2017/9/9(土) Fリーグ第15節 墨田区総合体育館
府中アスレティックFC 4 - 3 名古屋オーシャンズ
フウガドールすみだ 4 - 2 アグレミーナ浜松

昨年はアルトゥール、チアゴ、ヴィニシウスの3人で113得点を荒稼ぎした大阪がリーグと全日本の2冠に輝き、今年もブラジルトリオのラファ、ヴァルチーニョ、ルイジーニョらがゴールを量産する名古屋がリーグをリードしている。
開幕から11連敗を喫していた仙台もアレックス、ノエ、マクロンの3人が馴染んできた12節からクラブ史上初の3連勝を果たし、第一クールを席巻した湘南はエース・ロドリゴのキレのあるドリブルと強烈なシュートが光った。

チーム力のバロメータやゲームの分水嶺のポイントとして、

『助っ人外国人選手』

の有無が話題になる。

助っ人という身も蓋もない言葉が示すように、日本人より優れているとされる彼らの何が助っ人たらしめているのかを考えてみた。

①フィジカル
パッと思いつくのが静止姿勢からの初速でブチ抜くスピードや問答無用の強シュートだが、コートサイズが小さく、カバーの距離が短いフットサルでこういった場面に出くわすことは1試合で数回だろし、これだけでは簡単に研究される。

個人的にフットサルのフィジカルと聞いて思い浮かぶのは、背中からお尻をアーチ状に曲げて面を作り、腰周りの厚さを活かして後ろ向きにボールを収めて『時間を作る』場面だ。

仙台に加入した187cmのアレックス、192cmのノエ、182cmのマクロンのサイズを活かした起点作りや、173cm/80kgのタンク体型のジョンレノン(浜松)の振り向きシュートなど、日本人相手ならガブって届きそうな距離を前述のアーチのキープでガッツリ収めたところの攻防戦は日本人VS外国人の花形だろう。

8名2セット+オプション2名のFP登録ではスピード自慢の切り込みや、キャノンシュートだけではオプションに周りがち。
説得力十分な背中とお尻をお持ちの外国人の存在感はなかなか魅力的なものがある。

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ボディバランスのいい諸江選手を鋭いターンで振り切ってシュートを放ったジョンレノン。
一本決めればノッてきそうな存在感のあるパワーシューター。

②テクニック
数試合前にアラウージョ(浜松)がヒールリフトでのサイド突破という派手なシーンを見せたが、左右の揺さ振りで相手の重心をズラして右足シュートというわかっていても止められないロドリゴ(湘南)のゴールパターンや、ボールの中央から上下左右へ僅かにミートポイントを微調整したトゥーキックでゴールの四隅を器用に打ち分けるボラ(すみだ)など、基本を仙人レベルまで突き詰め、再現度を極限まで高めたものにこそテクニックの本質はあるだろう。

特に胸の高さのボールを肩の窪みで受け止めるトラップや、腿から爪先まで左右両足をムダなく使ったリフティングなど、基本技術のオンパレードでボールを奴隷のように使役するボラのウォーミングアップは見惚れること必至でゼヒ早目に会場入りをしてほしい。
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抜群の足技を持つアラウージョは2016年のワールドカップでアゼルバイジャン代表としてベスト8とFリーグ在籍外国人ではワールドカップ最上位の選手。
トランジション過多のゲームでテクニックを活かせるかがこれからの課題か。

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現役時代は多彩なキックで名古屋の攻撃陣を操ったペドロコスタ。
負けゲーム後半のパワープレーの場面でニヤリの笑み。

③イマジネーション
ラファ(名古屋)が見せたボールをホイップするバックヒールや、ボラの相手を背負った状態でのヒールキックなど『そうきたか!!』や単純に『スゲー!!』といってしまうプレーは彼らならではだろう。

見た目は派手だがこういったプレーは相手を手や間接視野で確認したり、プレーのセオリーから逆算してこそ成功するもので平常時の状況判断も非常に長けている。

前に立っていたり、スライディングに来ているディフェンスにシュートを当てる回数が少なく(それでも打つ場合は股下や、体の側面から巻くなど相手DFすらゴレイロのブラインドとして利用)、キックフェイントで相手を寝かせてからのループや、天井から状況を俯瞰しているように味方のフリーの選手にスラす好選択が多いのもファンタジスタの特徴だ。

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割とマイペースそうなリーグ屈指の天才、ボラとラファ。
今期の仙台戦でのボラの4ゴールは圧巻。

④競技の理解、フットサルIQ
強烈なシュートやズバ抜けたテクニックがあるわけではなく、170cm/68kgという中肉中背のマルキーニョ(府中)が来日後から着々と出場時間を伸ばしている。
カウンター合戦から自軍のバランスが崩れた時にファウルを受けてゲームを切るなど冷静な状況判断が光り、セットプレーやパワープレーのメンバーに入っていることからもプレッシャーの中でも再現性の高い技術を持っていることが伺える。

数字が評価材料となる助っ人としては物足りなく映るかもしれないが、地味だが的確な繋ぎと戦術眼でどのセットに入れても潤滑油として計算できる彼らがいるだけで監督としては非常に楽だろう。

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セットプレーの場面で指差し確認をするマルキーニョ。
攻守にサボらない勤勉助っ人。

⑤勝負強さ
バスケットボールではここぞという場面での得点の多い選手のことをクラッチシューターというが、どの競技でもプレッシャーのかかる局面において良い働きができるのは名選手の証。
最近ではシビアゴール(先制/同点/逆転/勝ち越しなどゲームの趨勢に意味のあるゴール)という言葉も見かけるようになってきたが、相手の戦意を挫き、味方の士気を上げるゴールは何よりも価値のあるもので、美しさよりも感動とともに何十年後も語り草となるゴールはこの文脈からあげたものだろう。

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ゴールを量産するヴァルチーニョ(10)/ルイジーニョ(11)/ラファ(13)。
贔屓チームとの対戦で『名古屋の外国人にゴールを決められる』というだけで、一気にガックリくるファンは少なくないはずだ。

⑥間合い
外国人というよりは彼らが主戦場にしていたリーグの特性と言える。

パスラインを切りつつジワジワ詰めてヘッドダウンさせてからガッツリ追い込むこともあれば、内腿にヒザをブチ込む勢いで突進してくることもある。
国際試合や外国人選手のデビュー戦は彼らのプレスの距離感にリーグ文化が透けて見えていて非常に興味深い。

ここが激しいほどその選手の球際の強さが図れる。


助っ人外国人を助っ人たらしめるものについてダラダラと書いてきたが、当然これは日本人選手にも当てはまる。

今日の試合であれば岡村選手の背面キープで相手を引きつけてからの展開がすみだの1stセットの強みになっていたし、西谷選手や吉川選手(両名古屋)の相手の狙いを削ぐワントラップ目でのマークの外し、渡邊選手(府中)のボレーシュートには様式美すら感じる。
小兵ながらゴールを挙げた関選手(府中)や中村選手(大分)の痒いところを埋めるフォアザチームの献身は感動的で、追い込まれた時に見せる皆本選手(府中)の火事場のクソ力的なクラッチシュートは助っ人外国人顔負けだ。

他競技になるが体操では内村航平選手がオリンピック個人総合を2連覇し、陸上の桐生祥秀選手が100メートル走で10秒の壁(9.98秒)を破る。
野球では並み居る大男たちを相手に松坂大輔やダルビッシュ有、イチローらの力と技を武器にWBCを2連覇してもいる。

毎大会メダルラッシュに沸くレスリングや柔道、長谷川穂積(10回)、内山高志(11回)、山中慎介(12回)らが連続防衛記録を伸ばしたボクシング、型の追究とメンタルと相手の分析がキモになる卓球やバドミントンでも世界と伍する日本は控えめに言っても個人、団体種目ともスポーツ先進国だ。

半面フットボール全般はとかく『世界との距離』や『日本人だから』という言葉をネガティブな用途で使いがちで、お釣りがくるほど他競技で溜まっている正しいプロセスを踏み、努力を信じれば結果に繋がったという事例は忘れがちだ。
大国に学ぶことはもちろん大事だが、過度な劣等感は日本サッカー協会側の神田川にでも即刻沈めるべきだろう。

個人的な考えだが日本人選手に足りないのはゴール前の工夫だ。

今日の試合も11本のシュートを撃った清水選手(すみだ)のシュート力が目立ったが、決まったのはゴールを横断するサイドからの速いパスにファーから飛び込んで決めた1ゴールのみだ。
ゴールの狭いフットサルではゴレイロを外す、寝かせるのがゴールへの早道で、正対したゴレイロに向けた強烈なシュートがゴールの量産に繋がるとは言えず、③のイマジネーションの項目でも述べた、ラファやボラのゴール前で相手を観察し、相手DFすら活かしてしまうイヤらしさをゼヒ盗んでみてほしい。

9/16からトルクメニスタンで開催されるアジアインドアゲームズへ育成を観点にU25日本代表という苦戦必至の謎カテゴリー(対戦相手はすべてフル代表)で挑む日本代表だが、未来ある若者たちにはゼヒ自信を持ち、相手をよく見て小馬鹿にするようなプレーにチャレンジしてもらいたい。


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スペインでの2シーズンの経験で判断を含めたスピードアップが顕著な吉川選手と、ボレー/ミドル/ファー詰め/振り向き/1VS1と万能型ピヴォに変貌した渡邉選手。
30歳前後で一皮向けたベテラン勢の今後も非常に楽しみ。