2015/11/3(火・祝) 第21回全日本フットサル選手権 東京都大会
◆準々決勝
BRB(東京都1部) 3 - 0 闘魂(東京都オープンリーグ)
十条FC(東京都2部) 0 - 9 ペスカドーラ町田アスピランチ(東京都1部)
◆3位決定戦
闘魂 4 - 1 十条FC
4チーム負け残り、1勝勝ち抜けのトーナメントで争われる全日本選手権東京都決勝大会プレーオフ。
9人で試合に臨んだ闘魂は開始から3カテゴリー上のBRBを相手に、開始早々から難波田選手をゴレイロに置いたパワープレーを仕掛け、長らく女子フットサル界を牽引してきた宇津木選手を起用するというトコトンエッジの効いた試合を見せた。
試合は前半を1-0で折り返し、ロースコアの接線に持ち込むも、後半17分に佐藤選手が3-0となるパワープレー返しを決める。
おそらく初戦に疲労を残さず、2戦目での勝ち抜けを狙っていたであろう闘魂。
カウンターの場面でも前に出ず、パワープレーでの遅攻で省エネに徹していた彼らだが、ここからの3分間、意地になって前から詰める姿を見せる。
結果的には質量ともに十分な12人を揃えたBRBが闘魂をシャットアウトしたものの、経験豊富なベテラン達が燃費計算だけではないギラついたものを見せる姿に私も思わず前のめりになった。
トーナメント別山の十条FCと町田アスピランチの対戦中、以前SNSで闘魂の記事をシェアしていただいたこともあり、難波田選手にご挨拶をさせていただいた。
40分間続けたパワープレーのことを指してつまらない試合をしてしまって申し訳ないという謝罪の言葉に始まり、2戦目は初戦にいなかった稲田選手、石渡選手が来るので狙いに行く、という話を聞き大いに高ぶった。
今日勝てば次は関東1部のゾット早稲田との対戦ですね、と高ぶった余勢を駆って問いかけると、なんとも闘将らしい言葉が返ってくきて、今日一日、私はこの言葉が頭の中で巡ることになる。
十条FCと町田アスピランチの対戦は7人の十条FCを12人の町田アスピランチが0-9と一蹴し、16時からの3位決定戦は闘魂と十条FCに決まり、インターバルとなった13時過ぎから15時までの間、持っていた本を読んで過ごしていると、それぞれの事情で一戦目を欠場した闘魂と十条FCのメンバーが徐々に集まりだす。
最終的に闘魂は12人(内ゴレイロ2人。宇津木選手は登録を外れる)、十条FCは9人(内ゴレイロ1人)での試合となり、試合は前半10分にハーフラインで相手のボールを奪った難波田選手が独走してのゴール&シャウト。
前半終了間際に稲田選手が右サイドの角度の無いところから豪快に反転ボレーを突き刺し、自陣第2PKあたりでルーズボールを拾うと、前に出ていた十条FCの頭上を抜く超ロングシュートを決め、闘魂が前半を3-0で折り返した。
後半5分。
不用意なファウルでのフリーキックを十条FCがクイックリスタートで沈めて3-1とすると、ここから闘魂がガクッと落ち込む。
若い十条FCがラインの間を利用した攻めで押し込むと、前に強いベテランが後ろ向きで相手を追うことが増え、4度全日本を制した難波田選手がベンチから激を送り、長くFリーグで活躍した一木選手が苛立ちの声を上げる泥仕合になり、前回、ドラマチックな逆転劇を演じた彼らは、今日は逃げ切りに腐心することになった。
ふと難波田選手の言葉を思い出す。
「俺たちのこの大会はいつ終わってもいい夢みたいなもの」
今日勝てば次は関東1部のゾット早稲田との対戦ですね、という私の問いかけにこう返し、その後、
「(競技レベルとして)価値のないものかもしれないけれど(3位決定戦も見てみてほしい)」
と続けた(カッコ内は私の解釈で行間を補完したもの)。
第1試合では長らく女子のトップカテゴリーで活躍した宇津木選手が試合に登場し、ゴレイロスロー見事に収めて起点になったかと思えば、サイドの攻防ではスライディング2連発で相手のシュートをブロックし会場の喝采をさらう。
腕に障害を持つ十条FCの屋宮選手は、肩と額を上手く使って背中で押してくるピヴォに対応する。
そんな姿を目にし、思い浮かべ、ふと自分にとっての夢とは何だろうと考える。
1ヶ月、2ヶ月先の締め切りや、年度目標の達成を目指すことはあっても、今自分に明確な夢というものはない。
誰かが言った目標とすり替えたものを夢とは言わないし、明確に思い続けなければ夢を意識することもなくなるのだろう。
夢中というものは特権だ。
いつ終わってもいい夢に夢中になり、その価値を自分自身で決めている彼らがとても羨ましくなった。
活きのいい十条FCの若者たちの食いつきに肝を冷やした闘魂は、一木選手、横山選手、稲田選手、難波田選手のセットで建て直しにかかる。
隅に選手を配して相手のプレスをいなし、最後は難波田選手の縦パスを横山選手が軸足裏を通すバックヒールでゴールに流し込んで4-1とすると闘魂ベンチは息を吹き返したように一気に盛り上がり、残り5分で再び3点差となった十条FCも意地の追い上げを見せるものの試合は4-1のまま終わった。
わかりやすい逆転劇ではなく、ハラハラする撤退戦という演目で今日も会場を沸かせた闘魂劇場。
今年の全日本選手権の関東予選は東京で行われるため、次の試合に勝てば関東予選進出が決まり、関東予選で3勝を上げれば全国大会出場が決まる。
さすがにそこまで夢が続くかはわからないが、いい夢ならわざわざ覚める必要もないだろう。
夢中というものは特権だ。
Fリーグで、日本代表で活躍したものの一線を退いた選手で構成された闘魂。
トップカテゴリーではあるものの、実業団でもプロリーグでもないマイナースポーツであるフットサルの引退の理由はきっと様々で、競技レベルの衰えというスポーツ界での一般的な理由よりも、経済面、モチベーション、生活の安定ということのほうが多いのではと思う。
一度はそれぞれの理由でケジメをつけたフットサルにもう一度向き合う彼らのフットサルへの想いはとてもフレッシュで、いい年のオッサンたちがそれぞれの立場でもう一度夢と向き合う姿を見るのはとても清々しい。
ステージを纏める難波田座長が発した言葉を思い出す。
夢のために頑張る姿はいつだって観客の心を打つものだ。
かつて『闘将』と呼ばれ、今はフットサル界の問題点を鋭くコメンテイトし『フットサル界のセルジオ越後』と呼ばれたりもする難波田選手。
今のフットサル界に閉塞感を感じている選手や関係者、物足りなさを感じているファンはぜひ彼と闘魂劇場を見に来てほしい。
そこには人を動かす感情があり、忘れてしまっているかもしれない熱を、夢を思い出させるものが確かにある。
※東京都決勝大会は11/28(土)葛飾スポーツセンターで開催されます。
※同大会準決勝の闘魂について
BRB(赤)対闘魂(白)
試合開始前の時間でゴレイロユニフォームを手に持ってゴレイロのアップをする、No10難波田選手。
ファイルフォックス、カフリンガで活躍したNo99佐藤選手。
見事なカットインシュートで先制点を挙げるも、自らのシュートのブロックが額を直撃し、退場した直江選手。
気の利いた繋ぎと仕掛けを見せたNo4中沢選手。
パワープレーでは主に左右の角に入り、折り返し、ファー詰めを狙ったNo6宇津木選手。
要所を見極めて攻守に光ったプレイを見せていました。
東京都選抜でも活躍した町田のNo5瀬戸選手と、No15宮崎選手
町田の横断幕のセンスは毎回お見事です
7人のメンバーで町田戦を戦った十条FC
文中に登場する十条FC、No12の屋宮選手。
スキルも高く、非常に印象に残る選手でした。
2戦目から登場の大阪、すみだで活躍したNo15一木選手と浦安等で活躍した11番稲田選手、No18平塚選手。
フィールドプレイヤーのユニフォームを着るNo10難波田選手。
守りの要、No5北選手。
本日の防球柵(?)
3-1となった後、リズムの建て直しに一度はパワープレーを選択するも、その後4人での展開をチョイス。
ここでの凌ぎ方が勝敗を分けました。
勝利後の闘魂ポーズ。
各メンバーの温度差が微笑ましいです
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