2016/2/21(日) 東京都3部参入戦 1回戦 府中市総合体育館第2体育室
A.Cトルネード 1-2 デサフィーオ品川
リガーレ東京ロコス 2-4 府中AFCサテライトB
MCM 2-2 (PK2-3) ドリームフットサルクラブ
クリアソン 3-9 闘魂

例年、この時期に各地域、カテゴリーで実施される上位、下位リーグの参入、入替戦。
 
地域、カテゴリーによる特色はあるものの、大抵上位リーグ優位のレギュレーションであることが多く、府中市総合第2体育館で開催された東京都3部参入戦(東京都リーグ最下位から最下位から1つ上のカテゴリーへの参入戦)も、下部カテゴリー8チームのトーナメント→決勝に進んだ2チームが3部の下位チームと入替戦というレギュレーションになった。

分倍河原駅からのローカルバスに乗り、牧歌的な街並みを抜けて府中の森へ向かう。
普段府中アスレティクスが公式戦を行う第1体育館を覗くと、今年で40回を迎える府中市バトミントン大会がなかなかの盛り上がりで開催されており、不意な所から府中市の懐の深さを感じさせられてしまった。

参入戦の会場の第2体育館はゴールの片側のみに観客席があり、手前のゴールは見えない狭いアリーナだ。
170人が入るとされている観客席はなかなかの入りで、出場する8チームの関係者、身内の方々の前で繰り広げられた試合はどれも接戦で熱いものだった。

2-2とレベルの高い締まったシーソーゲームからPK戦にもつれたMCMとドリームの試合が終わり(結果はPK2-3でドリームが勝利)、最終試合の闘魂とクリアソンが登場する。
観客席には関東1部やFリーグで活躍する選手の姿も見られ、この試合の注目度の高さが伺えた。

強力なピボの稲田選手、守備をシメる北選手は不在だが、この日も守護神石渡選手、闘将難波田選手、攻守に奔走する会田選手が額面通りの活躍を見せ、ピボに入った横山選手も絶好調。

試合のしょっぱなから各自がベテランらしからぬ強烈なシュートの雨を降らせ、守っては異常な1対1の強さで若者たちの行く手を遮ってみせる。
クリアソンのキックイン、コーナーキックには「閉めろ!!(相手キッカーからゴールへの直線、あるいは対角へのパスをケアすること)」の激が飛び、前を抜けて中央に入ったボールは必死の形相で掻き出す。

全盛期を思わせる出色のパフォーマンスと覇気、狭いフロアとプレーイング12分(通常の公式戦では20分)というベテランには優しいレギュレーションを活かして一気に試合の主導権を掴み、気落ちして足が止まったクリアソンを攻め込んで闘魂が前半を5-1で折り返す。

後半、前と人に強い選手が揃う闘魂ディフェンスの角ではなく、線の位置でボールを受け、コンタクトを避けるよう修正してきたクリアソンが徐々に盛り返し、残り10分からパワープレーを開始。

このパワープレーが実に見事で、ピラミッドの形からゴールライン際に並んだ選手が底から中央に入る動き、底で釣っておいて対角に振っての崩しと、東京都3部入替戦には似つかわしくない精度と流動性を見せ、ボックスで守るもののプレスの位置が低く、底の選手のケアで後手に回った闘魂から、第2PKスポット横から対角の底へズバッと通しての折り返しを決めるという素晴らしい崩しを含む2得点をサクっと挙げ、一気に試合の形成は逆転した。

ネームバリューは圧倒的に闘魂だが、1年間マイナーリーグを戦ったクリアソンだって黙って負ける気はない。
前半の負債を一気に返そうと意気が上がる若者たちを相手に、百戦錬磨のベテランたちがどう修正するか。
闘魂がタイムアウトを取り、監督が動かすボードを集中して見つめる両チーム。
タイムアウトの1分間はあっという間に終わった。

歴戦の名選手を相手に失礼だが闘魂に名を連ねる面々を見ると、どうにも逃げ切りに弱く、気がついたら揉めだして試合終了後にはフロアに突っ伏したり、憮然とした表情で腰に手をあてている印象がある。

スコアは5-3。

試合の流れは残酷で一度勢いに乗ったら堰き止めることは容易ではないことは前半にクリアソンが証明していた。

試合が再開され、闘魂は前2枚のプレスの位置を修正し、後2枚は全体を見つつ底の選手の揺さ振りには必死に首を振って確認してアジャストする。
クリアソンもピラミッドから中央に人が入ってのクロスの形への変化を見せながら、闘魂の縦と横のギャップを見つけ、広げようとボールを動かし続ける。

空いたサイドへの早いパス回しと、プレス&ポジション修正。

タイムアウトから3分間ほどお互いが教科書通りのパワープレーとパワープレーディフェンスを愚直に繰り返す神経戦が続くも、混戦からボールを抑えたゴレイロの石渡選手が現役時代さほど印象にないパワープレー返しをこの試合でズバリと決めて6-3と突き放すと再び形成は逆転し、闘魂が1点ごとに気勢を上げながらのパワープレー返しで9-3まで点差が広がる。

このまま試合が終了すると、ベテランらしからぬハイテンションな試合展開を見せた闘魂がどっと沸き、この一戦に期すものがあったであろうクリアソンの若者たちが顔を伏せた。

2000年代のフットサル黎明期を駆け抜け、日本代表を、Fリーグを、ワールドカップを経験したベテランたちが東京都の3部参入に向けての1勝に喜び、相当に研究と練習に時間をついやしたであろう洗練したパワープレーで彼らを追い詰めたクリムソンが落胆する。
 
演者が誰であれ、カテゴリーがどこであれ、本気になっている人達の喜怒哀楽を見るのはとても気持ちがよく、気持ちのこもった両者の姿にとても感動させてもらった。

東京都3部参入戦は2月27日(土)、28(日)と府中市総合第2体育館で続く。
27日(土)はデサフィーオ品川と府中AFCサテライト、ドリームフットサルクラブと闘魂が対戦し、28(日)は各勝者とSorpresa edogawa、SPIGAが対戦する。
失礼ながら闘魂以外に知っているチーム、選手はまったくいないが、喜怒哀楽のこもった熱い試合になるのは間違いないだろう。

好きなことに一生懸命になるのに立場も年齢も関係ない。
そんな当たり前のことを当たり前と思うことがなかなか難しく、ストレートに熱くなり、表現できるものを持っている彼らがとても羨ましい。

実質プロリーグではなく、カテゴリーが上がるほどに生活とフットサルとの両立がついて回る日本の競技フットサル界。
それでも熱くなり、昇格を目指す理由は何か。
こういった試合を、今、色々な気持ちを抱えている人達にゼヒ見てほしい。
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分倍河原駅からのローカルバスに乗って牧歌的な雰囲気の府中の森へ。
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入口奥にあるアスレカラーの自動販売機とバトミントンの市民大会を開催中の第1体育館。
こういう光景のひとつひとつに府中の懐の深さを感じました。
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闘魂(白)とクリアソン(青)
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ファイルフォックスでの最後のシーズン以上に体が絞れている印象のあるゴレイロNo12石渡選手。
平然と相手シュートをブロックする姿は圧巻の一言。
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強シュートと覇気のあるプレーでゴールに迫ったNo10難波田選手。
ハイテンションでセットプレーを掻き出し、スライディングでシュートブロックして吠える姿に胸が熱くなる。
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昨年まですみだで活躍。
仕掛けとプレスをこなしたNo13荻窪選手。
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ディフェンスと繋ぎに奔走し、地元府中で出場時間を伸ばしたNo4中澤選手。
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抜群のボールキープとシュート、今風のSicKな足技で会場を沸かしたNo16横山選手。
前線で抜群の存在感でした。
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迫力満点のフロントラインを形成したNo3佐藤秀選手とNo9矢口選手。
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闘魂ディフェンスの指示の声が目立ったセットプレー。
勝負の際を見極める経験はさすが。
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前半のタイムアウト。
ボードを動かして修正を図るクリアソン。
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ハーフタイム。後半に向けてのゲームプランを練る闘魂。
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クリアソンのパワープレー。
写真右下のNo17の選手の外→中の動きが出色でした。
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中央に選手が入っての展開。
縦、横のギャップで裏を突いて一気に2点を上げたクリアソンのパワープレーはお見事。
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9-3になってから登場したNo2佐藤竜選手、No3佐藤秀選手、No9矢口選手、No14田代選手の圧力十分の重量級セット。後ろから追われるのは心理的に嫌でしょうね・・・。
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試合終了後の闘魂とクリアソン。
クリアソンは結果は残念だったもののこの試合の経験は間違いなく活きるはず。
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ひとしきり喜んだ後、闘魂はすぐさまミーティング。彼らの本気度が伺えます。
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全試合終了後の第2体育館。