2015/7/31(日) Fリーグ第15節 府中市立総合体育館
府中アスレティックFC 7 - 1 湘南ベルマーレ
4、5年前の夏。
関東1部以来の府中市立総合体育館。
日差しの強い日に是政駅から多摩川土手をたっぷり歩いて、冷房のないうだるような体育館でフットサルを見たのがなんだか懐かしかった。
金曜日の19時30分。
バイクを飛ばし、キックオフの時間を少々オーバーして会場に到着。
チケットゲートを抜けて銀色の扉を開けると、一杯の観客が王者として凱旋したおらが街のフットサルチームを応援している。
冷房が入り、スポンサーの物販と軽食の売店もある。
こじんまりとしているけど、やれる人がやれる範囲でやれることをやっていて、ここにいる人達がみな府中アスレティックを大好きなことがよくわかるとてもいい雰囲気だ。
試合はドリブル、パスを織り交ぜたプレス回避で湘南の前プレを早々に諦めさせ、コーナー角に置いた選手をフィニッシュへのスイッチにした押し込みでオーシャンカップ王者が終始試合をドミネイトし、7-1の完勝を収めた。
おそらくFリーグ各チームのメイン会場で最も前近代的な府中市立総合体育館。
キャパシティも多くなく、イスも壁もなんだかヘタっている。
それでも毎試合アリーナ席は完売し、試合開始後のスタンド席は空いている場所を探すのが難しいほどだ。
誰かが決めたオシャレでカッコいいイメージのあるフットサル。
キレイでスタイリッシュなアリーナとは対極にあるこの体育館に毎回1,000人を越えるフットサル好きが集まり、MCとチアの先導に合わせてお揃いの茶色いタオルマフラーを廻す。
小さい箱に高密度でギュッと詰まった熱量とワクワク感を味わうのはとても心地がいい。
試合開始前には上福元選手の100試合出場達成、試合後には渡邉選手の退団、オーシャンカップの優勝セレモニーがあり、どれも選手とファンの距離感がわかる素晴らしいものだった。
オーシャンカップ優勝の挨拶に同大会で出色の活躍を見せたキャプテンの皆本選手がマイクを持つ。
優勝報告、応援の感謝と合わせて、彼は少々意外なことを語った。
『来年度オープンする予定の10,000人が入る新アリーナ(武蔵野の森総合スポーツ施設。詳細は後述)を一杯にしたい。
オーシャンカップだけじゃなく、Fリーグも、全日本も獲って、10,000人のお客さんに自分達が活躍する姿を見てもらいたい』
マイナースポーツであるところのフットサル。
単一のリーグ戦の開催で最も観客を集めたのは、奇しくも府中が対戦相手を務めることになった三浦知良ことキングカズが北海道からFリーグに参戦した札幌のきたえーるでの一戦で、その観客数は5,368人だ。
知っていればいるほどバカバカしいと一笑してしまうような夢を1,358人の前で堂々と語る。
皆本選手の目はキラキラと輝いていて、表情は少しの曇りもない。
私は府中のファンではないが、フットサルファンとして彼の発言がとても嬉しく、とても感動してしまった。
目標を持ち、継続することでしか夢は叶えられない。
『10,000人』
という明確で突拍子もない数字を聞いたのは私ははじめてだ。
苦戦は必至だ。
秀逸なアイディアと、沢山の努力が必要で、それはタイトルを獲ることよりもきっとずっと難しい。
それでも彼が夢を言葉にしたことに大きな価値がある。
10,000人。
多いのか少ないのか今はちょっと現実感を持てない。
それでも実現したいと思った私の心は彼の言葉に確かに触発されている。
夢が力になり、言葉が自分の行動を引っ張る。
そんな経験をしたことがある人は少なくないのではないだろうか。
オフィシャルHPの選手紹介にある皆本選手の座右の銘は、
『人が想像出来ることは、人が必ず実現できる』。
『人が想像出来ることは、人が必ず実現できる』。
彼とファンの夢が叶った時にこの日のことを少し自慢気に話せたら私はとても嬉しい。
◆武蔵野の森総合スポーツ施設
2016年の竣工予定。FC東京との連動企画も視野にできる味の素スタジアムの横という好立地。
メインアリーナの最大観客数は10,000人。
◆府中アスレティックFC 皆本晃選手 プロフィール
試合開始直後。今日もアリーナ席は完売。満員御礼の府中市立総合体育館。
オーシャンカップを制した1stセット。
No5皆本選手、No13渡邉選手、No14永島選手、No25完山選手。
オーシャンカップMVPのNo96クロモト選手。
ボードで指示使って指示をする谷本監督。
ティファニー製のオーシャンカップ。
価額300万円とのこと。
最後方からのキャノンシュートが持ち味の湘南のゴレイロ、No17鈴木選手。
今日の湘南はちょっと攻め手が乏しかったです。
府中の弾幕。
タイムアウト中のMCとチアによるタオル廻しタイム。
(チアに寄りすぎて全体取れていないのが残念ですが、この一体感は会場でしか味わえないものだと思います)
渡邉選手の退団の挨拶、谷本監督の優勝報告から、前述の皆本選手へ。
ちょっとマイクの位置高いんじゃない、というお約束な前フリからの素晴らしい言葉でした。
『15年間ではじめてのタイトルなので段取りに慣れていないんです』というMCの方のコメント通り、非常にぎこちなかったトロフィーのリフトアップ。
微笑ましく見守る会場の視線が暖かかったです。
退団する渡邉選手を胴上げ。
過去には監督も務めた中村恭平GMの胴上げ。
この後お約束の落とし芸がありましたが、こちらも会場の視線が暖かかったです。
優勝報告からの、オー・・・、ウェーイ!! な一幕。
キャプテンの皆本選手を先頭にアリーナ席の観客とのファンサービス。
10,000人の前でこの一連の流れを見たいなと思いました。
楽しみにしています。