2015/11/28(土) 全日本選手権 東京都決勝大会 葛飾総合スポーツセンター
ゾット早稲田 3 - 1 闘魂
BRB 5 ー 5(PK 4 - 5) FUTURO
ファイルフォックス府中 4 - 3 府中AFCサテライト
町田アスピランチ 7 - 4 カフリンガ東久留米
2013年4月の引退宣言から2年半。
晴天の霹靂のように突如再登場したディベルティード八王子戦を見てからの2ヶ月弱、難波田選手本人が語った『いつ終わってもいい夢みたいなもの』になんだか熱くなった。
◆2015/10/10(土) 第21回全日本フットサル選手権 東京都大会 『希代のロックスター』
◆2015/11/3(火・祝) 第21回全日本フットサル選手権 東京都大会 『夢中の価値』
口ではいつ終わってもいいと言いつつも、やる前から負けるなんてことは微塵も考えず、結果を出すために全員が行動する。
そんなベテラン達の今日の対戦相手は実質5カテゴリー上になる関東1部のゾット早稲田で、ここを突破すれば全日本関東予選進出という大快挙だ。
そんなベテラン達の今日の対戦相手は実質5カテゴリー上になる関東1部のゾット早稲田で、ここを突破すれば全日本関東予選進出という大快挙だ。
総力戦を避け、ゴレイロの石渡選手を中心とした堅守で守り、体力を温存しての遅攻から難波田選手のミドルシュートや、稲田選手のピヴォ当てといった局地戦に活路を見出すこれまでの3試合のゲームプランに反し、会田選手、一木選手が縦に推進するアクティブなフットサルを見せると、前半9分にファイルフォックスで活躍した佐藤選手がエリア内で倒されて得たPKを、日本代表経験のある岩田選手がズバリと決めて闘魂が先制する。
観客席からアップセットを予感させるざわめきが沸き起こるものの、すぐさま左キックインからニアの選手が絡んで流したところを関東リーグを代表するエースの1人、米谷選手がアウトサイドで冷静に引っ掛けて名ゴレイロ石渡選手のタイミングを外して同点に追いつき、このまま終了と思われた前半終了間際、コーナーキックをニアで受けた選手が、フリーの選手をチョイスして中に落とすデザインプレーから武内選手がプッシュ。
ゾットが得意のセットプレーで逆転し、前半は2-1で終了した。
後半5分。
闘魂石渡選手、ゾット渡邊選手の両ゴレイロが締まった1点差ゲームを演出する美技の競演を見せるものの、ベテラン故にスピードに弱い闘魂ディフェンスを加藤選手が高速ドリブルで振り切ってのシュートパスを松田選手がファーで合わせて3-1とすると、闘魂は後半11分からパワープレーを開始する。
東京都のオープンリーグ(競技系チームで最下層のカテゴリー。実質東京都4部に該当)で活躍する闘魂が、20分プレイングタイムかつ屋内フロアコートで試合をすることはまずない。
今日、観客が入る葛飾スポーツセンターで試合をしているのは、玉石混合のオープントーナメントをひたすらに勝ち抜き、勝ち抜けばどのチームにもチャンスがある全日本だからこその光景であり、リーグとしては東京都2部までは観客席のある会場で試合が行われることはないだろう(年度ごとに1カテゴリーずつの昇格となるため東京都2部でのリーグ参戦は最低でも2017年)。
これで負ければ奇跡のような快進撃を続けた闘魂劇場は終了するという刹那感の中『いつ終わってもいい夢みたいなもの』という言葉を思い出す。
それは試合を見つめる観客にとっても同じことで、いい年のオジサン達が夢のために全力を出す姿を見るのはとても気持ちがよかった。
終盤、試合は接触プレイを巡って荒れ模様になり、老獪な闘魂相手に冷静にゲームを進めていたゾットも熱くなる。
普段はテクニシャンながら適切な球離れの判断をする米谷選手が止めを刺さんとばかりの執拗なドリブルから4点目を狙いに行き、終盤は指揮に専念した清野選手兼監督が、判定で一悶着あった後にイラつきを隠さず憮然とした表情で試合を見つめる一幕があった。
良くも悪くも爽やかな若者たちで構成され、喉越しや読後感の良さが目立つようになった関東リーグ。
試合展開を読んでの局地戦や、審判を巻き込んでの老獪な駆け引きを見せる闘魂は、かつて難波田選手が抜群の存在感で牽引していた、勝ちたがりで個のアクが強いファイルフォックスと対戦する各チームとのヒトコマを彷彿させるものがあり、なんだか微笑ましかった。
観客にも対戦相手にも普段と異なる緊張感とテンションを要求した一戦は、このまま3-1で終了し、闘魂の快進撃はこれで打ち止めとなる。
もっと見てみたいという想いは残ったものの、闘魂の面々も素直に夢の終わりを受け入れ、彼らの夢を介錯したゾットもどこかホッとした表情だったのがとても印象的だ。
闘魂の面々は黎明期にこそFリーグで活躍したものの、競技者の旬としては不幸にもややはずれた選手たちだ。
それでも観客たちの視線を釘付けにし、フットサルファンの話題に上る。
あの時熱中したあの選手をもう一度見るのは誰にとっても嬉しいことだったろうし、嬉しいのはその選手のこれまでを知っているからであり、その『これまで』は決して恵まれているとは言えないフットサル界をひとりひとりが少しずつ広げながら駆け抜けてきてくれたからだ。
普段はどこか俯瞰だったり一歩引いて試合を見ているが、この試合にとても感情移入し、熱くなり、試合終了間際、気がつけば痛くなるほどに右手を握っていることに気づく。
Fリーグが開幕して8年が経ち、9年目も終盤に差し掛かるものの、未だブレイクの兆しは見えない。
それでも続けることに価値があるはずだし、熱くなる姿を必ず誰かは応援してくれている。
それだけは確実に言えることだ。
かつて『闘将』と呼ばれ、今はフットサル界の問題点を鋭くコメンテイトし『フットサル界のセルジオ越後』と呼ばれたりもする難波田選手。
喜怒哀楽の塊のようだった現役時代からいくらか『怒』は削ぎ落とされ、フロアの上を歩く姿を追うと髪にもどこか白いものが見える。
彼が座長となって率い、突如としてフットサル界にムーブメントを巻き起こした闘魂劇場は3日、4公演で幕を閉じた。
一度はそれぞれの理由でケジメをつけたフットサルに、それぞれの立場でもう一度向き合ってくれた彼らの夢に心からありがとうと言いたい。
闘魂と対戦するのは5日前に13-2で敗れたブラックショーツを10-2で破り意地のリベンジを果たしたゾット。
今日はベンチからのスタートとなった闘魂の発起人、日本フットサル界のアイコンの1人、難波田選手
闘魂のゴレイロNo12石渡選手と、ゾットのゴレイロNo1渡邊選手。
Fリーグ、関東リーグでも凌ぎを削った間柄。
安定感のあるセーブで締まった試合を演出しました。
前半一気に押し込み先制点に繋げた闘魂。
縦への推進力を作ったNo8会田選手、No15一木選手。
ゴール前で脅威になり続けたNo11稲田選手と、殊勲のPKを獲得したNo3佐藤選手(写真下・右)
闘魂の先制PKの場面。キッカーは日本代表、湘南、ファイルフォックスで活躍したNo7岩田選手。
2-1で迎えたハーフタイム。
集中して話を聞く闘魂メンバーとゲームプランを説明する難波田選手。
同点ゴールを決め、終盤意地をむき出しにしてトドメの4点目を狙いに行ったゾットNo22米谷選手と、稲田選手をはじめとした闘魂のピヴォを抑えたNo5丸山選手。
3-1。残り9分からNo10難波田選手をゴレイロにしての闘魂のパワープレー。
パワープレー中の接触プレーから一触即発の事態に発展した終盤。
ここ数年の関東リーグでは見られなくなったこういう雰囲気をなんだか懐かしく感じてしまった。
試合終了後、観客席に挨拶をする競技系チームのゾットと、記念写真を撮るサークル活動の闘魂。
今のフットサルとの関わり方が現れたリアルな一幕。
こちらもレジェンドの1人、40歳で関東2部を戦うフトゥーロNo5上村選手。
BRB躍進の立役者、No11直江選手とNo99佐藤選手。
府中サテライトで光る動きを見せたNo5日永田選手。
難波田選手引退後のファイルフォックスを引っ張り、関東リーグを制覇。
選手兼監督としてFリーグに数々の選手を送り込む名伯楽。
昨年、ファイルフォックスで関東リーグを制し、今年は再度Fリーグに挑戦する瀬戸選手。
アスピランチで存在感のある活躍を見せています。
昨年、全日本で準優勝をした神戸からアスピランチの監督に就任し、今年多くの選手をトップチームに昇格させた小川監督。
今日の試合でもトップの岡山監督が見に来るなど、トップ、サテライトの連携、雰囲気の良さが伺えます。