2015/12/5(土) Fチャレンジリーグ 第6節 柏市中央体育館
柏トーア'82 3 - 2 徳島ラパス

首位広島を2位徳島が追う、Fリーグ準加盟4チーム2回戦で争われるFチャレンジリーグも最終盤。

9人で小刻みに選手を交代させる徳島はフロアで攻守を指揮する武田選手が出ずっぱりで試合を締め、12人でオプションを使いつつ2セットで回す柏は関東リーグを代表するエースの馬場選手が2倍速のスピードで詰める。

試合は前半1分に馬場選手が先制して柏が1点リードで前半を終えるも、徳島がスタミナの消費を避けた遅攻の展開に柏を巻き込み、後半4分に武田選手がPKを沈めて同点とし、同9分には機を見て前に出てプレスに入った武田選手が底でボールを奪取して蹴り込み1-2と逆転する。

ホームの柏にとって嫌な雰囲気が漂う中での後半12分のコーナーキック。
左コーナーからの浮き玉をエースの馬場選手がアウトにかけた右足ボレーをズドンと突き刺して同点とすると会場は一気に沸き、余勢を駆った14分に若林選手が勝ち越しゴールを上げて試合は3-2でホームの柏が勝利。
この敗戦で2位の徳島が広島を上回れないことが確定し、広島の優勝が決まった。

2012年から始まったFチャレンジリーグ(2014年までの名称は準会員リーグ)。
最大で1部16チームまで拡大することを目標とし、経営、財務、運営状況や、ホームタウン、自治体の支援があることなどFリーグが要求するハードの水準をクリアた上で、ソフトである競技力も備えていることをプレゼンテーションし、正会員に昇格することがこのリーグのお題目だが、2014年に地域リーグの枠を越えたハードとソフトを備えたすみだ、東日本大震災の影響もあり2012年に解散した花巻の残滓を継ぐ仙台が正会員に昇格した後はいまいちゴールがはっきりせず、Fリーグから何年に何チーム増枠するといった明確なリリースもなく、準会員のチームからもガツガツした上がりたがりの雰囲気も感じない。

現状、Fリーグはプロリーグではなく、年間33試合の有料観客試合を行うための金策や営業に苦慮しているのが実情だと思う。
おそらくFリーグに昇格した場合は、フットサル以外のフットサルのための時間的な拘束や負荷が膨大に増えるはずで、そのリーグに本気で上がりたいかというのはチーム内でも意見が分かれるところだろうし、実際にFリーグ昇格決定後にチームを離れる選手も散見される。

Fリーグが競技フットサルにとっての夢の舞台で、夢を叶えるためにはコストがかかるというのは理解できる。
ただ、惜しむらくはリーグから提示されるべき昇格の条件や時期が明確ではなく、それが原因かはわからないが、昇格を目指しているはずの準会員の各チームの熱量も、新チームを加えることをリーグが明言し2014年に昇格を果たしたすみだ、仙台が血眼になっていた時期と比べてかなり温度差があることだ。

前出の馬場選手がリカルジーニョを彷彿させる2倍速のドリブルで名古屋ディフェンスをブチ抜いてニアハイに蹴り込む光景を想像し、試合中、給水のために1、2度ベンチに下がる以外は出ずっぱりでゲームの損益分岐点を抑える武田選手を見て、名古屋、府中、日本代表で活躍した上澤選手を思い出した。
 
どちらも機会があればぜひFリーグで見てみたいが、親会社を持たない自立生産型のクラブ運営で、実質アマチュアの選手、スタッフは仕事を続けつつ7ヶ月で33試合のリーグ戦を戦うのは相当なハードルだろうし、その負荷をリアルに想像しつつ、Fチャレンジリーグと普段所属している地域リーグの活動をこなすリソースを備えるのは至難の業だ。
(今期のFチャレンジリーグのホームチームの戦績は4勝1敗1分(白山、徳島がホームゲームを2試合を残している状態での戦績)で大幅にホームチームが勝ち越しているが、そのうちの何試合かはアウェーチームが前後の試合日程や移動の負荷を考えて実力の落ちるメンバー構成で臨んでいた試合もあった)

今年はFリーグのセントラル開催の観客数の少なさが目立った。
ここ最近のFリーグの日程は、締め切りに合わせて強引に試合を詰め込んだテイストが強く、1試合ごとの集客営業を打つ時間は十分でないのが如実に現れていたのではと思う。

個人的な意見だが、Fリーグはホーム&アウェーの2回戦にし、空いた時間を使って今年は結局組まれなかった日本代表の有料開催試合を増やしてほしい。
 
日本では『日本代表』というネームバリューやブランド力は非常に高く、録画ではあったものの日本代表戦の試合は過去にも度々地上派で放送されている。
就任7年目を迎えた現代表監督のミゲル・ロドリゴの指導力に疑いはなく、キチンとした対戦相手を用意できれば試合数減による競技力のダウンは避けられるはずで、テレビから流れる強く魅力的な日本代表からの競技力、観客数、人気といったポジティブなシャワー効果は間違いなくあるはずだ。

2014年以降、いまいちテーマが見えにくくなってしまっているFチャレンジリーグだが、本編の充実度が投影される舞台であってほしいし、勝敗と合わせて今年はどこが昇格するんだろうとワクワクして見れるリーグであってほしい。
近年目新しさを演出できず、なんとなく続いている感のあるFリーグや、今年1年で一般露出がほとんどなくなってしまった日本代表が憧れのカテゴリーでいられるかがフットサル界の未来を大きく担っている。

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JR北柏駅から徒歩15分ほどの柏市中央体育館。
奥の壁にFリーグのフラッグが掲出されています。
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右足裏トラップから、右アウトで素晴らしいパスを出す徳島の佐賀監督。
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今期選手としても復帰した柏の奈須監督。この試合では監督に専念。
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徳島(青)と柏(黄)
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2ゴールのNo19馬場選手と、決勝ゴールを上げたNo8若林選手
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前後半の40分間ほぼフロアに立ち続け、出足の良いカットで攻守に貢献したNo8武田選手。
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好守で締まった好ゲームを演出した徳島のゴレイロ、No18吉田選手
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高い個人技で徳島の攻撃をリードしたNo10祖地選手。DSCN5374
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地元柏。レイソルダンサーズのハーフタイムイベント。
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武田選手が決めた徳島のPKの場面
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試合の鍵を握った4人。
徳島は結果的に敗れたものの、関東1部で首位を走る柏に対し、少ないメンバーで相手の急のリズムに乗らないゲームプランニングが光りました。
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