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Futsal Philosophy (フットサル・フィロソフィー)

2015年07月

31 7月

2015/7/31(日) Fリーグ第15節 府中市立総合体育館 『想像出来ることは』

2015/7/31(日) Fリーグ第15節 府中市立総合体育館
府中アスレティックFC 7 - 1 湘南ベルマーレ 

4、5年前の夏。
関東1部以来の府中市立総合体育館。
日差しの強い日に是政駅から多摩川土手をたっぷり歩いて、冷房のないうだるような体育館でフットサルを見たのがなんだか懐かしかった。

金曜日の19時30分。
バイクを飛ばし、キックオフの時間を少々オーバーして会場に到着。
チケットゲートを抜けて銀色の扉を開けると、一杯の観客が王者として凱旋したおらが街のフットサルチームを応援している。
冷房が入り、スポンサーの物販と軽食の売店もある。
こじんまりとしているけど、やれる人がやれる範囲でやれることをやっていて、ここにいる人達がみな府中アスレティックを大好きなことがよくわかるとてもいい雰囲気だ。

試合はドリブル、パスを織り交ぜたプレス回避で湘南の前プレを早々に諦めさせ、コーナー角に置いた選手をフィニッシュへのスイッチにした押し込みでオーシャンカップ王者が終始試合をドミネイトし、7-1の完勝を収めた。

おそらくFリーグ各チームのメイン会場で最も前近代的な府中市立総合体育館。
キャパシティも多くなく、イスも壁もなんだかヘタっている。
それでも毎試合アリーナ席は完売し、試合開始後のスタンド席は空いている場所を探すのが難しいほどだ。

誰かが決めたオシャレでカッコいいイメージのあるフットサル。
キレイでスタイリッシュなアリーナとは対極にあるこの体育館に毎回1,000人を越えるフットサル好きが集まり、MCとチアの先導に合わせてお揃いの茶色いタオルマフラーを廻す。
小さい箱に高密度でギュッと詰まった熱量とワクワク感を味わうのはとても心地がいい。

試合開始前には上福元選手の100試合出場達成、試合後には渡邉選手の退団、オーシャンカップの優勝セレモニーがあり、どれも選手とファンの距離感がわかる素晴らしいものだった。

オーシャンカップ優勝の挨拶に同大会で出色の活躍を見せたキャプテンの皆本選手がマイクを持つ。
優勝報告、応援の感謝と合わせて、彼は少々意外なことを語った。

『来年度オープンする予定の10,000人が入る新アリーナ(武蔵野の森総合スポーツ施設。詳細は後述)を一杯にしたい。
オーシャンカップだけじゃなく、Fリーグも、全日本も獲って、10,000人のお客さんに自分達が活躍する姿を見てもらいたい』

マイナースポーツであるところのフットサル。
単一のリーグ戦の開催で最も観客を集めたのは、奇しくも府中が対戦相手を務めることになった三浦知良ことキングカズが北海道からFリーグに参戦した札幌のきたえーるでの一戦で、その観客数は5,368人だ。

知っていればいるほどバカバカしいと一笑してしまうような夢を1,358人の前で堂々と語る。
皆本選手の目はキラキラと輝いていて、表情は少しの曇りもない。
私は府中のファンではないが、フットサルファンとして彼の発言がとても嬉しく、とても感動してしまった。

目標を持ち、継続することでしか夢は叶えられない。
『10,000人』
という明確で突拍子もない数字を聞いたのは私ははじめてだ。

苦戦は必至だ。
秀逸なアイディアと、沢山の努力が必要で、それはタイトルを獲ることよりもきっとずっと難しい。
それでも彼が夢を言葉にしたことに大きな価値がある。

10,000人。
多いのか少ないのか今はちょっと現実感を持てない。
それでも実現したいと思った私の心は彼の言葉に確かに触発されている。

夢が力になり、言葉が自分の行動を引っ張る。
そんな経験をしたことがある人は少なくないのではないだろうか。
 
オフィシャルHPの選手紹介にある皆本選手の座右の銘は、

『人が想像出来ることは、人が必ず実現できる』。

彼とファンの夢が叶った時にこの日のことを少し自慢気に話せたら私はとても嬉しい。

◆武蔵野の森総合スポーツ施設
2016年の竣工予定。FC東京との連動企画も視野にできる味の素スタジアムの横という好立地。
メインアリーナの最大観客数は10,000人。

◆府中アスレティックFC 皆本晃選手 プロフィール

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試合開始直後。今日もアリーナ席は完売。満員御礼の府中市立総合体育館。
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オーシャンカップを制した1stセット。
No5皆本選手、No13渡邉選手、No14永島選手、No25完山選手。
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オーシャンカップMVPのNo96クロモト選手。
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ボードで指示使って指示をする谷本監督。
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ティファニー製のオーシャンカップ。
価額300万円とのこと。
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最後方からのキャノンシュートが持ち味の湘南のゴレイロ、No17鈴木選手。
今日の湘南はちょっと攻め手が乏しかったです。
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府中の弾幕。
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タイムアウト中のMCとチアによるタオル廻しタイム。
(チアに寄りすぎて全体取れていないのが残念ですが、この一体感は会場でしか味わえないものだと思います)
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渡邉選手の退団の挨拶、谷本監督の優勝報告から、前述の皆本選手へ。
ちょっとマイクの位置高いんじゃない、というお約束な前フリからの素晴らしい言葉でした。
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『15年間ではじめてのタイトルなので段取りに慣れていないんです』というMCの方のコメント通り、非常にぎこちなかったトロフィーのリフトアップ。
微笑ましく見守る会場の視線が暖かかったです。
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退団する渡邉選手を胴上げ。
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過去には監督も務めた中村恭平GMの胴上げ。
この後お約束の落とし芸がありましたが、こちらも会場の視線が暖かかったです。
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優勝報告からの、オー・・・、ウェーイ!! な一幕。
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キャプテンの皆本選手を先頭にアリーナ席の観客とのファンサービス。
10,000人の前でこの一連の流れを見たいなと思いました。
楽しみにしています。 
26 7月

2015/7/26(日) Fリーグ第14節 墨田区総合体育館 『アンフェアな存在』

2015/7/26(日) Fリーグ第14節 墨田区総合体育館 『アンフェアな存在』
フウガドールすみだ 5 - 5 府中アスレティックFC

すみだにとって6日前に絶対王者名古屋を降してオーシャンカップ王者に輝いた府中を迎えての一戦。

府中のテンションが上がらない前半早々にすみだお得意の前プレとタテに速い攻め、左利きの曽根選手をゴール右に置いて合わせるフリーキックがズバリ決まり4-1のリードで前半終了。
 
後半はパスだけではなく、ドリブルでのプレス回避を選択した府中が徐々にリズムを作り、左サイドからの永島選手の突破、小山選手のタメでポイントを作りつつ、後半15分に小山選手が突き刺して4-5と府中が逆転。

素早い攻守のトランジッション、ゴレイロの重要性、タイムアウトを利用しての相手への対応など、体力と知力と感情が交差するフットサルの魅力を1,308人の観客の前で披露した好ゲームは太見選手、稲葉選手、諸江選手らファウルトラブルで欠場した主力3人の穴を埋めて有り余る活躍を見せた青山選手が試合終了34秒前にエリア内から見事な反転シュートを決めて5-5で幕を閉じた。

すみだ、府中とも持ち味を発揮した天晴れなゲームだったが、試合終了5秒前にカウンターで抜け出したすみだの岡山選手を府中の田中選手が倒してレッドカードになった場面があった。
 
直前のプレイで田中選手のスローを前線に張った完山選手がトラップし、そこにすみだの清家選手がプレスに行きゴールラインを割る。
そのボールがすみだのゴールクリアランスと判定され、素早いリスタートから前述の岡山選手と田中選手のプレイへと繋がった。
 
私の角度からはラストタッチがどちらかはわからず、ボールデッド後のクイックリスタートというフットサルらしい攻防に見えたが、一連のプレイを俯瞰で把握できる2Fスタンドの府中のサポーターからは試合終了後『コーナーキック』のコールが上がっている(ラストタッチは清家選手で、ミスジャッジからのプレイで退場は不当という主張)。

今日のようなハイ・トランジションのゲームは、審判が上手くゲームをコントロールしているからこそ起きる展開で、主審、第2審判とも選手の温度感を尊重し、試合を止めることよりもアドバンテージを優先とした好演出だったように思うし、個人的には審判の役割は一環した判断基準で前半、後半の各ハーフをマネジメントすることであると思っていて、選手と同一角度からの確認になるラストタッチの正確さを厳格に求めるのは少々気の毒かと思う。
(前述の場面では田中選手は渋い表情ではあったものの異論を挟まず退場し、抗議した府中のキャプテンである皆本選手も常識的な時間内で抗議を切り上げている)

名古屋がAFCを制し、日本代表もアジアチャンピオンに輝くなど、選手のレベルは間違いなく劇的に上がっている一方で、審判のレベルが問われることがままある。
オーシャンカップのリガ愚連隊や総長のドゥアルテ氏をシメられなかったのは特殊な事例として例外とするが、個人的には及第点を与えていいと思う。

ほとんどのFリーガーと同じく審判一本で生計を立てている人はおらず、あくまで平日は生計を得るための仕事をし、土日は選手がピッチでアップをする横でランニング、ステップワークのドリルをこなして試合に臨んでいる。

『審判ハッキリ』
『ちゃんと見てるの』
『もう1人のジャッチはどうなの』

上記は先週のオーシャンカップの3日間でサポーター、選手から審判に向けられた一言だ。

選手、監督には試合後の記者会見やコメントが許されている一方で、自分の判断の基準を発する機会のない審判は少々気の毒に思う。
 
過去には一部の選手、監督が痛烈な審判批判をしたことでリーグから厳重注意を受ける事例もあったが、言葉を発する権利を認められていない審判はゲーム中にフェアネスを求められるものの個人しては発言権がないというアンフェアな存在で、彼らの生の声が届けられないことが選手、監督、ファンからのヘイトに繋がっている。

自分の役割を果たし、沢山の人に見てもらい、良いことも悪いことも評価を受け入れ、消化するからこそ成長がある。
 
選手も監督も審判もひとりの人間で、正しいことも間違うこともある。
だからこそフットサルは味わい深く、示唆に富んでいてとても面白い。

9年間リーグ主導で運営されてきたFリーグ。
そろそろ選手も審判も声を挙げていい時期だ。
個人個人で想いを発信するのもいいが、選手会や審判会を立ち上げ、自分達が何を考えているのかを大きく打ち出し、改善策を組織的に声にする時期に来たように思っている。

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すみだホームの墨田区総合体育館。錦糸町駅から徒歩5分ほどの好立地
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相変わらずテンションの高いウォーミングアップをするすみだ。
両手を広げるのはNo9田村選手。
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会場人気も高いすみだのゆるキャラのスミダイル。
中の人、いつもお疲れ様です。
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審判団と両キャプテン(すみだNo3金川選手/府中No5皆本選手)
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絶対王者名古屋を6-0で破ったオーシャンカップ王者府中
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オーシャンカップ準々決勝で名古屋に8-0で敗れたすみだ
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すみだホーム名物の円陣。これを見れるのが生観戦のプレミアムのひとつです
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会場人気抜群のイケメンゴレイロ、No21清家。
試合後の選手お見送りでは写真、サインを求めて女性ファンが取り囲みます(納得)。
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久々の登場になったすみだ唯一のレフティーNo25曽根
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実況の稲葉氏とスタジアムMCの濁川氏
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すみだフリーキックで得点の場面。
左利きの曽根選手を右隅に立たせて速いボールに合わせるズバリの采配
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得点を挙げたNo5皆本選手、No13渡邉選手
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すみだ4点目の場面。若干18歳で堂々の活躍を見せるNo11清水選手
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ハーフタイムにキレキレのダンスを見せる濁川氏とスミダイル。
会場の一部から『あのカワイイ人、何者ですか!!』の声があったことを小声で呟きます。
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ピヴォとして前線で起点を作ったNo12小山選手
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5-5に追い着くゴールを決めたNo13青山選手
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府中No1田中選手の退場の場面
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MVPに輝いたNo16岡山選手
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墨田区総合体育館から徒歩3分ほど。牡蠣ラーメンが絶品な麺や佐市。
なりたけと並ぶ錦糸町の名店です。 
24 7月

2015/7/24(金) 墨田区総合体育館 アングル集

2015/7/24(金) 墨田区総合体育館 アングル集 

ヘタクソ写真ですが枚数だけは増えてきたので、墨田区総合体育館での各席からのアングル集を作ってみました。

墨田区体育館は席種が2つあり、1つは2階スタンドと1階バックアリーナで有効なもの(前売1,500円/当日2,000円)。
もうひとつは選手のベンチの真裏、1階メインアリーナで有効なベンチ裏のスミダイルシートです(前売2,000円/当日2,500円)。

今シーズン、頭脳戦になりそうな大阪、浦安戦は俯瞰で見れる2階スタンド、感情的になる選手が多い町田戦は迫力のあるスミダイルシートで見てみました。
7/26(日)オーシャンカップ王者府中との一戦は体格のよい選手が多く、激しい肉弾戦になりそうなのでスミダイルシートがオススメかもしれません。

写真は以下のエントリーからチョイスしています。
◆スタンド席からのアングル
2015/7/4(土) Fリーグ 第12節 墨田区総合体育館 
フウガドールすみだ 5 - 2 バルドラール浦安

◆スミダイルシートからのアングル
2015/6/6(土) Fリーグ 第7節 墨田区総合体育館
フウガドールすみだ 2-3 ペスカドーラ町田

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錦糸公園内にある墨田区総合体育館。JR錦糸町駅から徒歩3分ほどの好立地。
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2Fバックスタンド入口から
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すみだ名物の円陣。2Fメインスタンド中央から。
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集合写真。これはズームで寄っています。
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ハーフタイムイベント。
威風堂々スミダイル。
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2Fメインスタンドサポーター席の裏から。
オー・・・、ウェーイ!! なポーズ。
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2Fスタンド角からの俯瞰で。
1,523人の観客を集めた試合後です。
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1Fスミダイルシート入口。
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中央から。
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すみだ須賀監督と町田岡山監督。
こういうやりとりを見れたりするのがこの席の付加価値だと思います。
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タイムアウト時。指示の声が聞け、ボードを見れるのが非常に面白いです。
ボードを見える位置に移動する人もいたりします。
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試合終盤1点リードでの町田のタイムアウト。必死さが伝わります。
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この日は2-3ですみだが敗戦。
ローもハイも選手のテンションが近くでわかるのがこの席の良さだと思います。
20 7月

2015/7/20(月/祝) オーシャンカップ/神戸フェスタ 3位決定戦 グリーンアリーナ神戸 『愚連隊の素顔』

2015/7/20(月/祝) オーシャンカップ/神戸フェスタ 3位決定戦 グリーンアリーナ神戸
3位決定戦
ニカラス・リガ 1 - 1 (PK 4-3) エスポラーダ北海道
決勝戦
名古屋オーシャンズ 0 - 6 府中アスレティック

準決勝の名古屋戦の退席処分により、ドゥアルテ監督が不在の3位決定戦。

スタンドから運営担当者のマンマークを受けつつ、質の高いウォーミングアップを行う愚連隊を見守るドゥアルテ氏。
3位決定戦ゆえにテンションも落ちたのか、刺すような眼差しは幾分収まり、時に眠そうに目を細める。
 
昨日はいいゲームでしたね、と話しかけると写真撮影をお願いしたとを覚えてくれていて、快く握手とサインに応じてくれた。
おおっぴらには褒められないゲームを連発したリガとドゥアルテ氏。
来年もまたあなたが率いるチームを見たい、と伝えると、深い目と分厚い手に力を込めて『of course』と返してくれた。

スピードのある北海道を相手にハーフに引いてのディフェンス、ボール奪取後は一人が前線にポイントを作り、預けてからの押し上げという、コンサバティブな試合運びを見せるこの日のリガ。
 
勤勉さと忍耐を要求される退屈な組織戦術を淡々と遂行する選手たち。
今大会CGのようなドリブルを連発した室田祐選手の魅せるプレイに腹を立てた選手がスタンプ気味にチャージする場面はあったものの、前半15分過ぎまでリガのファウルカウントはゼロ。
ラフな当たりはなりを潜め、これまで感情のままに試合に臨んでいた彼らの意外な表情に私は困惑した。

前半18分。
リガが北海道ゴール前に迫り先制点のチャンス。
数名の選手がボールに絡む混戦の中で悪質なプレイがあったとして91番のオスカルスが2枚目のイエローカードで退場になる。
準々決勝の町田戦ではリガに毅然とした対応ができなかったばかりに試合は荒れに荒れた。
私のアングルからはよくあるゴール前の攻防に見えたが、この日の審判団からは試合に対する彼らなりのメッセージが見受けられる。
最後の試合となったこの日、審判団はようやくリガと向き合い、明確なコミュニケーションにチャレンジした。

これまで体を張った攻守を我慢強く続けたものの、若干気の毒なジャッチの犠牲になったオスカルス。
フロアを去る際にスポンサーの看板をフルスイングで蹴り上げる。
木製でそれなりの重さであるはずの看板はありえないほどに吹っ飛び、一瞬呆然とした運営担当者が慌てて看板を直した。

後半早々に室田祐選手が先制点を挙げ、線の細い本田選手がドップリとした体格ながらゴール後にはバク宙のパフォーマンスを見せるギオルギと駆け引きを続ける。
リガも退屈と二アリーイコールなコンサバティブなフットサルで同点を狙いに行くも決め手に欠け時間が過ぎていく。
このまま試合終了の雰囲気が出てきた後半17分。
体格とストライドの長さを活かしながら、徐々に攻勢に出ていたリガがついに追いつき、退場になったオスカルスがスタンドから雄叫びを挙げた。

一昨日、昨日とまったくなかったリガへの声援は、幸か不幸かオスカルスの雄叫びが先導し日本人の観客にも飛び火していく。
PK戦では北海道のムードメーカーの吉田選手がスタンドへ声援を要求し、調子に乗ったリガもスタンドを煽るとこれもまた大きなリアクションがあった。

関口選手とアントヌス。
チームを大会最終日の6日目まで連れてきた両ゴレイロ。
爽やか北海道と愚連隊リガを代表してペナルティスポットからゴールラインまでの6メートルで睨みを利かす最終決戦はアントヌスに軍配があがり、大男達は大はしゃぎでアントヌスに抱きつき、観客は労いの拍手を送った。

乱闘寸前になるほどのラフな試合を演じ、相手からは敬意を欠くと非難された町田戦。
退屈な組織戦術を淡々とこなし、地味ながらも手堅い『フットサル』を見せた北海道戦。
一昨日、昨日と激昂した彼らが、今日はこんなにも単純に3位決定戦の勝利を喜んでいる。

スタンドで試合を見守っていたドゥアルテ氏が微笑みながらフロアに降り、会場の隅であの指笛を吹く。
選手たちはドゥアルテ氏の元に集まり、歓喜のダンスを踊った後、重そうな体を嬉しそうに胴上げした。
(ドゥアルテ氏は昨日の退席処分のペナルティでサイド・ゴールラインを跨げない)
フロアに座る選手ひとりひとりに話しかけ、嬉しそうに笑い、固く握手をする。
気難しい刀匠のような厳粛さはどこにもなく、その姿はバルで談笑し、ビールを傾ける愛想のよい好々爺のようだ。

閉会式。
3位決定戦で退場になったオスカルスの出席をめぐって運営担当者とトコトンに揉め、リガは3位の表彰をボイコットした。
血相を変えた運営担当者の前で、客席に向かって拍手を求め、観客もそれに応える。
最後の最後まで日本人の尺度で測ることができない価値観を披露し続けた一団は、いつのまにか観客の心を掴み、喝采を残してラトビアからの愚連隊はフロアを去った。

表彰が進み、優勝した府中の写真撮影。

ふと観客席を見渡すと通路を穏やかな表情で歩くドゥアルテ氏がいた。
終始気難しい印象のあったドゥアルテ氏だが、準々決勝の町田戦後には予選リーグで2-4で敗れたすみだの須賀監督と笑顔で握手を交わし、今日の3位決定戦後には、一緒に試合を観ることになった運営担当者の少年とカメラマンの方を交えて嬉しそうに談笑している。

彼の素顔はどこか。

誰にも気づかれず、静かにゆっくりと歩く姿は、なんだか話しかけるのもためらわれてしまい、そっと背中を見送った。

試合だけならまだしも運営面でのメンツも潰すことになってしまったリガが来年も同大会に招致されることはまずないだろう。

『of course』

と言ってくれた氏の深い目を思い出す。

彼は彼のフットサルで何を表現し、何を伝えたかったのだろうか。

通路に消えていく背中を見送りながら、ラトビアまで写真とファンレターを送ろうと思った。

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ドゥアルテ氏が不在のリガベンチ
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いつもどおり中央にはフェアプレーフラッグ
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重苦しいイメージのあったリガ。今日は陽気にハイタッチをして試合に入る93
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リガのエース、No10ギオルギ選手(正面)。ゴール後にはバク宙のパフォーマンスを見せる
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大会を通じて出色のプレーを見せた北海道のゴレイロ、No1関口選手
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キックオフを待つドゥアルテ氏。奥の女性は通訳の方。お疲れ様でした。
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普段はクローザーとして短い時間の出場ながら、準決勝、決勝はセットに入って攻守に奔走したNo3吉田選手
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リガNo91オスカルスの退場の場面。
フットサル的にはR15あたりのレーティング
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ギオルギとドックファイトを繰り広げるNo18本田選手。
剛と柔、野性と知性の好勝負。
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会場を沸かせ続けたNo7室田祐希選手
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後半17分のリガのタイムアウト。
タイムアウトからのキックインの流れで待望の同点ゴールが生まれる。
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退場し観客から観戦するオスカルスが大喜び。
この後、運営担当者からフロアに近づきすぎだと怒られる。
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PK前のインターバルで、降りれないなら選手を呼ぶオスカルス。
このチームはもう何をやっても驚けない。
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リガはキーパーをNo16カスパルスからNo35アントヌスへスイッチ
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PKを制し歓喜のリガ。
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強引に輪に入って怒られるオスカルス。
マナー云々ではなく、喜怒哀楽が激しく、熱くなりやすいお国柄なのかもしれない。
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フロアの隅に選手を呼ぶドゥアルテ。
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歓喜のダンスから胴上げ。
オスカルスと対比し、こういうことを知っているドゥアルテ氏に熱さだけではない冷静さを感じます。
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本日のマンマーク担当者、カメラマンと談笑。
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インテンシティ高めなハイタッチ&ハグ。
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観客の喝采に応えるリガ。
こういうリアクションを取らせる力もあるチームだっただけに、色々と悔やまれる。
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閉会式。コメントは控えます。
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通路の奥に消えるドゥアルテ氏。
この人がいたからここまでこの大会にのめり込むことができた。
20 7月

2015/7/20(月/祝) オーシャンカップ/神戸フェスタ 決勝 グリーンアリーナ神戸 『あと一歩・もう一歩』

2015/7/20(月/祝) オーシャンカップ/神戸フェスタ 決勝・3位決定戦 グリーンアリーナ神戸
3位決定戦
ニカラス・リガ 1 - 1 (PK 4-3) エスポラーダ北海道
決勝戦 
名古屋オーシャンズ 0 - 6 府中アスレティック

名古屋の強みは40分間落ちないフィジカルと機械のような正確性だ。
速く、精度の高いクアトロで人とボールを動かし、少しでも相手が着いて来れないと見るや、強烈なシュートを突き刺す。
相手は『あと一歩』のプレスができなかったことを悔やみながらネットに収まったボールを恨めしげに見つめ、選手、ファンからはやはり名古屋は素晴らしかったという趣旨の声を聞く。
そんな光景が大舞台の名古屋戦だ。

開始から1分39秒。
今期名古屋から府中に移籍した渡邉選手が古巣を相手の決勝戦でフリーキックをズバリと突き刺して先制。
同14分7秒。
今大会好プレーを随所に見せた柴田選手がカウンターから押し込んで0-2。

名古屋相手の2点はセーフティーリードではない。

森岡薫。酒井ラファエル良男。ペドロコスタ。吉川智貴。
Fリーグを9連覇。オーシャンカップを5連覇。全日本3連覇。
昨シーズンのアジアNo1チームの1stセットを務めるタイトルメーカー達は淡々と得点を取るための作業を再開する。

攻める名古屋。
守る府中。

前半25本。後半21本。
合計46本もの砲弾のようなシュートを弾き続けたクロモト選手、田中選手の両ゴレイロの活躍も素晴らしかったが、今日の府中はこれまで大舞台で名古屋の前に散っていったチームが悔やんだ『あと一歩』のプレスを、FP全員がやり切り『もう一歩』の足を出して少しでもシュートコースを削り、限定する。

アジア最高のゴールハンターである森岡選手にはキャプテンの皆本選手がマンマークにつく。

ゆっくりと足裏で左右に持ち替えながら、急激にアウトサイドでボールを持ち出してのシュート。
右足を回転させながら相手の重心を見てイン・アウトをチョイスする仕掛け。
シュートフェイントからシューズが床を擦る音が聞こえるような足裏での鋭い切り返し。

質量ともに郡を抜く数々のゴールを創造してきた森岡選手のアクションに、必死で食らい付く皆本選手。
長身選手がひしめく府中で目を引く168cmの小さなキャプテン。
弁慶と牛若丸のようなフェアで熱いふたりの名勝負に会場からは喝采がやまなかった。

後半29分にフリーキックからのデザインプレーを永島選手が沈めて0-3とし、残り10分からの名古屋のパワープレー。
7分間は府中のディフェンスを外郭に囲うピラミッド型。
残りの3分間は府中のディフェンスの中央に1人を置くクロス型。
結果論だが前に強い府中相手には、後ろ向かせる機会を多く作れるクロス型のほうがチョイスとしては正解だったように思う。

6日間での5試合目。
名古屋のパワープレー中も『もう1歩』のプレスは最後まで落ちることはなく、完山選手、柴田選手がパワープレー返しを成功させ、試合終了30秒前には相手の絶対的なエースを抑え続けた皆本選手にもパワープレー返しでの得点が生まれ、先制から中押し、相手のパワープレーを返して加点と、強い名古屋の勝ち方を踏襲するような磐石の試合運びで府中がチーム創設以来初めてのタイトルを獲得した。

終了9秒前で逆転され、1秒前に同点。
迎えた延長戦で自らの得点で勝ち越して勝利を掴むというドラマチックな準決勝の北海道戦後、皆本選手は『決勝は沢山の人に見てほしいからSNS等で情報を発信してほしい。もちろん自分も発信する』という趣旨のコメントを残している。

観客数は準決勝882人。決勝1,635人。

今週末(7/25(土)、26(日))から再びFリーグが始まる。

前述のパワープレー返しの場面で皆本選手は、自陣ゴールから府中サポーターが待つスタンドまで約40メートルほどを全力で駆け抜け、誰よりも大きな背中と、表情豊かなガッツポーズを見せている。

彼のカッコよさは写真より、映像より、ライブに映える。

沢山の人にチャンピオンチームを引っ張る大きな背中と、熱苦しくも胸を打つイイ表情を見に来てほしい。

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名古屋No9森岡選手
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名古屋No15吉川選手
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名古屋No4酒井ラファエル良男選手。No19篠田選手
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府中No5皆本選手
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名古屋No14ペドロコスタを入れてのパワープレー
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ピラミッド型のパワープレー。シュートコースが最後まで開きませんでした。
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パワープレーを守る府中。
No5皆本選手。No12小山選手。No21柴田選手。No25完山選手。No1田中選手。
このセクステットで10分間を守り切り、3点のPP返しを挙げています。
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真剣に指示を聞く名古屋の森岡選手とリカバリーに集中する府中の皆本選手。
見応えのある名勝負でした。
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酒井ラファエルを中央に置くクロスの型。
結果論ですが今日の府中相手の正解はこちらだったかもしれません。
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前半25本のシュートを防ぎ、MVPを受賞したNo96クロモト選手。
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表彰式を見つめる名古屋の選手達。
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府中の選手が掲示するフラッグは、府中にゆかりがあり、昨年急逝されたロベルト・ケン・村井氏を追悼するもの。
『私たちはフットサルにかけたあなたの情熱を忘れない』
というシンプルなメッセージが胸を打ちます
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19 7月

2015/7/19(日) オーシャンカップ/神戸フェスタ 準決勝 グリーンアリーナ神戸 『オルランド・フランチスコ・アルヴェス・ドゥアルテ』

2015/7/19(日) オーシャンカップ/神戸フェスタ 準決勝 グリーンアリーナ神戸 
ニカラス・リガ 2 - 5 名古屋オーシャンズ
府中アスレティック 3 - 2 エスポラーダ北海道

準決勝開始前に行われた日本女子代表とカタルーニャ女子選抜の親善試合のさなか、偶然にも2時間後に名古屋との準決勝を控えるリガのドゥアルテ監督を客席にてお見かけし、厚かましくも昨日の試合の感想をお伝えし、写真をお願いさせていただいた。

1995年から2010年までポルトガル代表の監督を務めたドゥアルテ氏。
同国を欧州を代表する強豪に育てあげ、名古屋のキャプテンであるペドロコスタのポルトガルでの恩師でもあるフットサル界の重鎮だ。
(交友させて頂いている府中アスレティックのオフィシャルFacebookで『ハリスの目』を寄稿されているスティーブ・ハリス氏から情報提供いただきました)
 
ドゥアルテ氏が考えるフットサルのレベルから大きく劣るはずのこの試合を、彼は真剣な眼差しで見つめ、顎に手を置いたまま微動だにしない。

少なからずチームのスポークスマンとしての役割を務め、ファンサービスを暗黙の旨とする監督というポジション。
一心に刀に槌を落とす刀匠のような眼は深く、表情はピクリとも笑わない。
彼と話した数秒の緊張感はなんとも言えず、首元を触るとベットリとした汗が浮かんでいた。

リガ対名古屋。
試合開始前のウォーミングアップを見る。
昨日と同じくしっかりとしたベーススキルと、フットサルIQの良さがあり、よくあるはずの3人でのパス回しからのシュート練習では、抜ける、止まって中を使うムーブのバリエーションが異常に豊富で、彼らが非常に知能指数の高いフットサルに習熟していることがよくわかった。

そのうえでラフや、ルールのギリギリを突く。
フットサルを深く理解しているのに、フットサルをしないことを試合の最適解としてチョイスする彼らのスタイルは逆説的であり、私は興味を引かれずにはいられない。

試合はオウンゴールでリガが先制し、開始1分14秒の昨日に引き続き、今日は5分49秒でタイムアウトを取る。
ワンプレーにがなり、審判に悪態をつき、コーチングエリア一杯まで出て紛らわしい指笛を吹いて愚連隊を鼓舞する。
そこには観客席で見た静謐で、青い炎が燃えるような佇まいは微塵もなかった。

8分45秒。
コーナーキックからの浮き球を森岡選手がズバリと突き刺して同点。
ハーフまで引いてゾーンで守るリガを相手に、ゾーンの頂点を外して侵入し、接触プレイを避けながら試合を進める名古屋。
国際試合の緊張感が漲る彼らの果し合いは間違いなく『フットサル』だ。

19分24秒。
リガ陣内のキックイン時に取った名古屋のタイムアウト。
タイムアウトの1分終了後、何度審判が促しても試合に戻らないことを理由にとうとうドゥアルテ監督に退席処分が宣告される。
悪態をつき続けるドゥアルテ監督の前で、キックインのボールを持つペドロコスタ。
日本で敵味方として再会することになった彼らの一戦は意外な形で幕を閉じ、その後は研鑽された物量をベースに、試合が進むほど相手を圧倒していく強い名古屋の勝ちパターンで名古屋はリガを降した。

退席後、観客席から試合を見つめるドゥアルテ氏。
その眼差しは2時間前と同じく真剣で、顎に手を置いたまま微動だにしない。
恐ろしいほどに徹底された静と動。
こんな監督を私は見たことがなかった。

選手、監督はみな愛想がよく、ファンとの距離が近く、取っつきやすいイメージのある日本フットサル界。
気難しい哲学者のような彼が日本で指導者となる姿を想像する。
不遜なまでに我を通す彼のような人物は劇薬で、スポンサー受けはまったくよろしくないだろう。

群れない。媚びない。妥協しない。
 
決して褒められた行動ではなかったが、この5日間の間に、氏は間違いなく沢山の示唆を残している。
今我々が持つ価値観で彼のことは測れないが、我々と違うということのみで彼を判断するのではなく、彼の価値観を理解しようとする過程に沢山の成長があるように思う。

指導者としてというのは実現しないだろうが、来年も彼が率いるチームが対戦相手として来てほしい。
彼が日本が好きかはまったくわからないが、明日の3位決定戦終了後、フットサルを大好きであるはずの彼が、その表情を少しでも崩して笑顔を見ることができたら私はとても嬉しい。

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キャプテン同士のチームフラッグ交換後に、握手をするかつての師弟
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退席後、チームベンチの上の階に上がり『リガ頑張れ!!』と叫んだドゥアルテ氏。正直言ってぶったまげました。
(その後、運営担当者にマンマークされ観客席で観戦されていました)
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とにかく緊張しました。
英語も話される方なので、ご挨拶する方は事前にお話ししたい内容を英語でまとめておくといいと思います。
(一部でアップされていたので、私もヤケクソでアップしました)
18 7月

2015/7/18(土) オーシャンカップ/神戸フェスタ 準々決勝 グリーンアリーナ神戸『国際大会の価値』

2015/7/18(土) オーシャンカップ/神戸フェスタ 準々決勝 グリーンアリーナ神戸
ペスカドーラ町田 2 - 2(PK 4-5) ニカラス・リガ
フウガドールすみだ 0 - 8 名古屋オーシャンズ
デウソン神戸 0 - 3 府中アスレティック
シュライカー大阪 3 - 3(PK 2-3) エスポラーダ北海道

Fリーグ12チーム、地域リーグ2チーム、海外招待4チームの計18チームを集めたオーシャンカップ/神戸フェスタで、唯一、Fリーグ以外から決勝トーナメントに進出した海外招待チームのニカラス・リガ。
ラトビアに本拠を持つこのチームは、フィジカルコンタクトが非常に荒く、予選リーグの浜松戦では乱闘寸前の騒ぎになったことで話題になった。

◆リカラス・リガ チーム紹介(Fリーグ公式サイトからの引用です:http://www.fleague.jp/news/?p=10712)
ラトビアから参戦するFK ニカラス・リガはラトビア・プレミア・フットサルリーグ(Latvian Premiere Futsal League)に所属する北ヨーロッパの強豪。
2014/2015シーズン全14試合のリーグ戦を無敗で優勝し、UEFA FUTSAL CUPにも出場するなどラトビア国内で圧倒的な強さを誇るチームです。


今日の町田戦でもキーマンのボラ相手にガッツリ食いつき、激昂したボラが相手に殴りかかろうとして一発レッドで退場となり、アメリカンプロレスの名物オーナーのようにキャラの立った監督と女性コーチが判定と敵味方のプレイについて四六時中ピッチに向かってがなる。
やりたい放題のリガ愚連隊を相手に、金山&中井の小兵コンビが少年マンガの主人公のような活躍を見せて2-2に追いつくも、最後はPK戦の末にリガがしぶとく差し切った。

試合終了後、ベンチに挨拶に行ったイゴールと、迎えたリガの監督が徐々に険悪な雰囲気になり、浜松戦と同じく乱闘寸前となって場内は騒然とした。
詳細は語られていないが『ラグビーのような試合でリガは対戦相手へのリスペクトを欠いている』とイゴールはSNSで発信している。
アメリカンプロレスとして楽しむならキャラの立った監督、コーチ、選手のキャストは十分満足のいくファイティングオペラだったが、フットサルとしては食傷気味で、18禁にしても足らない40分間は育成年代の選手には極力見てほしくない。

この落とし前は日本唯一のプロチームとしてアジアチャンピョンにも2度輝いた名古屋にキッチリと取ってもらうとして、試合を見た人には極悪ヒールとして認識されただろうリガにも選手、審判とも学ぶべきものはあった。

ダーティーなイメージがたっぷりついたリガの監督だが、前プレで試合に入るも、町田にプレス回避されてボラにフリーでシュートを打たれた前半1分14秒に早々にタイムアウトを取り、ラインの位置を下げハーフラインからのゾーンディフェンスに変更しするという見事な修正を見せている。
また、ボラが退場になった前半13分には、町田が審判に抗議し自分たちに注目する審判がいなくなったことを確認すると、選手を車座に集め抜け目なくボードを使ってたっぷりと修正点の指示を出した。

コンタクトの荒さに目が行きがちな選手たち。
ウォーミングアップの外6人/中4人/フリーマン1人の鳥かごでは意外にもしっかりとしたベーススキルと、フットサルIQの良さを披露し、2点目のゴールを挙げた10番を背負うギオルギは日本代表のフィクソの滝田をシュートフェイントで寝かせ、続くFリーグ最高のゴレイロのイゴールもドリブルでかわしてゴールに流し込んだ。
上半身の厚みと、ボリューム感たっぷりの臀部を持ついかにも欧州型の体型のこの選手は、驚くべきことにゴール後に側転→バク宙のパフォーマンスも披露している。
 
あつかましくもふてぶてしく、ルールのギリギリを突き、極東の島国で行われた大会であっても何がなんでも勝ちに来る。
今大会3試合とも同じような展開になったということは、彼らは悪意を持って大会に臨んでいるのではないはずで、このスタイルが常態であり、これが普通というリーグでフットサルをしているはずだ。

フェアプレーは遵守すべきだ。

だが、フェアプレーのボーダーラインは国、地域によって微細に、時に大いに異なる。
自分たちがあたりまえとしていた文脈で挑み、飲まれてしまった浜松と町田には気の毒だが、国際大会になればこういう試合はままあるはずで、AFCで名古屋はこういう理不尽さや怒りときっと毎年向き合っている。

スペインの至宝が集ったカタルーニャ選抜が予選で敗退してしまったことが非常に残念だったが、リガが勝ち上がり、彼らについて議論が沸き起こったことに国際大会としての価値がある。

明日、準決勝のリカラス・リガ VS 名古屋。
私たちが普段目にしていない名古屋の凄味が見れるはずだ。

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PK戦が決まった直後。リガは全選手が寝転がって足を椅子にかけ、短い時間でもリカバリーしようとしています。
このような光景は初めて目にしました。
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11 7月

2015/7/11(土) Fリーグ 第13節 浦安市総合体育館 『Fリーグの距離感』

2015/7/11(土) Fリーグ 第13節 浦安市総合体育館 
バルドラール浦安 3 - 1 アグレミーナ浜松

フットサル全国リーグのFリーグで、地元チームのアグレミーナ浜松が本拠地で戦った第6節。
選手による反則プレーやプロ選手らしからぬ言動や態度などが目立ち、乱闘寸前の出来事で試合は一時中断した。
対戦相手の監督は会見で「組織としての規律がなさすぎる」と怒りをあらわにした。

5月に始まった今季リーグ戦で、6戦まで浜松は未勝利。
選手はストレスを感じていたのかもしれないが、決してファンを落胆させてはならないと思った。

取材をしていた自分も、残念を通り越してがっかりした。
勝てるチームを目指す前に、その瞬間の感情で取り乱したりせず、プロ選手としての自覚と覚悟を持って、プレーしてほしい。
(静岡新聞地方版コラム『清流』からの引用です。清流:http://www.at-s.com/news/column/seiryu/)


『Jリーグみたいなプロリーグのフットサル版』
フットサルを知らない人にFリーグのことを話す時、こう話すと話が早い。
完全にプロなのは12チーム中名古屋だけで、他のチームは有体に言うならセミプロであり、アマチュアだ。
厳密に言うなら『全国リーグ』が正解だが、この言葉に馴染みのある人は少なく、かえって説明がややこしくなる。
正確ではないが、嘘でもない『プロリーグ』という言葉はこういう時には非常に便利だが、実際のところ選手には、

①生活のための仕事と家庭
②競技フットサルとしての練習と試合
③見られる立場としてのクリニックとファンサービス

があり、②と③でどれだけのお金が選手に入っているのかは私にはわからなし、フットサルファンとして素晴らしい試合を沢山観たいと思うけれど、プロではない以上、選手にはまず自分の生活の基盤である①を最優先にして欲しいと思う。

星選手が全治6週間のケガを負い、前述の記事の通り荒れ試合になった浦安VS浜松のリターンマッチ。

12節を終えて12戦全敗。
勝点0の浜松が前半6分に先制し、同16分に浦安が同点に追い着いて前半終了。
後半はジリジリした鍔迫り合いが続くも、15分に今年セグンドからトップに昇格した野村選手のFリーグ初ゴールで勝ち越し。
同点を狙った浜松のパワープレーを荒牧選手が見事に返して3-1で浦安が逆転勝利。

0-1で試合をリードする前半14分に審判への異議で浜松の小池選手、田中選手の2選手がイエローカードを提示され、浦安サポーター席から『態度悪いぞー』の野次が飛ぶ場面があった。
 
『プロ選手らしからぬ言動や態度などが目立つ』の記事を思い出す。
選手もプロではないし、審判もプロではない。
ただ、周囲からはプロとしての競技力や振る舞い、トップリーグを構成する存在としての模範を求められる。
このギャップが観ている側としてはなんとも心苦しいし、Fリーグとどう接するべきなのかの距離感を9年目にして自分はイマイチ計りきれない。

私は学生時代、部活動と勉強の両立ができず、どちらも嫌いになり、うやむやに諦めてしまったので、レベルに雲泥の差はあるものの、生活とフットサルを両立し自分ができなかったことを実現している選手達を憧れの目で観ている。
大変なのは重々承知だが、だからこそ自分が取り組むものの価値を貶めるようなことをしてほしくないし、せめて見られる場面では嘘でもいいので取り繕ってほしい。

ブレイクの兆しが見えないどころか、漸減を越え、急に谷間を迎えた感すらある9年目のFリーグ。
5月には北嶋選手の事件があり、一昨日にはフットサル関係者の脅迫事件が明るみになった。
プロではないがプロとして見られ、公的にはジャンルを代表する立場として認識される日本代表や、○○選抜という肩書きは好餌でしかない。

後半の焦れる展開を田中選手は真剣な視線で見つめ、Fリーグ初ゴールを挙げた野村選手は心底嬉しそうで、彼らが目の前の試合に賭け、フットサルが価値のあるものだと信じていることは痛いほどよくわかる。
そんなふたりの表情が印象的だったこの試合の観客数は、今季の浦安のホームゲームとしては2番目に低い866人だった。

ゼロから築き、9年目を迎えたFリーグ。
理解し、声援をくれる人は必ずいる。 
今は我慢の時だ。

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今日初ゴールを挙げた浦安のNo25野村選手
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今日初ゴールを挙げた浦安のNo25野村選手
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