2015/5/3(日) Fリーグ 第1節 代々木第一体育館
バサジィ大分 5 - 2 シュライカー大阪
湘南ベルマーレ 1 - 8 バルドラール浦安
エスポラーダ北海道 2 - 1 デウソン神戸
2015年4月10日。開幕まであと3週間。
5月2日(土)、3日(日)に国立代々木競技場 第一体育館(東京都渋谷区)で開催するSuperSports XEBIO Fリーグ2015/2016 代々木セントラル第1節、ナオト・インティライミ氏をはじめとするアーティストのパフォーマンスの実施が決定しました。
合言葉は「音楽とフットボールで、世界をポジティブに」!!
突如Fリーグ公式HPに掲載されたニュース。
純粋にフットサルが好きで、フットサルの可能性を信じる私としては、選手、関係者がSNSでこの件を大きく取り上げ、持ち上げているのに違和感があったし、率直に言ってガッカリで非常に悔しかった。
一般層へ訴求するイベントで観客が増える⇒観客増で収入が増えて選手の待遇が良くなる
閉塞感打破の起爆剤として一般層へ訴求するキャストのブッキングなのはもちろんわかっているけれど、フットサルのトップリーグでフットサルを表現する立場なのであれば、試合の合間のイベントの宣伝よりも、試合中の自分を一番に見てほしいと言ってほしかった。
ナオト・インティライミこと中村直人。
柏レイソルの下部組織にも在籍経験があり、フットサル界の名選手達とも交友が深い。
第1試合終了後、MIFA.FCとして登場したエキシビジョンマッチでもお客さんではないパフォーマンスを披露し、彼を目当てに会場に訪れた女性ファンの黄色い声援を大いに集めた。
第2試合終了後、普段は見ない客層で埋まった代々木体育館の観客が待ち望んだこの人のライブ。
薄っぺらくフットボールアンド・ラブアンドピース、なんてことを喋ろうものならペットボトルでも投げ込んでやろうかと、口元を歪めて目をギラつかせた。
今年のFリーグの公式アンセムである『Brave』を歌いあげた後、彼は明るく朗らかに黄色い声援と、斜に構えるフットサルファンにストレートな声を届けた。
『Jリーグは知ってるけど、Fリーグは知らない。こんなに面白くて熱くなれるフットサルを一般の人が知らないのは悔しいですよね』
自分はフットサルの熱を知っている。
ただその熱はいわゆる『マス』に届いていないことも知っている。
マスに対して魅せる方法を知らず、2012年にキングカズこと三浦知良がフットサル日本代表として出場し、フットサルワールドカップで史上初の決勝トーナメントに進出した追い風も無為にしている。
メジャーになる可能性を信じているけれども殻を破れず、不器用にもがき続けた9年間がFリーグの歴史だ。
観客動員数も伸び悩み、大量にスポンサーが脱退した2014年。
歯がゆく届かない魅力も、現実として迫っている危機も彼は理解していた。
彼が来ることで普段Fリーグを見に来ない層がやって来る。
ただそれはフットサルだけでは観客が集められないことも証明している。
フットサルを理解している彼にとっては大きな自己矛盾であり、歌手として十分な成功を収めている彼には何の義務も責任もなく、コアファンから目の敵にされるリスクだけがある、リターンが薄く旨味のないチャレンジだ。
フットサルを理解している彼にとっては大きな自己矛盾であり、歌手として十分な成功を収めている彼には何の義務も責任もなく、コアファンから目の敵にされるリスクだけがある、リターンが薄く旨味のないチャレンジだ。
できないこともある自分を認め、現状を肯定したうえで、明日に期待し、壁を越えようとする人達を応援する。
どこかのマイナースポーツのトップリーグが9年間できていなかったことを連想するような、自分と同い年の35歳のオッサンが歌う人間賛歌に耳を傾ける。
自分を知ってほしい。
自分が好きなものを知ってほしい。
誰かが同じものを好きなことを知れることはどんなに心強く、嬉しいことなんだろう。
アッパーなチューンに合わせ無心になって手を叩き、タオルを振り回す。
色眼鏡で見ていたはずのパフォーマンスに心は踊り、気持ちはひとつだった。
『ライブは終わりますが、あともう1試合あります。
重要な予定がないならもう1試合見ていってほしいし、SNSでフットサルも結構面白かったって発信してもらえたら嬉しいです』
金に糸目をつけず、動員力を考えればAKBで十分だ。
ただ、これまでとこれからを考えれば、こんなに愛情のある人が来てくれたことに価値があるし、来てくれたことが心から嬉しい。
ありがとうだ。
素直に感謝しかない。
振り回していたタオルを握り締めて拍手と歓声を送る。
自分の、自分だけではない沢山の人の気持ちを代弁してくれたことが嬉しく、握り締めたタオルで周りに気づかれないように瞼を拭ってしまった。
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