2015/2/14(土) Fリーグ 第33節 墨田区総合体育館
フウガドールすみだ 5 - 1 ヴォスクオーレ仙台
ホーム墨田区体育館開催のFリーグ最終節を前に、杉尾選手、一木選手、荻窪選手、半田選手が今シーズン限りの引退を発表した。
試合終了後に用意された引退セレモニーは、純粋にプレイヤースキルだけを考えればまだまだやれる4人がそれぞれに想いを語り、
感謝だったり、これからのチームへの応援だったり、悔しさだったり、あえて笑いを取りにいってみたりと、ひとつの岐路の上でも自然体な彼ららしさを見つめる温かな一幕だった。
フットサルは少々奇妙なスポーツで、知らない人に個人参加フットサルや、トップ選手によるクリニックの説明をすると反応が面白い。
20人の知らない者同士がその場でチームを作って紅白戦を2時間やる。
フットサルの本場スペインで活躍している選手がスーパーの屋上のフットサル場で2時間2,000円で指導してくれる。
どちらも知らない人には信じがたい話だが、フットサルは敷居が低く、好きであればプレイヤースキルを問わず楽しめる稀有なスポーツだ。
その反面、アマチュアとプロの境目がどこなのかいまいちわからない。
日本のトップリーグはFリーグになるのだろうが、名古屋を除けばフットサル一本で生活している選手はごくわずかで、Fリーグでプレーするために仕事が制限され、フットサルでもある程度の実入りはあるものの、収入は地域リーグで活躍する選手より少ないという選手も多くいると思う。
選手は自分とフットサルとの関わり方を考え、年齢、競技、生活を天秤にかけ、その時にベストであろう選択をシビアに下しているはずだ。
選手はありそうでない正解を考えながら現実を生きる。
ファンは選手がどんな想いで選んだ決断かも知らずに、勝手に応援して、勝手に夢を見る。
申し訳なく思う。
1st、2nd、3rdどのセットで出場してもオフェンスでは抜け目なく死角を突き、ディフェンスではさりげなく急所に蓋をし、常に安定した活躍をする半田選手。
173cm/60kgの痩躯で流れを簡単に引き寄せる個性が無いようで、非常に個性的なこの選手が見られなくなるのが私はとても寂しい。
セレモニーが終わり、選手が挨拶に出口で並ぶ中、挨拶と握手をしてもらった手の力強さは力が落ちて引退する選手のものなんかじゃなかった。
引退する理由も、決断に後悔がないかもファンにはわからない。
きっと各チームの選手もファンもスッキリよりガッカリな想いを抱えて色々な決断を目にしている。
2014-2015年シーズン、Fリーグは今日が最終節だが、今シーズンは全日本の予選ラウンド3試合、決勝トーナメントに進めばもう3試合残っていて、きっと沢山の人がひとつの決断をした彼らの背中を特別な視線で見つめる。
センチメンタルよりもただただひとつの試合に夢中になって、全日本選手権最終日、6試合目になる3月15日の代々木体育館まで全力で走り抜けてもらえたらファンとしてこんなに嬉しいことはない。