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Futsal Philosophy (フットサル・フィロソフィー)

4 3月

2017/3/3(金)~4(土) FリーグプレーオフFinal Round 岸和田市総合体育館『決勝戦の風景』

2017/3/3(金)~4(土) FリーグプレーオフFinal Round 岸和田市総合体育館
◆1戦目
シュライカー大阪 2 - 3 ペスカドーラ町田
◆2戦目
シュライカー大阪 3 - 2 ペスカドーラ町田
※シュライカー大阪が年間王者

リーグ1位に勝ち点4のアドバンテージが与えられる勝ち点5先取(勝:3点/分:1点の勝ち点のため町田は2連勝が必須で最大2試合開催)のレギュレーションになった今年のプレーオフ決勝だが、第1戦の開始数秒で町田のエース、森岡選手が筋肉系のトラブルで早々に負傷退場。

相手を問わず1試合1~2点を見込める大駒を失った町田だったが、今シーズン目立った活躍のなかった本田選手がこの機会に発奮し大阪のゴレイロの柿原選手を落ち着いてかわして2ゴールを挙げると、相手ゴール前でしぶとくボールを奪った室田選手が蹴り込み町田が0-3で前半を折り返す。
後半はカウンターから大阪の王将、アルトゥール選手がゴールが浮くほどの強烈なミドルシュートをブチ込み、出場メンバーが固定されたチームでしっかりポジションを掴んだ24歳の田村選手が詰めて2-3と追い上げるも、3分間のパワープレーをズバ抜けた団結力で凌いだ町田が次戦に繋がる1勝を挙げた。

2戦目は町田のラフファイトに終始イライラしていた永井選手が若干20歳の仁井選手のシュートパスをスラして先制し、その後大阪のフロントラインをゴリゴリと引っ張るチアゴが決めて2-0と大阪がリードを奪うも、町田が残り20秒で得た第2PKを前日の負傷から強硬出場の森岡選手が沈めて2-1とし前半が終了した。
後半21分に篠崎選手のコーナーキックがオウンゴールを誘い町田が同点に追いつき、その後は2.5セットで回す町田と、ブラジルトリオと小曽戸選手を中心に少人数ながら強力なカードを順次フロアに送る大阪の鍔迫り合いが続く。

2戦目の町田は森岡選手の調子が万全でないと判断し、本田選手とのダブルピヴォを随所に織り交ぜて森岡選手への注意を逸らし、代名詞の俊敏なターンや強烈なシュートではなく狩猟犬のような嗅覚で後方からゴール前に侵入しての一噛みを狙う工夫が光った。

勝利が必須条件の町田が残り3分からパワープレーに打って出るも、最後は来日1年目からここぞという時の異常なガッツキでゴールを奪ってきたチアゴが横江選手の足元に入ったボールを引っかけて奪ってのパワープレー返しを成功させて3-2とし、引き分けでもOKだった初優勝にアリーナがどっと沸く歓声を添えた。

全体としては1年を通じ安定して実力を発揮してきた大阪が2戦合計のスコアで接戦を制したという格好だったが、シーズン後半からのピーキングがバチッとはまった町田の集中力とテンションの高さがピカピカに光った2試合で、惜しくも優勝を逃したものの熱戦を盛り上げた助演俳優賞として堂々と胸を張ってほしい。


今シーズンはFリーグを中心に観戦したが、シーズンの上澄みのプレーオフでもというか、だからこそというか気になるところはいくつかあった。

①レフリング
1戦目はルーズボールを追う際に町田の選手が前腕で相手の顔を叩いてから体を入れる場面が数度あり、初回で笛を吹かないことでラフプレー→抗議→ラフプレーの連鎖が目立った。
選手はプレーに対するリアクションで審判を試し、審判もプレーに対する笛で選手にメッセージを伝えるのはごく自然なことで、審判は笛を含めた初回のリアクションにこだわるべき。
2戦目の前半は両チームに第2PKが与えられたが、こちらは荒れるというよりは妥当な判断の積み重ねによる好(公)演出で◎。

②試合日程
すみだと大阪のホームアリーナで金、土曜に実施されたプレーオフ1st/2nd、ファイナルラウンドだが、両日とも金曜日の方が観客が多かった(それぞれ1,835人/1,361人と1,485人/1,170人)。
アリーナの賃料も平日の方が割安になることが多く、Jリーグを含め土日に集中する各種イベントとのバッティングも回避できることから、定時退社でギリギリ間に合うキックオフ時間でのスケジュール設定はマイナースポーツとして一考の価値があるのでは。

③シーズンのハイライト作り
プレーオフ4試合を戦った町田の集中力、緊張感、一体感の高さはどれも素晴らしく、トップリーグとして非常に魅力的で説得力のあるものだった。
12チーム3戦総当たりの33節は中弛みや、時間とともに点差が広がるだけの上位下位の対戦あり、内容・客足ともパッとしない試合も多かった。
12チーム2戦総当たり→1~6位/7~12位で上位下位リーグで1戦総当たり→上位3チームでプレーオフなど、上位下位とも意味と価値があり、勝敗に興味の持てる試合を意図的に増やす施策は急務。

④コンディションの維持とピーキング
維持については大阪、名古屋が◎。
ピーキングについてはすみだ(シーズン前半)、名古屋(AFC~シーズン中盤)、町田(シーズン後半)が◎。
AFCやワールドカップなど短期~中期決戦で挑む国際大会でカギになるコンディションの維持とピークの設定だが、③が充実するほどスタッフや選手にとっては良いチャレンジになり、観客は見所が増える。
2016年に苦杯を舐めたAFCに向けてのトライアルにもなるのでは。

⑤名古屋と森岡選手の存在感
不在の在。
なんだかんだで彼らがいない、万全でない決勝戦に物足りなさも感じた。
歴史が変わったと表現された今期のFリーグだが、一時の特異点になるかどうか来シーズンに向けての名古屋の動向も非常に楽しみ。
MVP4回、得点王4回の森岡選手は心身共に万全ならまだまだ3~40点を狙える選手だろう。

いずれにしろ3/20(月・祝)の全日本選手権決勝で2016/2017年シーズンも終わる。
 
少し気が早いかもしれないが、33節とプレーオフを戦い抜いた各チームの選手・スタッフ、東と西の横綱としてリーグの千秋楽をシッカリと締めた大阪と町田には心からお疲れさまと、ありがとうを言いたい。

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25 2月

2017/2/24(金)~25(土) Fリーグプレーオフ1st/2nd Round 墨田区総合体育館『価値を創る』

2017/2/24(金)~25(土) Fリーグプレーオフ1st/2nd Round 墨田区総合体育館
◆2017年2月24日(金)
・1st Round
名古屋オーシャンズ 2 - 2 府中アスレティックFC
ペスカドーラ町田 7 - 2 フウガドールすみだ

◆2017年2月25日(土)
・4/5位決定戦
フウガドールすみだ 0 - 4 府中アスレティックFC
・2nd Round
名古屋オーシャンズ 0 - 3 ペスカドーラ町田

12チーム3回戦総当たり33戦のリーグの結果を軽んじているという意見と、リーグの盛り上がりや見所を作るという意見の板挟みに合い、どのスポーツでも賛否両論の的にされるプレーオフだが今期のFリーグのプレーオフはズバ抜けて面白かった(若干の最終回感があるが実際は3/3(金)、4(土)の大阪のFinalRoundが決勝戦)。

初日は固定メンバーでリーグを戦い、これまで出番の少なかった岡山選手を前線で起用してセットに流動性を持たせた府中が異常なテンションの高さを見せて名古屋をリードして試合を進めるも、AFCで劇的なゴールを決めた星選手が2-2の同点に追いつき名古屋が初日を勝ち抜け(リーグ戦上位の名古屋(2位)は引き分けの場合は勝利扱い(府中は5位))。
 
3クール目でコンディションの上がらない戦いが続いたすみだとは対照的に調子を上げてきた町田が開始48秒で森岡選手が先制点を挙げるとその後は攻守に高いクオリティを見せた町田が7-2とすみだを一蹴。

リーグ1位の大阪への挑戦権を賭けた名古屋対町田の一戦は前半14分に森岡選手が左サイドで相手DFと対峙し、縦に抜けないと見るや右サイドへ相手との距離を取りながらドリブルで持ち出し、相手とのギャップを築いて利き足を活かせる右45度の角度に持ち込むと、腰の入った右足で豪快に逆サイドに突き刺して町田が先制する。
 
このプレーオフで目立ったのが町田の心技体の充実で、ボールを保持すればクアトロのパス&ムーブで相手のプレスをいなして穴を作り、守ってはポイントゲッターのシンビーニャ選手、平田選手に何もさせなかった滝田選手を中心とした好守が光った。

後半21分。
イゴール選手がゴールエリアギリギリにロングスローを投げ込む。
 
名古屋のゴレイロの篠田選手が前に出て抑えに行くも、163cmの金山選手が起用に体を潜り込ませてボールを頭に当てるとこれがスローモーションのようにゴールに吸い込まれて0-2と町田のリードが広がり、名古屋が残り7分からパワープレーを開始するもイゴール選手がキャッチしたボールをワンバウンドさせてからのキックでパワープレー返しを成功させ町田が0-3の完勝を収めた。

試合を振り返ると後半25分から星/シンビーニャ/セルジーニョ/平田マサノリとフィニッシュに強いセットを組んで名古屋が勝負に出たものの、ここを町田がしっかりと凌ぎ切ったことで精神的な優劣が決したのではと思う。
 
堅守と驚異的な粘りで昨年7月のAFCを制した名古屋も決して弱くはなかったが、ゴールに直結する凄みを持った選手が不在でオフェンスで相手にプレッシャーを与えられなかったことが最大の敗因だろう。

試合終了のブザーが鳴り、悲嘆に暮れる名古屋と歓喜の町田の選手たちをよそに、昨年名古屋との契約を打ち切られて失意の移籍をしたFリーグ最高のクラッチシューターの森岡選手がフロアに大の字になり顔を抑える姿が非常に印象的で、Fリーグで勝って泣く選手を久しぶりに見たなと思った。


2007年に8チーム3戦総当たりの21節84試合で開幕したFリーグだが、唯一のプロチームである名古屋が早々にリーグの趨勢を決めることに対する盛り上がり創出の施策として6年目の2012年からプレーオフが始まった。

2016年までの4年間は名古屋がリーグ1位で4度ともプレーオフを制する完全優勝が続いていたが、今シーズンはブラジルトリオが113得点を挙げて引っ張った大阪がシーズンを制し、プレーオフではイゴール/森岡の強烈なセンターラインを擁し短期決戦にバッチリ心技体を揃えてきた町田の後塵を拝し名古屋がリーグ、プレーオフとも敗れるということとなった。

歴史が動いたという表現も納得できるが、ブラジル代表歴のあるフィニッシャーのシノエがシーズン開始前に帰国し、シーズン途中に工夫に乏しく鈍重でキレやすいダニエルサカイというハズレ外国人を引いた絶対王者らしからぬマネジメントのまずさ(フィニッシャー不足のまま駒が足りているフィクソを補充)もあったが、負けたことが話題になるだけの歴史を作ってくれた名古屋には素直にありがとうという言いたし、これから唯一のプロチームであり自前のアリーナを持つ環境を活かして巨人の星ばりの地獄のシゴキからの復活劇を想像すると何とも胸が熱くなるものがある。

12チーム33節198試合で争った今期のFリーグ。
そのどの試合よりもプレーオフが面白かったのは試合に意味づけがされていたからだろう。

・10連覇への執念
・自分を追いやった名古屋へのリベンジ
・実力が拮抗した強い相手
・乾坤一擲の一発逆転
・異常な強さを発揮した大阪への挑戦権
・打倒名古屋を達成し新しい歴史を創る

率直な感想だが、実力のバラツキが顕著になった12チームでの3戦総当たりを、土日の連戦もある6月から2月までの8ヵ月間、毎週高いテンションでこなしていくのはムリな状況になっている。

選手のコンディションも勿論だが、2クール目~3クール目には観客数が4~600人の試合もあり、1月末の名古屋セントラルでは金曜日の16時45分から417人の観客の前で浦安と湘南の関東勢の試合を行うなど、本来ファンに見られるべき試合が適切な時間帯に行われなかったり、自転車操業のカレンダーではホームゲームの集客営業も時間が足らずプロモーションを打とうにも前日設営やアウェーゲームの移動手段と宿を確保するだけでスタッフ陣も手一杯だろう。

トップリーグは選手とファンのためにあるものであってほしいし、レギュレーションはチームの負荷を抑え、より一般層に届くために最適な形であってほしい。

・2クールで最後の1クールを上位下位のリーグで実施(拮抗した試合と、これまで『誉』しかなかったリーグに疑似的な降格争いによる『恥』の争いの創出)
 
・ワイルドカードが廃止されたことで地域リーグ勢のジャイアントキリングが困難になった全日本と差別化が難しいオーシャンカップの意味づけ(リーグでは1人の23歳以下の選手の登録を4人とし、6チーム2ブロック総当たりでセントラル開催。両リーグの同順位で順位決定戦など)

あくまでファンの妄想の域を出ないが、上記のレギュレーションであればリーグ戦が22節+上位下位リーグ5節の27節。オーシャンカップが5節+1節の6節。
今期のセントラルが5節だったのでオーシャンカップをここに適用すれば客足の減少が顕著だったセントラル大会のテーマ付けにもなるだろうし、順位争いの見所もより増えるのではと思う。

B1/B2の全36チームで立ち上がったBリーグとの競合もあり、33節の開催自体が今後より難しくなっていくのは明白で、オーシャンアリーナや小田原アリーナ、冠スポンサーが保持するゼビオアリーナらを有効活用した施策をレギュレーションの変更に合わせて打つべきだろう。

率直にトップリーグのレベルにない試合がちょいちょいあることと、難航する世代交代も大きな懸念点で、チームによっては疲労感が色濃く、低調な試合(仕掛けが少ないロースコアゲームや、実力差がコンディションで倍加した一方的なハイスコアゲーム)になりがちな3クール目は正直ハズレ試合が多く、ベンチ入りするものの結局試合には出場しない状態では若手の育成や世代交代も望めないと思う。
形はどうでもいいが、現状のレギュレーションではまず不可能なここのテコ入れは急務だ。

森岡選手のストーリーに酔ったプレーオフ1st/2nd Roundの2日間だったが、これが最終回ではなく大阪が待つFinal Roundへとストーリーは続き、新シーズンはまた6月に開幕する。

これまで『どう名古屋を倒すか』というところにフォーカスされていたリーグ戦のレギュレーションだが、幸運にもその目的が達成された11年目からは10年目の結果を分析してさらにトップカテゴリーが盛り上がるレギュレーションをドンドン検討してほしい。

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プレーオフで気を吐いた府中の1stセットを牽引した皆本/柴田/渡邊選手。
名古屋に肉薄し、すみだに勝利して4位と手応えを掴んだトーナメントを得意とするチームは全日本へ向けて収穫大。
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2クール目まで大阪、名古屋と首位争いを演じたすみだ。
チームを牽引した諸江選手と西谷選手が出場時間を長くして打開策を探るも、プレーオフでは町田、府中戦とも大量失点で幕。
駒は揃っているだけに来シーズンの課題はコンディションの維持か。
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10連覇を逃した名古屋。
ペドロコスタ監督が重用し、十分な活躍を見せたサテライト昇格1年目の赤髪ヤングガン・橋本選手は1stRoundのみの出場。
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タフな2試合でゴールを固めた星選手と篠田選手。
混戦からの星選手のミドルは大きな武器。
敗れたものの篠田選手は及第点の出来で全日本での巻き返しに期待。
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プレーオフでは不必要なファウルと工夫に乏しいプレーが目立ったダニエル・サカイ。
現時点で放出候補No1か。
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機動力のシンビーニャ選手と、フィジカルの平田マサノリ選手を抑える滝田選手。
プレスから漏れたピヴォへのコースを締める堅実な働きが町田の好守を支えた。
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早々に5ファウルとなり、3点を追う名古屋のパワープレー。
横一列でキックオフを待つ絶対王者のなりふり構わない布陣。
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ゴレイロがボールを持ったら前線に猛ダッシュでカウンターを呼び込み、遅行では相手DFの間に入って選択肢の創出と緩のプレーにも非凡なものを見せる中井選手。
テンションの高い攻守とライン際のボールに果敢にアタックするプレーは一見の価値あり。
早く日本代表で見たい選手。
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Fリーグ最高のゴレイロとアタッカー。絵になるふたりの共演が打倒大阪の必須条件。
イゴール選手と森岡選手。
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ピンポイントで期待に応えた金山選手と、チームのピークをプレーオフにバッチリと揃えた岡山監督。
少々喜び過ぎな感もあったが、大阪というもうひと山を越える気迫が出せるかが勝負の分水嶺であることは間違いない。

12 2月

2017/2/12(日) Fリーグ第32節 町田市立総合体育館 『お尻の価値』

2017/2/12(日) Fリーグ第32節 町田市立総合体育館
府中アスレティックFC 2 - 1バサジィ大分
ペスカドーラ町田 5 - 2シュライカー大阪

サッカーのユニフォームや、F1のボディにペイントされたロゴなど、プロ・アマ問わずスポーツでは協賛やスポンサー企業の企業名や、企業が推す商品名を背負って競技を行う光景をまま目にする。

競技を行う上でのギア、競技力向上のための食事、練習場、移動、試合の登録費、会場の確保、試合前後を含めた会場運営や広報など、個人、チーム、運営団体といったそれぞれの立場でスポーツにはとかくお金がかかり、その一助を担うのが広義で言うところの『スポンサー』だ。

スポンサーは対価と引き換えに個人、チーム、競技を通して自社(あるいは個人)を宣伝してもらえる権利を得、ユニフォームやスタジアムへのロゴや看板の掲示、企業名/商品名の入った冠ゲームの開催などで露出を増やす。

意思決定層が競技の愛好家であったり、支援対象の選手の熱意に意気を感じたりということがスポンサードのきっかけとして一般的だが、マイナーだがビジュアル的にキャッチーな競技だったり、社会貢献性や意義の高い大会、共感できるストーリーを持つ選手など、場合によってはスポンサードしていること自体が好意的なイメージに繋がることもありブランディングとしても有効な手段といえるだろう。

単純にロゴを貼り付けただけでなく大相撲では力士が巻く化粧まわしでは熊本県のPRキャラであるくまもんや、よーじやのあぶらとり紙のトレードマークである女性の影絵が登場したりと、単純なデザイン性だけでなく『強さ』や『真摯さ』の象徴でもある力士が脱力系のキャラクターや女性向けの商品の訴求を行うという意外性がまた目を引くものがある。

最近なにかと飽和状態の『●●女子』のひとつである相撲女子に向けてのマーケティングだろうが、厳粛な国技館のランウェイを精悍な力士が土俵上では少々不釣り合いな化粧まわしを巻いてを歩き、土俵というステージで大相撲の花形の所作である四股のポーズをキメる光景はどこかファッションショーにも似て非常にユニークでありアピールの効果は抜群だろう。


シャツ&パンツのユニフォームで競技を行う一般的なスポーツでここ最近増えてきたのがお尻への広告だ。

一般的には胸→背中→袖・パンツ(腿の前/お尻)の順に掲示金が高くなり、テレビや写真で見る姿はバストショットが多く金額通りに胸のロゴが目立つものの、選手のプレーの動作の終わり(走る/飛ぶ/打つ/蹴るなど)は上屈してお尻が突出しているポーズが多く、鍛えられた見事なお尻に貼られたロゴやマークがピンと伸びて『おお...。ここにもロゴがあったか(しかしディドゥダはいいケツしてるぜ(照))』と感嘆することがままある(私だけかもしれないが)。
 
情報元により諸説あるがJ1の年間の掲示料は胸が2~3億円/背中が1億円/袖・パンツが5千万円(J2はその半額程度)と言われており、TV中継は少ないが、会場にはそこそこ客が入りコアなファン層が支える構図になるマイナースポーツのスポンサーになるならお尻のスポンサーはそこそこ魅力なのではと思う。


『どこで』『だれが』『どこに』のユニークさが際立っていたのが前述の化粧まわしの例だが、数年前からお尻の部分にスポンサー企業の『ネピア』のロゴが入るようになったエスポラーダ北海道のユニフォームはなかなかインパクトがある。

フットサルのトップリーグが行われる体育館で北海道出身の爽やかな選手たちがお尻にティッシュやトイレットペーパーを主力商品とするネピアのロゴを入れて戦うところにシリアスとコメディーのギャップがあり、シャツ&パンツのスポーツはシャツをパンツの外に出してプレーしがちだが、北海道の選手はお尻のロゴを見せるためにシャツをパンツに入れてプレーしており印象的にも非常に良い(シャツをパンツの中に入れることをキチンとした所作であると評価する古いファッション観かもしれないが、そういった価値観を持つ層は一定数存在する)。

『どこに』と訴求商品のギャップやマッチを生み出しやすいのがお尻の広告の魅力であり、価格的にも安価なことから比較的営業しやすいのではとも思う。
ポライトなユニフォームな着こなしがイメージアップにも繋がるという2次効果も期待できるのでまだ入っていないチームはゼヒ営業してほしいところだ。

そんなスポンサーとスポーツの関係だが、昨年あるチームが行ったスポンサーマッチデーのプログラムの中で新加入選手のインタビューがあり『スポンサー企業についての印象は』という質問に『移籍してきたばかりでよくわからない』という回答が掲載されていてちょっとガッカリしてしまった。
ほかにも意味不明で目にするとなんとも言えない気持ちになるが、お尻にスポンサーのロゴが入っているのに入場時からシャツをパンツの外に出して入場してくる選手がいたりする。

ないよりあったほうがなにかとよいのがお金であり、即効性の高いのがスポンサーマネーだが当然そこには対価を要求される。
 
それがプロスポーツの常識だ。

前述のインタビューの選手は実力はありながらもチームを転々とした苦労人タイプであり、シャツをパンツの外に出している選手は十分ネームバリューもある選手だったりで、単純に素直なだけのような気もするが、結果や行動ですべてを判断されるのが見られる立場の人間であり、直接的であれ間接的であれ自分に関わってくれる人に対する言動を想像できることがスポーツ選手云々の前に社会人として必要なことだろう。
 
インタビューの内容に対するチェックがなかったのかチェックの上でゴーサインを出したのかはわからないが、選手だけでなくチームが所属選手のマッチデープログラムの言動に無関心なのもどうかと思うし、SNSでゴハン食べに行きました写真をアップするチームメートはいてもユニフォームを出していることを注意する仲間はいないのかと少々心配になった。

以前は観客数が1,000人を下回ると少ないと感じていたが、ワールドカップの出場権を逃し、Bリーグという強力なアリーナスポーツが華々しく誕生した今期は500人前後の観客数の試合もザラにあり、フットサルがメジャーになってほしいという想いよりもなんとか現状維持をという焦燥感が強い。
それでも自分が観られる立場であり、観客、スポンサーを楽しませ、応援することを誇りとして感じてもらえる存在であると意識し、それに沿った振る舞いをしようという気概がなくなったら終わりだろう。

フットサル界は2016年に長年全日本選手権をサポートしたPUMAが、Fリーグからは開幕からの付き合いである森永製菓がそれぞれ冠スポンサーから撤退したが、前述の北海道のように地域に根差して観客動員数を伸ばし、地元企業のスポンサードを獲得する好循環を生んでいるチームもある。

今期は大阪がブラジルトリオと質の高い日本人選手を揃えて名古屋の10年連続のリーグ1位をハッキリとした実力差を見せて阻んだ。
量より質の密度を高めて得た経験値の蓄積で相手を上回る少数精鋭型の木暮采配が異彩を放つ大阪だが、彼らの群を抜く強さの裏にはハッキリとしたリリースはないもののそれを支える金銭面での充実もあるのではと思う。

ニワトリが先かタマゴが先かの不毛な議論になりがちだが強化にはお金が必要で強力なチームが増えることがリーグや代表のボトムアップに繋がる。
景気のいい話は皆無といっていい日本フットサル界だが、お尻のスポンサーロゴが入るチームが増えることがひとつのバロメータになるのではと勝手に思っている。

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日本を代表するドリブラー、仁部屋選手。
華麗なスラロームを支える形のいいお尻に輝く地元大分の不動産企業『豊後企画集団』の広告はインパクト大。
大分はユニフォームとロゴの色見の相性も◎。
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強烈な炸裂音を響かせるシュートと、正確で球足の速いインサイドパスを操る大分の大型フィクソ、ディドゥダ選手。
ヴィニシウス、ボラ、ディドゥダらブラジル人独特のクイックネス/テクニック/パワーを生む彼らのムッチリとしたお尻は説得力抜群。
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5位でのプレーオフ進出を決めた府中。
クラブの初期を支えた上澤選手の7番を着る若干20歳の内田隼太選手は前半2分間の出場ながら機を見て斜めに抜ける動きでゴレイロとの1対1のチャンスを作る。
J1で絶賛売り出し中の鈴木優麿と同期の鹿島アントラーズの下部組織出身で今後に期待大。 
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2020年ワールドカップの主役後方の左利きドリブラー加藤選手を全治9カ月の重傷で欠き、ヴィニシウスとチアゴも不在。
飛車角金が抜けた大阪もこれまた20歳の仁井選手がセットに入って活躍。
左サイドの定位置からスタートする決めごとタップリな大阪のオフェンスを見事にこなす。
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2年前のプレーオフで頭角を現した田村選手がゴール前のセットプレー、相手エースの森岡選手のマンマークに体を張るも、森岡選手もゴールに繋がるプレーでやり返す。
今シーズンの決勝でこのマッチアップも十分ありそう。
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この日出場した唯一のブラジルトリオ、投げやりなアウトサイドキックにも風格が漂うアルトゥール。
体の厚みとリーチを活かして相手にアタックできないところにボールを置いて攻守のタクトを振る。
今期のMVP最有力候補。
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シーズンごとに若手が活躍する町田。
日本代表にも初選出された前線のプレスマシーン、原選手は今日も元気一杯。
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中央とサイドではスピードを活かしてハイテンションな攻守を見せ、ゴール前では周囲を見て冷静な落しを選択する町田の次代のエース。
森岡選手との好連携で1ゴール2アシストの中井選手は俺の尻でチームを引っ張るとばかりにユニフォームの着こなしもバッチリ。
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今期で引退する日本フットサル界のレジェンド、44歳の甲斐選手の引退セレモニー。
大阪の選手も交じっての胴上げに胸が熱くなる。

23 1月

2016/11/26(土) 国際親善試合 MFP味の素スタジアム 『ウサギとカメ』

2016/11/26(土) 国際親善試合 MFP味の素スタジアム
ファイルフォックス府中 5-4 トルクメニスタン代表

※こちらからの続きです:2016/11/23(水) 国際親善試合 郷土の森府中市立総合体育館 『外国人の視点』

2016年11月17日~11月30日までの14日間日本に滞在するトルクメニスタン代表だが11/27(日)が唯一のオフとのこと。

東京近郊での行きたい観光スポットを選手に聞いたところ、意外にも忠犬ハチ公のエピソードにいたく感動したらしく渋谷のハチ公像を見たいというリクエストが多いらしい。
試合中はファイター気質の選手が目立ち、テンションの高い一対一で勝負する彼らだが、衣食住には困らず自然も豊かで鎖国状態の牧歌的な国が儒教的な感覚を持っていたとしてもあながち驚かない。

どこかで見た今風な若者たちがたむろするスポットで、主人の死後も彼を待ち続けたハチ公を尊敬してトルクメニスタンの若者たちが集合写真を撮っている様子を想像し、ちょっと微笑ましい気持ちになってしまった。

先制されるも粘り強い守備と少ない攻撃の手札で勝ちを拾ったリガーレ東京との初戦。
前後半開始時の集中力のエアポケットを一気に突かれ、終始主導権を握られてクローズされたすみだとの2戦目。

中2日の3戦目は関東1部のファイルフォックス府中。
プレス&カウンターもあり、フロアに人を広く配置してから縦パスを機に一気にラッシュする定位置攻撃も強力。
セットプレーやパワープレーにも見る物が多く、今年の関東1部リーグを準優勝した引き出し豊富なフットサルらしいフットサルをするチームを相手にどんな試合になるのかが非常に楽しみだった。

試合はすみだ戦と同様、集中力を欠く前半早々にキックインからのチョンドンとカウンターで2失点。
すみだ戦と同じく立ち上がりにフワフワする悪癖でビハインドを負うも、ここからトルクメニスタンが厚みのあるフィジカルを活かしたディフェンスで盛り返し、強烈なシュートと突進→切り返しに迫力のあるドリブル突破を活かして同点に追いつくと、ボールカットから3人が駆け上がっての3v1カウンターを決めて前半を2-3のリードで終えた。

後半、オフェンスに過重したファイルのボールをいい形で奪うとそのまま2v1のカウンターに出る。
これを手堅く決めて2-4としグッと勝利を引き寄せたかに見えたが、2点のリードの余裕でこれまでのテンションが緩んだのか、ここからディフェンスラインが下がり、相手に強く当たれなくなると徐々にファイルペース。

サイドから入れられたボールをクリアしきれずにボールがパチンコ式にゴールに収まる形でのオウンゴールで3-4。
残り8分過ぎからファイルがパワープレーを始めると、不慣れなディフェンスを早々に攻略されて4-4の同点。
その後もファイルがパワープレーを継続すると、終了間際に素早い動かしで作ったズレを活かしてファーからのシュートを決められて5-4。
後半に作った2点のリードの甘みはどこえやらのホロ苦い敗戦となった。

今シーズンは準優勝に輝いたものの、一昨年は優勝、昨年は9チーム中8位で関東2部との入れ替え戦という落差の大きいシノギを余儀なくされたファイル。

昨シーズンはセット間の温度差と、試合中に激昂する吉成選手兼監督の姿がチームの状態をよく表していたが、この日は後半に試合中に頭を打って退場した西川選手を全員が気遣う。
 
なかでも印象的だったのが、FPでは最年長の吉成選手兼監督が内容はアツいものの、です/ます調の丁寧な言葉使いでメンバーに指示を与え、その指示を各自が真剣に話を聞いていたことで、昨年との結果や温度感の違いはここに集約されているように見えた。

今シーズン、Fリーグから復帰した藤本選手、三木選手、曽根選手がトップカテゴリーでのスキルと経験をチームに還元しての好成績とも取れるが、チームの得点は10点の町田選手がトップで、以降は吉成(9)、三木(7)、西川/丸/小原/藤本(5)、曽根(4)、長尾(3)、田辺(2)、江良/真部/三ヶ尻(1)と満遍なく続いていることが示すようにチーム内のバランスは非常に良さそうだ(もちろん3選手の経験、スキルがバランスの構築に大きく貢献していると思う)。

チームは生き物であり、1シーズン、1試合という単位だけでなく、試合中の得点差/ファウル数/出場メンバー/時間帯で必要なスキルや情報は大きく異なる。
各場面で適切なコミュニケーションは毎回異なり、どういった雰囲気作りや声掛け、姿勢を示すかも監督が考えなければならないタスクだ。

後半2-4にされてからチグハグになったトルクメニスタン代表攻略戦でメンバーに指示を与え、猛追、逆転した吉成監督の手腕はお見事で、2失点を逆転して2点を勝ち越しも、徐々に盛り返されてパワープレーで敗戦というフットサルらしい難ゲームを体験できたことはトルクメニスタンも嬉しい悲鳴だったろう。


細かい例外はあるがフットサルは、

①プレスラインの設定とプレス回避
②トランジションの強度
③練度とキャラクターのある2セット
④キックイン、フリーキック、パワープレーなどのデザインプレーの攻守

の4点のどこかで相手を上回って多くゴールを決めたほうが勝つスポーツだと思う。
3戦だけだがトルクメニスタン代表を評するなら、

①プレスが利いている時間もあるが、プレス回避はまだまだ。

②攻撃→守備の切り替えとボール奪取までは◎。
守備→攻撃の切り替えは△だが、各局面で何人まで人数をかけるのかを検討中といった感じでドリブルでの持ち出しはかなり迫力がある。

③3セットでのローテーションを採用。
どのセットも2人以上の連動での攻撃は非常に少ないが、1試合で数回はよい形も見せ、ポテンシャルはありそう。

④強シュートと体格を活かしてのブロックを駆使したキックイン、フリーキックの攻撃は◎。
パワープレーディフェンスは△で、リードを奪ってもここがお留守だと強豪相手には絶対に勝てないので直近の必修科目か。
パワープレーオフェンスは今後の他戦術の習熟度を見ながら練習時間との相談になりそう。

となり、率直に言って関東1部の中位~下位程度の実力だろう。

だが、AFCではベトナムが日本を破ってワールドカップに出場し本大会では決勝トーナメントに進出、史上最強との呼び声もあった日本を敗者復活トーナメントでキルギスが2-6で敗るなど、継続的な強化(あるいは強化の不足)や勝負の波はどんな結果を生んでも不思議ではない。
そしてトルクメニスタン代表は2017年9月に同国で開催が予定されているアジアインドアゲームズまで、日本から派遣された中村氏、前川氏の指導の元、継続的にトレーニングキャンプや親善試合をミッチリ続けていくとのことで、短期間で一気に伸びる可能性は大いにある。

日本では名監督と聞くと試合中に絶妙な選手交代や、奇抜な采配でゲームを動かす勝負師を連想しがちだ。
だが、最も大事なのは自分が率いるグループに今何が必要かを考え、各自が理解し、納得して行動できるように伝え、人間関係を構築していくことで、『妙手』や『奇手』はあくまでその過程で生まれたものでしかない。

2016年2月のAFC敗退し、10月にブルノ・ガルシア氏が代表監督に収まったが数回の選考合宿が組まれただけで、JFAがリリースしたスケジュールでは2017年に国内で日本代表のお披露目の場はなく、3月の2週間の海外遠征と6月の1週間の合宿後に9月のアジアインドアゲームズに向かう。
 
ワールドカップで3位に輝いたイランがロシアを相手に親善試合を行い、タイ、ベトナム、オーストラリアを含むワールドカップに出場したアジアの列強がAFF(ASEAN諸国を集めた地域大会)の連戦を戦うなど、各国が勢力的にトレーニングマッチを行っているのに対し、自称イランのライバルである日本の強化日程は非常にお寒いもので、こういうスケジュールについても代表監督は(常識的に結果を出せるプランではないのですでに言っているかもしれないが)ドンドン文句を言っていってほしい。

3/23(木)~4/4(火):海外遠征(未定)
5/30(火)~6/4(日):トレーニングキャンプ(兵庫)
9/17(日)~27(水):アジアインドアゲームズ(トルクメニスタン)
10/16(月)~18(水):トレーニングキャンプ(未定)
11/1(水)~11(土):AFC フットサル選手権2018予選(未定)

日本には色々なタイプの優れた選手がいる。
試合展開、パーソナリティに合わせたアプローチができる優れた監督もいる。

惜しむらくは彼らが国際経験を積む舞台が非常に少ないことで、アウェーでの戦いは勿論大事だが、自分のナショナリティを再認識し、代表選手としてのプライドを育てる国内での親善試合も絶対に必要だろう。
 
国外から優れた指導者を招聘し、海外武者修行に励むトルクメニスタン代表はかつて日本が歩いた道程だろうし、国を挙げて強化に励む彼らが2020年、2024年のワールドカップ出場を賭けた戦いで日本に立ちはだかる可能性は決して低くない。

海外からの観光客が増え、彼らの指摘の元、当たり前のものとして見飽きていた日本の良さ、悪さを我々が再認識するということがままある。

・選手たちの謙虚さ
・監督と選手の信頼関係
・タイプの異なる対戦相手との腕試し
・協会からの適切なバックアップ
 
ベトナム戦、キルギス戦で特に顕著であり、AFCで顕在した日本のウィークポイントはもちろんどのチームも潜在するものだが、それを埋めるためのアプローチをする時間や機会は絶対的に足りていない。

昨年のAFCを名古屋が制し、その名古屋を今シーズンは大阪が圧倒している。
この状況を見てもFリーグのレベルが低いとは決して言えないが代表チームはまったくの別物で、今年9月に行われるアジアインドアゲームズの日本とトルクメニスタンの成績が、ウサギとカメの童話よろしく、目標へのアプローチとして何が正しいかを示すひとつのバロメーターになるはずだ。

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16 1月

2016/11/23(水) 国際親善試合 郷土の森府中市立総合体育館 『外国人の視点』

2016/11/23(水・祝) 国際親善試合 郷土の森府中市立総合体育館
フウガドールすみだ 5-2 トルクメニスタン代表

※こちらからの続きです:2016/11/22(火) 国際親善試合 MFP味の素スタジアム 『トルクメニスタンという国をご存知だろうか』

リガーレ東京戦の翌日、トルクメニスタン代表は町田市立総合体育館でFリーグを観戦。
会場を見渡すと府中サポーター席の横の一角が関係者席になっており、同エリアに緑色のジャージを着たがっしりした体躯の青年たちが折り目正しく座っていた。

プチセントラル開催となったこの日は2試合が行われ、1戦目の府中対大分は府中が2点リードから大分が巻き返して2-2のドロー。
2戦目の町田対大阪は同じく大阪が2点リードから町田が盛り返して後半6分までに3-4と追い詰めるも、最期はブラジルトリオが試合を決める活躍を見せ(ヴィニシウスが4点、アルトゥールとチアゴが2点)4-8でホームの町田を粉砕した。

ビザの取得が困難なトルクメニスタンでは外国人を見ることは稀だろうし、スポーツをライブで観戦することが娯楽として定着しているかはわからない(ロシアのTVは受信できるということなので一通りのメジャースポーツは見れるらしい) 。
皆本選手、仁部屋選手が個人技で違いを作り、クロモト選手、ディドゥダ選手が要所を締め、森岡選手が抜け出してシュートを撃ち、アルトゥール選手が常識では考えられないレンジからロングシュートをぶちかます。
その様子を1,700人の観客が見つめ、ワンプレーに一喜一憂する。

近年、日本のニッチなスポットが海外からの観光客に人気で、当たり前のものとして見飽きていたり、イロモノとして敬遠していたものを彼らのクチコミを機に再発見するということがままある。

外国人観光客向けの観光情報を多く発信するポータルサイト、トリップアドバイザーではちょいちょい日本人も知らないような名所が訪日外国人の人気観光スポットして取り上げられることがあり、彼らのリコメンドを頼りにそこに行ってみると意外なほど面白い。
先入観にとらわれない純粋な視点というのは侮れず、ブレイクのきっかけを逃して徐々に観客動員が落ち込みつつある10年目のFリーグの試合と会場の雰囲気を彼らがどういう気持ちで見つめていたのかがとても気になった。



町田での2試合が18時過ぎに終わり、府中市立総合体育館に移動して21時からはフウガドールすみだとトレーニングマッチ。

FPに田口選手、ゴレイロは清家選手、揚石選手、大黒選手とトップでも活躍するタレントが揃ったもののサテライト所属選手を主体にしたすみだを相手に、昨日の勝利と、数時間前にレベルの高い2試合を観戦していいイメージで試合に入るかと思いきや、ゲームに集中しきれていないまずい出足を突かれ、開始1分でゴレイロへのバックパスで得た間接フリーキックを素早く動かされてすみだに先制点を奪われると、間髪を入れずに狩猟犬のような前プレを喰らって再び失点。
早々に2点のビハインドを負う。

パワープレーや追いかける展開に弱さを見せる半面、相手のスキや緩みを点に繋げるラッシュに強さを見せる十八番ですみだに一気に主導権を握られるも、前半半ばに昨日は個人でのドリブル突破以外の攻め手を見せなかったトルクメニスタンがパラレラから裏に抜け出して好機を作り、フォローに来た3人目がプッシュ。
ようやく出たチームプレーでトルクメニスタンが2-1に追い上げた。

その後はすみだの小気味いいプレスとカウンター、ピヴォを置いた攻めにトルクメニスタンが粘っこく守ってカウンターという構図で時間は進み、トルクメニスタンがしぶとく守って前半は1-2で終了した。

ハーフタイムに入ると夜も更けた体育館に両チームの監督の声が聞こえる。

トルクメニスタンも決して弱くはないが、3人以上の人数をかけての連動したオフェンスは少なく、カウンターをケアして迫力のあるドリブルで突っかける1人目の対応を軽率に臨まなければ怖いチームではない。
トルクメニスタンの奮闘ももちろんあったが、素人目には驚異度の低い相手チームに個人でどうアピールするかというところにすみだの選手たちがフォーカスしてしまい、スコアが2-1から停滞してしまった感があった。

フットサルはチームスポーツだ。
 
それでもゴールやアシスト、出場時間というものは数字に残り、個人としての評価はプレー時間や出場頻度に応じて定量化され、選手は自分がよい選手であることを個人結果で証明しようとする。
監督としてはどの試合もチームの勝利が第一になるだろうが、出場機会を求める選手にとって相手の力量が劣ると確信してからの試合はとかくエゴとの戦いになりがちで、それがサテライトチームのトレーニングマッチであればなおさらだ。

力量の落ちる目先の相手に個人としてアピールすることではなく、今後自分たちよりも強いチームと対戦した時を考え、どうチームに貢献するか。
そういうことの繰り返しが個人として、チームとして成長するために必要であり、良い選手と判断をされる基礎であり、どの監督も選手に求めていることだ。

細部は異なるが、ユーモアとペーソスが利いた比喩や諭すような言い廻しを随所に挟む須賀監督の秀逸な指示が体育館に響き、フットサルとも人生訓とも取れる言葉を真剣に聞くすみだの若者たちの表情が非常に印象的だった。

後半はそんな激が利いたのか開始早々から右からのキックイン→中央→左ファーへ早いパスを続けてのプッシュ、左→右→左と3人でのパス交換で一気に運んでのシュート、前プレでボールを奪い、ケアに来たゴレイロの頭上を抜くループと複数人が絡んだ一気の攻めでトルクメニスタンを5-1と突き放す。
トルクメニスタンも3v2のカウンターで1点を返すものの、前プレとキビキビとしたトランジション攻撃に終始受けに回り5-2という点差で試合は終わった。

昨日対戦した堅守のリガーレ東京に続き、今日は攻守に先手を取って相手を制するすみだとの対戦だったが、キャラクターの異なるハイレベルなチームとの対戦はよい経験になっただろうし、徐々に日本のフットサルというものを掴んできたのではないだろうか。

3日後の11/26(土)は関東1部のファイルフォックス府中との対戦だ。
 
プレス&カウンターもあり、フロアに人を広く配置してから縦パスを機に一気にラッシュする定位置攻撃も強力。
セットプレーやパワープレーにも見る物が多く、引き出し豊富なフットサルらしいフットサルをするチームを相手にどんな試合になるのかが非常に楽しみになった。

※続きます 2016/11/26(土) 国際親善試合 MFP味の素スタジアム 『ウサギとカメ』

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1,700人が来場したアリーナで試合を見つめるトルクメニスタンスタッフ。

クロモトのプレーエリアの広さと神がかったストップ。
仁部屋のドリブルとディドゥダのシュート力や早くて強いパスの精度。
ヴィニシウス、森岡の抜け目のなさ。
アルトゥールの試合を制する万能感・・・。

試合内容と会場の雰囲気。
彼らの率直な感想はどうだったのだろうか。
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日本の古刹、府中総合体育館に黎明期~発展期を支えた指導者たちが終結。
教え子たちが2020年、2024年のAFCでワールドカップの出場権を巡って再会という流れも大いにありそう。
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