2016/3/19~20 ユースフットサル選抜トーナメント 墨田区総合体育館
◆予選リーグ
FOOTBOZE FUTSAL U-18  2-5 U-18新潟県選抜
U-18新潟県選抜 5-3 岡山県作陽高等学校
U-18新潟県選抜 10-5 香川県立高松商業高等学校

◆準決勝
U-18神奈川県選抜 5-7 U-18東京都選抜
U-18新潟県選抜 8-2 U-18静岡県選抜

◆決勝トーナメント
U-18新潟県選抜 1-1(PK3-2) U-18東京都選抜

※結果については新潟県選抜および決勝トーナメントのみを抜粋しています。詳細は以下参照。

18歳以下を対象にしたユースフットサル選抜トーナメントで初日から群を抜いたパフォーマンスを見せる新潟県選抜。
4チーム総当たりの予選リーグ初戦は昨年ベスト4に輝いたフットサルの名門チームであるFOOTBOZEを相手に2-5で勝利し、続く2戦目では高校サッカーの強豪校である作陽高等学校を5-3で降す。

聞けば新潟県選抜の主力の面々は全国区のフットサルチームである長岡JYFCの出身者で、高校進学後は主にサッカーのカテゴリーで活躍。
フットサルのテクニックとサッカーのフィジカルを併せ持つ彼らのキャリアを存分に活かしたスタイルは独特で、ディフェンスではフィジカルを活かして相手を封じ、オフェンスでは抜群の推進力で一気にボールを運び、詰まってもフットサル仕込のテクニックで打開する姿は、他のチームと2クラスは上のレベルにあることを感じさせられた。

ユース年代でのフットサル大会では、サッカー部から候補者を募って大会に出場するチームも多くみられ、大会では彼らのようなテンポラリーのサッカーチームに対し、普段からフットサルを主戦場に取り組むフットサルプロパーのチームとの対決というのが、優勝争いと合わせてひとつの見所になっている。

フットサルファンとしては、フットサルチームが勝ってくれるのがハッピーエンドと考えていたこともあったが、フットサルの熟練度が上がってくるにつれ、多かれ少なかれ似たスタイルになるフットサルチームに対し、サッカーをベースにしたチームはセオリー外の行動に見るべきものがあり、2014年8月に行われた全日本ユースフットサル大会でフットサルプロパー中のプロパーである名古屋オーシャンズU-18(Fリーグ絶対王者名古屋のユースチーム)を聖和学園FC(聖和学園サッカー部から、大会に向けて結成されたフットサルチーム)が彼ら独特の密集陣形でのドリブル突破で2-3で破ったのを見てから考えが変わった。

3戦目の相手は同じくサッカー部からの選抜チームである香川県立高松商業高等学校。
こちらもサッカーをベースにフットサルのイロハを抑えた好チームで後半残り2分まで5-5の大熱戦。

実に痺れる好ゲームだったが後方から睨みを利かす名フィクソの高橋選手が、プレッシャーのかかる局面で得た第2PKをズバリと突き刺し6-5と勝ち越すと、その後は前に強いプレスと強烈なフィジカルを活かしてシュートの雨を降らせて10-5まで一気にスコアを進め、たったの2分間で相手の心を折って熱戦を締めくる。
準々決勝で2000年生まれの選手を多く揃えた才気溢れる静岡県選抜を破り、Fリーグ、地域リーグの下部組織の選手らを含むフットサルプロパーで固めた地元東京都選抜との決勝戦では、ゴレイロの茂呂選手の好守に苦戦するものの、最後はPK戦を制して優勝をさらってみせた。

前への鋭い出足を活かし、通常のフットサルの距離感よりもグイッと近づいてボールにアタックし、ボール奪取後はシュートを撃ち切って明確に攻撃を終わらせる。 
カウンターにも目を見張るものがあり、ワンタッチ目を常に前へ加速できる位置にプッシュし、一歩目の勢いを殺さずに相手ゴールへ猛突進。

そんなソリッドなチームメソッドに加え、7番の石田選手は軸足裏を左右両足で交互に通すフットサル仕込みのグラウンドムーブで相手を翻弄しつつ、決勝戦では前半10分、後半15分フルタイム(今大会は前後半15分ハーフ)でフロアに立つタフネスぶりも披露。
一見サッカーに見えて、その実はサッカーとフットサルの長所を活かした誰にも似ていないフットサルチームの独特なスタイルは非常に見ごたえがあり、2日間の5試合を大いに楽しませてもらった。

金崎夢生(鹿島アントラーズ)、大津祐樹(柏レイソル)といったフットサル出身のサッカー選手がフットサル仕込みの華麗なテクニックをフィーチャーされることがままある。
切り口として狭いフロアで活躍するために磨いた足技をサッカーでも活かすというのがその文脈だが、広いフィールドを制圧するために高めたフィジカルも同じようにフットサルで大いに活きるだろう。

スペイン代表やバルセロナ、グアルディオラが指揮するバイエルンなど、ヨーロッパサッカーを見ても『フットサル的』なプレーが必修科目になりつつある。
サッカー、フットサルのどちらにも魅力と長所があり、お互いの技術や考え方が混ざり合うことでの相乗効果は明確で、日本でも全国規模のアンダーカテゴリーのフットサル大会が増えてきており『フットサルプロパー』という言葉に象徴されるサッカーとフットサルを分けて考える風潮は少なくなるのではと思う。

パラレラ、ピヴォ当て、エントラ、クアトロ、カーテン・・・。
こうあるべきと考えていた既存のフットサル観がブチ壊され、異物に対する対応としてこれまでの価値観を再考させられる。

今後、新潟県選抜のようなサッカーとフットサル両方の特異性を融合させたハイブリットなチームは増えるのではと思うし、気がつくと同じチームと同じ面々が既存の戦術をブラッシュアップさせることで優勝争いをしているフットサル界にとっては嬉しい刺激であり、異文化との交流は大歓迎のはずだ。

春に行われるユースフットサル選抜トーナメントが終わり、夏に行われる全日本ユースフットサル大会が非常に楽しみになる刺激的な大会だった。








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フィジカルとテクニックとタフネスを揃える新潟県選抜No7石田選手。
驚異的な出場時間で新潟の優勝に貢献。
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ワンタッチ目のボールの置き所が非常に良く、常に前を向いてプレーをし、フィジカルを活かしたキープから強シュートを連発する新潟県選抜No14小林選手
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予選リーグの大一番となった高松商業戦では後半残り2分で決勝の第2PKを決めた新潟県選抜No8高橋選手。
痺れる勝ち越し点を決めてもまったく表情を変えないポーカーフェイスっぷりはお見事の一言。
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新潟県選抜のゴレイロ、No1小川選手。
他のFPと同じく、彼も前に出る判断とスピードに迷いがありませんでした。
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食い込みの深いプレスと、そこから奪って前を向いての強シュートで見ていて気持ちのいいゴールを連発した新潟県選抜の1stセット。
No7石田選手、No8高橋選手、No10山田選手、No14小林選手。
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決勝で惜しくも敗れた東京都選抜。
得点王にも輝いたNo7中村選手は堅実な技術と意外性を持った才気溢れる好タレント。
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地力に勝る新潟県選抜との決勝戦を華麗なセービングショーの舞台に変えた東京都選抜のゴレイロ、No14茂呂選手。
体の正面で止める機会が多く、ポジション修正や予備動作といったゴレイロの基礎必修科目の習熟度が高いことが伺えました。
今後が非常に楽しみな選手。 
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3セットで試合に臨んだ東京都選抜。
決勝戦では短い出場時間ながら足裏を多用した独特なリズムのドリブルで独走し決定機を作った東京都選抜No12佐藤選手。
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新潟県選抜のハーフタイム。
リカバリーに務めつつ選手達で修正点を語る姿が印象的でした。
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決勝戦での新潟県選抜No14小林選手の1点目。
新潟県選抜は大会を通じてこの距離からのミドルが面白いように決まりました。
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PK戦からの登場となった東京都選抜、178cmのゴレイロ鈴木選手。
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優勝決定後の新潟県選抜。
試合中に表情を変えることが少ない彼らのはしゃぎっぷりにほっこりとした気持ちになりました。
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ベスト4の神奈川県選抜。
激しい守備をベースに攻守の切り替えが早い好チーム。
常に明るいチームの雰囲気に好感を持ちました。
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同じくベスト4に輝いた静岡県選抜。
2000年代生まれの選手を多くメンバーに入れ、体の線は細いもののツボを抑えた好守でボールを奪取するところに王国の深みを感じました。 
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弱冠15歳のイワハシナオキ選手。
20cm以上背の高い選手に体を当ててボールを奪い、センスのあるドリブル、パスで攻撃を組み立てる存在感が大きな選手。
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明るいキャラクターが目を引いた同じく15歳の山田選手。
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ひとつひとつの所作がフォトジェニックな静岡のエース、No13市川選手。
優先順位は『俺がシュート』なプレースタイル、ガツガツとしたゴールへの飢餓感は今のフットサル界でなかなか見かけないもの。
往年のロックスターのような成り上がり感を感じます。
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東京都との準決勝敗退後のヒトコマ。
20名中6名が2000年代と可能性を感じる選手が多くノミネートするヤング静岡。今後に期待大。
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ボールも人もよく動く北海道らしい小気味いいフットサルを展開した北海道選抜。
柔らかいボールタッチと多彩なキックで攻撃を組み立てたNo8木村選手と、溌剌としたプレーが光ったNo5能代選手。
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3戦ともパワープレーを決行した北海道選抜。
ゴレイロのままパワープレーの右角を勤めた足技と笑顔が印象的なゴレイロNo1坂選手。
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名古屋オーシャンズの下部カテゴリーの選手を揃えた前回王者の愛知県選抜。
勝てば決勝トーナメントの進出が懸かった3戦目の北海道戦では相手のアシンメトリーなパワープレーに大苦戦。監督の対策を真剣に聞く選手達。
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同じく3試合目の東京都選抜に勝てば決勝トーナメント進出だった大阪府選抜。
敗れて号泣するNo19吉村選手の姿が胸を打ちました。
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ピッチサイズ32m×18mで2面同時開催で行われた予選リーグ、準決勝。
決勝戦を前にピッチの設営を行うスタッフのみなさま。毎回ありがとうございます。
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得点王の東京都選抜中村選手。
プレゼンターは2015年にFIFA会長賞を受賞した91歳、現役最高齢(推定)のスポーツライター賀川浩氏。
中村選手が非常に羨ましい・・・。
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ベスト4の静岡県選抜と神奈川県選抜。
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準優勝の東京都選抜
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優勝の新潟県選抜。試合中の真剣な表情があって輝くいい笑顔。
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サッカー・フットサルアパレルを扱う、冠スポンサーのGAVICのフラッグを持っての写真撮影。
ベスト4の静岡県選抜。
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同じく神奈川県選抜。チームの雰囲気の良さが伺えます
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準優勝の東京都選抜
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優勝の新潟県選抜