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Futsal Philosophy (フットサル・フィロソフィー)

30 12月

救急救命について『できない、という恐怖』

お昼に郵便物の受取にゆうゆう窓口がある郵便局へ。
年末営業で土日にもかかわらず郵便局も通常営業中。

郵便物の受取はゆうゆう窓口でということで並んで待つ。
前には窓口で局員の方と話している女性の方と、30代後半の男性が並んでいて自分は3番目。
順番待ちをしていると前の男性が列から離れ郵便局のほうへ向かう。

『前の女性が時間かかってるから年賀状でも見に行くのかなー』

と思って男性を見ると男性と一瞬目が合った。
すると男性が棒が倒れるように気をつけの体制で真後に倒れた。

男性はピクリとも動かない。
床に横たわる顔を覗き込むと、目は開いているものの黒目が深く、焦点はどこにも合っていない。
倒れた時に頭を打っているので安静にしておくのがベストなのはわかる。
ただ、その先に何をすればいいかがわからない。

無事かどうか呼びかけるべきなのか。
体制は仰向けのままでいいのか。
心臓マッサージ&人工呼吸をすべきなのか(正確なやり方はわからない)。
AEDを使うべきなのか(建物内にあるのかはわからず、あったとしても使い方はわからない)。

一瞬なのか長時間なのかわからない、パニック時特有の濃い時間の中で自分なりにできることを考えた。
郵便局のカウンターに向かって、人が倒れたことと、救急車を呼んでくれるよう叫んだ。とにかく叫んだ。
考えた結果、自分にできることはそれしかなかった・・・。

事象発生時に自分が一番そばにいた。倒れる前にも目が合った。
いよいよ深刻な事態になった場合はなんとも後味が悪い。
『この中にお医者様はいらっしゃいませんか?』
と自分が祈る日が来るとは思わなかった・・・。

すると、ゆうゆう窓口の横にあるATMに並んでいた私と同年齢程の男性が、おもむろに倒れた男性の介抱を始めた。

意識があるかを呼びかけ、男性が意識を取り戻す。
名前の確認、過去にも倒れたことがあるか、朝食を取ったかなどゆっくりと問いかける。
体制を仰臥から、横臥にし、自分が掛けていたショルダーバックを枕に代用し、頭を床と水平に保つ。

局員の方も現場に集まり、倒れてから5分程度で救急車も到着。
ストレッチャーに乗るころには倒れた男性の意識もしっかりし、介抱をした男性に感謝の言葉を述べ車中の人となった。
介抱した男性は局員、救急隊員からも感謝の言葉をもらう。
男性は照れくさそうにはにかんで、何事もなかったようにATMの順番待ちの列に並ぶ。
医療従事者か、応急処置の心得があったのかはわからないが、この人の的確な処置で男性は救われた。

危機に対し冷静に自分ができることを判断し的確に対処する。
この人は、仕事でもなく、日常の用事で訪れた郵便局でそれを実現した。
本当にすごいことだ。
ひょっとしたらご近所に住んでいるかもしれない、名前も名乗らず郵便局を後にしたローカルヒーローに感謝した。

18 11月

2012/11/18 フットサルワールドカップ2012 決勝 フアマークインドアスタジアム 『フットサルの神様』

2012/11/18 フットサルワールドカップ2012 決勝 フアマークインドアスタジアム
スペイン 2 - 3 ブラジル

2000年決勝。
2004年準決勝。
2008年決勝。
ワールドカップで3度激突し、勝利したチームがワールドカップを掲げているスペインとブラジル。
長年に渡って世界のフットサルをリードする両国が大方の予想通り2012年も決勝戦で激突した。

世界各国の観客でごった返す満員のフアマーク・インドアスタジアム。
ひとりのサポーターがブラジルのコールをすると、やがて大きな波になって会場に伝播していく。
これからスゴイことが始まるという感覚で胸が高鳴った。

試合はスペインの前プレ&ピボを置く作戦が奏功。
出足のいいプレスでブラジルのパスワークを寸断し、準決勝でオフェンスの起点になり続けたフェルナンダウは今日もピタリと前線でパスを収める。
モダンなフットサルを展開するスペインに対し、ひたすら凌ぐブラジル。
劣勢の前半終了間際に、ブラジルサポーターからこれまで出番の無かったフットサル界のトップスター、ファルカンの出場を促すコールがあがる。
顔色の悪くなる仲間たちを尻目に、アップスペースに佇むファルカンが不敵に微笑んだ気がした。

2012年ワールドカップ、最後のハーフタイム。

どこからか起こったウェーブが3回楕円形のアリーナを周る。
タイに来て9日間、日本、ポルトガル、ロシア、イタリア、コロンビア。そしてスペインとブラジル。
勝つことに貧欲で、フットサルが好きで、試合をとことん楽しむ。
各国にスタイルの違いはあれど、素晴らしいチームの熱い試合を観た。
あと1時間もかからず世界最強が決まる。
権利を持ってるのはスペインとブラジルだけ。
センチメンタルよりも、これがワールドカップなんだってとても嬉しい気持ちになった。

後半。
満を持してスタートからファルカンがフロアに立つ。
彼がピッチに入るだけで観客のボルテージが上がり、ブラジルの選手にも余裕が戻る。
前半やりたい放題だったスペインの選手にも緊張が走った。

ここから試合が動いていく。

後半24分。
コーナーからの単純な落としにネトが左足を振り抜きブラジル先制。
5分後、フリーキックの跳ね返りをトーラスが押し込んでスペインが同点に追いつき、その直後、左サイドからの単純なチョンドンでスペインが逆転。

後半10分までに生まれた3点はシュートのきっかけになるミスや、シュート時のブロックの遅れが招いたもので、ポルトガル対イタリア戦のリカルジーニョのようなファンタスティックなゴールではない。
どれも一般のワンデー大会でありそうなありふれたゴールだが、世界最高の一戦だからこそ細かいディティールのズレを突いたゴールしか決まらない。
満員の観客が見つめる中、世界一緻密なミスの潰し合いをすることで彼らは決勝戦を表現していた。

1点リードで逃げ切りを計るスペインに対し、ブラジルは残り5分からパワープレーを開始する。
ロシア、イタリアのパワープレーを跳ね返してきたスペイン。
さすがのブラジルも厳しいだろうと思った。

ブラジルの中核を成す77年組の苦悩を考える。

ベテランゆえ結果が出なければ、若手待望論がおこり、年齢による限界を囁かれる。
2000年、2004年大会から一線を支えてきた彼らは、他の代表を狙う選手だけでなく、これまで栄光を勝ち取ってきたキャリアベストの自分との競争をも常に強いられている。
想像もできないほど孤独な戦いを続ける彼らのプレッシャーはどれくらいのものだろう。
だが、それでも彼らは勝ち続けてきた。
その事実が彼らの今を支えているはずで、4年間の物語を締めくくる5分間という刹那に彼らはそれを証明しようとしている。

スペインのフィールドプレーヤー4人を楕円に囲み、ブラジルが外郭でパスを回す。
オーソドックスなパワープレーでは、外側で相手のマークのズレが出るまでパスを回し、コーナーに配置した選手へのパスをスイッチに、逆サイドから中央への飛び込みや、戻してのシュートでフィニッシュを作るのがセオリーだ。

パワープレーをはじめて間もなく、第2PK外やや右にポジションを取るファルカンに左サイドからパスが入る。

77年生まれの1人、フットサルの神様と言われるファルカンも35歳。
おそらく最後のワールドカップになる今大会、初戦の日本戦で負傷退場し、ビハインドを背負った準々決勝のアルゼンチン戦で復帰すると起死回生のプレイを見せ、ブラジルの窮地を救う。
常に自信たっぷりに厚みのある体躯を反らすファルカンだが、ドラマチックな復活劇で王国の窮地を救ったアルゼンチン戦での彼の目には、普段の彼からは想像できない涙が浮かんでいた。

左足裏でボールを支配する。
相手にマークのズレはなく、スペースの開いている右サイドに振るのかと誰もが思った瞬間、そのまま左足を一閃。
アリーナにいる全ての人を欺いたファルカンのミドルシュートがスペインゴールに突き刺さった。

大きく揺れるスタンドに向かってゆっくりと歩き、自信たっぷりに両手を広げて喝采を要求し、その後、手を合わせて頭を下げるタイの伝統的な挨拶『ワイ』のポーズで応えるファルカン。

そこにいることが説得力になるスーパースターの存在感。
味方を鼓舞し、相手を挫き、観客を熱狂させる得体のしれない人間の凄さに心が震えた。

ざわめきの余韻を残したまま試合は延長戦へ。

延長でも世界一緻密なミスの潰し合いが続き、2-2のまま延長後半終了まで残り20秒。

このままPK戦という雰囲気の中、左サイドでネトがボールを持ち、この試合終始やり合ってきたフェルナンダウとマッチアップ。
ネトが左足アウトでパラレラのような形でボールを浮かしてライン際ギリギリでフェルナンダウと入れ替わり、余勢を駆ってそのまま左足を振り抜くと、ボールはファンホの脇を抜けポストを経由してゴールに突き刺さった。

ネトはブラジルが優勝した2008年大会ではメンバーから外れ、2004年大会ではスペインとの準決勝でPKを外し苦杯を舐めている。
単純な縦突破からのシュートかもしれないが、フットサルに必要なスピード、リズム、パワー、そしてここ1番で決めるメンタルが詰まった8年間の想いのあるゴールだった。

残り19秒。
スペインもキャプテンのキケがもう一度ゲームに集中するよう、必死にチームメイトを鼓舞する。
そのキケをゴレイロとして、たった19秒間のパワープレーで2本のシュートを放ち必死に追い上げるものの、濃厚な余韻を残して決勝戦は終わった。

スタジアムを駆け回るブラジル。
それを呆然と眺めるスペイン。

喜びも失望も決勝戦が一番大きいことを敗者の涙が教えてくれていて、選手もファンもフットサルが好きでここにいる。

悔しくて泣いたウクライナ戦。
好きの説得力を教えてくれたリカルジーニョ。
白熊みたいなロシアの大応援団。
清々しいまでに自分たちのスタイルを貫いたコロンビア。
そのコロンビアを一緒に応援したタイのオッサン。
存在に畏怖すら感じたファルカン。

観戦した決勝トーナメントの12試合、メッセージのない試合はなく、世界中の選手やファン、彼らから感じたのは強烈に何かを好きであることが放つ熱量の偉大さだ。

ワールドカップ決勝トーナメントを追いかけた9泊10日が終わる。
ネトが高らかにトロフィーを掲げる姿が強烈に眩しかった。
 
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場内の様子をパノラマで。
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試合前の会場の観客席。
ブラジルサポーターが目立っていました。
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試合前のウォーミングアップ
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両国の入場。
中央に置かれているのはワールドカップのトロフィー。
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準優勝に終わったスペイン
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表彰後、アリーナを一周するブラジル
18 11月

2012/11/18 フットサルワールドカップ2012 3位決定戦 フアマークインドアスタジアム 『溜息』

2012/11/18 フットサルワールドカップ2012 3位決定戦 フアマークインドアスタジアム 
3位決定戦 イタリア 3 - 0 コロンビア

大会前はノーマークながら、試合を重ねるにつれ独自のスタイルで観客の喝采を集めるコロンビア。

ワールドカップ最後になった彼らのステージ。
ウォーミングアップに会場人気抜群のニューアイドルが登場すると、強豪国のイタリアを差し置いてスタンドからは一斉に好意的な歓声があがる。
昨日、一緒に試合を見たタイのオッサンもどこかで見ているだろうか。
ドヤ顔を浮かべて誰よりも大きな歓声を彼らに送っている姿がなんとなく想像できて少し笑ってしまった。

試合は意固地なまでにテクニックに拘り、目の前の相手を個人技で剥がそうとするコロンビアと、プレス、ショートカウンター、ポゼッションと平均点の高いコンサバティブなイタリアというお互いの哲学を見せ合う展開で0-0のまま後半へ。

後半7分。
コーナーキックからしゃくった浮き玉を第2PK外からダイレクトボレーで突き刺してイタリアが先制。
エラシコやバックヒールなど魅せるプレイをテクニックと呼びがちだが、正確にボールの中心をミートする基礎技術の高さを雄弁に語るテクニカルなファインゴール。
コロンビアに魅了されていた観客も、見ていて気持ちいいファインシュートに拍手を送った。

それでもコロンビアは変わらない。
ファルカンフェイントで揺さぶり、エラシコで仕掛け、バックヒールでピヴォ当てを通す。

一昨日叶えられなかったジャイアントキリングの期待が高まるも、後半11分にイタリアがコロンビアのフィールドプレイヤーとゴレイロの間に絶妙のロブを落とす。
これまでビックセーブを連発していたコロンビアのゴレイロがペナルティエリア外で手を使ってこれを阻止し、1発レッドで退場となった。

見映えのいい10番(アンジェロット)、9番(レジェス)、8番(アブリル)に目が行きがちだけれど、影でチームを支えた選手が誰かというのを観客はきちんと理解していて、顔を覆い、ピッチに座り込むゴレイロの顔がビジョンに映されると暖かい拍手が会場から沸く。
退場になった選手は観客席から試合を観戦することになるが、フロアから観客席に現れたゴレイロに歓声が沸き、ワールドカップの3位決定戦の舞台で決定機を阻止したゴレイロにはブーイングはまったくなく、楕円形のスタンドには彼の歩幅に合わせて拍手のトンネルができ、彼はその中を歩くことになった。

ゴレイロ退場によるペナルティキリングの数的有利をキッチリ決めてイタリアが追加点を上げ、2点を追うコロンビアもブラジル戦と同じくパワープレーではなくFP4人で果敢に攻めるも、最後は疲労からイタリアに追加点を奪われ、3-0で彼らの最終公演は幕を閉じた。

自分達のスタイルを貫き、かつ結果を残すことは難かしく、結果を一番に考えるなら今成功しているものの真似をするのが一番簡単なはずだ。
ひたすら1対1に拘り、ある種時代遅れなスタイルを貫き通したコロンビアは、3勝4敗で負け越しながら第4位という少々不思議な結果でワールドカップを終えた。

88年生まれが中心となり魅力的なフットサルを魅せつけ、歓声と笑顔と最後は溜息まで起こさせた彼らの未来は明るい。
勝利をあげる試合を見れなかったのが残念だが、負けっぷりも清々しく、勝敗を越えてフットサルという競技の面白さを雄弁に語ってくれる選手たちを拍手で見送った。

有名選手に頼らなくても競技力だけで起こせる熱がある。
素晴らしいものであれば誰かに伝えたいとみんなが思うはずで、感動はきっと伝染していく。

ファンはわがままだ。
日本にはいない、競技力を熱に、感動に変えられるアイドル達に大いに嫉妬してしまった。
 
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大会最終日の3位決定戦と決勝戦。
アリーナ周辺も観客が増え、国際色豊かです。
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カントリーカラーのアフロのかつらをかぶるコロンビアサポーターと、ダンディなミドルが揃ったイタリアのサポーター
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試合前
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試合後、敗れたコロンビアは観客の喝采に応え、勝利したイタリアは試合後に円陣を組み4年後への決意を新たにしています。
 
16 11月

2012/11/16 フットサルワールドカップ2012 準決勝 フアマークインドアスタジアム 『アイドルとマニア』

2012/11/16 フットサルワールドカップ2012 準決勝 フアマークインドアスタジアム
ブラジル 3 - 1 コロンビア 

アルゼンチンにリードを許す苦しい展開になった準々決勝。
王国ブラジルの窮地を救ったのは予選ラウンドの日本戦での負傷から復活した、フットサル界のアイドル、ファルカン。
タイに入ってから7日間。初めて目にするワールドカップでのブラジルの試合と、ストーリーのあるヒーローの復活に期待は大きく高まった。

今まではフットサルを見てそこまで感情的になることはなかったけれど、旅の恥はなんとやらもあり、仕掛けで抜け出せば吠え、そっちに出すかという好プレイに合わせて叫び、ゴールが決まれば絶叫と、ワールドカップというお祭りをそれなりのお祭り気分で楽しませてもらっている。
準決勝まで進出したとはいえ、格下のコロンビアが相手ならきっとそんなシーンが沢山見れるんだろうと思いながら準決勝の2試合目を待った。 

準決勝ということもあり、少々日本人が増えたスタンド。
それでもいつもどおり現地の人、欧州、南米の方々とごった煮の席の間に腰を掛けると、隣に座っていたタイのオジサンが英語と現地語で熱っぽく話しかけてきた。

『俺は前戦のコロンビア対ウクライナを観た。コロンビアの10番(アンジェロット)、9番(レジェス)、8番(アブリル)のテクニックは最高だ。俺は今日、コロンビアが勝つと思ってる。アップをよく見ときな』
『一昨日、ファルカンがそばの席に座ってたんで、今着ている大会のTシャツにサインもらったぜ』
『タイ人の観客は静かすぎてつまらねえよ。ブラジル、コロンビアの観客のバカ騒ぎを見ろよ。一昨日は俺もヤツらと一緒に大合唱してやったぜ』

自分が大切にしている存在の価値を、他人のフィルターを通して知りたい、語りたい。
マニアが1番欲しいものは、自分がどれくらいマニアかを判断できる自分以外のマニアかもしれない。
そういう思いは多分万国共通でひとりでフットサルを見に来た自分にこの人がマニアの匂いを感じてくれたのならそれはそれで嬉しいし、タイでのとても粋な出会いに感謝だ。

試合は開始1分でブラジルが先制しオッサンが肩をすくめて苦笑を浮かべるも、その後はゴレイロがスーパーセーブを連発し、追加点を許さない。
ブラジル、スペイン、ロシアなど強豪国は開始5分の圧力が毎度半端じゃない。
ここで一気に2、3点を挙げ、相手の戦意を挫くのが彼らのセオリーだけど、この時間をしのげば徐々に目と体が慣れてくる。

ゴレイロを中心にしのぐコロンビア。
時間が進むにしたがって10、9、8番がファルカンフェイント、エラシコを使ってのドリブル&カットイン、軸足裏からしゃくって浮き玉でのピボ当てなど魔法のようなプレイを発揮し出す。

10、9、8番のテクニックは最高だというオッサンの言葉は嘘じゃなかった。
会場の雰囲気もコイツらやるじゃん、となったところでカウンターからゴレイロとの1対1をズバッと決めてコロンビアが同点に追いつくとスタンドが揺れて、自分は叫び、オッサンはドヤ顔でなにかを吠えた。

会場の歓声に負けないようにこれがワールドカップだよね、って大声で言ったら『だろー』って感じでオッサンが頷く。
名前もわからないし、言っていることもひょっとしたら自分の感じ方と違うかもしれない。
それでもこの人とこの試合を一緒に観れたことがとても嬉しい。

1-1のまま前半が終了し、ブラジルは後半開始からフットサル界のトップアイドル、ファルカンが登場。

ファルカンを含め77年生まれがチームの主力を担うブラジルは今回でこのグループの世代交代は免れない。
前述の10、9、8番を含め大半が88年生まれで構成するコロンビアは次回大会がピークだろう。
コロンビアの3人がこれから選手としてどんなキャリアを積むかはわからない。
ただ、大成するなら間違いなくこの大会がブレイクポイントになるはずで、フットサル黎明期を駆け抜けたトップアイドルが身をもって示す次の世代への薫陶に胸が躍った。

ファルカンがヒールリフト、ファルカンフェイントからのカットインを出せば、コロンビアも本家の前でファルカンフェイントをやり返す。
ずっと見ていたいアイドル同士の意地の張り合いは、脇を固める助演陣が相手のミスをキッチリ得点に繋げてブラジルが3-1のリードで終盤へ。

フットサルの定石に反し、ビハインドの終盤でもパワープレーを行わず4対4での勝負を挑むコロンビア。
ブラジル相手に自分達のスタイルにこだわるテクニシャン達が妙技を振るい、お株を奪われた感のあるブラジルも百戦錬磨のベテラン達が必死で体を張る。

スタジアムに満ちるワクワク感。

きっとコロンビアの選手もファルカンが大好きで真似して育ってきたんだろう。
アイドルに憧れ、アイドルの真似をして、次のアイドルが育つ。
そんな積み重ねが歴史になり、ジャンルに深みを与えていく。
タマゴ達が次代を予感させる煌めきを放つものの、元祖アイドルの壁は崩せず、そのまま3-1で試合終了。

ブラジル相手に堂々とした戦いを挑んだコロンビア。
観客はいいものを見れたって満足感で瞳がキラキラしてて、コロンビアの選手もやりきった清々しい顔をしているし、ブラジルの選手もなんだか嬉しそうだ。

大きな歓声と拍手がアリーナを包む素晴らしいカーテンコールに合わせて、これがワールドカップだよねってオッサンにもう一度声をかける。
やっぱり『だろー』って感じだった。

今日の試合に言葉はいらない。
満面の笑みを浮かべるタイと日本のマニアの感想は『大満足』で一致した。

決勝はスペイン対ブラジルで3位決定戦はイタリア対コロンビア。
消化試合に終わりがちの3位決定戦も俄然楽しみになってきた。

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スペイン、イタリアのサポーター席に座るブラジルのサポーター。
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そこに試合を終えたイタリアとスペインの選手がサポーターへ感謝の挨拶に訪れる。
周りの観客がどっと集まり、カメラを構える。
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6~7割程度の客入りとなった会場。
準々決勝あたりから観客が目に見えて増えました。
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ブラジルとコロンビアの国家斉唱。
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試合後の両国。
敗れたコロンビアにも喝采が送られ、選手達もいい笑顔で手を振りました。 
16 11月

2012/11/16 フットサルワールドカップ2012 準決勝 フアマークインドアスタジアム 『世界最高の基礎技術』

2012/11/16 フットサルワールドカップ2012 ベスト16ラウンド フアマークインドアスタジアム
イタリア 1 - 4 スペイン

バンコクの中心部から20分ほど電車で移動し、そこから幹線道路沿いの埃っぽい田舎道を40分ほど歩く。
スマートフォンの地図アプリで迷いながら歩いたこの道を往復するのもあと1回だと思うと少し寂しくなった。

スペインのウォーミングアップ。
ふと昨日3-2で退けたロシアを思い出す。
 
ロシアはフィジカルの強さでシュートを撃ち、スペインは上半身をしならせてミートポイントに力を移すような撃ち方をしている。
正解を当てはめるのではなく、各自に合った最適解を探し、それを信じてやり抜く。
強豪国でもプレイに対するアプローチに違いがあり、どちらも結果を出しているというのが面白い。
強くなるためにすべきことはとてもシンプルだ。

2大会前、2004年に台湾で行われたフットサルワールドカップの決勝と同一カード(2-1でスペイン勝利)。
隣国としてお互いのサポーターが仲良く応援するフェアな雰囲気の中、試合はスペインが先制。
その後、ボールを回して時間を殺しつつ、省エネ勝ち抜けを計るも、イタリアが素早いゴレイロスローから抜け出して同点に追いつく。
 
オンプレー時の切り替えは早いものの、アウトオブプレーの際にウオッチしてしまう癖のあるスペイン。
3-2で勝利した準々決勝のロシア戦でもコーナーキックから先制されており、数少ないスペインの弱点を突いたイタリアはやはり強かだ。

ロシア戦と同じく、欧州王者のスペインが気落ちする様子もなく静かに燃えるように反撃。
ピヴォ当て、クアトロ、彼ら特有の高練度のムーブで綺麗に崩してからしかシュートを撃たなかったのが、右サイドでアイソレーションを作ったアラがスピードで縦に仕掛け、半身抜け出た体制から強シュートをニアに撃ち込む。
このシュートをゴレイロが弾いたところを中で詰めていたアレマオが泥臭く押し込んでスペインが逆転。

フロアに星座を描くような美しいフィニッシュ。
毛筆で殴り書くような強引なプッシュ。
どちらの点の取り方もできるのがスペインの懐の深さだ。

これまで冷静に試合をドミネイトしてきた大人なスペインがギアを一段上げて粘るイタリアを振り切りにかかる。
好ポジションを取ったフェルナンダウがゴレイロスローをピタリと収めてファーへシュートパス。これを押し込んでスペインがダメ押しの3点目。
2点のビハインドとなりイタリアが昨日ポルトガルに追いついたパワープレーを開始するも、強豪ゆえパワープレーをやられ慣れてるスペインがキッチリ跳ね返して4-1でタイムアップ。

スペインはフェルナンダウ、トーラスをピボに置き、後ろの3人で回しながら機を見てピボ当てというフットサルの基本のキの攻め方が素晴らしかった。
民間オープン大会後の居酒屋での祝勝会のような感想だが、世界一のチームは教本通りのプレイの練度がとにかく高く、誰もができるはずのやり方で、誰も止められない勝ち方を続けている。

これでスペインは4大会連続の決勝進出。

もう一山の準決勝、コロンビア対ブラジルは軽くコロンビアを一蹴したブラジルが順当に上がってくるかと思いきや、世界は私が考えているほど狭くなく、自分が面白いと感じてワールドカップまで来てしまったフットサルは、私の想像以上に面白い出会いを用意してくれていた。

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準決勝。徐々に各国のサポーターも集まり出し、世界大会の様相を呈してきました。
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グッズ売り場も盛況。
売り切れ続出・・・、と思いきや公式マスコットのぬいぐるみは在庫多数のため投げ売られていました。
気の毒なので私も1体購入。
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スペイン(赤/手前)、イタリア(青/奥)のウォーミングアップ。
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仲良く応援するスペインとイタリアのサポーター。
他国ではサッカーの代表選手のネームのユニフォームを見につけているサポーターが多い中、スペインの女性サポーターはフットサルの代表選手のネームのついたユニフォームを着ています。
スペインでのフットサル人気の高さがわかるヒトコマ。
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国歌斉唱。記念撮影。
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前線でボールを収めるスペインのピヴォ、フェルナンダウ。
彼を起点としての攻めが目立ちました。
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スペイン、イタリアサポータの輪に加わるブラジルサポーター。
次の試合は王国ブラジル対ダークホースコロンビア
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