2015/11/14(土)・15(日) Fリーグ 第29・30節 浜松アリーナ
名古屋オーシャンズ 6 - 4 フウガドールすみだ
アグレミーナ浜松 0 - 2 府中アスレティックFC
名古屋オーシャンズ 4 - 2 府中アスレティックFC
アグレミーナ浜松 1 - 2 フウガドールすみだ

混戦のFリーグ。
残り5節のうちの2節を2連戦で一気に消化する29、30節。

浜松アリーナでは地元浜松が絶対王者名古屋と東海タッグを組み、すみだと府中の関東勢を迎え撃つ。

戦績は現在の順位を忠実に再現することになり、名古屋が2勝、浜松が2敗に終わったものの、浜松周辺のご当地グルメを集めたフードコートや、ゆるキャラ『出世大名家康君』が現れては会場の笑いを誘う。
試合では球際の強さで終盤まで勝敗の分からない好勝負を演じ、随所に王国静岡のフットサルチームの本気が垣間見える好興行だった。

1日目の試合終了後、浜松のユニフォームサプライヤーであるLuzの繋がりか、SNSや動画共有サイトで脅威的な再生数を見せるドリブルデザイナー岡部将和氏のドリブルクリニックが行われた。

◆Dribble Designer 岡部 将和 の公式チャンネル

上記リンクにもある通り、彼のクリニックの魅力は名ドリブラーである岡部氏が参加者を全員抜き去る『帰れま千』というコーナーだ。
 
おおよそ50人ほどの参加者が一列に並び、左サイドから岡部氏に1対1を挑む。

・左サイド外側を一気のスピードで抜いてのシュート
・晒しに食いついたところを股抜きで入れ替わってのフィニッシュ
・中央まで持ち込みムチのようなシュートフェイントで相手を躍らせ、寝かせてからのプッシュ
・相手が前に出る勢いを活かして背後を取るヒールリフト&ボレー

といった目の前で繰り広げられるいつか動画で見た光景に感嘆の声を上げる参加者たち。
 
取ってやろうと真剣な表情で対峙するものの、ゴールを奪われて悔しいよりも嬉しいが前面に出る笑顔を見て、平手打ちを食らわされておきながら『ありがとうございます!!』と感謝の言葉を返してしまうアントニオ猪木の闘魂ビンタを思い出した。

列が進み、自分の番が近づく。

居合いの達人のように参加者を片付けていく岡部氏の動きを無心で追い、一緒に並ぶ参加者の方とあーだこーだと攻略法を練る。
内容は恥ずかしいので割愛するものの、前に出ずに縦突破をケアしつつ、股抜きさせるか、させないかの勝負に持ち込むのが一番勝率が高そうかな、という結論に至った。

岡部氏と対峙する。

ボールとゴールを結んだ直線上に立ち、ヒールリフトの動作に気をつけつつ距離を詰める。

視線が読めず、間が重い。

中学、高校と超下手糞ながらにサッカー部に在籍していた記憶を辿る。
1対1に長けた相手は観察していることを感じさせないよう、間接視野で相手の動きを察知して仕掛けてきていたことを思い出した。

岡部氏が細かいタッチで外にボールを持ち出し、サイドラインまでボール2個分程度のところまでボールを運ぶ。
『詰まった、チャンスだ!!』と思い左足でカットを狙うも、小さく俊敏なバックステップでコート外へ体を引いた反動を利かしての股抜きであっさり料理をされ、20秒ほどのドキドキワクワクの時間は終わった。

ゴールに収まるボールを拾いながら、動きと晒しと仕掛けを反芻する。
こうしてたらどうだったろうなとか、いっそヒールリフトで抜かれるのも楽しかっただろうなとか考えたりしていると、自分も笑顔になっていることに気づく。

普通に考えればまず勝ち目のないマッチアップで、相手を研究し、勝ちたい、負けたとしても粘りたいと知恵を絞り、体を動かす。
たったひとつの1対1で喜んだり、ムカついたり、それでもそういうことをひっくるめて楽しかったり。
そんな時は自分にも確かにあったはずで、久しぶりに味わった一度きりの勝負の刹那感を存分に楽しまさせていただいた。
ファンと選手の距離が近いフットサルならではのイベントだが、ドリブルひとつでここまで悔しいとか楽しいとか思わせられる人物もそうそういないだろう。

一瞬で50名ほどの定員が埋まる岡部氏のクリニック。
参加者とのドリブル対決が目玉なのは間違いないが、参加した方、参加しようか考えている方には彼の言葉にもゼヒ注目してほしい。

ひとつの技術を突き詰めようとすればするほど、技術そのものではなく、取り組み方だったり、気づきの部分にフォーカスが向かうことはままある。
 
ドリブルの達人が語るドリブルへの向き合い方は非常に示唆や哲学に富んでいて、ドリブルを通して挑戦や継続することの大切さを語る岡部氏の言葉は彼の技術を説得力の背景としてとても力強く、なんだか感動してしまった。

岡部氏は『ドリブル』というひとつの技術を切り出し、フィーチャーしているが、フットサルという競技として語れるものや、学び、哲学もきっと沢山ある。
ただの勝敗や華やかさを超え、そこに気づいているファンは決して少なくないと思うが、惜しむらくは、そういった魅力を表現し、わかりやすく一般層に伝えられる人物や機会がなかなか現れないことだ。

奇跡的な混戦が続く9年目のFリーグ。
名古屋が優勝を決め、町田が上位5チームに与えられるプレーオフの権利を確定。
大阪とすみだがマジック1とし、最後の1枠を大分、府中、北海道、浦安が争う。

嬉しい悔しいのコントラストが鮮明なほど惹きつける力はあるはずで、こんな機会はそうそうないだろう。
それぞれの想いはあるだろうが、選手、スタッフ、関係者の方々はこの機会にぜひフットサルの魅力は何なのか、フットサルを通じて何を表現したいのかをゼヒ発信してみてほしい。

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エントランスの採光が印象的な浜松アリーナ。
観る、食べる、笑う、蹴ると、てんこ盛りで意欲的な興業でした。
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ホームゲームは小さいながらも毎節レポートが載る静岡新聞朝刊スポーツ欄。
スペースは小さいですが地元愛に詰まった良コンテンツです。
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浜松のゆるキャラ、出世大名家康君。
入場から前のめりな姿勢に本気度の高さが伺えました
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ホストチームの浜松。
2連敗という結果でしたが、すみだ戦で1-1に追いついた時の会場の盛り上がりは見事でした。
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不覚にも連続写真で収めてしまった浜松No17田中選手の髪を結ぶシーン。
独特のタッチのドリブルで会場を沸かせました。
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少年を対象にした、岡部氏のドリブルクリニックの一幕。
少年たちをその気にさせる巧みな話術と抜群のドリブルテクニック。
真剣に話を聞く、子供たちの表情が印象的でした。