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Futsal Philosophy (フットサル・フィロソフィー)

闘魂

27 11月

2016/11/3~11/27 全日本選手権東京都大会 『ベテラン達の原点回帰』

2016/11/3(祝・木) 全日本選手権東京都大会プレーオフ Aグループ決勝 滝野川体育館
闘魂 3(2PK0)3 世田谷フットサルクラブ
 
2016/11/5(土) 全日本選手権東京都大会 1回戦 葛飾区水元スポーツセンター
闘魂 4-3 BRBタランタスFC

2016/11/27(日) 全日本選手権東京都大会 準決勝 葛飾区総合スポーツセンター
ASVペスカドーラ町田アスピランチ 1-10 闘魂

フットサル秋の風物詩になった感のある、全日本予選闘魂劇場。

民間施設を舞台にした4試合の予選を勝ち抜き、東京都予選への出場を賭けたプレーオフに進出。

プレーオフ1回戦ではカウンターから20メートルを迫力のあるドリブルで運んだ稲田選手のシュートパスを川股選手が押し込んだゴールを守り抜き美少年倶楽部(東京都1部)を0-1で退ける。

2回戦では世田谷フットサルクラブ(東京都1部)を相手に1-3と窮地に立たされるも、終盤に敢行したパワープレーの右角に入った岩田選手の好判断から得点を重ねて3-3に追いつき、PK戦では石渡選手がイランチーム相手の関口選手もかくやという神がかった活躍で2本連続でストップ。
闘魂は会田選手、岩田選手が連続して成功させ、見事東京都予選本戦に進出した。

本戦の初戦は昨年の東京都予選プレーオフで敗れたBRB(関東2部)。
こちらはBRBが先行して闘魂が追いつくシーソーゲーム。

終盤に2-3とリードを奪われるも、相手が時間を削りにきたクアトロの位置が高くなったところを北選手がいい体制でカット。
北選手のパスを稲田選手が強気のトラップで一気に前に持ち出してゴレイロとの1対1に持ち込むと、これを鬼ががかったコントロールショットで沈めて3-3の同点に追いつくと闘魂が完全にイケイケ。
勢いに乗った縦への攻めでBRBを押し込み、エリア外で手を使ってゴレイロが退場になって得たフリーキックを川股選手が豪快に決めて奇跡的な快進撃となった昨年の結果を今年はひとつ更新して見せた。

あと一勝で来年1月の関東予選出場となった町田アスピランチ(東京都1部/Fリーグ町田のサテライトチーム)戦はチームの座長の難波田選手がケガにより欠場。
大黒柱を欠いたチームは抜群の練度と機敏なステップワークを持つ町田クアトロ青年団の対応に四苦八苦することになる。

体と頭を疲れさせたところにセットプレーやマークのズレなど注意力を欠いたミスを突かれて前半を0-2で終え、後半0-4とされると10分以上を残してパワープレーにチャレンジ。

快進撃を見せたオヤジ達の実力を現役時代を知る小川監督から口を酸っぱく説かれたであろう若者たちが最後まで刀を止めずに、終わってみればパワープレー返しを連続で成功させ1-10までスコアが進む。
スコア的にも内容的にも、かつてフットサル黎明期の主役となったベテラン達が次代の主役候補達からオヤジ狩りをされた格好になったが、フットサルに未来を夢見るかつての自分たちを想起させる若者たちに介錯されるなら彼らも本望だろう。


東京都3部というカテゴリーながら破格の存在感を見せるゴレイロの石渡選手がゴールに鍵を掛け、稲田選手、川股選手らの強力なフィジカルを持つピヴォへスローで預けて前線で起点を作る。
プレス回避や4人の組織的なムーブによる押し上げというものを破棄し、後方からのロングボールを巧みなトラップで収め、落としや豪快な振り向きシュートでゴールに迫るスタイルは迫力十分で、唯一無二の決戦兵器として相手チームをヒヤヒヤさせ抜群の結果も残した。

・直近のAFCを2連覇。
アジア最高峰の『フットサル』の完成度を持ち、史上最強と謳われた日本代表がハーフからのマンツーマンとカウンターという愚直な武器に賭けたベトナム代表にノックアウトされた。
・バーモントカップでは決勝戦でロングボールを多用して優勝したセンアーノ神戸Jrの戦い方に警鐘を鳴らす声が溢れた。
・168cmの小さな大ゴレイロ、サルミエントを擁し、個の守備力と攻守の切り替えの速さ、手数をかけずにゴールへ迫る意識の高い攻めで、フットサルとしての完成度の高いロシアを撃破しフットサルワールドカップを制したアルゼンチン。

理想や各年代に適したスタイルというものは勿論あるし、日本は正しいプロセスを踏んだかというところに傾倒しがちだが、勝負の世界で最重要とすべきは結果なのではないだろうか。

闘魂を簡単に紹介するなら元日本代表、Fリーガーが休日に集まり、練習なしのブツけ本番で試合に臨むという破天荒な集団だ。
 
練習をしないチームに各競技系チームが負けることがふがいないという見方もあるが、フットサルでのゴレイロの重要さとピヴォにボールが収まることの優位性(相手がサンドに来ることでのマークのズレ/相手が後ろ向きに対応し、自チームが前向きでプレーできるようになる)など、誰もが初めに教えられるが『フットサルらしさ』を追求するうちに忘れてしまいがちなものの重要さを一番表現していたチームだろう。

1-3/0-4/2-2/1-1-2といったフォーメーションや、ピヴォ、クアトロなどのオフェンスの基本形。
その他、2人、3人の関係でのプレーにはスペイン語やポルトガル語の名称が付けられ、勿体ぶって語られるものの、本質はずっとシンプルでフットサルは5人対5人で相手のゴールにボールを入れた方が勝つという単純明快なスポーツであることを忘れてはいけない。

町田戦ではパワープレーが実らず点差が開いていく展開に業を煮やした稲田選手が相手のパワープレー返しのロングシュートを両手で払って退場になる。
現役時代は喜怒哀楽の『怒』を前面に出したフットサル界の元祖闘将である難波田選手が、その光景を見て笑顔を浮かべて稲田選手を迎えるという場面があった。

競技を知るほど数センチのズレや体の向きにこだわり、効率や正統性を証明し、表現することに重きを置きがちだが、ワンプレーに喜怒哀楽を表現できるのはプレイヤーの特権だろう。
退場の場面では(フェアプレー云々はさておき)大勢が決まった試合で日本代表として、Fリーガーとして国内外の強敵とシノギを削りつつも、半ばリタイヤしている名選手がひとまわり下の選手を相手にムキになれるということに少々感動してしまったし、おそらく難波田選手もそんな気持ちだったのではないだろうか。

・1対1の激しさ/強さ
・ゴレイロとピヴォの重要性
・個々人の喜怒哀楽を含めたチームワーク

今年のワールドカップでスペインやロシアに欠けていて、なんとなくイメージしていた『フットサル』ではなかったものの優勝したアルゼンチンに備わっていた(強烈なピヴォは不在だったが)のは上記の3つだろう。
皮肉だがAFCで敗れた日本代表を含め、競技のレベルが上がり、戦術や再現度の高い連動性で相手を崩すことに習熟した『チーム』になるにつれ薄れていってしまうものなのではとも思う。

やれることが増えたから勝てるわけでもなく、武器が少なくても結果は出せ、勝負の世界であれば結果を出した者が一番偉い。
そして結果の前ではプロセスの論争は陳腐だ。

そんな痛快で当たり前のことを教えてくれた風物詩は関東大会目前で幕となったが、一線を退いたベテランたちが示した原点回帰に心から拍手を送りたい。

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フィクソが揃って良かったぜー!!
という声が聞こえてきそうなチームのバランサー、キャプテンマークを巻く会田選手。
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180cmのサイズを活かしロングボールをことごとく胸トラップで収める驚異のピヴォとして闘魂のオフェンスを牽引。
浦安で活躍した川股選手。
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攻守に光ったいぶし銀。
損益分岐点を抑え、BRB戦でお見事な活躍を見せた北選手。
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1-3から同点に追いついた世田谷フットサル戦で光った好判断。
パワープレーでポジションを取る右奥から抜群の機転で2得点を呼び込んだ岩田選手。 
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貴重なドリブラーのアラ、Fリーグで活躍した橋本選手。
吸いつくようなドリブルと食いついてから一瞬で相手と入れ替わるダブルタッチは健在。 
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動けないチームなだけに各自の意思疎通が大事とばかりに、ハーフタイム、タイムアウト、出番を待つ間にボードを手にコミュニケーション。
省エネが勝利の必須要件のベテランチームの生命線。
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パワープレーの場面ではゴレイロを石渡選手から坂口選手へチェンジ。
難波田選手もゴレイロユニフォームに着替えてのスリーショット。
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PK職人石渡選手を中心に歓喜の舞い。
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左右両足を起用に使い、高いフットサルIQと意表を突くプレーで闘魂を追い詰めた世田谷フットサルの菅原選手。
各カテゴリーで異彩を放つタレントを見れることも全日本予選の楽しみのひとつ。
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町田アスピランチ期待の新人。
若干18歳にして抜群のテクニックとパンチ力のあるシュートを持ち、U19代表にも選出される中村選手。
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闘魂戦で先制点を挙げた19歳の伊藤選手。
タイランド5で日本代表として3戦を戦い、プレスからのシュートでも存在感を発揮。
その後も継続して選ばれておりトップカテゴリーでも期待大。
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168cm/95kgでニックネームは長州。
ファニーなプロフィールながら俊敏な飛び出しも見せ、抜群の肩で前線にスローを投げ込む水谷選手。
見るほどにレベルの高さがうかがえる好タレント。
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東京都1部らしからぬ完成度を見せるクアトロと、よくコントロールされた攻守。
結果と若手育成両面でチームに貢献する名伯楽、町田アスピランチを率いる小川監督。

22 10月

2016/10/22(土) 全日本選手権東京都大会プレーオフ 立川泉体育館 『よーやく試合が終わったぜ!!』

2016/10/22(土) 全日本選手権東京都大会プレーオフ 立川泉体育館
 
美少年倶楽部 0-1 闘魂
世田谷フットサル 3-3 (PK3-2) ディアボロSPFC
フウガドールすみだバッファローズ 4-0 アトレチコ新宿
AOKING 4-5 ペスカドーラ町田アスピランチ

毎年3月の第2日曜日が決勝戦となる全日本選手権だが、サッカーの天皇杯に近いオープントーナメントであるこの大会は初夏から各都道府県の予選が始まる。
東京都予選の結果をチェックしていると、昨年に引き続き2000年代のフットサル黎明期のメインキャストが揃う闘魂(東京都リーグ3部)が昨年同様東京都予選プレーオフに進出していた。


8チームで争うプレーオフトーナメントは3位までが次ラウンドの本戦に進出。
今日の美少年倶楽部(東京都リーグ1部)に勝利すればあと2回のチャンスを得るということでこの試合の価値は非常に大きい。

フットサルはお互いがゴールに入れた回数を競う非常にシンプルなスポーツで、2カテゴリー上だろうと日本代表経験のあるゴレイロの石渡選手とピヴォの稲田選手、チームリーダーの難波田選手が揃うセンターラインを攻略するのは並みのことではない、と思いきやこの日は肝心要の難波田選手が欠席。
加えて北選手、岩田選手といったFリーグ、日本代表でも活躍したクオリティの高い3枚のフィクソが全員不在で、稲田選手、横山選手、川股選手とピヴォが3枚にフィクソが0枚というなかなかにエッジの効いた構成となった。

そんなチーム事情から普段はバランサーのアラである会田選手がフィクソを務める形で試合開始。

ベテランチームらしく自陣に引いてのディフェンスから、奪ってもカウンターではなく繋いで押し上げる遅攻と、Fリーグの浦安で活躍した新加入の長身ピヴォ、川股選手へシンプルにロングボールをつけて試合を進める。
緊張感のあるマッタリ運転が続いた前半半ばに自陣中央付近で稲田選手がボールをカットすると、意表をついたドリブルで一気に持ち出して川股選手にシュートパス。
これをファーへ走り込んだ川股選手がキッチリ決めて闘魂が狙い通りに1-0とリードし前半を折り返した。

後半も同じ展開が続くものの、体力が衰え出し、簡単に裏を取られることが多くなった味方の拙守のカバーに奔走する会田選手の疲労の色が濃くなる。
 
普段は冷静に損益分岐点を抑え、失策の少ないそつのないプレイヤーだが疲労からかなんでもないパスをミスし、ポイントがずれたトラップ、ドリブルを相手にアタックされる場面が続くものの、交代要員がいないこともありヘロヘロになりながらおおよそ16分(前半は約15分ほどで計31分)出ずっぱりでフロアに立つ。
そんな会田選手の認知範囲の広いディフェンスと、この試合でもゴールにしっかりと鍵をかけたゴレイロの石渡選手の好守、好連携もあり、見事重要なトーナメントのヤグラを一歩進めた。


以前、フットサルの面白さは何かというのを書いたことがある。


文中には、

①プレスラインの設定とプレス回避
②トランジションの強度
③練度とキャラクターのある2セット
④キックイン、フリーキック、パワープレーなどのデザインプレーの攻守

がフットサルの面白さであるとしたものの、闘魂の試合はベテラン勢(というよりベテランしかいない)の体力温存のためプレスラインは低く、トランジションはほぼない。
メンバーがバランスよく揃っているわけでもないので戦略的なセットチェンジもないし、強力なキッカーのズドンはあるものの、ベテラン故の共通知を活かしたセオリー以外のデザインプレーは皆無だ。

ただ、王道の面白味からは大きく外れているが、毎試合個性的な面々が主役を張るハラハラドキドキの連続で観ていてとても面白い。
今日の試合は普段はクールに試合を締める会田選手の青色吐息の表情とヘロヘロにボールを追ってのミスになんとも訴えかけるものがあり、試合終盤の美少年倶楽部の猛攻には『会田選手のためにみんな守ってくれ!!』と拳を握りしめてしまった。

前述の4つの要素は音楽で言うなら音程やメロディーラインといった学問的な部分と、その時々でフォーカスされるトレンドの部分であり、音楽的に『正しい』かどうかというものだろう。
 
大きな矛盾ではあるものの、正しさを追求した成果物は面白味に欠けるものが多々ある。
理論は非常に重要ではあるものの、感動を生むのは理屈ではなく感情を揺さぶられるかどうかにあり、詰将棋のように持ちカードを切る試合展開よりも不恰好でガムシャラな頑張りが胸を打つ一戦だった。

10/8に仙台で行われたオールスターは動きの多い試合展開の中、妙技を連発したボラ選手が喝采を集め見事MVPをさらった。
ブラジル仕込みのテクニックやイマジネーションももちろんだが、ボラ選手の試合をトコトン楽しんでるであろう笑顔は停滞感のあるFリーグの試合で欠けているものだったろうし、プレーもさることながら彼の無邪気な表情に魅力を感じた人も多いだろう。

プレーを通して喜怒哀楽を表現できるのはプレイヤーの特権だ。
 
笑顔もしかめ面も大いに見せてほしいし、よーやく試合が終わったぜっていう安堵の笑顔に、そういえばタフな残業や夜勤の後はあんな顔でビール買って帰ったな・・・、とどうしようもないことを思い出して共感する観客も少なくないはずだ。

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40分プレーイングタイムにも徐々に慣れ出した闘魂。
昨年は『疲れるから』という理由でやらなかった試合前のウォーミングアップを披露。
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J2の岡山→Fリーグの浦安のキャリアを持つ180cmの大型ピヴォの川股選手。
相手にサンドされた時に詰まる場面が多いので、早目に撃つ、はたくができれば大きな脅威。
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闘魂の看板ピヴォの横山選手と稲田選手。
この日は横山選手は川股選手をサポートするアラ、稲田選手はフィクソが主戦場。
稲田選手は意表を突いたスピードアップから迫力のある突破で川股選手の得点をアシスト。
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代名詞のダブルタッチでサイドを切り裂いた橋本選手。
個性的なダブルタッチの動画はこちら。
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膝を折り、味方の股の間からボールを追う石渡選手。
この試合では3vs1の場面でダブルニー(上体を起こして両膝立ちで床を滑る)でセーブするFリーグでもなかなかないプレーを披露し1-0の勝利に貢献。
毎試合、今が全盛期かと思わせる妙技を披露。
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闘魂の守備のダブルA面。
後半、ゴール前の接触プレーで『よっこらしょ』とばかりに立ち上がる石渡選手と会田選手。
フットサル界でリポビタンDのCMを撮るならこのふたりか。
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『ようやく終わったぜー!!』真っ白に燃え尽きたイイ表情の会田選手。
次戦は11/3(祝)。次回はフィクソが揃うか。
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勝者が闘魂と対戦することになる世田谷フットサルとディアボロSPFC。
ディアボロは26番の立花選手がボールを引いてからアウトで持ち出すドリブル突破で再三好機を作ったが、惜しくもPK戦で敗戦。
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左右両足を起用に使い、意表を突くプレーも光った世田谷フットサルの菅原選手。
フットサルIQの高いこの選手が引いた闘魂をどう崩すかも非常に楽しみ。
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トップチームでも出場経験のあるすみだバッファローズ(フウガドールすみだの下部組織)のNo32宗像選手とNo38三笠選手。
宗像選手は柔らかいテクニックと機動力、三笠選手はサイズとフィジカルに優れるフィクソ。
豊富な物量を持ち3セットで回すチームでそれぞれピッチ上の監督役を務める。
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こちらは163cmのゴレイロ、岸選手。
声がよく出る明るいキャラクターで小柄ながら止めまくった内山コーチの薫陶を感じさせる好素材。
トップデビューが非常に楽しみ。
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183cmの大型ピヴォ、日本代表にも定着しつつある清水和也選手の兄、清水誠也選手。
兄弟ダブルピヴォでのプレーも観たいところ。
5 5月

2016/5/5(木・祝) 東京都3部Bグループ 武蔵村山体育館 『期待する』

2016/5/5(木・祝) 東京都3部Bグループ 武蔵村山体育館 
GALO FC TOKYO 2-4学習院大学
woods Bear1-3CALEIDO
闘魂 3-1 SPIGA
ZWEIT FUCHU 1-1 中野FC

今年の4月に自分でもちょっとヤバイかな・・・、という体調の変化があった。
2日間に分けて検査があったものの検査の結果はどちらも異常なく、普段どおりに生活しているが、時々似たような症状がでるとモヤっとした不安はアタマをよぎる。

それ以来考えるのが『自分は何をやりたかったんだっけ』ということだ。
子供の頃はサッカー選手か作家になりたかったけれど『何を=職業』ということではなく、日常の中で何を大事にして生活していくかということをグルグルと考える。
ぼんやりと浮かんではくるもののコレという答えはなかなか出なかった。

5月5日。東京都3部が開幕。
初めて見るカテゴリーだったが、カウンター時の判断や、セットプレーのディフェンスなどで『そっちなんだ』だったり『そこを空けちゃうんだ』だったりな試合があったり、そもそもベンチの人数や試合に出場する人数が極端に少なかったりと、会場の武蔵村山体育館の立地と同じく牧歌的な光景が続く。
そんな中でも光るタレントは必ずいるもので、状況に応じて左右両足のインサイド、アウトサイド、インフロントで緩急強弱を自信タップリに蹴り分けるCALEIDOの37番のフィクソの選手は即関東1部でもやっていけるレベルに感じて、この選手を観ることが今後の東京都3部の楽しみになりそうだ。 

昨年、オープンカテゴリーの出場から快進撃を見せ、全日本選手権の東京都大会に進出。
東京都3部参入戦を勝ち抜き、一躍話題のチームになった闘魂は、個の力を警戒してハーフまで引いたSPIGAを相手に、稲田選手の右ハーフライン手前から対角へ20メートルほどの浮き球を横山選手がマンガのようなダイレクトボレーで合わせて先制。
その後は佐藤選手へのピヴォ当てのリターンを受けた会田選手がゴレイロの鼻先を抜くループで加点し、パワープレーに来た相手の攻撃をセーブした石渡選手がライナー性のキックでゴール上段にパワープレーを決めて3-0。
最後はパワープレーで1点を失ったものの、闘魂が3-1で東京都3部デビューを飾った。

フットサルIQが高く、攻守のTPOを熟知した彼らの試合が面白いのはモチロンだが、興味深いのは彼らが現役引退後も試合ごとに成長しているということだ。

石渡選手は毎度お馴染みになった堅守だけでなく、現役時代はさほど印象になかったパワープレー返しを連続して成功させているし、会田選手のピヴォ当てからシュートまでの一連の踊るようなムーブは華麗の一言だった。
参入戦から毎試合闘魂のベストゴールを更新する横山選手はもう何をやっても驚かない。

『チームでの練習はしていない。試合だけ集まっている』と公言していた闘魂だが、各自のキレや勝負勘を見るに個人でトレーニングしている選手は多いはずで、そこにはきっとフットサルプレイヤーとして染みついた自分やチームの結果への『期待』があるはずだ。

A、Bブロックで争われる東京都3部リーグ。
学習院大学、CALEIDO、闘魂、ZWEIT FUCHU、中野FC、GALO FC TOKYO、woods Bear、SPIGAの8チームが在籍するBブロックの4試合を見る限り、ズバ抜けた経験値を持つ闘魂と、前述の37番が存在感タップリにタクトを振るい、周囲のスキルも高いCALEIDOがトップを争う展開になりそうだ(2チームの直接対決は8/21の武蔵村山体育館。暑そうだな・・・)。

強面のベテラン勢が揃う闘魂だが、得点後、勝利後の選手の笑顔はベテランの皆様には失礼かもしれないがなんともかわいらしい。
期待を持って頑張れるから面白いと感じられるし、その中で結果を出したあとの姿は見ていてとても魅力的だ。

迷った時の答えは常にシンプル。
悩んで、頑張って、期待して、結果を出して、笑う。
なかなかの僻地だった武蔵村山体育館で見た彼らの笑顔に気持ちが晴れる思いだった。
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アクセス抜群の武蔵村山体育館。
頻出問題の『一番いい行き方は何?』の答えは『車』になりそうです。
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選手兼監督のCALEIDOの10番。
アップのメニュー、テンションを落とさない声がけなど、競技フットサルチームとしてCALEIDOの仕上がりは随一。
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左右両足で多彩なキックを披露するCALEIDOの37番。
左足アウトのチップキックで浮き球のパスを通すなど、東京都3部には似つかわしくないクラッキ。
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東京都3部デビューを白星で飾った闘魂
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フリーキックの壁に入るNo13荻窪選手と闘魂唯一の若手、No10大坪選手。
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説明不要の闘魂の隊長、難波田選手。
今シーズンから再び身に着ける背番号『6』がシビれます。
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オフェンスの2枚看板。
柔のNo16横山選手と、剛のNo11稲田選手。
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シュートストップだけでなく、捕球からの素早いパワープレー返しで試合を決める3点目を上げた石渡選手。
昨年の全日本予選以来、現役時代を彷彿とさせるキレキレの動きを続ける。
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 お手本のようなピヴォ当てから見事なループシュートでの2点目。
ピヴォで受けてゴールをアシストしたNo3佐藤選手(上)と、いぶし銀の活躍が光るアラのNo8会田選手(下)。
ゴール後のいい笑顔。
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以下は武蔵村山百景。
隠れた交通手段、電動アシストもある箱根ヶ崎駅のレンタサイクル。正解はこれか・・・?
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丘陵地帯のふもとにある武蔵村山体育館。
周囲は神社仏閣、ハイキングコースと散策しがいはありそうな地形です。
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28 2月

2016/2/27(土)・28(日) 東京都3部参入戦 2回戦~3位決定戦 府中市総合体育館第2体育室 『フットサルへの入口』

2016/2/27(土) ・28(日)東京都3部参入戦 2回戦~3位決定戦 府中市総合体育館第2体育室
2016/2/27(土)
◆2回戦
デサフィーオ品川 0-1 府中AFCサテライトB
ドリームフットサルクラブ 0-5 闘魂

2016/2/28(日) 
◆参入決定戦
Sorpresa edogawa 5-3 府中AFCサテライトB
闘魂 4-2 SPIGA
◆参入決定戦(3位決定戦)
SPIGA 1-1(PK3-2) 府中AFCサテライトB
闘魂がシーズン東京都3部参入。Sorpresa edogawa、SPIGAが東京都3部残留

実質4部のカテゴリーから上位の8チームがトーナメントを戦い、決勝まで残った2チームが3部の成績下位のチームと対戦。
その後、敗れたチームによる3位決定戦で3位までが来年度の東京都3部リーグに参入する東京都3部参入戦。

2/21(日)、2/27(土)、2/28(日)の3日間で最多4試合を行うレギュレーションでの試合はどれもレベルが高く、目玉となった闘魂(Fリーグ得点王の稲田選手ら元Fリーガー、元日本代表が多数在籍。個性的な往年の名選手たちを歯に衣着せない物言いからフットサル界のセルジオ越後との異名を取る難波田選手が束ねる)以外の試合も、意図を持った4人での崩し、2セットによる戦略的な選手交代、ビハインドで終盤を迎えた際の高精度のパワープレーなど、東京都3部の熱量をヒシヒシと感じさせられた。

2/28(日)に行われた4チーム1勝勝ち抜けの最終日は、フレッシュな攻守を見せたSorpresa edogawaが18歳前後のユース世代で構成されるFリーグ府中の下部組織である府中AFCサテライトBを降し、闘魂が攻守に圧倒してSPIGAを一蹴する。

残り1枠を賭けた府中AFCサテライトBとSPIGAの3位決定戦は1-1からPK戦に突入。
U18日本代表にも名を連ねるゴレイロ、山田選手を擁する府中AFCサテライトBが有利かと思いきや、しぶとい試合運びを見せたSPIGAがPK戦を制し、3部残留を勝ち取った。

床に付し、壁に寄り掛かる府中AFCサテライトBの面々。
おりしも年度末、進路を控え、最後の公式戦になる選手もいたであろう彼ら見て、脳内には定番の卒業ソングがリフレインした。

フットサル黎明期を駆け抜けめでたくアラフォーを迎えた闘魂は特例として置いておくとして、府中AFCサテライトBはサテライト経由でのFリーグを目指している選手が間違いなくいるだろし、今日の1戦に勝利し、満面の笑みを浮かべたSorpresa edogawaやSPIGAにも仕事や家庭との折り合いがつけばと、チャンスを狙っている野心家はいるはずだ。

上位のカテゴリーを目指すのであれば、自然、練習日も増える。
 その環境でフットサルを続けるためには個人としてウェア、シューズ、サプリメントなどのギアやケアが必要だし、団体競技として練習場の費用、各地域リーグへの登録費、全日本選手権への参加費、それに紐付く交通費など必要経費は嵩んでいく。

フットサルはマイナースポーツだ。
週末の試合に勝っても勝利給は出ず、負けても月曜日には仕事が待っている。

勝利や達成感と日常生活の疲労感はトレードオフだし、いかんせんフットサル界は狭く、地味な世界だ。
ムリにFリーグを目指し、不安定な中でフットサル中心の生活を送るよりも、気の置けない仲間と日常生活のほどよいスパイスとしてフットサルに親しむのがご時世的にも正解と考えたほうが建設的かもしれない。

練習、移動、金曜日に試合が入る大会での有休の調整、職場や家族に理解をしてもらえる人間関係の構築などフットサルを続けるためにフットサル以外にやらなければならないことは山ほどある。

それでも仲間と苦楽を越え、結果を出すことが何ものにも代えがたいということは、疲労も抜けにくくなってきているであろう体で連戦を戦い、全盛期からは想像もつかないカテゴリーでの勝利を満面の笑みで喜ぶ闘魂のレジェンド達の表情を見ればとてもよくわかる。

府中AFCサテライトBの若者たちの本気度がどれほどのものかわからないが、彼らには後悔のない選択をしてほしいし、彼らを指導し、取り巻く諸先輩方にはフットサル界の良いところも良くないところもキチンと伝えて、彼らの価値観を育てる接し方をしてほしい。

2014年からJFA主催のU18の全国大会が春夏に行われ、バーモントカップからのアンダーエイジカテゴリーも整備されてきたが、強豪サッカー部からの補欠選抜チームとしての参戦が目立つ。
J2、J3でアルバイトをしながら選手を続けているという話も多々聞くが、露出はサッカーのほうが間違いなく多く、ある種、憧れのバロメータにもなりうる若手選手が有名芸能人と合コンなんていうゲスいスキャンダルはフットサルではとんと聞かない。

草食系だ、さとり世代だといわれる昨今だが、若い男が好きなものなんていつの時代でも金、女、人気と至極単純なのは間違いないだろう。
下積み生活の長い地味なマイナースポーツにいつか一等星になる輝きを期待してドップリ漬かるキッカケはトコトンくだらなくても問題なく、その後に本質に気がつかせてあげられる大人や、ちょっと苦い薬になる経験が待っていれば十分だ。

ただのフットサルファンである私が彼らに保障してあげられるものは当然何もなく、今後もフットサルを続けてほしいとは一言も言えないが、U18日本代表候補の山田選手をはじめ、今回は苦杯を舐めた府中AFCサテライトBの彼らが金の卵であることは間違いない。

最近のFリーガーを見ると皆一様に爽やかで、勝って頭を垂れ、敗れても切り替えて次戦に集中すると語り、行儀よくスポンサーへの感謝を口にする。

その振る舞いにまったく問題はないが、個人的には競技力と合わせて、金や女の匂いがし、確信犯的な頭の良さとキャラクター性でマスコミにもドンドン露出するようなチャラついたキャラが出てきてほしいとも思うし、案外周りが眉をひそめるようなお茶の間発信が地味なマイナースポーツの認知や普及の窓口になったりするのではないだろうか。

2012年ワールドカップで決勝トーナメントに進出した勢いを活かせず、それ以上の結果を期待された2016年はアジア予選でまさかの敗退を喫した日本フットサル界。
 
当然そんな業界で有名になったからといって、いい女を抱けるわけでも、大金を稼げるわけでも、一生食べていける全国的な人気が出るわけでもない。

どんな形であれフットサル界の露出は自分自身に返ってくるという大義名分の元、頭のネジをひとつふたつ外した異端児が登場することを心のどこかで期待している。




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府中競馬場の最寄駅、府中本町駅から徒歩15分ほどの郷土の森、府中総合体育館。
早春の河原は徐々に梅の花が咲き出しています。
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試合開始前に会場の設営をするスタッフ。
こういう光景、とても好きです。
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デサフィーオ品川(黄)を降し、2回戦を突破した府中AFCサテライトB(茶)。
残り2試合、1勝勝ち抜けのトーナメントで敗退し、惜しくも昇格はならず。
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試合開始前、ボクサーのように下を向いて集中するゴレイロの石渡選手(上)と、黙々とアップを続ける稲田選手(下)。
それぞれの方法で気持ちを高める闘魂のレジェンド達。
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時に味方として、時に対戦相手として一時代を築いたNo5北選手、No7岩田選手、No10難波田選手。
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地元府中で攻守に奔走したNo4中澤選手。
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無尽蔵のスタミナで攻守に走り回るSorpresa edogawaのNo14中西選手。
ピッチ外、ピッチ内ともハイテンションで味方を鼓舞する表情豊かな姿は感動的ですらありました。
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勝てば昇格のSPIGA戦前に前の試合の汗をモップで拭く闘魂の面々。
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全盛期を彷彿させるプレーで観客席を沸かせ続けたNo16横山選手と、No11稲田選手。
横山選手は参入戦3日間でMVP級の大活躍。
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攻守にレベルの高い活躍を見せたNo8会田選手。
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3日間の参入戦。各日とも雰囲気の良さが目立った闘魂。
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試合終盤で登場した左からNo2佐藤竜選手、No9矢口選手、No3佐藤秀選手の重量セット。
府中AFCとゆかりのある矢口選手にはサテライトBの選手からワンプレーの度に『出たぞ!!』『スゲエ!!』『ヤグってる!!』といった大声援が飛び、年の離れた友情の言葉のひとつひとつで会場は温かい雰囲気になりました。
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試合終了後、自撮り棒で記念撮影をする闘魂の面々。
かつてトップリーグで鎬を削り、日本代表でアジア、世界の強豪と戦った彼らのフットサルとの距離感が分かるヒトコマ。
来期の東京都3部リーグが非常に楽しみです。
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PK戦にもつれた府中AFCサテライトBとSPIGAの3位決定戦。
PK戦前のSPIGAの選手、スタッフの表情も、彼らのフットサルとの距離感を表しています。
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惜しくもPK戦で涙を呑んだ府中AFCサテライトB。床に突っ伏す府中AFCサテライトBのゴレイロ、No1山田選手。
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対象的な涙を流す両ベンチ。
賭けるものがあり、得るものは一言では語れない。
フットサルっていいものだな、と思うヒトコマ。
21 2月

2016/2/21(日) 東京都3部参入戦 1回戦 府中市総合体育館第2体育室 『熱の先にあるもの』

2016/2/21(日) 東京都3部参入戦 1回戦 府中市総合体育館第2体育室
A.Cトルネード 1-2 デサフィーオ品川
リガーレ東京ロコス 2-4 府中AFCサテライトB
MCM 2-2 (PK2-3) ドリームフットサルクラブ
クリアソン 3-9 闘魂

例年、この時期に各地域、カテゴリーで実施される上位、下位リーグの参入、入替戦。
 
地域、カテゴリーによる特色はあるものの、大抵上位リーグ優位のレギュレーションであることが多く、府中市総合第2体育館で開催された東京都3部参入戦(東京都リーグ最下位から最下位から1つ上のカテゴリーへの参入戦)も、下部カテゴリー8チームのトーナメント→決勝に進んだ2チームが3部の下位チームと入替戦というレギュレーションになった。

分倍河原駅からのローカルバスに乗り、牧歌的な街並みを抜けて府中の森へ向かう。
普段府中アスレティクスが公式戦を行う第1体育館を覗くと、今年で40回を迎える府中市バトミントン大会がなかなかの盛り上がりで開催されており、不意な所から府中市の懐の深さを感じさせられてしまった。

参入戦の会場の第2体育館はゴールの片側のみに観客席があり、手前のゴールは見えない狭いアリーナだ。
170人が入るとされている観客席はなかなかの入りで、出場する8チームの関係者、身内の方々の前で繰り広げられた試合はどれも接戦で熱いものだった。

2-2とレベルの高い締まったシーソーゲームからPK戦にもつれたMCMとドリームの試合が終わり(結果はPK2-3でドリームが勝利)、最終試合の闘魂とクリアソンが登場する。
観客席には関東1部やFリーグで活躍する選手の姿も見られ、この試合の注目度の高さが伺えた。

強力なピボの稲田選手、守備をシメる北選手は不在だが、この日も守護神石渡選手、闘将難波田選手、攻守に奔走する会田選手が額面通りの活躍を見せ、ピボに入った横山選手も絶好調。

試合のしょっぱなから各自がベテランらしからぬ強烈なシュートの雨を降らせ、守っては異常な1対1の強さで若者たちの行く手を遮ってみせる。
クリアソンのキックイン、コーナーキックには「閉めろ!!(相手キッカーからゴールへの直線、あるいは対角へのパスをケアすること)」の激が飛び、前を抜けて中央に入ったボールは必死の形相で掻き出す。

全盛期を思わせる出色のパフォーマンスと覇気、狭いフロアとプレーイング12分(通常の公式戦では20分)というベテランには優しいレギュレーションを活かして一気に試合の主導権を掴み、気落ちして足が止まったクリアソンを攻め込んで闘魂が前半を5-1で折り返す。

後半、前と人に強い選手が揃う闘魂ディフェンスの角ではなく、線の位置でボールを受け、コンタクトを避けるよう修正してきたクリアソンが徐々に盛り返し、残り10分からパワープレーを開始。

このパワープレーが実に見事で、ピラミッドの形からゴールライン際に並んだ選手が底から中央に入る動き、底で釣っておいて対角に振っての崩しと、東京都3部入替戦には似つかわしくない精度と流動性を見せ、ボックスで守るもののプレスの位置が低く、底の選手のケアで後手に回った闘魂から、第2PKスポット横から対角の底へズバッと通しての折り返しを決めるという素晴らしい崩しを含む2得点をサクっと挙げ、一気に試合の形成は逆転した。

ネームバリューは圧倒的に闘魂だが、1年間マイナーリーグを戦ったクリアソンだって黙って負ける気はない。
前半の負債を一気に返そうと意気が上がる若者たちを相手に、百戦錬磨のベテランたちがどう修正するか。
闘魂がタイムアウトを取り、監督が動かすボードを集中して見つめる両チーム。
タイムアウトの1分間はあっという間に終わった。

歴戦の名選手を相手に失礼だが闘魂に名を連ねる面々を見ると、どうにも逃げ切りに弱く、気がついたら揉めだして試合終了後にはフロアに突っ伏したり、憮然とした表情で腰に手をあてている印象がある。

スコアは5-3。

試合の流れは残酷で一度勢いに乗ったら堰き止めることは容易ではないことは前半にクリアソンが証明していた。

試合が再開され、闘魂は前2枚のプレスの位置を修正し、後2枚は全体を見つつ底の選手の揺さ振りには必死に首を振って確認してアジャストする。
クリアソンもピラミッドから中央に人が入ってのクロスの形への変化を見せながら、闘魂の縦と横のギャップを見つけ、広げようとボールを動かし続ける。

空いたサイドへの早いパス回しと、プレス&ポジション修正。

タイムアウトから3分間ほどお互いが教科書通りのパワープレーとパワープレーディフェンスを愚直に繰り返す神経戦が続くも、混戦からボールを抑えたゴレイロの石渡選手が現役時代さほど印象にないパワープレー返しをこの試合でズバリと決めて6-3と突き放すと再び形成は逆転し、闘魂が1点ごとに気勢を上げながらのパワープレー返しで9-3まで点差が広がる。

このまま試合が終了すると、ベテランらしからぬハイテンションな試合展開を見せた闘魂がどっと沸き、この一戦に期すものがあったであろうクリアソンの若者たちが顔を伏せた。

2000年代のフットサル黎明期を駆け抜け、日本代表を、Fリーグを、ワールドカップを経験したベテランたちが東京都の3部参入に向けての1勝に喜び、相当に研究と練習に時間をついやしたであろう洗練したパワープレーで彼らを追い詰めたクリムソンが落胆する。
 
演者が誰であれ、カテゴリーがどこであれ、本気になっている人達の喜怒哀楽を見るのはとても気持ちがよく、気持ちのこもった両者の姿にとても感動させてもらった。

東京都3部参入戦は2月27日(土)、28(日)と府中市総合第2体育館で続く。
27日(土)はデサフィーオ品川と府中AFCサテライト、ドリームフットサルクラブと闘魂が対戦し、28(日)は各勝者とSorpresa edogawa、SPIGAが対戦する。
失礼ながら闘魂以外に知っているチーム、選手はまったくいないが、喜怒哀楽のこもった熱い試合になるのは間違いないだろう。

好きなことに一生懸命になるのに立場も年齢も関係ない。
そんな当たり前のことを当たり前と思うことがなかなか難しく、ストレートに熱くなり、表現できるものを持っている彼らがとても羨ましい。

実質プロリーグではなく、カテゴリーが上がるほどに生活とフットサルとの両立がついて回る日本の競技フットサル界。
それでも熱くなり、昇格を目指す理由は何か。
こういった試合を、今、色々な気持ちを抱えている人達にゼヒ見てほしい。
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分倍河原駅からのローカルバスに乗って牧歌的な雰囲気の府中の森へ。
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入口奥にあるアスレカラーの自動販売機とバトミントンの市民大会を開催中の第1体育館。
こういう光景のひとつひとつに府中の懐の深さを感じました。
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闘魂(白)とクリアソン(青)
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ファイルフォックスでの最後のシーズン以上に体が絞れている印象のあるゴレイロNo12石渡選手。
平然と相手シュートをブロックする姿は圧巻の一言。
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強シュートと覇気のあるプレーでゴールに迫ったNo10難波田選手。
ハイテンションでセットプレーを掻き出し、スライディングでシュートブロックして吠える姿に胸が熱くなる。
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昨年まですみだで活躍。
仕掛けとプレスをこなしたNo13荻窪選手。
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ディフェンスと繋ぎに奔走し、地元府中で出場時間を伸ばしたNo4中澤選手。
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抜群のボールキープとシュート、今風のSicKな足技で会場を沸かしたNo16横山選手。
前線で抜群の存在感でした。
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迫力満点のフロントラインを形成したNo3佐藤秀選手とNo9矢口選手。
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闘魂ディフェンスの指示の声が目立ったセットプレー。
勝負の際を見極める経験はさすが。
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前半のタイムアウト。
ボードを動かして修正を図るクリアソン。
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ハーフタイム。後半に向けてのゲームプランを練る闘魂。
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クリアソンのパワープレー。
写真右下のNo17の選手の外→中の動きが出色でした。
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中央に選手が入っての展開。
縦、横のギャップで裏を突いて一気に2点を上げたクリアソンのパワープレーはお見事。
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9-3になってから登場したNo2佐藤竜選手、No3佐藤秀選手、No9矢口選手、No14田代選手の圧力十分の重量級セット。後ろから追われるのは心理的に嫌でしょうね・・・。
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試合終了後の闘魂とクリアソン。
クリアソンは結果は残念だったもののこの試合の経験は間違いなく活きるはず。
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ひとしきり喜んだ後、闘魂はすぐさまミーティング。彼らの本気度が伺えます。
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全試合終了後の第2体育館。

28 11月

2015/11/28(土) 全日本選手権 東京都決勝大会 葛飾総合スポーツセンター 『いつ終わってもいい夢みたいなもの』

2015/11/28(土) 全日本選手権 東京都決勝大会 葛飾総合スポーツセンター 
ゾット早稲田 3 - 1 闘魂
BRB 5 ー 5(PK 4 - 5) FUTURO
ファイルフォックス府中 4 - 3 府中AFCサテライト
町田アスピランチ 7 - 4 カフリンガ東久留米

2013年4月の引退宣言から2年半。
晴天の霹靂のように突如再登場したディベルティード八王子戦を見てからの2ヶ月弱、難波田選手本人が語った『いつ終わってもいい夢みたいなもの』になんだか熱くなった。

◆2015/10/10(土) 第21回全日本フットサル選手権 東京都大会 『希代のロックスター』

◆2015/11/3(火・祝) 第21回全日本フットサル選手権 東京都大会 『夢中の価値』

口ではいつ終わってもいいと言いつつも、やる前から負けるなんてことは微塵も考えず、結果を出すために全員が行動する。
そんなベテラン達の今日の対戦相手は実質5カテゴリー上になる関東1部のゾット早稲田で、ここを突破すれば全日本関東予選進出という大快挙だ。

総力戦を避け、ゴレイロの石渡選手を中心とした堅守で守り、体力を温存しての遅攻から難波田選手のミドルシュートや、稲田選手のピヴォ当てといった局地戦に活路を見出すこれまでの3試合のゲームプランに反し、会田選手、一木選手が縦に推進するアクティブなフットサルを見せると、前半9分にファイルフォックスで活躍した佐藤選手がエリア内で倒されて得たPKを、日本代表経験のある岩田選手がズバリと決めて闘魂が先制する。

観客席からアップセットを予感させるざわめきが沸き起こるものの、すぐさま左キックインからニアの選手が絡んで流したところを関東リーグを代表するエースの1人、米谷選手がアウトサイドで冷静に引っ掛けて名ゴレイロ石渡選手のタイミングを外して同点に追いつき、このまま終了と思われた前半終了間際、コーナーキックをニアで受けた選手が、フリーの選手をチョイスして中に落とすデザインプレーから武内選手がプッシュ。

ゾットが得意のセットプレーで逆転し、前半は2-1で終了した。

後半5分。
闘魂石渡選手、ゾット渡邊選手の両ゴレイロが締まった1点差ゲームを演出する美技の競演を見せるものの、ベテラン故にスピードに弱い闘魂ディフェンスを加藤選手が高速ドリブルで振り切ってのシュートパスを松田選手がファーで合わせて3-1とすると、闘魂は後半11分からパワープレーを開始する。

東京都のオープンリーグ(競技系チームで最下層のカテゴリー。実質東京都4部に該当)で活躍する闘魂が、20分プレイングタイムかつ屋内フロアコートで試合をすることはまずない。

今日、観客が入る葛飾スポーツセンターで試合をしているのは、玉石混合のオープントーナメントをひたすらに勝ち抜き、勝ち抜けばどのチームにもチャンスがある全日本だからこその光景であり、リーグとしては東京都2部までは観客席のある会場で試合が行われることはないだろう(年度ごとに1カテゴリーずつの昇格となるため東京都2部でのリーグ参戦は最低でも2017年)。
 
これで負ければ奇跡のような快進撃を続けた闘魂劇場は終了するという刹那感の中『いつ終わってもいい夢みたいなもの』という言葉を思い出す。
それは試合を見つめる観客にとっても同じことで、いい年のオジサン達が夢のために全力を出す姿を見るのはとても気持ちがよかった。

終盤、試合は接触プレイを巡って荒れ模様になり、老獪な闘魂相手に冷静にゲームを進めていたゾットも熱くなる。
 
普段はテクニシャンながら適切な球離れの判断をする米谷選手が止めを刺さんとばかりの執拗なドリブルから4点目を狙いに行き、終盤は指揮に専念した清野選手兼監督が、判定で一悶着あった後にイラつきを隠さず憮然とした表情で試合を見つめる一幕があった。
 
良くも悪くも爽やかな若者たちで構成され、喉越しや読後感の良さが目立つようになった関東リーグ。

試合展開を読んでの局地戦や、審判を巻き込んでの老獪な駆け引きを見せる闘魂は、かつて難波田選手が抜群の存在感で牽引していた、勝ちたがりで個のアクが強いファイルフォックスと対戦する各チームとのヒトコマを彷彿させるものがあり、なんだか微笑ましかった。

観客にも対戦相手にも普段と異なる緊張感とテンションを要求した一戦は、このまま3-1で終了し、闘魂の快進撃はこれで打ち止めとなる。
もっと見てみたいという想いは残ったものの、闘魂の面々も素直に夢の終わりを受け入れ、彼らの夢を介錯したゾットもどこかホッとした表情だったのがとても印象的だ。

闘魂の面々は黎明期にこそFリーグで活躍したものの、競技者の旬としては不幸にもややはずれた選手たちだ。
それでも観客たちの視線を釘付けにし、フットサルファンの話題に上る。
あの時熱中したあの選手をもう一度見るのは誰にとっても嬉しいことだったろうし、嬉しいのはその選手のこれまでを知っているからであり、その『これまで』は決して恵まれているとは言えないフットサル界をひとりひとりが少しずつ広げながら駆け抜けてきてくれたからだ。

普段はどこか俯瞰だったり一歩引いて試合を見ているが、この試合にとても感情移入し、熱くなり、試合終了間際、気がつけば痛くなるほどに右手を握っていることに気づく。

Fリーグが開幕して8年が経ち、9年目も終盤に差し掛かるものの、未だブレイクの兆しは見えない。
それでも続けることに価値があるはずだし、熱くなる姿を必ず誰かは応援してくれている。
それだけは確実に言えることだ。

かつて『闘将』と呼ばれ、今はフットサル界の問題点を鋭くコメンテイトし『フットサル界のセルジオ越後』と呼ばれたりもする難波田選手。
喜怒哀楽の塊のようだった現役時代からいくらか『怒』は削ぎ落とされ、フロアの上を歩く姿を追うと髪にもどこか白いものが見える。

彼が座長となって率い、突如としてフットサル界にムーブメントを巻き起こした闘魂劇場は3日、4公演で幕を閉じた。
一度はそれぞれの理由でケジメをつけたフットサルに、それぞれの立場でもう一度向き合ってくれた彼らの夢に心からありがとうと言いたい。

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闘魂と対戦するのは5日前に13-2で敗れたブラックショーツを10-2で破り意地のリベンジを果たしたゾット。
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今日はベンチからのスタートとなった闘魂の発起人、日本フットサル界のアイコンの1人、難波田選手
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闘魂のゴレイロNo12石渡選手と、ゾットのゴレイロNo1渡邊選手。
Fリーグ、関東リーグでも凌ぎを削った間柄。
安定感のあるセーブで締まった試合を演出しました。
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前半一気に押し込み先制点に繋げた闘魂。
縦への推進力を作ったNo8会田選手、No15一木選手。
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ゴール前で脅威になり続けたNo11稲田選手と、殊勲のPKを獲得したNo3佐藤選手(写真下・右)
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闘魂の先制PKの場面。キッカーは日本代表、湘南、ファイルフォックスで活躍したNo7岩田選手。
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2-1で迎えたハーフタイム。
集中して話を聞く闘魂メンバーとゲームプランを説明する難波田選手。
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同点ゴールを決め、終盤意地をむき出しにしてトドメの4点目を狙いに行ったゾットNo22米谷選手と、稲田選手をはじめとした闘魂のピヴォを抑えたNo5丸山選手。
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3-1。残り9分からNo10難波田選手をゴレイロにしての闘魂のパワープレー。
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パワープレー中の接触プレーから一触即発の事態に発展した終盤。
ここ数年の関東リーグでは見られなくなったこういう雰囲気をなんだか懐かしく感じてしまった。
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試合終了後、観客席に挨拶をする競技系チームのゾットと、記念写真を撮るサークル活動の闘魂。
今のフットサルとの関わり方が現れたリアルな一幕。
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こちらもレジェンドの1人、40歳で関東2部を戦うフトゥーロNo5上村選手。
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BRB躍進の立役者、No11直江選手とNo99佐藤選手。
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府中サテライトで光る動きを見せたNo5日永田選手。
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難波田選手引退後のファイルフォックスを引っ張り、関東リーグを制覇。
選手兼監督としてFリーグに数々の選手を送り込む名伯楽。
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昨年、ファイルフォックスで関東リーグを制し、今年は再度Fリーグに挑戦する瀬戸選手。
アスピランチで存在感のある活躍を見せています。
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昨年、全日本で準優勝をした神戸からアスピランチの監督に就任し、今年多くの選手をトップチームに昇格させた小川監督。
今日の試合でもトップの岡山監督が見に来るなど、トップ、サテライトの連携、雰囲気の良さが伺えます。 
3 11月

2015/11/3(火・祝) 第21回全日本フットサル選手権 東京都大会 『夢中の価値』

2015/11/3(火・祝) 第21回全日本フットサル選手権 東京都大会
◆準々決勝
BRB(東京都1部) 3 - 0 闘魂(東京都オープンリーグ)
十条FC(東京都2部) 0 - 9 ペスカドーラ町田アスピランチ(東京都1部)
◆3位決定戦
闘魂 4 - 1 十条FC

4チーム負け残り、1勝勝ち抜けのトーナメントで争われる全日本選手権東京都決勝大会プレーオフ。

9人で試合に臨んだ闘魂は開始から3カテゴリー上のBRBを相手に、開始早々から難波田選手をゴレイロに置いたパワープレーを仕掛け、長らく女子フットサル界を牽引してきた宇津木選手を起用するというトコトンエッジの効いた試合を見せた。
 
試合は前半を1-0で折り返し、ロースコアの接線に持ち込むも、後半17分に佐藤選手が3-0となるパワープレー返しを決める。
おそらく初戦に疲労を残さず、2戦目での勝ち抜けを狙っていたであろう闘魂。
カウンターの場面でも前に出ず、パワープレーでの遅攻で省エネに徹していた彼らだが、ここからの3分間、意地になって前から詰める姿を見せる。

結果的には質量ともに十分な12人を揃えたBRBが闘魂をシャットアウトしたものの、経験豊富なベテラン達が燃費計算だけではないギラついたものを見せる姿に私も思わず前のめりになった。

トーナメント別山の十条FCと町田アスピランチの対戦中、以前SNSで闘魂の記事をシェアしていただいたこともあり、難波田選手にご挨拶をさせていただいた。
40分間続けたパワープレーのことを指してつまらない試合をしてしまって申し訳ないという謝罪の言葉に始まり、2戦目は初戦にいなかった稲田選手、石渡選手が来るので狙いに行く、という話を聞き大いに高ぶった。
今日勝てば次は関東1部のゾット早稲田との対戦ですね、と高ぶった余勢を駆って問いかけると、なんとも闘将らしい言葉が返ってくきて、今日一日、私はこの言葉が頭の中で巡ることになる。

十条FCと町田アスピランチの対戦は7人の十条FCを12人の町田アスピランチが0-9と一蹴し、16時からの3位決定戦は闘魂と十条FCに決まり、インターバルとなった13時過ぎから15時までの間、持っていた本を読んで過ごしていると、それぞれの事情で一戦目を欠場した闘魂と十条FCのメンバーが徐々に集まりだす。

最終的に闘魂は12人(内ゴレイロ2人。宇津木選手は登録を外れる)、十条FCは9人(内ゴレイロ1人)での試合となり、試合は前半10分にハーフラインで相手のボールを奪った難波田選手が独走してのゴール&シャウト。
前半終了間際に稲田選手が右サイドの角度の無いところから豪快に反転ボレーを突き刺し、自陣第2PKあたりでルーズボールを拾うと、前に出ていた十条FCの頭上を抜く超ロングシュートを決め、闘魂が前半を3-0で折り返した。

後半5分。
不用意なファウルでのフリーキックを十条FCがクイックリスタートで沈めて3-1とすると、ここから闘魂がガクッと落ち込む。 
若い十条FCがラインの間を利用した攻めで押し込むと、前に強いベテランが後ろ向きで相手を追うことが増え、4度全日本を制した難波田選手がベンチから激を送り、長くFリーグで活躍した一木選手が苛立ちの声を上げる泥仕合になり、前回、ドラマチックな逆転劇を演じた彼らは、今日は逃げ切りに腐心することになった。

ふと難波田選手の言葉を思い出す。
「俺たちのこの大会はいつ終わってもいい夢みたいなもの」
今日勝てば次は関東1部のゾット早稲田との対戦ですね、という私の問いかけにこう返し、その後、
「(競技レベルとして)価値のないものかもしれないけれど(3位決定戦も見てみてほしい)」
と続けた(カッコ内は私の解釈で行間を補完したもの)。

第1試合では長らく女子のトップカテゴリーで活躍した宇津木選手が試合に登場し、ゴレイロスロー見事に収めて起点になったかと思えば、サイドの攻防ではスライディング2連発で相手のシュートをブロックし会場の喝采をさらう。
腕に障害を持つ十条FCの屋宮選手は、肩と額を上手く使って背中で押してくるピヴォに対応する。

そんな姿を目にし、思い浮かべ、ふと自分にとっての夢とは何だろうと考える。
1ヶ月、2ヶ月先の締め切りや、年度目標の達成を目指すことはあっても、今自分に明確な夢というものはない。
誰かが言った目標とすり替えたものを夢とは言わないし、明確に思い続けなければ夢を意識することもなくなるのだろう。

夢中というものは特権だ。
いつ終わってもいい夢に夢中になり、その価値を自分自身で決めている彼らがとても羨ましくなった。

活きのいい十条FCの若者たちの食いつきに肝を冷やした闘魂は、一木選手、横山選手、稲田選手、難波田選手のセットで建て直しにかかる。
隅に選手を配して相手のプレスをいなし、最後は難波田選手の縦パスを横山選手が軸足裏を通すバックヒールでゴールに流し込んで4-1とすると闘魂ベンチは息を吹き返したように一気に盛り上がり、残り5分で再び3点差となった十条FCも意地の追い上げを見せるものの試合は4-1のまま終わった。

わかりやすい逆転劇ではなく、ハラハラする撤退戦という演目で今日も会場を沸かせた闘魂劇場。
今年の全日本選手権の関東予選は東京で行われるため、次の試合に勝てば関東予選進出が決まり、関東予選で3勝を上げれば全国大会出場が決まる。
さすがにそこまで夢が続くかはわからないが、いい夢ならわざわざ覚める必要もないだろう。

夢中というものは特権だ。

Fリーグで、日本代表で活躍したものの一線を退いた選手で構成された闘魂。
トップカテゴリーではあるものの、実業団でもプロリーグでもないマイナースポーツであるフットサルの引退の理由はきっと様々で、競技レベルの衰えというスポーツ界での一般的な理由よりも、経済面、モチベーション、生活の安定ということのほうが多いのではと思う。
一度はそれぞれの理由でケジメをつけたフットサルにもう一度向き合う彼らのフットサルへの想いはとてもフレッシュで、いい年のオッサンたちがそれぞれの立場でもう一度夢と向き合う姿を見るのはとても清々しい。

ステージを纏める難波田座長が発した言葉を思い出す。
夢のために頑張る姿はいつだって観客の心を打つものだ。

かつて『闘将』と呼ばれ、今はフットサル界の問題点を鋭くコメンテイトし『フットサル界のセルジオ越後』と呼ばれたりもする難波田選手。
今のフットサル界に閉塞感を感じている選手や関係者、物足りなさを感じているファンはぜひ彼と闘魂劇場を見に来てほしい。
 
そこには人を動かす感情があり、忘れてしまっているかもしれない熱を、夢を思い出させるものが確かにある。

※東京都決勝大会は11/28(土)葛飾スポーツセンターで開催されます。

※同大会準決勝の闘魂について
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上中里駅から徒歩5分ほどにあるフットサル界の古刹、滝野川体育館。
道中は四季で景色が変わる風情のある坂道。
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BRB(赤)対闘魂(白)
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試合開始前の時間でゴレイロユニフォームを手に持ってゴレイロのアップをする、No10難波田選手。
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ファイルフォックス、カフリンガで活躍したNo99佐藤選手。
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見事なカットインシュートで先制点を挙げるも、自らのシュートのブロックが額を直撃し、退場した直江選手。
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気の利いた繋ぎと仕掛けを見せたNo4中沢選手。
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パワープレーでは主に左右の角に入り、折り返し、ファー詰めを狙ったNo6宇津木選手。
要所を見極めて攻守に光ったプレイを見せていました。
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東京都選抜でも活躍した町田のNo5瀬戸選手と、No15宮崎選手
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町田の横断幕のセンスは毎回お見事です
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7人のメンバーで町田戦を戦った十条FC
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文中に登場する十条FC、No12の屋宮選手。
スキルも高く、非常に印象に残る選手でした。
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2戦目から登場の大阪、すみだで活躍したNo15一木選手と浦安等で活躍した11番稲田選手、No18平塚選手。
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フィールドプレイヤーのユニフォームを着るNo10難波田選手。
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守りの要、No5北選手。
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本日の防球柵(?)
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3-1となった後、リズムの建て直しに一度はパワープレーを選択するも、その後4人での展開をチョイス。
ここでの凌ぎ方が勝敗を分けました。
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勝利後の闘魂ポーズ。
各メンバーの温度差が微笑ましいです
10 10月

2015/10/10(土) 第21回全日本フットサル選手権 東京都大会 『希代のロックスター』

2015/10/10(土) 第21回全日本フットサル選手権 東京都大会 
ディベルティード八王子 2 - 4 闘魂

2013年4月の引退宣言から2年半。
1年前に立ち上げた闘魂というチームで難波田選手が返ってきた。

難波田選手についてはこちら:2015/5/2(土) Fリーグ 第1節 代々木第一体育館 『闘将の問いかけ』

Facebook等の情報を見ると、難波田選手をはじめ北選手、岩田選手、稲田選手、石渡選手といったフットサル黎明期のメインストーリーを張った元Fリーガー、元日本代表の面々は嘘か本当か普段はチームとしての練習はせず、試合だけに集まってフットサルを楽しんでいるという。
 
今日の相手はFリーグ湘南、町田でも活躍したテクニシャンのシニーニャ(沖村リカルド)を擁し、東京都1部を戦うディベルティード八王子(東京都オープンリーグを戦う闘魂としては3カテゴリー上)。

試合は前半13分に闘魂ディフェンスの頭上を抜くシニーニャの優しいループパスをボレーで突き刺して八王子が先制し、17分に難波田選手のミドルをゴレイロが弾いたところを稲田選手が蹴り込み1-1の同点で前半終了。

フットサル黎明期を駆け抜け、めでたくアラフォーを迎えた闘魂のレジェンドたち。
体力を温存するためかカウンター合戦には付き合わず、体の強さを活かして粘り強く戦うスローペースな試合にベテランらしく持ち込んでいく。

後半2分。
シニーニャの冷静な組み立てから闘魂のミスを誘い2-1と八王子が再びリードを奪う。

シニーニャがドリブルで持ち込んでラストパスを狙い、Fリーグで得点王も獲得した稲田選手の強烈なミドルシュートがゴールを襲う。
軽快にボールを運ぶ八王子と、体の強さでどっしりとポイントを作って攻める闘魂のジリジリとした鍔迫り合いに、このカテゴリーとしては異例の満員御礼となった泉体育館は固唾を呑んだ。

若干ナーバスなジャッチで八王子が退場になったペナルティキリングの2分間で得点を奪えなかった闘魂。

嫌な流れで迎えた後半11分。
コーナーからの流れを岩田選手がズドンと決めて闘魂が2-2に追い着き、後半18分にはゴレイロ石渡選手からのスローを受けた稲田選手が抜群のキープから放ったシュートのこぼれ球を、横山選手が無人のゴールへ流し込み、闘魂がこの試合初めてリードを奪った。

試合時間残り2分での八王子のタイムアウト。
八王子はパワープレーの準備をし、闘魂は難波田選手がスコアボードを持ってディフェンスの確認をする。

現役時代、強烈な個性を放った難波田選手。

試合中に大きくボールを蹴り出しては吼え。
スライディングしては吼え。
シュートを決めては吼える。
 
感情を剥き出しにし、チームに要求し、ワンプレーを諦めず、勝つためにできることに妥協しない。
ファイルフォックスの6番としてのこの人のプレイを追った3年間、勝っても負けても難波田劇場は常に熱く、自分にはない強烈な自我と溢れ出る俺様イズムに大いに憧れた。

残り2分。
1点差でのパワープレー。

ボールがディフェンスの網にかかり、右サイドに流れたルーズボールを闘魂では10番をつける難波田選手が必死で追いかける。
首を振り、血走った目でゴールの位置を確認し、並走する相手よりもボールに早く触るため歯を食いしばってスライディングに入る。
タッチラインギリギリ、右足で捉えたボールはスローモーションを見るように静かにフロアを転がり、ボールがゴールに入った瞬間、一瞬の静寂に包まれていた会場はドカンと沸いた。

雄叫びを挙げ、防球用の柵を持ち上げ、観客の喝采に応える難波田選手。
余りに興奮した喜びっぷりに主審からイエローカードが提示され、その後、足を押さえて倒れ込み、チームメートに脇を抱えられベンチに退く。
今日一番観客が期待していたであろう主役の大活躍とコミカルな一幕に、会場からは喝采と笑いが長く続いた。

試合はこのまま2-4で闘魂が勝利し、観戦していたサッカー少年たちの話題は背番号10で持ち切りになる。
関東リーグでよく見た光景で、自分もそんな話題で盛り上がった1人だ。

ファイルフォックスの6番としてのこの人のプレイを追った3年間、勝っても負けても難波田劇場は常に熱く、自分にはない強烈な自我と溢れ出る俺様イズムに大いに憧れた。

全力出してる? 
真剣にやってる? 
夢中になってる?

プレイを見るたびにそんな問いかけを受けているような気がする。
そして自分も強くなれるような気がする。
そんなロックスターのようなフットサル選手は今のところ彼だけだ。

今日の試合、競技力は決して高くない。
それでも自分は大満足で、周りの観客もいい表情をしている。

かつて『闘将』と呼ばれ、今はフットサル界の問題点を鋭くコメンテイトし『フットサル界のセルジオ越後』と呼ばれたりもする難波田選手。
今のフットサル界に閉塞感を感じている選手や関係者、物足りなさを感じているファンはぜひ彼を見に来てほしい。
そこには人を動かす感情があり、いつの間にか忘れてしまっていたかもしれない熱が確かにある。

ふただび表舞台に登場した握手会や総選挙と対極にいる無骨なロックスター。
次のライブは11/3(水・祝)、フットサル界の古刹、滝野川体育館。
一公演でも多く希代のロックスターのステージを見れるのを楽しみにしています。

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多摩モノレール泉体育館駅徒歩1分の泉体育館。
ボルダリングの施設もある体育館です。
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黄色:ディベルティード八王子
オレンジ:闘魂
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チームの発起人、日本代表、ファイルフォックス、大洋製薬(名古屋オーシャンズの前身)で4度全日本選手権を獲得した難波田選手
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日本代表、ファイルフォックスで活躍したゴレイロNo12石渡選手。
長身を活かしたシュートセーブは圧巻でした。
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日本代表、浦安のピヴォとして活躍し、Fリーグで得点王を獲得したこともある稲田選手。
強烈なシュート、抜群のボディバランスは別格でした。
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体の強さで攻守に貢献した元日本代表、ファイルフォックスで活躍したNo5北選手。
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Fリーグ湘南、町田で活躍したシニーニャことNo7沖村リカルド選手。
華麗なテクニックは健在でした。
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ファイルフォックスでピヴォとして活躍したNo3佐藤選手。
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運動量とスピードアップが必要な場面で出色の活躍を見せるNo8会田選手と、No16横山選手。
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ファイルフォックスで選手兼スタッフとして活躍したNo14田代選手。
プレスと裏に抜け出す動きが光るチームのムードメーカー
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1-1と追いついた稲田選手のゴールの場面
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後半、フリーキックを直接狙う難波田選手。これは左に外れます。
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ベンチから戦況を見つめる難波田選手と北選手
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パワープレーの場面。
闘魂は難波田選手、北選手、会田選手、横山選手でのディフェンス。
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試合後の闘魂ベンチ。
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試合後の集合写真。
下は闘魂ポーズとのこと。流行ると思います・・・。
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