2017/7/8・9(土・日) Fリーグ第5・6節 浦安市総合体育館/墨田区総合体育館『ハーフセントラルの意義』

※2017/7/11初稿→7/12末尾に観客数の比較について追記

ハーフセントラル

『256』

2の累乗としてシステムの世界ではキリが良く、個人的にはそろそろSSDやmicroSDでも手頃な価格になりそうだなというのが職業柄連想される数字だが、7/8(土)、7/9(日)のハーフセントラル(浦安、墨田総合体育館に6チームづつを集めて3試合×2日開催)の最低入場客数(7/8(土)の浦安での仙台府中戦)がこの数字だった。

カードとしては墨田に強豪、人気チームが集中した印象だったが、今年台風の目になりつつある湘南や健闘の光る浜松、外国人トリオが入った仙台とそれなりに見所はあっただけに正直意外だった。

唐突だが『256』という観客数が独り歩きしている感もあったので、1節の開幕戦セントラルと5&6節のハーフセントラルの観客数を各日の同一時間での試合の合算でまとめた。
以下を見てほしい。

観客数

こうして見ると2会場で行われたハーフセントラルと、1会場で行われたセントラルの差はわずか(1試合平均で93%、110名程度今回のハーフセントラルの観客が少ない)で、

『東京(関東近郊)で行われるセントラルの集客数は最高2,000人/平均1,500人程度』

というのが定量化された11年目のFリーグのリアルだ。
(ファンの母数は変わらない以上、セントラルを2箇所でやる=それぞれにセントラルの観客が動員されてトータル2倍の観客、は期待値とはならない。ファンを1/2づつ分け合うというのが数学的な道理だろう)

苦戦を余儀なくされた浦安会場も、スマホで課金ゼロで観られるAbemaTVの視聴者数は20万人(実際はセッション切れになった同一ユーザのアクセス数も集計されているだろうからもう少し少ないだろう)とのことで、手の平の世界での観客数は結構多く、露出の減ったフットサル界としてはここから現地観戦への導線を持ってこれればしめたものだ。

Fリーグ11年目に生まれた新職業『フットサル解説員』を務める名古屋9連覇の立役者、北原亘氏のコメントも毎回素晴らしく、コメント入力が可能なAbemaTVでコメント者の中から抽選で当選アカウントを発表し、2試合以内に会場に足を運べばプレゼントの実物を受け取れるなんてのをやっても面白いかもしれない。

セントラルの観客数の落ち込みが顕著であり『256』という数字にヒステリックになっていたこともあるが、今回のハーフセントラルは開幕戦と同程度の集客だったというのを念頭に、あと5回あるハーフセントラルと、シーズンのオーラスである駒沢セントラル→同プレーオフの観客数を冷静に評価していけばいいのではないだろうか。


全国リーグの費用の大半は会場費と移動費だろう。

集中開催のいいところは1チームが借りた会場への1度の移動費で2試合行えることだ。
昨シーズン観客が500人を切り明らかに赤字と思われるホームゲームを行うよりも通年の収支は大きくなるのではと思う。

簡単にだが1回あたりのホームゲームの開催費を素人が想像できる範囲でまとめてみた。

ホームゲーム費用

平日:900,000円/土日祝:1,100,000円というのが簡単な試算で、以下がチケット代を2,000円としての損益分岐点(緑が平日/水色が土日祝)だ。

損益表

こう見ると損益分岐点はそこまで高くないことが分かるがここでのプラスが後述する遠征費に充当されるのでプラマイゼロで喜んでばかりもいられない。

なお会場設営(体育館に元々あるラインを床色のラインで消してフットサルのラインを引く、せり出し式のアリーナ席を出す)だったり、諸々の雑多なことは全額有志によるボランティアで賄っての試算となる。
試合を楽しんで帰りにあーだこーだ感想を言うだけのフットサルファンとしては毎回感謝の言葉しかありません。


移動についてだが、12チーム3戦総当たりの全33試合をフラットに分ければ11試合が上記のホーム、残りをアウェーとセントラルで22試合、各11試合を分け合うことになる。
かなり乱暴な試算が続くが遠征メンバーを16名として遠征2回とハーフセントラルで2試合のモデルケースをいくつか出してみた。

移動費

今回のような集中開催だと移動費を節約できるケース2、3の試合になるチームにメリットが大きい。

北海道(対浜松、湘南)、大分(対名古屋、すみだ)はありがたかっただろうし、同一地域の対戦が組まれた町田、すみだ、大阪、神戸は結構な好カードをホームゲームでできたかもと考えるとちょっとガッカリだったかもしれない。

神戸対大阪の関西ダービーが関東のハーフセントラルで開催というKYなカードもあったが、去年の同カードはグリーン神戸/グリーン神戸/高知春野で開催されていて、大阪の純ホーム会場の試合はひとつもない。
半ば形骸化されたホーム/アウェー/セントラルの煽りを食った形だが、関東のフットサルファンに試合終盤までハラハラドキドキの4-4の引き分けという熱戦をお披露目出来たのなら腐らずドヤってもいいのではないだろうか。

結論をまとめよう。

①観客動員
→開幕戦とほぼ同等の動員であり健闘した。
気の毒だがこの開催地の近さだと256人という数字はありえなくもないとしか言えない。

②費用
→長距離移動が発生する対戦をするチームには大幅なメリットがある。
集客を見込めたかもしれないハーフセントラルだったが、浦安は墨田とのキャスティング差で入場料収入面で割を食った。

浦安会場に行かれた方には意外かもしれないが、トータルで見るとハーフセントラルはそれなりに成功したのだと思っている。

実業団形式であるVリーグや、昨年産声を上げたBリーグも土日(あるいは金土)に2試合づつの試合形式で実施しており、多くの競技が採用する以上、この形式のメリットは確実にある。
全チームの体力を現実的に考えると体制が強いところに抱っこや、負債の持ち回りをした方が長い目で見るとプラスになりそうだし、これを何年か続けて全チームが一定の体力をつけるのを待つのもひとつの選択肢だろう。

色々と妄想の域を出ない推論が続いたが1チームでリーグは成り立たない。

『256』という観客数や、関西ダービーを関東でというカードの妙(正確には妙なカード)もあり、大いに不安を感じたハーフセントラルだが説得力のある答えがあるならファンは納得するしかない。
アナウンスがないからヘイトや不信感が生まれるわけで、何らかの意図や理由があって始めたハーフセントラルならファンに目的を伝えてほしいし、何が達成できて何が課題として残ったのかをリーグは明示してほしい。

※補足 観客数の比較について
観客数の比較は『同一地域での2会場開催なので、同一日時で足を運ぶファンの母数は変わらない』という仮説の論証が目的で、代々木1会場⇔浦安/墨田2会場合算を同一時間での試合順ごとに比較した。
(①②は各日の同一時間での試合数(3)で各日の合計を、③は全体の同一時間での試合数(6)で2日間の合計を除算:以下:試合順比較)

本記事のUP後『開幕は1節6試合/今回は2節12試合だから節ごとの平均でないとおかしいのでは?』という意見をいただいたのでそちらについても考察した。
(④⑤は各日の試合数(6)で各日の合計を、③は全体の試合数(12)で2日間の合計を除算(以下:節比較))

観客数_R1

観客数_R2

当然だが試合順比較、節比較とも合計の観客数は変わらないので、

『東京(関東近郊)で行われるセントラルの集客数は最高2,000人/平均1,500人程度』
というのが定量化された11年目のFリーグのリアルだ。

というのは変わらない。

反面、

⇒ファンの母数は変わらない以上、セントラルを2箇所でやる=それぞれにセントラルの観客が動員されてトータル2倍の観客、は期待値とはならない。ファンを1/2づつ分け合うというのが数学的な道理だろう

について初稿では実数が明示されていなかったので、同一地域内でのハーフセントラルの量の決まったパイの食い合いというマイナス面がテキストのみでしか表現できておらず(節比較の表はその点が50%以下という数字でハッキリする)、アンフェアな見せ方(自分はただのファンなのでどこに対して公正であるのかは不明)だったのではと反省している。

そんなこともありハーフセントラルで本来あるべき姿とは、というのを13&14節に予定されているきたえーる(北海道)/オーシャン(名古屋)でのハーフセントラルで、それぞれ単独開催でそれなりに観客が入った試合をモデルケースに簡単に妄想してみた。

観客数_R3

観客数_R4

同一地域で観客を取り合うこともなく、各地域で集まったファンの前で選手・関係者が1日3試合づつのコンテンツをより盛り上げようという相乗効果で切磋琢磨する。
ハーフセントラルは今シーズン6回あるがおそらく本来あるべきはこういった形での開催だろう。

いずれにしろハーフセントラルが興味深い試みであることは間違いないし、最近ではセントラルが一部会場に固定されていることもあり、各地域ごとの期待値をもう一度おさらいできるのはリーグとしても貴重な機会だろう。

やってみたら意外と面白かったこともあり、ハーフセントラルの観客動員については3回目、6回目終了時にでも実数を紹介していこうと思う。

会場