば、ルールは負担でしかないし、ナンセンスに向き合わされる組織は疲弊していく。
お金はモチベーションとして非常に重要な要素であり、情報が多様化した現代では武士は喰わねど高楊枝よりも貧すれば窮ずの傾向は顕著だ。

府中のホームアリーナ問題は代替会場の確保が第一の解決策になりそうだが、至近のエスタルフォアリーナ(狭間駅から徒歩2分。3,000人収容)はボルダリングの大会で利用されるなど、新興競技との争奪戦も年々出てくるだろうしすんなり決まるとも思えない。

強弱がハッキリ分かれたチームが混在するリーグで拡大路線は時期尚早だとは思うが、ルールに納得ができ、継続的な体制の強化が可能な現実的に参入したいと思えるリーグでなければ未来はないだろう。

史上初のホームアリーナ引退試合となる湘南戦のキックオフ前に、府中のキャプテンである皆本選手が『ラストゲームとして伝説に残る試合をする』とインタビューに応え、その通りThis is 府中劇場な逆転劇に熱狂する展開になったが、伝説とは物語が続き、対象の価値が輝き続け、担い手と語り部がいてこそ成り立つもので、2017-2018シーズン第11節の府中アスレティックFC対湘南ベルマーレ戦は現時点でただの好ゲームのひとつでしかない。
そしてこんな『伝説』は不要だ。

府中のホームアリーナ問題は府中アスレティックFCと府中市立総合体育館に限定されて論じる問題ではなく、リーグは11年を過ぎた現状を分析し、トップリーグの敷居が現状に即しているかどうかを判断すべきだろう。

試合後、皆本選手がスタンドにミニボールを投げ入れる際、背番号5のブカブカのレプリカユニフォームの上下を着た少女が最前列にかぶりついてボールをねだっていたが、こういう子をガッカリさせず、伝説の語り部でいてもらい続ける姿勢を見せることがリーグとしてあるべき姿であり、11年前に敷いたルールが今後の自分たちの競技の発展を縛る鎖になっていないかを見直すフェーズにあると思う。

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