2015/10/17(土) Fリーグ 第24節 浦安市総合体育館
バルドラール浦安 2 - 6 フウガドールすみだ

上位5チームに与えられるプレーオフの権利は1枠を首位独走の名古屋がガッチリ確保し、リーグ2順目半ばから残り4枠を巡って7チームが激しく凌ぎを削る展開になった。
※以下、23/33節を終えての順位。
()内が勝点、同勝点の場合は得失点差を優先。

名古屋(63)
町田(48)
大阪(41)
府中(41)
すみだ(41)
--------上位5位がプレーオフ圏内
大分(39)
北海道(38)
浦安(36)
湘南(19)
神戸(16)
仙台(10)
浜松(9)

下位に沈む湘南戦の完敗以降、2連勝のすみだ。
星選手の復帰に合わせて5連勝を飾るも、1強名古屋に破れ、中断をリードする町田、ブービーの仙台にドロー。
前節、最下位浜松に4年越しのホーム初白星のドラマをプレゼントと急激にピークアウトした感のある浦安。

残り10節で3チームをノックアウトするエリミネーションマッチは勝点で後塵を拝す浦安が気合の入ったプレスですみだを押し込む。
日本代表に定着した加藤選手がここ数試合のフラストレーションを払うように猛烈にプッシュしてすみだのボールロストを誘うと、目の肥えた浦安総合体育館のスタンドからは『わかっている』拍手が響いた。

そんな光景が続いた前半10分。
押し込んだ浦安が右サイド高い位置で得たキックインからのゴール前の混戦。
今期トップに昇格し、爽やかなルックスと好プレーで会場の視線を集める野村選手がすみだの選手を背負ってのキープから、ゴールの位置を視線に入れたバックヒールで冷静にゴール隅に転がして待望の先制点。
その3分後に後方でのパスミスを宮崎選手がキッチリ詰めてすみだが同点に追いつくも、浦安が激しいプレスをベースにアクションを仕掛ける展開で前半が終了した。

ハーフタイムでのスタジアムMCによるインタビュー。
4戦勝星がないのでホームの沢山のお客さんの前で絶対に勝ちたいと、今期試合以外でも印象的なプロモーションを多く取り組んだ米川監督が語ると、会場からはまた違った意味で『わかっている』拍手が響いた。

後半22分。
太見選手が相手のセットチェンジのミスマッチを突いた縦パスからの鋭い振り向きシュートと、右サイドからのセンタリングをヘディングというサッカーライクなゴールで立て続けに加点し1-3。

浦安が前がかりで攻める後半28分。
前節の大分戦で2ゴールしファーストセットに入った田口選手がルーズボールを拾ってのカウンター。
今日も損益分岐点を目敏く抑える西谷選手が後方から大きく回りこみながらボールを呼び込む。
ここまで無理目な仕掛けとシュートが目立った田口選手が並走するディフェンスの足を外して冷静に斜めのパスを通すと、西谷選手が教科書通りにボールを浮かしてプッシュして1-4とし、試合の大勢は決まった。

後半、1-3の展開で、浦安がカウンターを仕掛けてすみだが戻る際に相手のディフェンスにハンドがあったとして抗議し、その後、前線でボールを収めた太見選手に星選手が背後から猛烈にチャージしてイエローカードが提示される場面があった。

ファウルを受けた太見選手は審判、星選手とも目を合わさずにその場を早々に離れ、このプレイだけを見れば明白なファウルをした星選手と、ジャッチに不信感を持っていたであろう高橋選手が猛烈に抗議し、ベテランの小宮山選手が仲裁に入る。
調子が良い、悪い。リードしている、されているの妙といえばそれまでだが、浦安各選手の焦る時間ではない場面での温度差や、不必要なテンションの入れ込みが気になる一幕だった。

9年目のFリーグは実力のある選手が移籍することでのシャワー効果や、日本代表にも選出されたすみだの清水選手、湘南の植松選手など各チームの下部組織からそのままFリーグに参入という生え抜きの選手が登場することで、戦力が拮抗してきている。
 
リーグが混戦になるのは大歓迎だ。
 
プレーオフに賛否両論あるのは当然だが、優勝がほぼ決まったリーグを一部のコアファン以外が見に行こうとも思えないし、選手もやっていて楽しくないだろう。

1-4になってからの残り7分間のパワープレーでは1点を挙げるものの、2点を返され浦安は2-6と敗れる。
その1点を挙げた小宮山選手がフロアで、ベンチでしきりに諦めるな、と周囲にハッパをかけていたのが印象的だった。

全国選抜の三重や神奈川、全日本の東京予選という小規模な大会ながらトップカテゴリーもかくやという存在感を放った闘魂など、惹きつけられるチームには、チームを、観客を動かす感情がある。
これまでどこか淡白な印象のあったFリーグだが、奇跡的な混戦の継続で毎節興味の尽きない熱戦が続いている。
下位相手に勝点が計算できるかもわからず、近い順位の相手には負けられない。
戦力に明らかな差がある名古屋戦をどう切り抜けるかにも頭を悩ますだろう。

行為は絶対に褒められたことではないが、星選手のファウルと抗議を見て、純粋に勝ちたいのだろうし、現状を打開したいのだろうなと素直に胸を打つものがあった。
もちろん別の形でこういう生の感情を見せてほしいし、プレーオフなどの局地戦で度々起こってはいたものの、勝ちたいであったり、負けたくないであったりのごくあたりまえの感情の発露がここ数年のFリーグに欠けていたものだと思う。
 
直接対決が続くことを考えれば2連勝、2連敗で一気に順位が上下動する。
21節の町田戦以降、チームとして内に問題が発生している感を受ける浦安だが、試合中の小宮山選手の言葉のとおり、諦める必要はまったくない。
 
残り9節。
リーグが混戦になるのは大歓迎で、まだまだこの混戦を楽しませてほしい。

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ベンチ外もウォーミングアップに帯同し明るい性格でチームを鼓舞するすみだのアイドル、No3金川選手
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爽やかなルックスと好プレイで会場の視線を集める浦安No25野村選手
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ウォーミングアップを見つめる浦安の代表取締役、塩谷氏
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すみだはサブのゴレイロを外して、セットプレイでのオプションになる左利きの曽根選手を入れる大胆なメンバー構成
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浦安(赤)、すみだ(白)の円陣
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日本代表の常連、浦安のゴレイロNo12藤原選手。
同じくピヴォのNo9星選手
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浦安の闘将、No5小宮山選手。
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スピードを活かした激しいプレスで会場を沸かせた日本代表のアラ、No8加藤選手
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4点目のコンビプレーなど、同セットで出場し好連携を見せたすみだのNo10田口選手とNo14西谷選手。
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すみだのゴレイロNo21清家選手。
自陣のキックインの場面では、サイドに張り出して5人でボールを動かすプレス回避を披露。
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ハーフタイムのインタビューに答える、パンツの丈が非常に個性的な浦安米川監督。
後半からジャケットを脱いで指揮を執るすみだ須賀監督。
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すみだの2点目の場面。
セットチェンジ時に残った岩本選手とのマッチアップから、太見選手が反転シュートを決めます。
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すみだの気鋭のピヴォ、No13青山選手。
日本代表の星選手にも物怖じしない気持ちの強さ。
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ベンチでコミュニケーションを取る小宮山選手と高橋選手。
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左から中島選手、野村選手、深津選手。
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文中の太見選手への星選手のファウルの場面。
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終盤、戦況を見つめる浦安ベンチ
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試合後、トップ、サテライト、女子チーム総手でゴール、スポンサー看板、フットサル用に引いたフロアテープの撤去を撤収に入る浦安。
試合に向けて沢山の人の力が入っていることがわかる、好きなシーンのひとつです。