2015/1/11(日) Fリーグ 第27節 墨田区総合体育館
フウガドールすみだ 3 - 1 湘南ベルマーレ

試合前のルーチンをこなす選手達を横目に、ひとり離れたところで自分なりのアップを見せる湘南ベルマーレのNo10 ボラ。

181cm/73kgの公式プロフィールがにわかには信じられないでっぷりとした見た目ながら、肩、胸板、腰周り、臀部とブラジル人らしい見事な厚みのある体を華麗に操り、
鎖骨の窪みを使ってのトラップ、軸足裏をボールを通すボールワーク、足首の柔らかさを見せつけるドリブル&パスと美しい妙技を見せる。

試合が始まれば混戦からゴレイロのタイミングを外したボテボテのインサイドキックでゴールで奪い、すみだのアイドル、金川選手を背負ったキープ合戦では、老獪に体の厚みを活かしてボールを隠すボラと、必死に足を入れてボールに触ろうとする金川選手と、
名優同士がお互いのキャラクターを引き出し合う名勝負でやんやの歓声を引き出して見せた。

8年目が終わろうとしているFリーグ。
初年度の8チームから12チームに増え、地域リーグを経由せずFリーグの下部組織からFを目指すフットサルネイティブともいえる選手も出てきているものの、完全なプロチームは名古屋オーシャンズだけなのは初年度から変わらないままで、プロとしてのパイは広がっていない。

『フットサルの魅力を感じてもらいたい』と語る選手や監督は沢山いるものの、多くの人が『魅力』より『結果』にプライオリティを置いている。
それはもちろん正しい事で、一見さんも、コアなファンも応援しているチームが勝って喜ぶことが一番わかりやすい。
内村選手がいなくなり、槍の役割を一手にこなす安藤選手も欠場の湘南の攻めては少なく、試合は終始すみだのペースで進み、湘南が追いかける後半半ば。
キックインのためにボールに走り寄るボラ。
手で掴むでも、ドリブルで運ぶでもなく、わざわざ外連味たっぷりにヒールリフトでボールをサイドラインにセットしてみせた。

見事な体躯と愛らしい笑顔を振り撒き、ウォーミングアップでは圧巻のテクニックを見せ、試合では抜群の発想で会場を沸かせる、名古屋所属以外では数少ないプロフットサル選手であるボラ選手。
360度、全方位から見られていることを忘れず、ステージの視線を釘付けにするこのトップアイドルを私は大好きだ。

27試合を終え、3勝8分16敗と結果はまったく振るわない湘南。
それでも試合開始45分前に会場入りして、いい場所を確保してアップから見たいと思わせる魅力が確かにある。

この人しかできないこと。
この人だけしか持っていない価値観。
オンリーワンであることは時に結果や競技力を越える魅力を発揮する。

アジアチャンピオンに輝いても観客数は伸び悩み、マイナースポーツの壁は壊せていない。
8年目を終えるFリーグで初年度からプロとしての地位を維持しているこの人から学べるものはきっと沢山あるはずだ。

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