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Futsal Philosophy (フットサル・フィロソフィー)

バーモントカップ

16 8月

2015/8/16(日)第25回バーモントカップ 全日本少年フットサル大会 決勝 駒沢オリンピック公園体育館 『夏休みの思い出』

2015/8/16(日)第25回バーモントカップ 全日本少年フットサル大会 決勝 駒沢オリンピック公園体育館
◆準々決勝
マルバ千葉fc U-12 5-3セレッソ大阪 U-12
マルバ茨城 fc U-12 2-5 ブリンカールFC
◆準決勝
マルバ千葉fc U-12 3-2 FCバレンティア
ともぞうサッカークラブ 2-5 ブリンカールFC
◆決勝
マルバ千葉fc U-12 3-5 ブリンカールFC

真夏の12歳以下最強決定戦の決勝戦は本命マルバ千葉U-12と、予選リーグをワイルドカードで勝ち上がってきた愛知県代表の伏兵、ブリンカールFC。

マルバ千葉は8番の小室選手が底からドリブル、パスを織り交ぜてプレスをかわしてゲームを作り、守備もガッツリ食いつくエースの仕事を見せる。
交代メンバーも含め全教科の偏差値が高いフットサルを見せるマルバ千葉に対し、ブリンカールFCはスタートの4人をひたすらに引っ張り、個性的なドリブルと玉際の強さ、チョン・ドンを多用するこの年代ではそうそう見ないセットプレーのバリエーションで対抗する。

試合は大舞台の波に乗ったブリンカールFCが前半に2点を先行。
後半12分にマルバ千葉が1点を返すも、後半14分にGKの中山選手が坪谷選手との接触プレイで負傷退場。
その後は本来FPの大畑選手をGKに沿えて試合に挑み、試合終了間際の後半19分(本大会の決勝戦は10分ハーフ)にその大畑選手がフリーキックをズバリと突き刺して同点という少年マンガのような展開に、会場に集まったいい大人たちは大いにヒートアップした。

3分ハーフの延長戦はマルバ千葉のエース、小室選手が蹴り込んで3-2と勝ち越すも、負傷から頭にテープを巻いて戻ってきた坪谷選手が取り返し、ブリンカールFCもしぶとく追い縋る
延長前半の終盤、押し込み返すマルバ千葉が5ファウルで2本の第2PKを得るも、ブリンカールFCの守護神、武井選手が勝ち越しを許さない。

延長後半残り1分。
カウンターから抜け出してGKと2対1になった坪谷選手が小学生とは思えない落ち着きで加藤選手へ冷静に優しいパスを通し、これをインサイドで決めてブリンカールFCが3-4と勝ち越し。
最後は135cmの身長ながら独特のドリブルとセンスが光った奥野選手が素晴らしいミドルを突き刺し、テレビで見たどこかのスターを真似て両手の人差し指を天にかざす。
同世代が意地を張り合い、大人顔負けの熱戦を繰り広げた2013年の名古屋VSすみだの全日本決勝を彷彿とさせる死闘は美しいカーテンコールを迎えた。

教科書通りのマルバ千葉と、セオリーよりも自分達の得意なプレイをトコトン突き詰めたブリンカールFC。
準決勝でマルバ千葉に敗れた和歌山代表のFCバレンティアはハーフタイム、タイムアウト時もコーチが選手に指示をせず、選手達がお互いに話し合い、試合に挑んでいた。

夏休み。
田舎に帰省すると普段の自分の価値観とは異なる場面に遭遇する。
遊び。食事。言葉。時間の速さ。
そんなことを体験しながら、それまでの自分の経験では語れない世界があることを知り、他人と違う自分を認識することで自分らしさを確立していく。
少年時代に過ごす夏休みはそんな成長のヒントや気づきが沢山つまっている。

48都道府県の価値観がぶつかり合い、邂逅する。
大人は理想と正解を欲しがり『フットサルらしさ』というなんだかよくわからないものを求めがちだが、自分の異なるものに出会い、考え、成長し、喜怒哀楽を感じることにこそこの大会の価値があるのではないだろうか。


9年目のFリーグの窮状を見ても日本フットサル界の未来は決して明るくなく、真夏に輝きを放った選手達にフットサルに軸足を置くことを勧めることには抵抗がある。
フットボール界での密度の濃い競争とパブリックな意味での成功は依然として11人制のサッカーにあり、残念ながらフットサルとの差は歴然としている。
それでも何らかの理由でサッカーから遠のくことがあったら、夏休みに真剣にボールを追ったこの大会を思い出してくれたらとても嬉しい。

子供は大人になり、大人は忘れていた自分が夢中になったものを思い出して子供に帰る。
素晴らしい夏の思い出をくれた少年少女達に心からありがとうと言いたい。

◆JFATV 決勝戦のフルマッチ映像
https://www.youtube.com/watch?v=c0i-69II6dk

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会場の駒沢オリンピック公園体育館。
観光に訪れても面白い開放感のあるいい公園です。
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個人能力抜群のアタッカー、セレッソ大阪U-12のNo10下川選手と、セーブ、安定感のある足技を見せる同No1内田選手
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両チームのエース、No10下川選手とマルバ千葉No8小室選手。
この日はフットサルのディフェンスで上手く抑えた小室選手に軍配
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敗戦後の下川選手。トップチーム入りも十分ありえるタレントの涙。
サッカーチームの彼がここまで感情を見せてくれることに大会の意義があったのでは
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完成度の高いマルバ茨城を破ったブリンカールFC。
身長135cmながらドリブルとセンスで抜群の存在感を見せるNo10奥野選手
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準決勝のブリンカールFCとともぞうサッカークラブの一戦。
予選リーグではともぞうサッカークラブは3-2で優勝したブリンカールFCを降しています
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好セーブを見せたブリンカールFCの守護神、武井選手
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FCバレンティアのNo11吉川選手。身長133ながらベスト5に選ばれる活躍を見せました
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FCバレンティアのタイムアウト。
コーチは関与せず、選手のみでゲームプランを考えています
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マルバ千葉のタイムアウト
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同じくブリンカールFC
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同じくともぞうサッカークラブ。タイムアウトにも準決勝に進んだ各チームのカラーが出ています
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準決勝で敗れたともぞうサッカークラブのゴレイロ、No1犬飼選手。
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決勝戦。ブリンカールFCの応援団の迫力が素晴らしいです
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左右両足を使うブリンカールFCのNo7加藤選手。
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ブリンカールFCは試合のほとんどを4名の選手だけで廻しました
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ベスト5にも選ばれたマルバ千葉のNo10田中選手。
2点のビハインドからゲームを動かす得点を決めました。
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後半14分。坪谷選手との接触プレイで退場するマルバ千葉のゴレイロ中山選手。
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頭にテープを巻いてフロアに戻った坪谷選手
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急遽入った代役のゴレイロ、No7大畑選手がフリーキックを直接突き刺して同点!!
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2本の第2PKを外したマルバ千葉。
このカテゴリーでは難しいプレイかもしれません。
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延長戦へ。
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ブリンカールFCのゴール後。
ゴールをしても感情を表す選手が少ないなか、彼らの絵になるゴールパフォーマンスが印象的でした。
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試合終了後、嬉し涙と悔し涙
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ベスト5
マルバ千葉 小室選手、田中選手。
ブリンカールFC 武井選手、奥野選手。
FCバレンティア、吉川選手。
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3位のFCバレンティア
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同じく3位のともぞうサッカークラブ
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準優勝のマルバ千葉
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優勝のブリンカールFC
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15 8月

2015/8/15(土)第25回バーモントカップ 全日本少年フットサル大会 大田区総合体育館 『夏休みの悔し涙』

2015/8/15(土)第25回バーモントカップ 全日本少年フットサル大会 大田区総合体育館
◆予選リーグ
甲府レジェンズ 5 - 9 セレッソ大阪 U-12
マルバ茨城 fc U-12 2 - 2 ソルニーニョ

◆ベスト16
セレッソ大阪U-12 4 - 1 クラブ・エフスリー
青森フットボールクラブU12 1-6 マルバ茨城fc U-12
黒沢尻東FC 5 - 3 ソルニーニョ

正月から盆に開催時期が移った12歳以下のフットサルの全国大会、バーモントカップ。
サッカーを主戦場にしながら選択肢のひとつとしてフットサルに取り組むチーム、この大会を最高の舞台として取り組むフットサルプロパーチーム。
大田区体育館(同体育館と駒沢体育館の2会場での開催)だけを見るなら、前者はセレッソ大阪U-12が、後者はマルバ茨城U-12がズバ抜けている。

セレッソは10番をつける下川選手が視野の広さと、アイディアの豊富さでチームを引っ張る。
スピードはさほどないものの、このカテゴリーとしては十分な164cmのサイズで器用にボールを操り、彼が前線で起点となった攻撃は4試合で21得点を上げている。
気構えて硬くなる選手が多い中、いい意味で脱力して試合に入れているのが素晴らしく、このまま成長すればトップチーム昇格も十分ありえるだろう。

マルバ茨城はフットサルIQの高さを見せる6番の高木選手が底からゲームを組み立てる。
右底の位置でゴレイロからボールを受け、左利きを活かし右手で相手から距離を作って左へドリブルで運びながら、一気の加速で振り切る、前線へのパスでチャンスを作る、切り返して落ちてきた味方に展開する、など彼の技術と落ち着きでチョイスしたプレイで相手のプレスをかわせるのが非常に大きく、ここで作ったギャップを活かして、技術レベルが高い各選手がゴールへ迫る。
安定した試合運びを見せるこのチームは4試合でたったの4失点だ。

この大会で度々話題になるのが、サイズのある選手を前線に置き、ロングボールを蹴りに行くチームが出てくることだ。
論旨としては、発育に差がある12歳以下の大会で、カテゴリー特有のギャップを活かし、戦術や技術を度外視する戦い方は、選手のためにはならず、フットサルの発展に寄与しないというものだ。

前述のマルバ茨城のグループリーグ最終戦、ソルニーニョ戦は完成度抜群のマルバ茨城に対し、組織的なプレスを嫌ったソルニーニョがロングボールを蹴る展開になった。
マルバ茨城が先行するも、作戦が奏功したソルニーニョがすぐさま追い着くシーソーゲームは前半を2-2で折り返す。
 
ソルニーニョのキッカーへのプレスの甘さを修正し、後半は相手のキックの精度を乱してマルバ茨城がセカンドボールを拾い、タレントを活かした中盤での試合に傾むくも、ソルニーニョもしぶとく守る。
結局2-2のまま試合は終了し、マルバ茨城がグループ1位、ソルニーニョがワイルドカードで決勝トーナメントへ進出した。

グループリーグを2勝1分、得点8失点5で勝ち抜けたソルニーニョは飛び抜けた実力のあるチームではなく、マルバ茨城相手に普段どおりのフットサルをしても勝点を取る可能性はなかっただろう。
続く決勝トーナメント1回戦では普段の彼らの戦い方で挑むも、堅守を見せる黒沢尻東FCに5-3で競り負け、悔し涙を流している。

格上のマルバ茨城に対しては弱者の戦術を選択し、同格の黒沢尻東FCには真っ向勝負を挑む。
過剰なアレルギーを示し、ロングボールを使うことを選択肢から外していたらソルニーニョは決勝トーナメントを経験できていなかったはずで、彼らがフットサルを通じて悔しいと感じることもなかっただろう。

育成年代の選手の引き出しは指導者に教わったことしか入っていない。
今の戦力でどんな戦い方をするのがベストなのかを考え、工夫することを選手に示し、成功体験を積ませたことは間違いなく今後の財産になるはずで、そういう機会を選手に与えたソルニーニョの伊藤監督はお見事だ。

正しいフットサルとはなにか。

前プレ。鋭い攻守の切り替え。パス&ムーブ。

どれも誰かが決めたものでしかないはずで、まずは自分と相手を知り、今なにができるかを考え、勇気を持って選択することではないだろうか。

優勝はトーナメントの逆山の組み合わせになったセレッソ大阪かマルバ茨城が濃厚で、MVPはチームを牽引する下川選手か高木選手のどちらかだろう。

結果だけを見ればベスト16で敗れた平凡なチームのソルニーニョ。
監督と選手が知恵と勇気を絞って成し遂げた夏休みのアップセットと悔し涙がとても印象的だった。

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会場の大田区総合体育館
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アタッカーとしての個人能力がズバ抜けているセレッソ大阪U-12、No10下川選手。
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セーブ、安定感のある足技を見せるセレッソ大阪U-12、No1内田選手。
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文中のソルニーニョ(オレンジ)マルバ茨城(水色)
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フットサルIQの高さが光るマルバ茨城No6高木選手。
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同じく組み立てで非凡なものを見せるNo7高貫選手。
負傷のためか決勝トーナメント1回戦は出場なし。
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試合展開に合わせてNo22大内選手とNo3奥田選手のゴレイロを併用するマルバ茨城。
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真剣に指示を聞くソルニーニョとマルバ茨城。
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ソルニーニョのコーチ陣
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好セーブを見せたソルニーニョのゴレイロNo41牧選手
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クラブ・エフスリーの女子選手、No6白沢選手。
男子相手に前からのプレスに奔走しました。
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140cmの小柄な体躯で光るテクニックを見せた青森フットボールクラブU12のNo10田澤選手とNo11釆田選手。
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守備と正確で強力なキックが光った黒沢尻東FCのNo10八重樫選手
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敗戦後のソルニーニョ。
理想はもちろん大切ですが、フットサルを通じて喜怒哀楽を体験をさせてあげた伊藤監督のチャレンジが印象に残りました。
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