2015/9/19(土) Fリーグ 第20節 浦安市総合体育館 
バルドラール浦安 3 - 4 名古屋オーシャンズ

神戸、府中、湘南、北海道、大分を破り5連勝と波に乗る浦安は先週の北海道戦からエースピヴォの星選手が復帰。

今日の浦安は浦安らしいパスワークや相手のディフェンスの中に入っての組み立てを捨て、底から対角奥へのロングボールや、サイドに開いてボールを浮かしての縦突破(足元にボールが引っかからないのでカウンターの確率が減る)という名古屋の強烈な物量を外してシンプルに攻める。
 
守っては前からのプレスが活き、ゴレイロの篠田選手から底で受け取ったペドロコスタ選手が加藤選手の追い込みに迷ったところをかっさわれ、三木選手への先取点に繋がった。

ボックスの名古屋を相手に鋭い前プレでヘッドダウンを誘い、コースを限定させた縦パスを小宮山選手、荒牧選手が相手の前にサッと入って、いい形でのボール奪取を面白いように成功させる。
前節、2位の町田を6-2で一蹴した名古屋だったが、絶対王者らしからぬ玉際の淡白さ、出足の遅さが目立ち、あっさりと浦安に2点を献上しいいところなく前半は終わった。

AFCの疲労がぶり返したかのような名古屋を相手に、浦安は理想よりもコンディションの良さで勝負する。
後半早々に名古屋のディフェンスがウオッチした隙を見逃さず、星選手が強烈なシュートを突き刺して3-0。
これで試合は終わりかと思いきや、ボックスでのパスワークからフリーの選手を作っての攻めを得意とする名古屋が、フィジカルを活かしたダイヤでのピヴォ当てにシフトする。

森岡選手、シンビーニャ選手、酒井ラファエル選手が中央に構え、7月のオーシャンカップではコンサバティブなボールキープとバックパスを繰り返した元ブラジル代表のセルジーニョが長いストライドを活かしたドリブルで人が変わったようにサイドを切り裂く。
星選手の3点目からわずか1分後、シンビーニャ選手の落としを中村選手が決めて名古屋が1点を返すと、浦安は三木選手、加藤選手の小兵を中心とした前プレから、小宮山選手、荒牧選手、深津選手らのフィクソ勢にフィジカルの強い星選手、野村選手を加えて相手のピヴォ当てを受ける形にスイッチ。

浦安のカウンターを北原選手がファウルで潰し、しつこいマークに焦れた森岡選手がイラつき気味に吠える。
前半は機動力を活かしたオフェンスに沸き、後半は気合の入ったディフェンスで満員御礼1,653人を集めた浦安総合体育館は大いに盛り上がった。

時間が進むにつれてアップセットの期待が高まるものの、ミドルシュートをブロックして巻き上がったボールが手に触れたプレイをハンドと判定され、これを森岡選手がど真ん中に蹴り込み後半32分に3-2。

続く後半34分には、森岡選手が今日何度となくマッチアップを繰り返した小宮山選手を左にズラし、開いたシュートコースへ綺麗にシュートを通し同点に追いつくと、最後はピヴォ当てからペドロコスタ選手が蹴り込み、後半残り5分でようやく逆転した絶対王者が浦安のパワープレーを凌いで大熱戦をものにした。

前プレ。
カウンター。
ピヴォ当て。

なんだかんだでフットサルはこの3つが王道で絶対に防ぎようのないものだ。
PKを除く今日の6得点の内、浦安が前プレとカウンターで2つ、名古屋がピヴォ当てで3つゴールを挙げている。

今シーズン、フロア内では熱くなれる試合を標榜し、フロア外ではフットサルについてのキャッチーなPRを繰り広げるなど、印象的な活躍が目立つ浦安の米川監督。
たらればでしかないが、前半は早目に選手交代をしつつの前プレが機能していただけに、後半も引いて受けに回らず、プレスベースで自陣にボールを近づけず、名古屋にヘッドアップした状態でボールを持たせないことを主眼にしたディフェンスを継続できていればと、なんだかこちらが悔しくなってしまった。

残り14試合で2位との勝ち点差は16。

ここから本気で年間勝ち点1位を目指すチームはいないだろう。
それでも絶対王者相手に一泡を吹かせてやろうと選手がファンが一丸となって大いに盛り上がる。
その熱にほだされて自分もコブシを握り、喜び、ガッカリしていることに気がつく。

名古屋一強がリーグをつまらなくしているという声があるがそれは間違いだ。

アジアを2度制したハイレベルなクラブを相手にできる価値は非常に大きく、彼らが来ることで観客が集まり、選手は普段以上のパフォーマンスを発揮し、会場には熱が生まれる。

Fリーグ2年目の2008年10月25日。

代々木体育館で行われた名古屋対浦安は、当時の浦安を率いていたシト監督が操るマジックのようなパワープレーで試合終了間際に逆転し、未だ破られていない最多7,081人の観客が大喝采を送っている。
当時の自分は判官贔屓や、Fリーグ唯一のプロチームというだけの理不尽なヘイトで名古屋を見ていて、大喝采の裏にはそんな邪な感情も確かに存在し、私以外にもそんなファンは少なくなかったのではと思う。

9年目を迎えた2015年のFリーグ。

2007年、2008年は日本代表選手を多く揃える浦安。
2009年は復権に燃える藤井選手、マルキーニョス選手が牽引する町田。
2011年、2012年は精密なフットサルとイゴールがゴールに鍵をかけた大阪。
2013年は仁部屋選手、小曽戸選手、ディドゥダ選手らの大駒に、中村選手、田村選手らの小兵が脇を支えた大分。
2014年は木暮監督の下、ゴレイロの宮竹選手をそのまま上げてパワープレーに出る奇策を用いた大阪。

そんなそれぞれに個性的で、普段以上の力をぶつけてくるチームを名古屋は8年間跳ね返し続け、8年間勝ち続けている。

その名古屋に勝つ。

とても価値のあることだと思うし、そんなシンプルで骨の折れることを9年間続けている名古屋は心から尊敬に値する。

プレスライン設定の妙。
アクションディフェンスとリアクションディフェンスによるペースの変化。
そんなゲームの機微に見応えのあった熱戦は、最後の5分間を横綱相撲にまとめた名古屋が掴んだものの、試合後の彼らの心底嬉しそうな表情が今日の激闘を物語っていた。

名古屋に勝つ。
ただそのひとつのことが大きな価値になっているFリーグはとても魅力的なリーグだと思う。

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まだ本調子ではないものの、AFCでのピークアウトから徐々に復調しつつある日本代表のエースピヴォ、名古屋No9森岡選手のウォーミングアップ。
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試合開始前。
浦安総合体育館の大型ビジョンを活かしてのサポーターアピールタイム。
大阪のダンスにお客さんを巻き込んだりも類件ですが、お客さんイジリはどんどんやってほしいです。
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復帰後、ホーム初登場になったNo9星選手とNo19高橋選手
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1,653人の観客を集めた浦安総合体育館。
この後、観客席の後ろも立見客で一杯になります
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浦安No9星翔太選手のFリーグ100試合出場のセレモニー。
花束のプレゼンターは実弟である名古屋のNo5星龍太選手。
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今日も要所を抑えた活躍を見せた名古屋No14ペドロコスタ選手と、154cmと小柄ながら機動力を活かした繋ぎ、フィニッシュと名古屋で連携を高めるNo16中村選手。
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浦安No9星選手。名古屋No9森岡選手。
日本代表のエースピヴォ同士のマッチアップ。
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名古屋のゴレイロNo19篠田選手。
日本代表入りが期待されます。
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前プレでリズムを作り、先制点を挙げた浦安No16三木選手。
No4深津選手はフィジカルを活かしたドリブル、No5小宮山選手はパスコース予測から前に入ってのインターセプトが光りました
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森岡選手対小宮山選手。
同点ゴールの場面までは小宮山選手が抑えています。
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星選手対森岡選手。
星選手は3点目のゴールと合わせてディフェンスと攻撃の起点になるプレーでの貢献が大きかったです。
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フロアの空白地帯をプレーエリアに変える中村選手。
フィジカルに優れたゴリ押しを得意とする名古屋でプレーすることで、さらに賢いプレーヤーに変貌しつつあります。
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浦安No6荒牧選手対森岡選手。
小宮山選手、荒牧選手と森岡選手のエースとエースキラーのマッチアップは非常に見応えがありました。
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名古屋の気勢を削いで2-0で前半終了。
ハーフタイムのインタビューに応える米川監督。
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今年の10月のアジア大会、11月のワールドカップの告知を行うデフフットサル日本代表。
彼らについての記事はこちらで。
http://futsal-philosophy.blog.jp/archives/1039917547.html
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今後のホームゲームとホームゲームイベントの告知を行うスタジアムMCのバルドガール。
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後半の名古屋のスタートセット。
プレスを弱めて受けに回った浦安にNo11セルジーニョが足技で仕掛け、No10のシンビーニャがゴール前で存在感を放つ攻めで名古屋がペースを掴んでいきました。
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浦安のゴレイロ、日本代表でも活躍するNo12藤原選手。
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左右に揺さぶりをかけてパスを引き出す森岡選手と、前でのカットを狙う小宮山選手。
日本を代表するピヴォとフィクソのふたりがオン/オフザボールとも引き出しを全て開けてのマッチアップに見応えがありました
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ラフ気味に相手を止める場面が増えてきた名古屋のNo3北原選手。
チームバランスが悪いのか、自身のコンデイションか。
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名古屋の2点目森岡選手のPK
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3-4となる名古屋の勝ち越し点の場面。
苦しい試合で当たり前のように試合を決める36歳の大ベテラン、No14ペドロコスタ。
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試合終了後の両チームの挨拶。
会場からは熱戦の余韻の残った拍手が送られました。