◆マッチレビュー
2023/2/1 U-23日本代表 VS U-23フランス代表(2戦目) 6-1(前半3-1/後半3-0)
●招集メンバー
●試合結果
●試合動画
●出場選手一覧
1戦目を見終えた後の感想は
『点差こそ競ったものになったが、フランスはDF時にボールラインまで撤退できない選手がいたり、逆アラへのパスを容易に通されるなどフットサルのリテラシーに乏しく実力的には日本が2段階上。
1対1、セットプレーなど、フランスがフットサル外の質で上回れる局面をキッチリ抑えれば点差を話して日本が圧倒できそう』
だったが、2選目は文字通りこの展開となり、効果的に追加点を挙げた日本が6-1で勝利した。
1戦目とは細かくセットを入れ替えているが、2戦のクオリティを見ても原田、山田、金澤、毛利が頭ひとつ抜けているのは明らかで以降はハッキリとフル代表と兼任になるだろう。
◆セット(1戦目)
ゴレイロ:中澤
1st:宮川、山中、毛利、金澤
2nd:大澤、山田、原田、中島
オプション:
前プレ→橋本、倉科
クアトロ→大島
ドリブル→靏谷
◆セット(2戦目)
ゴレイロ:井戸
1st:山田、毛利、金澤、原田
2nd:大澤、宮川、山中、中島
3rd:橋本、倉科、靏谷、大島(前半に1回登場。以後は各自オプション)
2022年に優勝したAFC、今回のU23の親善試合で木暮監督が目指すフットサルの輪郭が見えてきた。
3月にタイで6カ国国際親善大会が行われることと、出場するメンバーが発表されたこともあり、6-1で快勝した2戦目については賛辞しかないので、以下は木暮戦術を踏まえた上で各ポジションの今後の展望を述べたい。
●2021年 ワールドカップ招集メンバー(参考)
●2022年 AFC招集メンバー
●2023年 6カ国国際親善大会招集メンバー
◆ゴレイロ
フットサルの基本は1vs1でここをどう突破するかがすべての技術や戦術の根幹だと思う。
手より不自由な足を使うことからフットサルの前プレはプレスする側が他競技と比べて成功率が高いはずで、この局面に勝つこと、さらに前を向いてスピードアップした状態で勝つことがゲームの支配に直結する。
ゴレイロを使ったプレス回避は1vs1から2vs1のゲームにフットサルを変えてくれる。
AFC、U23ともゴレイロを使ったプレス回避の場面が多かったが、マイボール時の攻撃回数、ボール保持時間を増やすことや、FPの疲労度の軽減に繋がるこのチョイスは今後も継続するだろう。
クロス、シャンク、ダブルニーといったゴレイロの基本的な精度はあって当たり前。
一見簡単に見えるが底でボールを扱うことのプレッシャーに耐え、ゴレイロを使ったプレス回避のアルゴリズムを実現できる足技を持っていることが代表入りへの必須条件になりそうだ。
◆フィクソ
後ろでドッシリ構えて守備に睨みをきかせ、ミドルシュートでゴールを狙うというのがクラシカルなフィクソのイメージだが、Fリーグを見ても現代のフィクソはオフェンス時はサイドに開いてドリブルやワンツーで仕掛ける、といったどちらからというとアラの資質にも優れたタイプが大半を占めるのではないだろうか。
今回のU23でガッチリとセットを確保した山田、原田、大澤、宮川にしても、見る人によっては『アラ』『フィクソ』どちらの選手かの議論が起こるだろう。
逆説的だがアラとフィクソのポジション的な垣根はごくごく薄く、もはや監督の好みやチームのバランス、相手に合わせたゲームプランによって、アラ役とフィクソ役を指名するレベルのくくりでしかなさそうだ。
象徴的なのが自陣深くで相手のフリーキックになった場合は常にディフェンスのための選手交代をしており、ここでは固定的なメンバーでフリーキックの守備を行っている。
当たり前だが試合に出ている選手は今その局面で必要な能力を持った選手たちであり、専守が必要な場合は適した選手に変えればいいだけなので、安定してボールを保持してゲームを進めるプランであればアラ的な能力が高い選手を多くピッチに立たせるのは理に適っている。
2021年のワールドカップのスペイン戦ではサイズとパワーのあるピボのソラーノ番として星龍太がピッチに入りマンツーマンでマッチアップしていたが、いわゆる肉体派のクラシカルなフィクソの枠は1枠あるかどうかで、基本的にはアラと兼任できるポリバレントなタレントが重宝されそうだ。
◆アラ
目立つのはドリブラータイプのアラで、U23では金澤、山中、霧谷、AFCでは金澤、ワールドカップでは室田、加藤未とAFCを除くと各チームとも2~3枠ある。
ドリブラーといってもスピード、キレ、足技、利き足と勝負のカードにはそれぞれに個性があり、この差異が相手を惑わすチームの強みだ。
AFCでは仕掛けのアラの枚数がやや乏しく、アジア全体のレベルアップももちろんあるがこのコマ不足が初戦にサウジアラビアに敗れるなどの思わぬ苦戦に繋がったのではないだろうか。
他は規律のアラが大枠を占め、代表格は長く活躍した吉川、西谷らだろう。こことドリブラーのアラの質が日本の推進力になる。
◆ピボ
ピボは1~3枠程度になるだろうが、現状は清水和、平田をアラも兼任できそうな毛利が追う展開だろう。
注目株は若干18歳、浦安の柴山で、サイズと年齢に似合わず周りを使うのも上手く、今後の早く国際大会で見たい才能だ。
◆日本が不足している点
2024年にはワールドカップの出場権を賭けたAFCとワールドカップがある。
攻撃、守備ともタレントは充実しており、あとは監督が描く戦術を遂行するピースを発見する、ピースの相乗効果を高めるアプローチが今年は続くはずだ。
自分は以下が日本のレベルアップに必要なピースと考えており、ここの発掘を観点に今年は日本代表、Fリーグを楽しみたい。
1.エースキラーとなるフィクソ
トータルでは重宝されなさそうだが局面で絶対に必要。AFCでは内村が務めたが次世代の適任者探しが必要だろう。
若手~中堅では北村(すみだ)、牧野(湘南)が1対1の強さで抜けているが、個人的にはスピードがありオフェンスでも光るものがある北村を見てみたい。
2.パワーシューター
プレス回避でゴレイロを上げて押し込む際に、シューターが複数いるとよりマークを分散させられて攻め手を増やせる。
アルトゥール、清水和がいるが、ポジション、利き足などのバリエーションごとにいればいるほどチームとしてはプラス。
いなければ相手のディフェンスはミス待ちでもOKなのでハーフでの守りが固い相手には逆にジリ貧。
中村(立川)、上村(立川)らもシューター枠で登用されているが、今シーズン和製ロドリゴとも言えそうな底からのアイソレーションで横浜を牽引した堤はドリブルと強シュートを兼ね揃えており、ゴレイロを上げる戦術との相性も含め、アラとしての期待値は随一だろう。
3.3人のゴレイロ
疲労、アクシデントに備え、基本的なスキル+足技に優れたゴレイロが3人揃えられるか。
2人いれば実質十分そうだが、ワールドカップではゴレイロの登録が3人になるため3人体制を目指したい。
上原(北九州)はドリブルもシュート力も及第点なので、今後Fリーグで経験を詰めれば候補に食い込めそうだ。