2015/3/15(日) PUMACUP2015
第20回全日本フットサル選手権 決勝トーナメント3日目 代々木第一体育館
◆3位決定戦
ペスカドーラ町田 4 - 1 バルドラール浦安
◆決勝
デウソン神戸 1 - 3 名古屋オーシャンズ
2013年3月17日。
第18回全日本フットサル選手権決勝戦。
当時地域リーグ所属のフウガすみだが、Fリーグの絶対王者名古屋を相手に3度リードを奪い、延長で勝ち越されるものの終了4秒前にキックインからのクイックリスタートに体から突っ込み同点のゴール。
最後は大会を通じて出色のパフォーマンスを見せた諸江選手がPKを外して無念の敗退に終わったが、PKを外して目を腫らす諸江選手にキャプテンの金川選手が駆け寄り、チームメートが二人を中心に優しく輪を作る光景はなんとも感動的だった。
その横ではこの大会での引退を表明していた木暮選手(現シュライカー大阪監督)がひとり佇んでいる。
約半年前にフットサルワールドカップのキャプテンを務め、優勝したブラジル、稀代の天才リカルジーニョを擁するポルトガルと同組から、史上初の決勝トーナメント進出を果たす原動力になった日本フットサル界の巨星は、決勝戦を含むトーナメントの3試合とも試合時間を与えられず引退することになった。
試合中はトコトンいやらしく、試合後は底抜けに明るいラファエル・サカイが木暮選手を肩車して場内を一周する。
引退という感傷に囚われず、ただひとりの選手として今日プレイするレベルに達していなかったという判断をしたアジウ監督は素晴らしくフェアで、誰よりも木暮選手のことをプロとして尊重していたと思うし、そういうスポーツだからこそ木暮選手もフットサルにすべてを賭け、清々しい表情で場内を埋め尽くした観客に手を振っていたのだと思う。
今大会での引退を表明したフウガドールすみだの半田選手は1次ラウンド、決勝ラウンドともメンバー外。
メンバー入りしたものの古巣浦安を相手に何もさせてもらえなかった同じくすみだの杉尾選手は男泣きし、Fリーグでの出場時間は短かった町田の橋本選手は、自身の引退試合となる3位決定戦で見事なゴールを決めた。
全日本を戦った多くの選手は、仕事後に練習をして、金曜日の試合はきっと周りに気を遣いながら休みを取って体育館へ向かっている。
勝利給が出るかも、決勝戦の翌日の月曜日が仕事かも私にはわからないし、わざわざ大変な思いをしてとりつかれたようにボールを追う彼らが全員幸せになってほしい。
辟易とするファンもいるものの、唯一のプロチームである名古屋の4冠は文句なく素晴らしく、彼らはフットサルへの愛情を体制と結果で表現しているだけだ。
ただ、彼らの孤独を理解できるチームがないことが残念で仕方がない。
名古屋とそれ以外のFのチーム。
Fのチームと地域のチーム。
このバランスが取れていないことに競技フットサルの閉塞はあると思っている。
仕事があり、生活があり、意地を張って夢中になれる大切なものがある。
気軽に頑張ってくださいとは言えないけれど、頑張りがいのあるものに賭けている姿に今シーズンも感動させていただきました。
その感動に見合うだけのリターンがあればいいのになと思ってしまうのがとても歯痒いです。