2015/8/8(土) Fリーグ 第16節 町田市立総合体育館
ペスカドーラ町田 2 - 1 フウガドールすみだ

町田のホームとなった今シーズン2度目の対戦は前半12分にボラが懐の深さを活かしたキープからズバリと突き刺して町田が先制。
その3分後、すみだのコーナーキックから、この試合がFリーグ200試合出場となった町田のバンディエラ、滝田選手がどうしてこうなったな見事なヘディングシュートでのオウンゴールですみだが同点。

ハイテンションな点の取り合いになった前回のすみだのホーム戦から一転、この日は縦に急ぐのではなく幅を使い、押し上げつつマークの剥がしどころを探り合うミディアムテンポな試合になった。

町田の岡山監督とすみだの須賀監督。
ファウル数、スコア、試合の残り時間等、刻一刻と変化する状況に対するベンチワークに見ごたえのある詰め将棋のような一戦だった2年前のオーシャンカップを思い出す(浦安の指揮を岡山監督が取り、すみだは当時関東リーグ所属として対戦。結果は2-3ですみだが勝利)。

1st、2ndのセット分けはあるものの、1-1の鍔迫り合いがジリジリと続く後半は、2年前と同様、試合状況と直近のプレーに応じ、1枚ずつ選手を投入するなど局所修正、対面のギャップを突くメッセージ性のある選手起用にお互いのカラーが見える頭脳戦となった。

後半33分。
すみだ陣内で得た右サイドでのキックイン。
チョン・ドン(キッカーがセットしたボールを『チョン』と触って、後ろから走り込んだシューターが『ドン』と撃つキックインの定石戦術)で静岡学園出身のテクニシャン、後呂選手が豪快に蹴り込み、町田が2位、3位の直接対決を制した。

頭脳戦の帰結がチョン・ドンという古典戦術での勝ち越し点だったのが味気ないかもしれないが、ケガで出遅れた中で挙げた久々のゴールに喜ぶ後呂選手と、駆け寄る町田の選手達の笑顔がそれぞれのゴールの価値を物語っている。

昨シーズンのFリーグ昇格以来、ミドルシュートでの失点が目立つすみだ。

前述の場面では後呂選手に対しての間合いと立ち位置がよくない印象があったが、キックインはキッカーを含めた2対1のディフェンスでの駆け引きがまずあり、そこにチョン・ドンというシュートがある。
基本的にフィールドプレーヤーはシューターとゴールの直線距離に立ち、ゴレイロはニアを閉めるだが、相手がそれをさせない、あるいはそうなってもその上を行く工夫や個人能力があるのだろう。

・間合いを詰める
・利き足側のシュートコースを切る
・片膝を曲げて面を作る
・両膝を閉じて股を抜かれないようにする
・スライディングで下のコースを消す

一言にシュートへのディフェンスと言っても状況に応じて沢山のアクションがあるが、相手のプレイの選択肢にシュートがあることを認識することからすべてが始まる。

新鋭の清水選手、青山選手という2人のピヴォが育ち(今日の試合はチームのエースピヴォ、太見選手がメンバー外)、今期加入の稲葉選手、西谷選手の経験を活かした遅攻の幅もある。
ここにミドルシュートでの失点数が減ってくれば勝ち点を失う試合も少なくなってくるはずだ。

レベルの高い試合が続いた今シーズンで久々に見たシンプルなチョン・ドンでのゴール。

キッカーに1名割かれるためフィールド内にいる選手が3対4となり、攻撃側が1名少なくなるセットプレー。
直接狙う以外はマーカーを剥がす何らかのデザインが必要となるが、流れの中でのタッチアウトから始まるキックインは相手の壁が直近のディフェンスを行った1枚になることが多く、攻撃側がチョン・ドンorキックインを行ったキッカーを活かしての2対1という仕掛けが容易な、ありふれているもののバリエーションが豊富で掘り下げ甲斐のあるセットプレーだ。

膠着打開の手段として即効性があり、2対1からの派生型も多くあるこの戦術。
監督、コーチ、選手が意思統一し4人が有機的に動く戦術が試合の根幹だが、キックインなどの局地戦は各自のフットサルへの価値観、理解度が見て取れて非常に面白い。

古典戦術として半ば飽きられ、繰り返されると辟易とするチョン・ドンだが、長く生き残っているプレイには必ず理由があり、あえて今、このセットプレーをもう一度掘り下げ『7色のチョン・ドン』なんてものを使いこなすチームが現れたら逆に新鮮なのではと思ってしまった。

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先制点を挙げた町田No10ボラ選手。
 抜群のテクニックと人柄の良さも評判のFリーグのアイドル。
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期待の若手ではなく、すっかりメンバーに定着した感のある町田No13中井選手
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200試合出場の滝田選手への弾幕。タキタ日・・・、愛のある一言でいいと思います。
国民の祝日でお願いします!!
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試合前にゴールポストに祈りを捧げる町田No1イゴール選手
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町田岡山監督。浦安に引き続き、町田でも4人が連動する好チームを構築。
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収めて振り向いてのシュートが光ったすみだの若手ピヴォのNo13青山選手(右)。
シュート数は稲葉選手と並びチーム最多の5本。
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200試合出場の町田No8滝田選手。
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前半16分のタイムアウト。MCとチアが会場を盛り上げる。
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試合を作るすみだNo4諸江選手と、ハードなマークに定評のある町田No8滝田選手。
タイプの異なる両フィクソのマッチアップ。
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すみだのゴレイロNo1揚石選手
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攻守に活躍した町田の新旧スピードスター、No7金山選手とNo13中井選手。
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イゴールが上がってのパワープレー。
堂々とこの形を入れてくるところが町田の習熟度の高さ。
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