2016/10/29(土) Fリーグ第16節 郷土の森府中市立総合体育館
府中アスレティックFC 2 - 0 フウガドールすみだ

府中近隣のラーメン屋が熱いらしい。

濃厚なラー油風呂が広がる坦々麺の名店『よっちゃん』スタイリッシュな内装に反してパンチの利いた辛みで額の脂汗を誘う『紅』焦がし黒醤油とブラックペッパーのコラボレーションが食欲を誘う同店のスピンオフ『紅 BLACK』などひとそれぞれに推しはあるだろうが、牛丼、ハンバーガーなどデフレが続く日本のファストフードで700~1,200円を要求してくるラーメンは異端の存在だ。

元々中国発祥の料理だが、醤油、塩、味噌といった日本の王道汁物文化と融合した後は、豚骨、海老、牡蠣、柚子、ベジポタなどの亜種が生まれ、2016年度版のミシュランではとうとう一つ星を獲得するラーメン店(Japanese Soba Noodles 蔦)が誕生した。

謙遜や自己批判、過度な衆人環視が目立つようになった印象があるが、日本には他国の文化を認め、いいものはいいいと模倣する度量があり、正統進化形であれ亜種であれそれを越える成果物を作る探究心や勤勉性がある。
 
日本のお家芸とも言える車や家電製品のバリエーションやクオリティもさることながら、前述のラーメン以外にも『てりやきバーガー』『明太子マヨネーズピザ』『あんかけスパゲティ』といった身近な食文化にもそれは根強く表れており、我々はそれをすでにあるものとして考えているが、他国の文化認め、理解し、日本流のケミストリーを起こせることは日本が誇るべき国民性のひとつだろう。


試合はすみだのお家芸の前プレの裏のスペースをカバーするために高めに陣取ったゴレイロの隙を見逃さず、前半9分に皆本選手が郷土の森に30メートル級の美しく大きな放物線を描いて府中が先制。

試合自体はプレスラインの低い府中をすみだが押す展開で、府中はカウンターと慣れない手つきで麺をリフトアップするようなぎこちない3-1のプレス回避にオフェンスの手がかりを探す。
前半10-12だったシュート数は後半は9-42という一方的な展開になるも、前がかりになったすみだのプレスを縦パスで回避して起点になった小山選手から目ざとく走り込んだ完山選手が冷静に決め、彼我戦力差から弱者の戦術を採った府中が作戦通りに2-0の完勝を収めた。

外郭からズラしてのスナイプショットを狙う西谷選手と諸江選手、コーナーキックからのボレーを狙う太見選手、とにかくガンガン撃つ清水選手と強力なシューターを揃えて54本のシュートを撃ったすみだを見事シャットアウトした府中の粘り強いディフェンスとゴレイロのクロモト選手のセービングショーが光った一戦だったが、すみだのシュートはゴレイロと正対してのものが多く、ゴレイロを外して1-0の状態や、ライン際をえぐる、角を取っての戻しなどの工夫に欠ける拙攻がまたイライラする一戦でもあった。
 
今回はメンバーから外れていたが『直』のキャラクターが多いすみだで『変』のリズムを持つボラがスパイシーな変化を加える薬味の役割になるのだろうが、パワープレーのクオリティが低い先行逃げ切り型のチームで優勝争いをするなら、自陣を固めてくる相手に先行された場合にどう取り返していくかは常につきまとう課題だろう。

今日の府中対すみだ戦は日本代表監督に決まったスペイン人のブルーノ・ガルシア監督が視察に訪れたが、この日は10月の最終土曜日ということもあり各ターミナル駅ではハロウィンを祝う仮装した集団がくり出し、そんな中、試合前は郷土の森のフロアを地元の大國魂神社の神輿が練り歩く。

キックオフセレモニーは大國魂神社に由来を持つゆるキャラ『ふちゅこま』が務めるなど、選手選考やフットサルのレベル云々の前にツッコミどころ満載だったであろう日本の文化を彼がどう見たのかは非常に興味深い。

盆暮れ正月と合わせてクリスマスを祝い、ハロウィンでは仮装した日本人に外国人観光客が記念撮影をねだる。
普段忘れがちだが異文化を受け入れる度量や文化の多様性、勤勉さは日本人の特徴だ。
だが、それに反して極端にコミュニティの同調を求める面もあり『村八分』という言葉があったりもする。
それもまた日本人の特徴だろう。 

8ヵ月間空席が続いた日本代表監督の座は前監督の推薦通りスペイン人のブルーノ・ガルシアが収まったが、密室状態での人事や結果だけのリリースが続くフットサル界には外部に広く開示された存在であってほしいし、ブラジル(2003-2008年:セルジオ・サッポ)、スペイン(2008-2016年:ミゲル・ロドリゴ。2016-2020年(?):ブルーノ・ガルシア)と続いた10余年の勉強期間の後は、日本人が起こす日本流のケミストリーにとても期待している。
 
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紅く色づきはじめた郷土の森。
自然とラーメンとフットサルのある素敵な街。
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試合前にベンチで気持ちを練る永島選手。 
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大國魂神社のお神輿と一緒にフロアを練り歩く水田選手と松永選手。
法被もユニフォームも似合う彼らの未来にご利益がありますように。
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ハロウィンがコスプレイベントになり、偉人や神様を擬人化、ゆるキャラ化する不思議な国、日本。
スペイン人のブルーノ・ガルシアにはこの国はどう見えるのか。
右はアンダーカテゴリーの指揮を執る鈴木隆二氏。
現役時代はファイルフォックス、府中、名古屋でも活躍。
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久々の登場になったすみだのゴレイロ、揚石選手。
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この対戦カードはピヴォVSフィクソの対決にも見所あり。
太見/清水(すみだ)VS宮田/皆本/関(府中)と小山/渡邊(府中)VS諸江/渡井/三笠(すみだ)が主導権を争う。
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徐々に出場機会が増えてきた三笠選手。
177cmのフィジカルを活かして小山選手とマッチアップする場面もあったが、堅守逃げ切りを狙う府中を攻略する展開で出番に恵まれず。
すみだお得意の先行逃げ切りの展開で出番を狙いたい。
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左利きを活かしてのカットインシュート、セットプレーなど膠着状態の打開を期待されるもう一枚の『変』のカード。
すみだのレフティー、山村選手。 
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すみだの日本代表トリオのシュート数は諸江選手と西谷選手が7本、清水選手が13本という乱れ撃ち。
清水選手に次ぐ8本を撃った渡井選手、西谷選手、清水選手がボードを手に狙撃位置を確認するハーフタイム。
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3試合連続ゴール中の完山選手。ベテランらしい要所を抑えたプレー。
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ディフェンスでの頑張りと、惜しいミドルシュートが光った柴田選手。
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おぼつかないながらもFリーグ随一の前プレを持つすみだを相手に3-1のプレス回避がひとまず成功した谷本監督と、狭い郷土の森の攻略に失敗した須賀監督。
1勝1敗の在京チーム3番勝負は最終戦に持ち越し。
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大國魂神社の神輿とふちゅこまのご利益を一身に受け、54本のシュートを零封というセービングショー。
神輿、ふちゅこまに合わせてクロモト選手もブルーノへのアピールに大成功。