2015/8/22(土) 関東女子 第4節 寒川総合体育館
バルドラール浦安 ラス・ボニータス 4 - 0 FFCエストレーラ ノーボ川口
カフリンガボーイズ東久留米 2 - 3 Amarelo/峰FC
シュートアニージャ 4 - 2 the sunkisst
サイコロ 3 - 0 フォレスト アネックス

今年の6/28(日)の関東1部第3節。
実家から程近いウィングハット春日部での開催ということもあり、里帰りがてら今年65歳になる両親を誘って観戦に向かった。
試合中、前の席の背凭れに足をかける父。
マナーの悪い行為として度々話題に上がる行動を前に、久しぶりの一緒の行動に水をささない言葉を探す自分。
そんな自分の躊躇いを前に『みっともないから足を下ろしなさい』という母のシンプルな一喝が飛んだ。

その通りだ。
 
フットサル会場だからでもなんでもなく行為そのものがみっともないのであり、何がみっともないかの価値基準を明確に持てていて、相手が周りから悪く思われてほしくないという想いがあれば、なんの躊躇いもなく声を出せる。
余計なことを考えて声をあげることを躊躇した自分を反省した。

先週、東京都男子1部・女子1部の試合が同一会場で実施された際の運営がSNS上で話題になった。
(フウガドールすみだレディースとVEEX TOKYO Ladiesのハーフタイムに運営担当の男子選手がピッチ内で鳥籠をする。
ボールパーソンが足でボールを選手に渡すなどの行為があった)
この事例が興味深いのが、そういった行動を選手、観客、運営が見ていたもののその場では誰も異論をあげず、終了後のSNSでこれはどうなのという記事を投稿し、有体に言うと炎上したことだ。

『試合はみんなで作るもので、その役割を担うボールパーソンの問題行動をどう考えるか』
という趣旨で彼らの行動について糾弾の声が続く。
今風と言えばそれまでだが、試合はみんなで作るものならなぜその場で誰も彼らを注意しなかったのかが疑問だし、行動があった時に誰かが声を挙げれていれば事例は事例にならなかったはずで、その後SNSで三々五々色々言っているのを見るのは残念というか、なんだかむなしかった。

関東女子1部で3位と健闘したシュートアニージャのホーム、寒川総合体育館。
2014年に関東リーグ参入戦で対戦し、PKで破って昇格を決めた相手であるサンキストを迎えての一戦は、寒川満員計画と銘打った地元連動の集客企画が奏功し、木村和司氏(元サッカー日本代表/元横浜FM監督/元フットサル日本代表監督)、石田ミホコ氏(2009年まで英アーセナルのレディース部門、市原・千葉レディースに所属。現在は音楽活動を行う)ら、チームゆかりの著名人を含む283人の観客を集めた。

試合はシュートアニージャが2点を先行もサンキストが1点を返して2-1で前半終了。
後半はゴールのない焦れた展開が続くも中盤の凌ぎ合いから抜け出したNo19三浦選手が豪快に蹴り込んで3-1と突き離す。
ギュッと詰まったホーム観客席からの大歓声に満面の笑みとオラついたガッツポーズで応える三浦選手。
挙げた手をどのタイミングで戻せばいいのか戸惑っているような姿を見るのはとても微笑ましく、日本代表さえ取り上げられる機会の少ない女子フットサル界にも、当事者である選手さえ知らない熱と可能性が眠っていることを今日の彼女たちは示していた。

フットサルはアマチュアスポーツだ。
今日のヒーローも家に帰れば試合のユニフォームを洗濯し、どんなに悔し涙を流しても月曜日には仕事が待っている。
それでも喜怒哀楽があり、賞賛も非難もあり、当事者が感じる感情と、周囲からのリアクションがきっと彼ら彼女らの報酬であり宝物になっているはずだ。

東京都フットサル連盟にお詫びが掲載されることになった先週の事例を当事者だけに考えさせ、彼らに責任を取らせることで手打ちにするのは違和感がある。

『ボールパーソンのあり方』や『他カテゴリーへのリスペクト』がこの事例の論点だが、根幹は『みんなが作るもの』という曖昧で気持ちのいい言葉の定義が整っていないことだと思う。
 
リプレイビジョンのない体育館では観客席とフロアのリアクションがすべてだ。
良いことは褒め、悪いことは非難する。
どちらも自信を持ってやればいいことで、試合はみんなで作るもののはずが、試合会場では声をあげられず、SNSで火がついた今回の事例はみっともないことだと思った。

盗難。暴行。不法侵入。脅迫。
トップリーグであるFリーグを含みここ数年続いている事件と不祥事。
どれも当事者の発言権を奪い、表舞台から消し去ることを最適解にしている。

『みんなが作るもの』

という美しい言葉を掲げる中で、やっていることは犯人隠しであり、『みんな』という曖昧な言葉で定義されている小さな村社会での配置換えだ。

良い事も悪い事もあるのはあたりまえで、そのどちらの当事者も『みんな』であるはずで、ひとつひとつの事を隠さずに向き合ってほしい。
そういう姿勢の積み重ねが、熱も可能性もあるフットサル界の未来を育てるはずだ。

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寒川駅から徒歩15分ほどにある寒川総合体育館
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今シーズン、すみだから浦安に活躍の場を移した茨木コーチ(右)と、日本代表のコーチも兼任する橋谷GKコーチ(左)
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男子チームで選手として活躍するカフリンガ垣本コーチ(正面)
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同じくカフリンガで選手としてして活躍し、今シーズンからシュートアニージャの指揮をとる内田監督。
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ホームチーム、シュートアニージャの応援団。
シーソーゲームに合わせて大きな歓声があがりました