2018/3/9~3/11 全日本選手権 駒沢オリンピック公園総合運動場体育館『5つのF』
◆準々決勝
バルドラール浦安 9 - 1 フウガドールすみだバッファローズ
フウガドールすみだ 4 - 5 湘南ベルマーレ
シュライカー大阪 3 - 2 ペスカドーラ町田
府中アスレティックFC 2 - 4 名古屋オーシャンズ
◆準決勝
バルドラール浦安 3 - 3(PK:3-4) シュライカー大阪
湘南ベルマーレ 4 - 5 名古屋オーシャンズ
◆3位決定戦
バルドラール浦安 0 - 1 湘南ベルマーレ
◆決勝
シュライカー大阪 1 - 2 名古屋オーシャンズ

Fリーグの理念をご存知だろうか?

公式サイトからリンクをたどるのも面倒だが『TOPページ』→『リーグ概要』→『日本フットサルリーグについて』とポチポチしていくと以下の画面が現れる。


なぜこれでOKを出したかは不明だがこのコンテンツでは説明が不十分で、実際には『FUTSAL』の頭文字である『F』と競技人数の『5人』から5つの英単語をかけたキャッチーなコピーが充てられており以下がその全項になる。

①FAIR PLAY→フェアで公正なリーグに
②FIGHT→日本最高峰の戦いを見せるリーグに
③FUN→フットサルの楽しさを創造するリーグに
④FRIEND→仲間と喜びを分かち合えるリーグに
⑤FUTURE→未来を作るリーグ

偶然にも全日本選手権の決勝トーナメント初日の会場にこの理念がプリントされたTシャツを着ている方が自分の前に座っていて、改めてFリーグは非常に立派なリーグで、素晴らしい理念の元に発足、運営されていることを再認識させられた(ホントかな?)。
DSC_0741
文中の5FのTシャツ。驚くべきことにこれを着ていたのは外国人の方。
こんな珍品をどこで買ったんですか...。


今年のFリーグでポジティブなトピックを探すなら間違いなく湘南ベルマーレの躍進だろう。

2010年の全日本選手権準優勝以外に目立った戦績はない弱小チームが奥村監督と横澤コーチという絵になる指導者の元、潜在能力が開花。
DSC_0230
DSC_0213
ロドリゴとフィウーザという強固な攻守の軸が固まり、内村/植松/刈込/鍛代選手といったアラ勢が一気に成長。
フィジカルを活かしてピヴォを張るサッカーから転向1年生の小門選手には大きな可能性を感じる。

スポーツではチームの競技力と集客は必ずしもリンクしないと言われているが、リーグでは前半戦から上位争いを演じ、10/7(土)に同敷地内で行われたJリーグ湘南水戸戦後のシュライカー大阪戦では1,600人の超満員の観客の中、昨季王者にドラマチックな逆転勝ちを収め、会場は熱気に包まれた。

プレーオフでは町田に、全日本でも名古屋に敗れて3位に甘んじたが、攻守の1対1に強いデュエリストが揃ったチームに魅せられて試合ごとに数を増やしたサポーターの応援と、彼らが作り出す雰囲気は過去11年間Fリーグになかったものだろう。
DSC_0406
競技面ではロドリゴの出場時間が飛び抜けており、彼への戦術依存度が高いのは明白で何らかのトラブルが発生した場合は一気に瓦解する可能性もある。
ただ、そういった細かいことは抜きにして、競技力の向上と集客努力が現場の熱を生み、相乗効果としてフットサルを楽しんでくれる人たちが少しづつ集まってくれたということは心底喜ぶべきことだ。

また、湘南はFリーグと全日本でフェアプレー賞も受賞している。
今年Fリーグが掲げる5つの理念を最も体現したチームであることは疑う余地がなく、ゼヒ来年も素晴らしいシーズンを送ってほしい。
DSC_0113
DSC_0052
DSC_0385
DSC_0223
内村/植松/刈込/鍛代ら1vs1に強い湘南のアラ勢。
鍛代選手はピヴォに入っても優秀でシーズン16ゴールをマーク。
DSC_0103
肩から臀部までのアーチが素晴らしい日本人離れしたナイスバディの小門選手。
フェラオ(バルセロナで活躍する大型ピヴォ/ブラジル代表)のようなゴールが度々飛び出るスケールの大きなピヴォは体を活かした型稽古をトコトンやったら一気に化けそう。


次点はフウガドールすみだのサテライトチームであるフウガドールすみだバッファローズの全日本決勝トーナメント進出を挙げたい。

残念ながら決勝トーナメントではリーグ7位の浦安のチームクオリティの前に9-1とあっさり片付けられてしまったが、予選ラウンドではリーグ最下位の大分と8位の浜松に2連勝し決勝トーナメント進出1番乗りを決め、確実に日本フットサル界のベースアップがなされていることを証明してみせた。

すみだ自体は2007年のFリーグ開幕時には参入希望の表明をしておらず、名古屋との決勝を制して優勝した2009年の全日本後からFリーグの参入を目指して活動を開始。

参入を希望するようになった理由を『僕たちが頑張る姿をひとりでも多くの人に知ってもらい、応援してほしくなった』と当時の須賀監督は語っており(記憶が曖昧なためデフォルメしたが実際は彼特有の詞的で機知に富んだ言葉で語られている)、その後、2012年にF準加盟リーグ参戦が認められ、2013年に地域リーグとして全日本選手権準優勝を遂げるなど、継続して運営力、競技力を示したことにより2014年から彼らの夢が実現することになる。

設立当初のバッファローズは育成を目的としたジュニアチームというよりも、実力的にメンバー外となる選手の試合経験の確保や、仕事や家庭などの環境面でトップチームでの活動が不可能な選手の受け皿という意味合いが強かったが、今回のチームは18歳~22歳までの選手が大半を占めており、彼らがFリーグのチームを倒したということに意味がある。

来年、2部制が施行されるFリーグだが、本気になれば9年間でこれだけの組織を構築でき、結果を出せる未来が待っているというのは、これから挑戦を控える各チームにとって勇気を貰えるマイルストーンとなるだろう。

DSC_0007
162cmながらキビキビとした動きとよく通る声でバッファローズの躍進を支えた岸選手。
浦安戦では1カテゴリー上のロングシュートの対応で後れを取ったが、これは先輩方の昇格初年度にも出た課題。リベンジはトップチームでか。
DSC_0038
試合前にサポーターの声援に応える清水誠也選手は日本代表でも活躍する和也選手の兄。
今季はFリーグでイゴールからもゴールを挙げており、183cmの大型ピヴォは虎視眈々とトップ定着を狙う。
DSC_0105
若干19歳ながらフィクソとして堂々のゲームメイクを見せた垂井選手。
ドリブルでボールを運べる確かな技術と戦術眼はトップの諸江選手を彷彿とさせる。
DSC_0412
1試合目で敗れたバッファローズの選手たちが2試合目に湘南と対戦するトップチームの応援に参戦。
すみだFamilyの一体感を感じるヒトコマ。


もちろんネガティブなニュースもある。
これには府中アスレティックのホームアリーナ使用禁止デウソン神戸の自主降格を挙げたい。

03

コートサイズが縦に数メートル満たないが、将来的な改修や移転を条件として暫定的に参入を認めたという経緯があったが、コンスタントに1,000人を超す安定した動員を見せていた会場の使用を運営委員会が突然禁止するというのはファン目線では絶対にありえないだろう。


デウソン神戸の自主降格について最終的な意思決定をした上永吉GMを責めるのは簡単だ。
だが、いつまでたってもブレイクしないマイナースポーツの運営を10年続けていればイヤにもなることもあるだろうとちょっと同情してしまう。

数年前のフットサルナビでは選手にプロ意識を持たせるために少額であれサラリーを払っているという志の高い記事が出ていたが、ここ数年はホームゲームでも物販がなかったり、空調が効いていなかったり(グリーンアリーナ神戸の空調は1時間5万円の使用量が必要)ということがSNSの書き込みで散見された。

どんなに愛着を持った競技であれ『いつかビックになるから』という夢だけで身銭を切るのは限界があるし、政治的、経済的、人的な努力と資源が必要であり、それらをベースに拡大していくことをマイナースポーツであるフットサルを通して継続するのは並大抵のことではない。

熱意のある人たちの愛情や熱量で組織が維持されており、自分の気持ちを日々試されるような環境で踏ん張っているのなら張り詰めるものが切れることもあるだろうし、それを責める気にはとてもなれない。

過去の類似事例を紐解くと、2012年にはそれまでの負債と東日本大震災によりステラミーゴ花巻が脱退し、花巻と入れ替わりで参入したアグレミーナ浜松は2015年に諸事情による運営母体の変更がされており、F1、F2とも同じような苦労をするチームは確実にでてくる(あるいはすでにある)だろう。
P1100348
F2自主降格のアナウンス後におよそ15人が退団/引退を表明した神戸。
引退する選手の中にはサテライトからトップに昇格した20代前半の若手の姿もあり、チームを後継者に託してF1に存続させられなかったのかが悔やまれる。


観客数減少や自主降格(フィージビリティはともかくとして2部制を施行するだけのチームが潜在化にあったことは非常に喜ばしい)、若年齢での引退など、ネガティブなニュースばかりが大きく取り上げられるが、前述のベルマーレ湘南とフウガドールすみだバッファローズの事例は、5Fの理念が体現された素晴らしいものだ。

貧すれば窮ずを地で行くジリ貧なマイナースポーツだが、それでも会場に来てくれるファンの目線が温かいことが救いだ。
しかし、そんな温かさを尻目に若干KYな組織運営が散見されるフットサル界には個人的に5つのFの問いかけをしたい。

⑪Face to Face⇒決定事項にファン目線はあるか?
②Faith⇒ファンが信頼、信用してくれるか?
③Fuel⇒燃料に適したリーグ運営がされているか?
④Figure⇒形式にこだわりすぎていないか?
⑤Feasible⇒それらは実現可能か?

11年目が終わり間もなく12年目を迎えるFリーグだが、カリスマCEOが来る気配も大富豪が支援する気配もない。

ブレイクする可能性を探るよりも、細く長く続ける道を探す方が現実的で、そのためにどうするかを模索するのが今の成長戦略としては妥当だろう。
800~1,200人がコンスタントに来場し、グッズがそこそこ売れ、試合も盛り上がり、現状を悲観してフットサル界を離れるスタッフ、選手が出ない。

現状を鑑みるとそれすらハードルが高い気もするが、2018年はそんな成功を掴むチームが少しでも多く出てほしい。

DSC_0219
今シーズンでの引退を発表した42歳の岩本選手と、退団が発表された38歳の小野選手。
ふたりにとって最後の勝利となったバッファローズ戦後の似ているけど少し違う笑顔。
DSC_0496
DSC_0500
同じく今シーズンで引退の佐藤選手は名古屋との決勝戦で得点後に雄叫び&チームメートと歓喜の輪。
引退にあたって今後のフットサルとの関わり方を『選手以外の立場でフットサルを盛り上げたい』と語っている。
DSC_0733
レギュラーシーズンでは森岡選手との縦の入れ替わりで攻守に活躍したダニエルサカイは、ベスト5候補にも選出された充実の1年を意味不明なラフプレーによる退場で終えた。
イマイチ評価の定まらない選手だが今のところ引退、退団の発表はない。
DSC_0009
去るものあれば来るものあり。
175cm/75kg、22歳の丸山選手は府中期待のピヴォ。
準々決勝の名古屋戦では期待値以上の活躍で前線のクサビとして時間とスペースを作った。
DSC_0028
今期一気に逞しさを増した名古屋のキャプテン星選手。
AFCで足りなかった肉体派フィクソの第一候補は攻撃面でもアピールを見せた。
DSC_0422
同じく肉体派フィクソの田村選手。
オール5フィクソのアルトゥールを目の前で見れるのは非常にいい環境。
DSC_0540
準決勝では鋭いプレスでフィクソからドリブルで仕掛けるロドリゴを抑え、湘南の主戦術を封じた吉川選手。
2月のAFCで最多出場時間を記録するベースになった平均点の高さと献身さはすべての日本人アラのお手本。
DSC_0691
日本代表の仕掛けのアラ対決。
右利きの室田選手に左利きの加藤選手が揺さぶりをかける。2020年ではこのふたりがサイドの両翼か。
DSC_0662
DSC_0680
不遜なまでに自己肯定感に満ちた昨年の2冠の立役者。
今シーズン精彩を欠いたアルトゥールとチアゴは来期に向けて闘志の充電が必要そう。
DSC_0795
シュートのタイミングやセンスに長け、日本に帰化したヴィニシウスはAFCを狙うアジアのクラブチームからも引き合いがありそうな予感。
ピンと来ないかもしれないがまだ31歳。
DSC_0920
名古屋からサテライトの選手たちが応援に駆け付けた名古屋サポーター席。
お金かかっているなぁ...、というのが感想だがアリーナの盛り上げには大きく貢献。
DSC_0817
久々に『当たり』の外国人が3人揃った名古屋。
ブラジルトリオで一番地味だったヴァルチーニョは中央、サイドを縦横に走り回り、虚々実々の駆け引きで3冠に貢献。
DSC_0415
モデルのようなスタイルの良さでボールを操るルイジーニョ。
長身を活かした左利きのアラは鋭いカットインでゴールを量産。
決勝戦後にチームメイトから胴上げされており退団が濃厚。
DSC_0949
DSC_0425
360度の視野でインプットした情報から最適のアイディアを選択し、それを具現化するテクニックを持つFリーグMVPのラファは、決勝戦で右膝前十字靭帯断裂/内側側副靱帯部分断裂/内側半月板損傷と右膝三重奏の全治1年の重傷を負った。