2017/2/24(金)~25(土) Fリーグプレーオフ1st/2nd Round 墨田区総合体育館
◆2017年2月24日(金)
・1st Round
名古屋オーシャンズ 2 - 2 府中アスレティックFC
ペスカドーラ町田 7 - 2 フウガドールすみだ

◆2017年2月25日(土)
・4/5位決定戦
フウガドールすみだ 0 - 4 府中アスレティックFC
・2nd Round
名古屋オーシャンズ 0 - 3 ペスカドーラ町田

12チーム3回戦総当たり33戦のリーグの結果を軽んじているという意見と、リーグの盛り上がりや見所を作るという意見の板挟みに合い、どのスポーツでも賛否両論の的にされるプレーオフだが今期のFリーグのプレーオフはズバ抜けて面白かった(若干の最終回感があるが実際は3/3(金)、4(土)の大阪のFinalRoundが決勝戦)。

初日は固定メンバーでリーグを戦い、これまで出番の少なかった岡山選手を前線で起用してセットに流動性を持たせた府中が異常なテンションの高さを見せて名古屋をリードして試合を進めるも、AFCで劇的なゴールを決めた星選手が2-2の同点に追いつき名古屋が初日を勝ち抜け(リーグ戦上位の名古屋(2位)は引き分けの場合は勝利扱い(府中は5位))。
 
3クール目でコンディションの上がらない戦いが続いたすみだとは対照的に調子を上げてきた町田が開始48秒で森岡選手が先制点を挙げるとその後は攻守に高いクオリティを見せた町田が7-2とすみだを一蹴。

リーグ1位の大阪への挑戦権を賭けた名古屋対町田の一戦は前半14分に森岡選手が左サイドで相手DFと対峙し、縦に抜けないと見るや右サイドへ相手との距離を取りながらドリブルで持ち出し、相手とのギャップを築いて利き足を活かせる右45度の角度に持ち込むと、腰の入った右足で豪快に逆サイドに突き刺して町田が先制する。
 
このプレーオフで目立ったのが町田の心技体の充実で、ボールを保持すればクアトロのパス&ムーブで相手のプレスをいなして穴を作り、守ってはポイントゲッターのシンビーニャ選手、平田選手に何もさせなかった滝田選手を中心とした好守が光った。

後半21分。
イゴール選手がゴールエリアギリギリにロングスローを投げ込む。
 
名古屋のゴレイロの篠田選手が前に出て抑えに行くも、163cmの金山選手が起用に体を潜り込ませてボールを頭に当てるとこれがスローモーションのようにゴールに吸い込まれて0-2と町田のリードが広がり、名古屋が残り7分からパワープレーを開始するもイゴール選手がキャッチしたボールをワンバウンドさせてからのキックでパワープレー返しを成功させ町田が0-3の完勝を収めた。

試合を振り返ると後半25分から星/シンビーニャ/セルジーニョ/平田マサノリとフィニッシュに強いセットを組んで名古屋が勝負に出たものの、ここを町田がしっかりと凌ぎ切ったことで精神的な優劣が決したのではと思う。
 
堅守と驚異的な粘りで昨年7月のAFCを制した名古屋も決して弱くはなかったが、ゴールに直結する凄みを持った選手が不在でオフェンスで相手にプレッシャーを与えられなかったことが最大の敗因だろう。

試合終了のブザーが鳴り、悲嘆に暮れる名古屋と歓喜の町田の選手たちをよそに、昨年名古屋との契約を打ち切られて失意の移籍をしたFリーグ最高のクラッチシューターの森岡選手がフロアに大の字になり顔を抑える姿が非常に印象的で、Fリーグで勝って泣く選手を久しぶりに見たなと思った。


2007年に8チーム3戦総当たりの21節84試合で開幕したFリーグだが、唯一のプロチームである名古屋が早々にリーグの趨勢を決めることに対する盛り上がり創出の施策として6年目の2012年からプレーオフが始まった。

2016年までの4年間は名古屋がリーグ1位で4度ともプレーオフを制する完全優勝が続いていたが、今シーズンはブラジルトリオが113得点を挙げて引っ張った大阪がシーズンを制し、プレーオフではイゴール/森岡の強烈なセンターラインを擁し短期決戦にバッチリ心技体を揃えてきた町田の後塵を拝し名古屋がリーグ、プレーオフとも敗れるということとなった。

歴史が動いたという表現も納得できるが、ブラジル代表歴のあるフィニッシャーのシノエがシーズン開始前に帰国し、シーズン途中に工夫に乏しく鈍重でキレやすいダニエルサカイというハズレ外国人を引いた絶対王者らしからぬマネジメントのまずさ(フィニッシャー不足のまま駒が足りているフィクソを補充)もあったが、負けたことが話題になるだけの歴史を作ってくれた名古屋には素直にありがとうという言いたし、これから唯一のプロチームであり自前のアリーナを持つ環境を活かして巨人の星ばりの地獄のシゴキからの復活劇を想像すると何とも胸が熱くなるものがある。

12チーム33節198試合で争った今期のFリーグ。
そのどの試合よりもプレーオフが面白かったのは試合に意味づけがされていたからだろう。

・10連覇への執念
・自分を追いやった名古屋へのリベンジ
・実力が拮抗した強い相手
・乾坤一擲の一発逆転
・異常な強さを発揮した大阪への挑戦権
・打倒名古屋を達成し新しい歴史を創る

率直な感想だが、実力のバラツキが顕著になった12チームでの3戦総当たりを、土日の連戦もある6月から2月までの8ヵ月間、毎週高いテンションでこなしていくのはムリな状況になっている。

選手のコンディションも勿論だが、2クール目~3クール目には観客数が4~600人の試合もあり、1月末の名古屋セントラルでは金曜日の16時45分から417人の観客の前で浦安と湘南の関東勢の試合を行うなど、本来ファンに見られるべき試合が適切な時間帯に行われなかったり、自転車操業のカレンダーではホームゲームの集客営業も時間が足らずプロモーションを打とうにも前日設営やアウェーゲームの移動手段と宿を確保するだけでスタッフ陣も手一杯だろう。

トップリーグは選手とファンのためにあるものであってほしいし、レギュレーションはチームの負荷を抑え、より一般層に届くために最適な形であってほしい。

・2クールで最後の1クールを上位下位のリーグで実施(拮抗した試合と、これまで『誉』しかなかったリーグに疑似的な降格争いによる『恥』の争いの創出)
 
・ワイルドカードが廃止されたことで地域リーグ勢のジャイアントキリングが困難になった全日本と差別化が難しいオーシャンカップの意味づけ(リーグでは1人の23歳以下の選手の登録を4人とし、6チーム2ブロック総当たりでセントラル開催。両リーグの同順位で順位決定戦など)

あくまでファンの妄想の域を出ないが、上記のレギュレーションであればリーグ戦が22節+上位下位リーグ5節の27節。オーシャンカップが5節+1節の6節。
今期のセントラルが5節だったのでオーシャンカップをここに適用すれば客足の減少が顕著だったセントラル大会のテーマ付けにもなるだろうし、順位争いの見所もより増えるのではと思う。

B1/B2の全36チームで立ち上がったBリーグとの競合もあり、33節の開催自体が今後より難しくなっていくのは明白で、オーシャンアリーナや小田原アリーナ、冠スポンサーが保持するゼビオアリーナらを有効活用した施策をレギュレーションの変更に合わせて打つべきだろう。

率直にトップリーグのレベルにない試合がちょいちょいあることと、難航する世代交代も大きな懸念点で、チームによっては疲労感が色濃く、低調な試合(仕掛けが少ないロースコアゲームや、実力差がコンディションで倍加した一方的なハイスコアゲーム)になりがちな3クール目は正直ハズレ試合が多く、ベンチ入りするものの結局試合には出場しない状態では若手の育成や世代交代も望めないと思う。
形はどうでもいいが、現状のレギュレーションではまず不可能なここのテコ入れは急務だ。

森岡選手のストーリーに酔ったプレーオフ1st/2nd Roundの2日間だったが、これが最終回ではなく大阪が待つFinal Roundへとストーリーは続き、新シーズンはまた6月に開幕する。

これまで『どう名古屋を倒すか』というところにフォーカスされていたリーグ戦のレギュレーションだが、幸運にもその目的が達成された11年目からは10年目の結果を分析してさらにトップカテゴリーが盛り上がるレギュレーションをドンドン検討してほしい。

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プレーオフで気を吐いた府中の1stセットを牽引した皆本/柴田/渡邊選手。
名古屋に肉薄し、すみだに勝利して4位と手応えを掴んだトーナメントを得意とするチームは全日本へ向けて収穫大。
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2クール目まで大阪、名古屋と首位争いを演じたすみだ。
チームを牽引した諸江選手と西谷選手が出場時間を長くして打開策を探るも、プレーオフでは町田、府中戦とも大量失点で幕。
駒は揃っているだけに来シーズンの課題はコンディションの維持か。
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10連覇を逃した名古屋。
ペドロコスタ監督が重用し、十分な活躍を見せたサテライト昇格1年目の赤髪ヤングガン・橋本選手は1stRoundのみの出場。
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タフな2試合でゴールを固めた星選手と篠田選手。
混戦からの星選手のミドルは大きな武器。
敗れたものの篠田選手は及第点の出来で全日本での巻き返しに期待。
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プレーオフでは不必要なファウルと工夫に乏しいプレーが目立ったダニエル・サカイ。
現時点で放出候補No1か。
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機動力のシンビーニャ選手と、フィジカルの平田マサノリ選手を抑える滝田選手。
プレスから漏れたピヴォへのコースを締める堅実な働きが町田の好守を支えた。
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早々に5ファウルとなり、3点を追う名古屋のパワープレー。
横一列でキックオフを待つ絶対王者のなりふり構わない布陣。
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ゴレイロがボールを持ったら前線に猛ダッシュでカウンターを呼び込み、遅行では相手DFの間に入って選択肢の創出と緩のプレーにも非凡なものを見せる中井選手。
テンションの高い攻守とライン際のボールに果敢にアタックするプレーは一見の価値あり。
早く日本代表で見たい選手。
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Fリーグ最高のゴレイロとアタッカー。絵になるふたりの共演が打倒大阪の必須条件。
イゴール選手と森岡選手。
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ピンポイントで期待に応えた金山選手と、チームのピークをプレーオフにバッチリと揃えた岡山監督。
少々喜び過ぎな感もあったが、大阪というもうひと山を越える気迫が出せるかが勝負の分水嶺であることは間違いない。