2018/1/25(木)、1/28(日)国際親善試合 大田区総合体育館、富山市総合体育館『世界王者との差』
日本代表 2 - 4 アルゼンチン代表
日本代表 1 - 4 アルゼンチン代表

AFC初戦を7日後に控え1年9ヵ月ぶりに行われた国内親善試合は2016年ワールドカップ王者のアルゼンチンに2-4、1-4で敗れ、点差はそこまで離れなかったものの試合の急所を抑えることに長けたアルゼンチンの完勝という印象だった。


2戦目 ダイジェスト
のちほどUP

2016年10月のワールドカップ終了後に就任したブルーノ・ガルシア日本代表監督だが、肩書きとは裏腹に日本代表を率いて試合をした回数は非常に少なく、残っている映像もダイジェストが中心でどういったフットサルを志向しているのかをこれまで確認できなかった。

結果だけを見るならブルーノジャパンは以下の7勝4分2敗で、評価できるのは25歳以下の選手に国際経験を積ませるという触れ込みで挑んだアジアインドアゲームズでの3位入賞だろう。

ハンガリー
1戦目 1-1
2戦目 3-0

スロベニア
1戦目 2-5
2戦目 2-2
3戦目 0-3

グループリーグ
 レバノン 5-2
 タイ 6-4
準々決勝
 ヨルダン 4-1 
準決勝
 ウズベキスタン 3-3(PK負)
3位決定戦
 アフガニスタン 1-1(PK勝)

モンゴル 5-1
マカオ 11-0
チャイニーズ・タイペイ 8-1

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ここからは1/25、1/28に行われたアルゼンチンとの2戦を簡単にまとめる。

①セット構成
日本、アルゼンチンともピボォを置く3-1の布陣を基本形とし、日本は3rdセット時に状況に応じ4-0でのクアトロを併用。

◆1戦目(2-4敗戦)
1st:清水/室田/吉川/齋藤
2nd:渡邉/仁部屋/星/皆本
3rd:森岡/逸見/西谷/滝田
※ポジションはピボォ/アラ/アラ/フィクソの順

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◆2戦目(1-4敗戦)
1st:清水/星/吉川/齋藤
2nd:渡邉/仁部屋/西谷/皆本
3rd:森岡/逸見/室田/滝田
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04
後半残り5分からは録画ができていなかったので割愛(パワープレーの模様)

表は各セットでの出場タイミング。
強豪アルゼンチンを相手に90秒~180秒でセットチェンジしてプレーの強度を落とさないことが目的か。

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1戦目はカッチリした4枚替えだったが、2戦目は森岡選手/吉川選手/逸見選手らのタレントを引っ張りながらの機用が目立った。

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膝に巻かれたテーピングがなかなか解けない森岡選手。
町田ではフィクソのダニエル・サカイとの入れ替わりが負担軽減&マークの分散に効果があった。
日本代表でもいい相棒を見つけたい。


②基本戦術
3-1として非常にオーソドックスな戦術で、オフェンス時はピボォで深さを作ってのサイド勝負orピボォ当てで攻め込み、ディフェンスでは前からのプレスで相手を封じ、ボールホルダーからの奪取や、パスラインを限定してのパスカットを狙う。

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最年少の20歳ながら強靭なフィジカルで前線の起点になった清水選手。
物怖じしないメンタルは国際舞台向きで、フル代表でのアジア初参戦になるAFCではゴールラッシュを期待したい。


③セットプレー
1戦目では情報戦を意識してかCKやFKでブロックプレーはなく、チョンドンや逆サイドへ浮き球のパスを出してボレーシュートを狙うなど工夫のないもののみを使用。
(この日はベトナム代表と同代表監督のミゲル・ロドリゴも観戦)

両チームともセットプレーからのゴールが生まれたが、2016年のワールドカップでも目立った速いボールを中央に入れるCKや、強烈なシュート力を活かしてこぼれ玉に詰めるシンプルな形でのチャンス&ゴールが目立った。

活動時間の短い代表でも練習しやすいのがセットプレーなので、AFC本戦では齋藤/清水/森岡らの左右のハードパンチャーのシュートと合わせてブロックを入れた形も採用してくるだろう。
2戦目はブロックも交えたいくつかバリエーションも見せたが、決勝トーナメントまでは極力温存したいところだろう。

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フィジカル/左利き/若さでフィクソに抜擢された齋藤選手。
ロングボールで裏を抜かれる、1vs1のドリブル勝負でやられるなどDFでは踏んだり蹴ったりもFKでは強烈シュートで得点に絡む。
ストロングポイントのハッキリしている選手なので、ヒーローになるのも戦犯になるのも起用方法次第。


④試合内容
Fリーグで名古屋と対戦し2-4や1-4で敗れたチームから『そこまでの差は感じなかった。次回は今回の反省を踏まえて頑張りたい』というコメントを目にしたことがある人は多いだろうが、個人で作った差からチームとしてのアドバンテージを作れるのが強いチームのクオリティであり、なぜ差が生まれたかにこそ成長のヒントがある。

お互いが似た戦術を採用していたが、

・体の厚みを活かしてボールを取られない場所に置く
・自陣コーナー付近に選手を配置し、安全なパスラインを確保してのボトムからの組み立て
・キープが無理と判断したらロングボールで簡単に前に預ける

など要所要所で自分たちの得意なスタイルと、状況に合わせた現実的な判断を組み合わせたアルゼンチンのフットサルの巧さが光ったし、単純に攻守の1対1の強さやフィニッシュワークの的確さにしてもアルゼンチンと日本の大きな差だったと思う。

華麗なヒールリフトなんてやりそうにない無骨な髭面のブランディにボールが入り、足裏で軽く動かした位置にずんぐりむっくりとしたボルートが走り込んでシュートを打つ。

スペインやブラジルから生まれた各種ジョガーダをありがたがって追いかけがちだが、BOOKOFFの100円コーナーに置いてありそうな古臭いフットサル教則本通りのピボォ当てが最も即効性があり、クラシカルな戦術をトコトン利かせてきたアルゼンチンとの差は非常に大きかったのではないだろうか。

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分厚い体を活かして前線で起点を作るNo11ブランディと、的確なフィニッシュが光ったNo10ボルート。
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168cmの体でゴールを守る2016年ワールドカップ最優秀ゴレイロのサルミエントは局面に合わせたクロス/フェンス/ダブルニーのゴレイロ3型のチョイスに迷いなし。


⑤AFC展望
1/21までプレーオフを戦っており、決勝まで進めば最大6試合を11日間で詰め込むAFCのハードスケジュールを考えると、今回の2戦と同じく3セット廻しで全体のコンディションを管理しようとするのは間違いない。

準備期間が皆無だったことを考えればアルゼンチン戦でやったベースの戦術+セットプレー(パワープレー含む)で勝負するしかないので、3セットがベストアベレージを発揮できる組み合わせを考えることが監督の直近の仕事になるはずだ。

ちなみに今回の2連戦でも1戦目、2戦目で以下のセット変更がなされている。

◆1戦目(2-4敗戦)
1st:清水/室田/吉川/齋藤
2nd:渡邉/仁部屋/星/皆本
3rd:森岡/逸見/西谷/滝田

◆2戦目(1-4敗戦)
1st:清水/星/吉川/齋藤
2nd:渡邉/仁部屋/西谷/皆本
3rd:森岡/逸見/室田/滝田
※ポジションはピボォ/アラ/アラ/フィクソの順

順を追ってセット変えの意図を考えると、

1.アジアインドアで抜群の相性を見せた清水/室田
2.クアトロを併用したい時にイメージの共有が容易な町田所属の森岡/室田/滝田
→クアトロを優先。
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昨年9月のアジアインドアで大覚醒の室田選手。
2016年AFCは何もできずに終わったが、今回はピヴォ、クアトロどちらのセットに入っても主役を演じられそうだ。

3.左利きのフィクソとしてコンバートしたもののDFの脆さを露呈した齊藤
4.アルゼンチン相手にボールカットを連発し好調をアピールした星
→不安のあった齊藤のセットにDFの良かった星を併用。清水とのダブルピヴォも魅力
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体の強さと出足の良さを活かしてアルゼンチンの縦パスを前に出てカットする場面が目立った星選手。
オフェンスの駒だが純フィクソが足りないこのグループならフィクソ兼任も十分ありで、勝ち進んでの負傷やカードトラブル時のジョーカーになる可能性大。

5.誰と合わせても高相性の吉川
6.誰と合わせるのがベストなのかが不明確でコントロールが難しそうな逸見
→2戦目でのセットを多少崩した引っ張りで相性を調査。吉川は火消し役で逸見はギャンブル枠か。
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状態の良さが目立った吉川選手。誰と組ませても好相性なチームのキーマン。
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仕掛けが武器にもなり、カウンターの呼び水にもなりうる逸見選手は取扱注意の諸刃の剣。
彼が活きるセットとシチュエーションを作ってあげたい。


完全に主観だがそんなところに意図にありそうで、各試合のセット構成は監督やチームのPDCAが垣間見れる要素なのでAFC本戦でもゼヒ注目してほしい。

グループリーグでは最終戦で対戦する実力拮抗のウズベキスタンがライバルだが、前の2戦(タジキスタン、韓国)でベースとなりうる最適解を出せているかが大会全体で結果を出すための絶対条件になるはずで、個人的には以下の形を見てみたい。

1st:清水/西谷/吉川/星
→前に強いDFを活かしたフィクソ星は浦安でも経験があり、攻撃時は清水とダブルピヴォを形成できるのも魅力。
同一チームでの所属経験のある清水/西谷/吉川は連携も◎
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同じウニベルサールの吉川選手ほどの活躍がなかった西谷選手。
1、2戦目とも馴染みのないセットに組み込まれたが、気心の知れた選手が揃うこのセットならなんでもやってくれるだろう。

2nd:渡邉/仁部屋/齋藤/皆本
→齊藤のフィクソはキッパリ諦めてアラへ再コンバート。仁部屋のドリブル、齋藤の強シュートによる仕掛けと、皆本→渡邉の府中ホットラインでシンプルに攻める
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府中所属の皆本選手と渡邉選手は目立った活躍はなし。
連戦を戦いながらリーグ後半に失速した調子を上げられるか。

3rd:森岡/逸見/室田/滝田
→F屈指の町田クアトロ+逸見。短時間で逸見の融合を目指すならクアトロで作った1vs1勝負役が手っ取り早い。
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町田クアトロで守備と舵取りを担当する滝田選手。
サイドでの勝負、ワンツー、中パラを使い分けて相手を押し込みたい。

2016年のリベンジという想いが強いだろうが、仕事の合間に練習&試合をこなす、続けるだけでも大変なマイナースポーツでの最大のモチベーションは『誰よりも上手く、強く、速くなりたい』というシンプルなものなはずだ。

トッププレイヤーの使命感というのももちろんわかるが、活動回数の少ない日本代表でアジアの競合達と鎬を削る喜びを感じてきてもらいたい。

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満を持して日本代表スタッフに入閣した木暮『コーチ』。
大阪所属の下地フィジカルコーチに、同じくスペインでの選手経験を共有できる内山ゴレイロコーチ。
統括的なポジションを兼ねる小森通訳とは選手時代に関わりあり。
2戦目の小出しの選手起用はシュライカーでの木暮采配の色を感じさせるもので、勝手知ったる体制の中でのコーチ1年生はまずは見て勉強なんて気はサラサラなさそう。