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Futsal Philosophy (フットサル・フィロソフィー)

Fリーグ

19 2月

2024/2/19 F1/F2入替戦 2024年の入替戦と2008年の全日本選手権

2024/2/19 F1/F2入替戦 第2節 エスポラーダ北海道 1-4 ヴォスクオーレ仙台(2戦合計 3-7で仙台がF1昇格)

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1戦目から見え隠れしていたが、2戦目は北海道の惰性、仙台の徹底が目立った。

象徴的だったのが前半14分の仙台の先制点の場面で、右サイドのキックインを左足シューターの森村選手がセットする。
後ろから走りこんできた小野寺選手のシュートに合わせる形で森村選手が軽く前に出すと、北海道の壁に入った水上選手が小野寺選手のシュートに備えすぎたか、ベタ立ちになったところを小野寺選手が足裏で縦に運ぶドリブルをチョイス。
深くまでフリーで運んでゴール前にシュート性のゴロを送ると、今季名を挙げた北海道のフィクソの本郷選手に対し、背後を匂わせて回り込んで前に入った浅野選手が体制十分で合わせて先制点を挙げた(公式記録は北海道のオウンゴール)。

Abemaの実況で長野しながわの入替戦で当時長野に在籍していた田村佳翔選手が『人生賭けろ!!』とチームメートに激を送っていたというエピソードが紹介されていたが、田村選手と同じ熱量で試合に入っていれば、同場面で一緒にキックインの壁に入っていた室田選手が大ベテランであろうと水上選手の胸倉を叩いただろうし、ゴール前であっさり振り切られた本郷選手を関口選手は叱責したはずだ。
強く、規律のあるチームであればここでしっかりと修正し、水上選手、本郷選手はこの後の試合、もしくは最低でも前半は出場機会がないだろうが、嵯峨監督は失点後のセット替えの後に本郷選手を、後半開始からは水上選手をピッチに送っている。

北海道出身者にこだわったチーム作りをしているのは理解できるものの、鋭いカウンターを武器にFリーグデビューを果たした2009年のリーグ戦4位、参入時からのベテランと関口選手ら第2世代が融合した2014年の全日本選手権準優勝後、それぞれの最高順位を塗り替えられないところに地域限定故の選手の質、量の限界がある。
ここ数年でチームに定着し、セットの柱として育ったのは木村優太選手のみではないだろうか。

シュート数は北海道44本、仙台が24本(前半は24本対7本)と北海道の惜しいシーンが多々あり、2-3と1点ビハインドで2戦目を迎えたものの同点勝ち抜けのアドバンテージを持つ北海道が先制すれば仙台のメンタルを大いに揺さぶれたはずだが、決まらないゴールに対し危機感よりも惜しいというリアクションが続き、目の色が変わったのがパワープレーに入るキッカケとなった仙台の3点目だったのが残念だった。


対して仙台は清水監督の勝負哲学が光った。以下4点をトピックとして挙げたい。

1.ムリなプレス回避の放棄。底でハマったらシンプルに対角に蹴る→ヘッドで中央に戻して回収 or 撤退。

2.両チーム中、最高の決定力を持つ丸山の起用を前半4分、後半5分に限定。常にフレッシュな状態で出場させて相手が焦れる後半に価値ある3点目をゲット。

3.全選手の有効活用。高校生の浅野が殊勲のゴール。ベテランの金須、渡邊、井上らの必死のディフェンスが北海道の時間を削り、仙台のオフェンスセットの体力を温存させた。

4.森村への全幅の信頼。ドリブル&左足シュート一本槍から、前後半30分近く出場するゲームコントロール型のアラフィクソに変貌

戦術的には1と2。
2はF1で戦う来シーズンは丸山の起用を我慢してゲームを進められるかが逆説的だがカギになりそうだ。
逆に1はF1全節で実践するのはチーム内から不協和音が出てきそう。
ボールを保持して仕掛ける試合が全体の3~4割はないと残留は厳しいのではと思う。
リアクションを保ちつつアクションの部分を構築できるかが開幕までの宿題になるだろう。

マネジメント的には3と4。
乾坤一擲の1戦で3のベテランの頑張りは涙腺を刺激した。特に背番号11、井上のディフェンス時の姿勢の良さ、相手の正面でひたすらフェイスオフを保つ様は神々しさすらある。
4の森村選手についてはすみだ時代によく見ていたが、正直すぎるタイミングでのシュートや、ファー詰めではなく確立の劣る直接シュートに辟易する場面が多々あり、大いにヤキモキさせられた。

仙台では唯一のワールドカップ出場者であり、その経験値は群を抜いている。
おそらく清水監督が森村選手がチームに還元できることと、役割をうまく整理し伝えているのだと思うが、個よりチームに利を成すプレーが随所にあり、プレーヤーとして非常に深みが出たと思う。
さすがに全節この時間の出場は厳しく、裏セットの指揮者役の獲得をお願いしたいが、左足の強シュートで後方から睨みを利かす仙台の王様はF1でも無視できない存在になるはずだ。

最後に清水監督だが、試合終了後のインタビューが秀逸だったので触れたい。

試合終盤の北海道のパワープレーを耐える時間に何を考えていたか、という問いに対して、
『これまでの辛かった時間(仙台のライセンス剥奪、その後の東北リーグ、F2での活動)を考えていた。
(そこからあともう少しでF1というところまで来たが)相手があって初めてフットサルは成立する。
嬉しさはありつつも対戦してくれている北海道へのリスペクトは失わないよう戦おうと考えていた』
といった趣旨のことを勝利の価値が何よりも重い戦いの後に語っていて、ちょっと次元が違うなと感じた。

Fリーグ以降の清水監督の選手時代の経歴は、浦安に在籍していた2008年の全日本選手権優勝が唯一のタイトルであり、その後は参入初年度の府中、Fリーグ最終年の花巻、再び参入初年度となる仙台と勝ち星に恵まれない戦いが続く。
浦安在籍時を入れた勝率は31.7%、浦安を除けばわずかに19.7%となるが、単純な勝ち負けでないところにフットサルの魅力や、続ける価値を感じているのだと思う。

清水誠_戦績

今季の仙台は清水監督が久々に出会った勝てる可能性があるチームだ(14勝1分1敗で勝率は88%)。

強烈なフィジカルとシュート力の丸山選手は2008年に全日本選手権を制した時の稲田祐介選手にダブるものがあるし、森村選手が新境地を開拓中の左利きでゲームをコントロールするアラフィクソといえば藤井健太選手が思い当たる。
華やかなイメージのある初期の浦安だが、屋台骨を支えたのは平塚雅史選手、小宮山友祐選手、そして清水誠自身の泥臭いディフェンスだ。

自分の原型というのは苦しい時にこそ滲み出てくるのではないだろうか。
当時名古屋と真っ向勝負を演じていたクオリティにはまだ及ばないだろうが、2024年シーズンにF1を戦う仙台に、2008年の浦安を重ねながら見てみるのも面白いのではと思う。

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23 3月

2023/3/19 全日本選手権 駒沢オリンピック公園総合運動場体育館『成長とは』

2023/3/19 全日本フットサル選手権大会 決勝 湘南ベルマーレ 1-2 フウガドールすみだ
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2021年に子供が生まれ、間もなく1歳半になる。
日に日に大きくなり、言葉らしい音が増え、こちらが思いもよらない動きをする。
このまま成長してほしいと温かく見守っているが、その裏で自分は成長しているのか、大人の成長とは何なのかを考えるようになった。

2023年の全日本選手権はこの大会を得意とするすみだが3度の準優勝を挟んだ4度目の正直でチーム創設後2度目の優勝を果たした。
これですみだの全日本選手権の成績は、

2009年優勝
2013年準優勝
2014年からFリーグ加入
2017年準優勝
2021年準優勝
2023年優勝

となる。
これまでの過去3回の準優勝を振り返ることで今回の優勝が味わい深いものになると思うので、簡単にだが各年の準優勝を振り返りたい。

◆2013年
『(町田、府中(現立川)がいわゆるF1に在籍していた中)東京に3チーム目のFリーグのチームは不要では?』という謎理論でF加入を遮る勢力がF事務局内にいると言われる中で、1次リーグを2勝1分(引き分けは大阪)で勝ち上がるも、決勝はFの絶対王者である名古屋にPK戦で敗戦。
延長後半残り4秒でのクイックリスタートでゴールに雪崩込んで同点に追いついた太見選手のゴール、PKを外した諸江選手にすみだの選手が歩み寄り温かく輪を作る光景は涙無しには見れなかった。
10年後の今、2013年の涙を知る選手は諸江選手と宮崎選手だけになり、宮崎選手は今期で引退することを発表している。

◆2017年
名古屋のFリーグ10連覇を阻んだ大阪相手にハイテンションなの前プレを活かし試合開始3分で2-0とリードするも、ここで現日本代表監督である大阪木暮監督がタイムアウトを取り、文字通り仕切り直した大阪が我に返る。
前プレでボールを追う当時20歳のすみだの清水和也選手がレフリーの笛の基準を把握した大阪ブラジルトリオ(チアゴ、ヴィニシウス、アルトゥール)の誘いに不要なファウルを連発したこともあり、
前プレで攻撃力のある大阪を相手陣地に押し込んで勝負するゲームプランが崩壊して、大阪が前半で2-3と逆転に成功。
後半は33試合のリーグ戦で186得点(1試合平均5.64!!)を奪った大阪攻撃陣が2-7まで引き離して一蹴した。
1年後の2018年から2022年まで清水選手はスペインに移籍している。


◆2021年
頼みのピボのガリンシャが負傷で出場時間とプレーエリアを限定され、フィクソの渡井も出場しないコマ不足の中、後半残り3分に1-1に追いつくも、久々に表舞台に登場した岡山監督率いる機動力抜群のしながわのアラ、フィクソの質量に押され延長戦で4失点と決壊した。
この時のメンバー+清水和也、清水誠也選手のピボ2枚がフィールドプレーヤーのベースとなっているが、ゴレイロの大黒選手、石黒選手はいずれも引退し、今大会のゴールを守った岸選手はメンバー外だった。


~2023年に戻る~


2023年の決勝戦で1-1での延長突入から1-2と勝ち越しになる決勝点を挙げた清水和也選手だが、準決勝では上背のある横浜の高橋選手のガブリに、決勝では経験豊富なベテランの内村選手のインサイドワークにしぶとく抑えられ、好機を得ても強烈なシュートは呪われたようにバーを叩いた。
ようやく訪れた決勝点の場面では、前に強く、反応も抜群のフィウーザ選手を相手に正直に強シュートを打つのではなく、横に舐めて動かして相手のバランスを崩してから右足インサイドで抜く落ち着きで緊張を歓喜に変えてみせた。

3年間のスペインでの経験がここぞという場面で『剛』ではなく『柔』のチョイスを引き出したのではと思うが、このゴールシーン以上に清水和也選手の成長を感じた場面がある。
勝ち越した後にハーフラインを超えたあたりでボールを取られ、湘南のショートカウンターを浴びそうなトランジションの際で、清水和也選手は手で相手にチャージしファウルを使ってピンチの芽を未然に防いだ。
ここまでのチームファウルは3つ。
延長戦は第2ピリオドのファウル数も持ち越していることを考えると、焦れる展開を耐え、ファウルカウントを見て冷静にゲームを進めていたということであり、自身のファウルトラブルで試合を難しくしてしまった2017年からの『心』の成長を決勝点の『技』以上に感じた。

もう一人成長を感じた選手が162cmの身長ながら、決勝戦までの5試合を6失点で乗り切り、優勝に貢献したゴレイロの岸選手だ。
最近のゴレイロのトレンドとしてポゼッション時の攻撃参加がある。
それには高い足技でボールを運ぶことと、シューターとして相手のマークを引き付ける強烈なシュート力を持っていることが要求される。
また、カウンターの起点としてピタリと足裏トラップに吸い込まれるようなシュート回転のレーザービームを投げられればなおいいだろう。
できる/できないはわからないが、岸選手がそれらのテクニックを試合中に見せることはまずない。

相手選手の立ち位置に惑わされずにボールとゴールの直線距離にポジションを取り、適切な型でシュートセーブに入り、リバウンドに備えて0.001秒でも早くポジションを取り直す。
そんな愚直なゴレイロのイロハを準決勝、決勝と2試合連続延長戦となった中で切れることなくやり続ける。
当たり前といえばそれまでだが、それらは体格やセンス、地肩といった先天的に備える才能ではなく、後天的で気の遠くなるような努力の積み重ねでしか獲得できない技術だろう。

やや苦労を感じる風貌で勘違いしてしまうが、若干26歳でFリーグの試合出場が増えたのは長くチームを支えた大黒選手の存在が薄まった2021年から。
全日本が最大5試合のトーナメント形式のフォーマットになった2019年以降の優勝チームの失点数は、

2019年 名古屋 8失点
2020年 中止
2021年 柏(現しながわ) 10失点
2022年 立川府中(現立川) 6失点
2023年 すみだ 6失点

となっており、全日本での成績をベンチマークとした場合、失点が100%ゴレイロの質で決まるわけではないとはいえ岸選手のパフォーマンスは十分なものだ。

タイプ的に名古屋の篠田選手に似ており、伸びしろは十二分にあるが、前述したゴレイロのトレンドから離れた岸選手がトレンドを実現できる選手を招集している日本代表に入る見込みは低いと思っている。
ただ、トレンドはあくまでトレンドで、ゴレイロの根幹は『失点を防ぐ』ことでありこの根幹が変わることは絶対にない。

実質2シーズンでの全日本優勝は大いに誇れるものであり、地道な積み重ねの対価として最高だろう。
残りの対価もそんな『積み重ね』がもたらす成長の先に絶対にあるはずだ。


成長は自分の過ちや弱さを認識するところから始まり、工夫や努力を続けることでしか獲得できない。
3度の準優勝を越え、4度目の正直を掴んだすみだの優勝は、それぞれが掴んだ確かな成長にあったのではと思う。

21 5月

2018/5/20(日) Fリーグ2018/2019シーズン 『順位予想』

5/25(金)のオーシャンカップから2018年シーズンが開幕ということで、ざっくりとリーグ戦の順位予想をやってみました。
(予想はプレーオフによる入れ替えを加味しないリーグ戦33試合の順位)

1位:名古屋(±0)※()は昨シーズンの順位との比較。文中敬称略
何の面白味もないが1位予想は名古屋。
質量ともに十分な日本人選手に個で差を生む外国人選手が決定的な仕事を40分継続できるのはこのチームだけ。

長所:昨年5月に重傷を負ったペピータが戦線復帰し、駆け引き上手のピヴォのヴァルチーニョと、左利きのドリブル系アラのルイジーニョの当たり外国人は今季も健在。
外国人3人+篠田/関口/酒井/星龍太/安藤/星翔太/西谷/吉川/八木/齋藤/橋本ら日本代表経験者11人でメンバー入り争いできることが名古屋の競争力の源泉。

短所:引いた相手を崩すための視野や緩急、意外性に長けたラファが離脱(全治1年の大怪我)。引き分け試合が少々増えそう(昨季は27勝1分5敗)。

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昨シーズンの日本人MVPをあげたい吉川。
AFCではチームで最も長い時間ピッチに立ち、全日本では準決勝の湘南戦でロドリゴを封じたディフェンスでのステップワークが光った。
地味なミッションを遂行する仕事人だがシーズン15ゴールは欲しいところ。

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2016年にAFC、2017年に国内3冠とタイトルをすべて制したペドロ・コスタ監督。
AFCも控える今季、常勝名古屋の監督には結果と得点の取れる日本人選手の育成をお願いしたい。


2位:町田(±0)
2016年の全日本優勝、2016、2017年のFリーグ準優勝が示す通り、競争力、若手の出場時間、観客動員数、スポンサー数を着々と伸ばしてきた町田はFリーグの健康優良児。

F最高練度の美しいクアトロを誇る町田だが、ゴール後に看板を蹴る中井選手、突然プッツンするダニエルサカイ、試合中のお口が過ぎる室田選手や日根野谷選手らのオラつき具合も少々目につく。
勝って注目されることが選手の自覚も促すはずで、今季の町田は結果と合わせてピッチでの振る舞いにも注目だ。

長所:補強が的確。
左利きが2人入るのが理想とされるクアトロを採用する町田でFリーグ通算235ゴールのヴィニシウスとブラジル人助っ人のアウグストという2人の左利きの獲得は理想的。

短所:ケガが増えてきた森岡やイゴールら実力上位のベテランの出場時間のコントロール。
活きのイイ若手を活かしたハイプレスでボール奪取して先制→クアトロでゲームをコントロールという試合を多く作れるかがカギ。

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ボールへの執着心やゴレイロをギリギリまで見てシュートを打つ落ち着きなど、スピードだけでない異能のアラとして存在感を放つ中井。
メンバー争いが激しくなりそうな今季は出場時間とゴールを稼ぎ、日本代表の出場キャップを得たいところだ。


3位:湘南(±0)
ビジュアルにエッジの効いた奥村監督、監督から41歳でコーチ兼任で現役復帰を果たした横澤アナリストプレーヤー、日本代表でもシェアを伸ばした個性豊かな選手たち、熱いサポーターが繰り広げた少年マンガのような快進撃は暗い話も多かったFリーグ11年目に生まれた清涼剤。

例年調子の波が激しい印象だったが昨年は、

第1クール:8勝0分3敗(勝点24)
第2クール:7勝0分4敗(勝点21)
第3クール:8勝1分2敗(勝点25)

と安定した成績を残しており、相模湾から発生し、Fリーグのメインステージに上陸した湘南の高気圧は今季も勢力維持と見ていいだろう。

長所:個で差を生む外国人&質量ともに十分な日本人の布陣は東の名古屋。
小門、植松、佐藤ら若手の伸び代も◎。

短所:ロドリゴ、フィウーザらが欠場した際の決め手に不安あり。
ロドリゴがいないセットの練度やテーマ作りが今年と同様、次のステージへの課題か。

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わかっていても止められない初速と強烈な右足シュートで決定的な仕事をするロドリゴは、リカルジーニョ以来の組織や戦術を個で破壊する1.5倍速プレーヤー。
彼のガッツポーズの回数がそのまま湘南の勝ち点に直結する。

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日本代表に定着しそうな小門のボンキュボンとした背中→腰→尻のラインはフットサル界のグラビアキング。
腰&尻のボリュームを活かしてキープ→シュートの型稽古をガンガンやって自分のフィニッシュホールドを身に着けてほしい。


4位:大阪(+1)
昨季は2016年に猛威を振るったアルトゥールのフィジカル/メンタル両面での燃え尽き感が非常に目についた。
おそらく今季が契約最終年のはずで、チーム1の影響力をもつ彼を比嘉リカルド監督が懐柔できるかが順位に直結しそう。
若手育成、結果の両面で確かな成果を残した木暮監督からチームを引き継いだ比嘉リカルド監督は選手から露骨に比較されることになるはずで、結果が出なくなった時に監督以上の実績を持つ選手たちをどう御するかに彼の真価が問われることになりそうだ。

長所:ピヴォにチアゴ/相井/芝野、アラに加藤未/小曽戸/稲田/堀米、フィクソにアルトゥール/田村らの大駒が揃っており、ベストマッチを見つければ通算235ゴールを挙げたヴィニシウスの穴も気にならない破壊力がある。

短所:上位陣ではレベルの落ちるゴレイロ。

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大阪の暴君、アルトゥール。
パワーに目がいきがちだが、正確で超スピードのインサイドと、振りが極小の低空トゥーをシチュエーションごとに使いこなすキックの達人でもある。
ド派手なゴールシーンと合わせて、なぜこのキックを選択したのかに注目してみてほしい。


5位:すみだ(-1)
毎年走力に富んだキビキビとした若手が登場するすみだ。
F昇格4年目でそろそろタイトルが欲しいところだ。

長所:チームで利用できるすみだフットサルアリーナという箱モノが完成したことによる、夜→朝練習への転換。
1~4位に挙げたのはいずれも朝練習がメインのチームで通年の疲労度には大きな差が出る。
2016年、ワールドカップ中断前まで優勝争いを繰り広げるも失速した原因には疲労があったという声もあり、目立った補強はないものの環境の変化によるコンディションの安定は大きな武器になるだろう。

短所:トランジション攻撃以外の選択肢の少なさ。
典型的な先行逃げ切りのチームで、先行されて守備を固める相手を崩す定位置攻撃の型や精度は3年間改善できていない。

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高いテクニックで独特のアイディアを具現化する37歳のややポチャおじさまのボラが定位置攻撃の決めカード。
清水、大園らの若い強シューターを囮に、トリッキーなゴールを量産したいところだ。


6位:府中(±0)
リーグ初のホームアリーナ使用禁止という憂き目にあった府中は、新天地に駅チカ、大規模商業施設チカという好立地の立川立飛アリーナを確保。
新スポンサーに株式会社立飛ホールディングスを加えた体制面の強化は長期視点では利ありで、新たなフットサルファンの獲得に期待したい。

長所:昨年ブレイクした内田に加え、昇格の丸山、湘南から上村、北海道から酒井らが加入。人材流動性が低く、高齢化が続いていたトップチームの陣容が一気に若返り。
これまでの大型選手を揃えてサイズで競技力を担保するチームカラーは一区切りで、新スタイルへの転換を計るには十分な役者が揃った。

短所:駅から徒歩15分の昭和的なアリーナに毎試合1,000人以上集まっていた観客が立川立飛まで来てくれるか。
地域密着型の色が濃いチームとアリーナだっただけに新天地での集客営業は必須(もちろん新規取込のチャンスではある)。

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上福元、柴田らの主力が移籍し、ホームアリーナが変わっても変わらないのがエースの皆本。
左サイドでアイソレーションを作ってからの仕掛けはスコアメークの生命線。

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渡邉=ボレーシュートかごっつあんゴールのイメージを覆して昨年は得点王をゲット。
振り向き、ミドル、1vs1と多彩なゴールパターンを披露したが、一番の成長はゴレイロが動くまで見れる&待てるようになったこと。
そこから生まれた隙間に流し込む技術とセンスはピカイチ。

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全日本準々決勝の名古屋戦で、星、安藤といったフィジカル自慢相手に堂々と渡り合ったピヴォの丸山。
体とプレーのスケールが大きい選手でなぜこの選手が埋もれていたかが不思議。
来期のブレイク候補。


7位:大分(+5)
名古屋を首の皮1枚まで追い詰めた2013年シーズンを境に順位を落とし続けたチームは昨年ついに最下位へ。
絶対エースの仁部屋が離脱したが、府中、大分でチームをプレーオフに導いた熱血漢の伊藤監督が就任。選手のネームバリューに反して結果の出ない状況が続いているチームの建て直しに期待大。

長所:シンプルな戦術を遂行させるのに長け、Fでも数少ない選手をシメれる伊藤監督の就任でチームの雰囲気は一気に変わりそう。
昨シーズン目立ったピッチ上で迷子になる選手がいなくなれば躍進の目は十分で、今シーズンのジャンプアップ候補。

短所:名古屋に次ぐ資金力があると言われている割にはもう一声欲しいような補強が続いている。
今オフは名古屋のルイジーニョの獲得が噂されていた(全日本優勝後にルイジーニョが胴上げされていることから退団→移籍が濃厚だった)がその後、名古屋に残留が決定。
金銭とプラスして『大分でフットサルをしたい』と思わせるような魅力の創出を継続的に取り組みたい。

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Fリーグ初、家庭の事情で活動休止というリリースを出した日本代表のNo10、仁部屋。
ワールドカップに縁のない悲運の天才ドリブラーの復帰を静かに待ちたい。


8位:浜松(±0)
昨シーズン8位と健闘した浜松。
フィネオとジョンレノンの外国人が退団となったが貢献度はそこまで高くない、ベテランと若手のバランスの良さ、昨年7勝したことによる勝グセは今季も継続と考えてこの評価。

長所:常勝名古屋から加入した中村、前鈍内の経験により、浜松の悪癖だった悪い時間の耐え方が大きく改善。
我慢負けでフイにしていた細かい勝ち点の回収が躍進の原動力。

短所:ピヴォの不在。テクニックのあるアラが多いため、軸になるピヴォがいればよりアラが活きる相乗効果が見込める。前線でチームに時間を与えられるピヴォの獲得を急ぎたい。

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常勝名古屋から加入した前鈍内と中村は結果よりも楽しさに傾倒しがちな浜松愚連隊の模倣フットサラー。
ふたりのコンピテンシーの波及がこれまで浜松になかったフォアザチームのベースになるはずだ。


9位:浦安(-2)
中島、荒巻、星、岩本らのベテランが一気に抜け、スペイン代表としてW杯、欧州杯で優勝経験のあるリケル監督が就任した新生浦安。
20代中盤~後半の中堅組が思ったほど出場時間を伸ばせていなかったこともあり、かつての強豪チームもまずは中位確保が現実的な目標になるだろう。

長所:半強制的に若手にシフト。現時点で30歳以上のフィールドプレーヤーはディドゥダのみ。
中島、荒巻、星らが占有していた勝負際での経験に不安はあるが、チームの勝敗を任せられることになった選手たちのモチベーションは高いはず。

短所:平日の練習時間帯が夜間であること。夜練習で年間33試合、長丁場のリーグで上位に食い込むのはコンディション維持の面で難しいことはリーグの順位表が証明している。

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若手を引っ張る鬼教師役が濃厚なディドゥダ。
33節終了後の浦安スクールウォーズ最終回は生徒たちと笑顔の大団円を迎えたい。


10位:仙台(-1)
これまで不在だったチームの軸になる外国人トリオを獲得し、彼らの活躍で勝ち星を伸ばした昨シーズン。
外国人は地味アラのマルロンを残して退団となったがが今季はどうなるか。

長所:ホセ・フェルナンデス監督のニーズに応えられそうな、荒巻、関らスペインフットサルのエッセンスを知る選手の加入。
ピヴォの堀内選手の日本代表選出など、他チームではチャンスの少ない選手が出場時間を与えられることで成長する弱いチームならではの伸び代に期待。

短所:トップリーグでの競争力のあるメンバーは1.5セット分。
助っ人外国人を呼ぶ余力があるなら早めに獲得したい。

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セーフティなパスラインの確保や、ライン間での選択肢作りと府中でシブい動きを見せていた関。
出場時間が伸びそうな仙台では意外にも強力なミドルシュートでゴールを狙う機会が増えそう。


11位:Fリーグ選抜(-)
自主降格を選んだ神戸と入れ替わる形でアラ・トウー世代の有望株がF1に突如参入。
『Fリーグに出場する』から『Fリーグで活躍する』に目標が変わった14人の若者たちは33試合で確かな自信を掴めるか。

長所:体制面の充実。
オーシャンアリーナという練習環境が確保されており、定期的に名古屋トップ、サテライト、東海リーグの強豪との練習試合も多々あるはずで、監督も名古屋のバックアップを持つ高橋優介氏と他のFクラブと比べても環境はトップクラス。
1芸に秀でた選手が多く、モチベーションも高いはずで、ディフェンス戦術が整備されていないチーム相手には結構やれそう。

短所:フットサルに占めるフィジカルの要素は決して低くない。
年齢的にも線の細い選手も多く、球際の攻防で押し込まれてジリ貧という時間帯は必ず出るだろう。
チームの存在理由としてやむを得ないが、経験が最重要なゴレイロが20歳というのは大きなハンデ。

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町田らしいテクニックとインテリジェンスに溢れるアラの伊藤は2016年に日本代表としてカザフスタン、タイ、イランとの対戦経験を持つ20歳。
竹内涼真似の甘いヴィジュアルはスター性十分。

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2016年シーズン終盤、加藤未離脱後に大阪で立派に代役を果たした仁井。
昨シーズン伸び悩んだ163cmの小柄なドリブラーは同世代との切磋琢磨で復調を目指す。


12位:北海道(-2)
毎シーズン入れ替わりの激しい北海道は今季も小柄でイキの良さそうな道産子フットサラーが加入。
毎試合1~2,000人を集める優良チームとしての意地を結果で見せたい。

長所:観客動員や体制面の充実。『やりがい』という観点ではFリーグ1では。
短所:監督10年目を迎えた小野寺監督の引き出し。代名詞の3人カウンターの精度は悪くないが、変化に乏しく対戦チームとしては組しやすい相手。

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ディベルティード旭川(北海道1部)→エスポラーダ北海道という近年の道産子フットサラーのエリートコースを疾走中の木村は小柄ながら確かなテクニックを持つ好フィクソ。
フィジカルとスピードに慣れだしたシーズン終盤が非常に楽しみ。


振り返ると、

①上位の勢力図は昨季から無風
②監督交代の大分の復調
③Fリーグ選抜vs北海道の最下位争い

が総括になる。

各チームの監督、選手、関係者の努力や想いを無視したものが順位予想だが、ひとつも当たらないくらいの裏切られるリーグになってくれるのがファンとしては一番嬉しい。

シーズン開幕を楽しみにしています。
28 10月

2017/10/28(土) Fリーグ第24節 墨田区総合体育館『体育館はスポーツをするところだった』

2017/10/28(土) Fリーグ第24節 墨田区総合体育館
フウガドールすみだ 3 - 2 府中アスレティックFC

体育館はスポーツをするところだ。

大人になるとなぜかできなくなっている後転を練習した体操用のマットや跳び箱、やたら高く感じたバスケットボールのゴール。
夏はムシ暑く、冬は足先が痛くなるほど寒く、やたら茶色いハコの中はちょっと息苦しい思い出だ。

そんなスポーツをするところだった体育館だが、TVやインターネットなどの普及により、スポーツがコンテンツとして楽しまれるようになってからは『アリーナ』という名称が広く使わられ、やる人よりも観る人に向けての施設が大多数になってきた。


各チームともハーフセントラルを2日間開催することになる今シーズン、府中市立総合体育館が8月いっぱいでFリーグでの利用が禁止になることから、10/21(土)・22(日)の府中担当分のハーフセントラルはリーグ開幕時点ではオーシャンアリーナを間借りして開催されることになっていたが、府中の隣町の立川に10月にオープンするアリーナ立川立飛での開催に変更されることが9/14に発表された。

試合自体は仙台/府中/すみだ/湘南/浜松/名古屋の6チームのキャラクターがギュッと詰まった好ゲームが多かったが、アリーナ立川立飛の床面は観客席から非常に見づらい角度にあり、バックスタンドからは手前のサイドラインが見切れ、ゴール裏からは手前のゴール前が見えないという具合だった。

メインスタンドの中段が全体の把握にはもっとも良さそうだったが、観客席最前列には転落防止の腰高の柵があり、これがまた競技中のフロアへの視界に干渉するというKYぷり。
もっともこの施設自体が、予算を安く、工期を短く済ませるために組み立てが容易な汎用的な資材を調達して施工するという建築方式だったので贅沢も言っていられないというところだろう。

SNSを見るとBリーグのアルバルク東京がホームアリーナとして利用する場合でも同様の見切れ、柵干渉に関する話題が出ているらしく、全席から問題なく観戦できるコンテンツは中央に舞台装置を用意する格闘技くらいになりそうで、意思決定のプロセスはわからないが、自分がやることよりも観られることにフォーカスすべき現代式の体育館が帯に短く襷にも足りなさそうな風体で仕上がったのがなんとも残念だった。

SNSを見るとBリーグのアルバルク東京がホームアリーナとして利用する場合でも同様の見切れ、柵干渉に関する話題が出ているらしく、全席から問題なく観戦できるコンテンツは中央に舞台装置を用意する格闘技くらいになりそうだが、2,000人規模で現実的に使用料をペイできる府中近郊の会場としてはアリーナ立川立飛は及第点というしかないだろう。

煽る気はまったくないが民営管理でお値段相当のアリーナ立川立飛の1週間後に、墨田区が事業主体の墨田区総合体育館に訪れると快適さはある程度お金で保障されることが非常によくわかる。
(もちろんロー/ハイコストとも利用用途から逆算した設計は必要だが、ローコストほど工夫や知恵が必要であり、他の構成要素とのトレードオフになることは間違いない)

コスパという言葉が評価項目の上位にノミネートされる昨今だが、コスパは本来『価格性能(内容)比』を表現する言葉だったはずで、本来の目的を実現するための性能を度外視し、安さのみにフォーカスする安易な意思決定材料として大小様々なところで用いられている雰囲気があるところがちょっと気になるところだ。

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こちらがアリーナ立川立飛。
写真中央の赤枠の列が見切れ、柵干渉のない良席。


地域リーグだとありがちな最寄駅から徒歩30分の会場までのアクセス、見切れ席、柵の干渉、冷暖房なしという酷アリーナなだが(これはこれでどうすれば解決できるかを色々考えるのが結構楽しい)、せっかくの機会なのでいいアリーナとは何かを勝手に考えてみた。

①アクセス
マニアにはたまらない酷アリーナ3箇条に入れたが、競技のトップカテゴリーであるFリーグなら駅近(徒歩10分程度/遠方でも敷地へのバスの乗り入れありなら○)が当然望ましい。

もちろん条件を満たさないアリーナもあるが、大分がホーム開催する別府駅から徒歩20分のビーコンプラザは温泉地別府のワクワク感と小高い山を登っていく度に高鳴る高揚感がなんとも言えなかった。

近いに越したことはないが会場までの道のりで地域性を感じられたり、高揚感が高まるような環境であればそれはそれで歓迎だ。

②見やすさ
手前のゴール前が見切れてしまうものの、狭い体育館に響く歓声が集積されるゴール裏の熱気は府中市立総合体育館ならではのものだった。
個人的には一部が見切れていても見切れに代わりうる価値が提供されていれば問題ないのではと思う。

2,500人のキャパを誇るものの見やすさに難点があるアリーナ立川立飛だが、均等にフロアを使うのではなくコートの設置場所をメインスタンドから見やすいようにバックスタンド側にズラしてアリーナを設置、バックスタンドを立ち見として価格差を出すのもアリではないだろうか。

府中市立総合体育館でのホーム開催(ラストゲームの8/19(土)が1,520人)と10月のハーフセントラル2試合(メインイベント感満載の府中vs名古屋が1,217人)を見ると動員は1,200~1,500人の枠内に落ち着きそうなので、2,500人の集客を目指すよりはまずはこの人数の満足度を上げる施策がベターだろう。

全員が等しく座って応援する全角度から見やすいアリーナ、というのも理想だが、ライブの醍醐味はそれぞれの楽しみ方でコンテンツを楽しめることだ。

バックスタンドでサポーター同士が応援合戦を繰り広げ、アリーナでは間近に迫る選手の表情に熱くなり、全体が見やすいメインスタンドでは監督の采配や戦術論に花を咲かせ、スペースに余裕のあるゴール裏ではファミリーがゆったりも騒々しくフットサルを見つめる...。

そんな光景を想像するだけでとてもワクワクするのは自分だけだろうか。
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Fリーグで一番好きな席種。墨田区総合体育館の選手ベンチ裏に常設されている『スミダイルシート』。
ハーフタイムには愛想のよいマスコットのスミダイルを愛で、試合終盤にはタイムアウト時のボードを覗き込む体験はここならでは。

③冷暖房完備。
酷3の最後の一角。
会場によっては空調の使用料が施設使用料と別立てのところもあり冷房が50,000円/1時間なんて話も聞くが、これについては①②のようにトレードオフになるものがない。

無い袖は振れないだろうが夏場は熱中症などの安全面からも必要な要素なので頑張ってほしい。

④物販
定番どころだとタオルマフラー、レプリカシャツ、Tシャツ、キャップあたりだろうが、モバイルバッテリーやハンドスピナーなんてご時世やトレンドを抑えたものもある。
趣旨を凝らしたチームの物販ブースの前に立っていたらいつの間にか散財していたしていた、という人も結構いるのではないだろうか。

プラス要素のみの入場料収入に比べて、在庫が損益にもつながる物販は人気選手のグッズを作ったのにケガで露出機会が減ったり、移籍でお蔵入りなんてリスクもつきまとう。

個人的に上手いなと思うのがすみだ浦安で、すみだはスポンサーのスーツメーカーのネクタイ(これを須賀監督が清々しく着用)や、お出かけのお供に定着しつつあるモバイルバッテリーを一見スポーツチームらしからぬスタイリッシュなデザインでリリースしている。
浦安は前述のハンドスピナー(定着するかはまだ不透明なので在庫時の損益が若干心配)や、フットサルのサポーターアイテムとしてベースボールシャツ(チームの女子選手にダボッと可愛らしく着させる販促がお見事)など攻めたラインナップが光る。

わかりやすさとしては定番どころがあれば十分だし、グッズの少なさで不満の声があがることは少ないだろうが、無くても我慢できるがあったら便利なもの(モバイルバッテリー)や、話題性があり機会があれば欲しいと感じるもの(ハンドスピナー)はビジネスチャンスとして機を見るに敏で裏方陣の才覚が光る。

⑤スタジアムグルメ
もはやそれ自体が目的にもなる規模のサッカーと比較するとひっそりと営業されるフットサルのスタジアムグルメ。
スタジアム近辺の名店か、スタジアム近辺の土地柄に合わせたものが並ぶことが多い(ブラジル人コミュニティが至近の浜松のブラジルフード(ポンテケーニョやガラナ)など)が、昨・今シーズン衝撃だったのが町田の中井農園シリーズだ。

農業を営むご実家から町田に在席する中井選手が取り寄せた焼き芋に始まり、今シーズンは各種フレーバーを取り揃えてのオシャレな冷やし甘酒を披露。
選手との距離が近いフットサルならではの展開(?)で、寒さが堪えるこれからの時期に新たな施策もありそうだなと密かに期待している。

食事に関しては火を使う、使わないなどで色々と制約が厳しかったり、食中毒等の事故時の評判を考えてあえて出さないチームもあるのではと思うし、1試合開催よりもセントラル/ハーフセントラルなどの複数試合開催日のほうが商機ありなのでそこから限定的にというのもいいだろう。

個人的にはキックインすら4秒以内にこなさなければいけないフットサルを見ながら飲み食いするのはムリがあると思うので、ないならないでまったく不満はない。

⑥トレーニング
やる/観るを両立させた近代型のアリーナをざっと見渡すと、きたえーる、小田原アリーナ、墨田区総合体育館、浦安市総合体育館あたりはトレーニングルームやプールが常時営業していてFリーグ開催日も利用可能だ。

市販されているレプリカウェアを身に着けて試合を観戦し、試合終了後に普段選手たちも使ってるであろう器具で軽くトレーニングをし、おもむろにプロテインをキメるなんてなりきりツアーもまた一興だろう(もちろん自分はやったことはない)。


昨年始まったBリーグは会場ごとに10種類前後の席種が細かく設定されていて、半ば無理やり感があるがそれだけの価値を創出し、提示している(360度カメラから各客席の画像を用意した千葉ジェッツのコンテンツが非常に秀逸なのでゼヒ見てみてほしい)
個人的に最も手を入れるべきは②の見やすさだと思っていて、長く同じ設営でやってきたホームゲームにも何か新しいアイディアがないかは年に1度でいいのでゼヒ検討してほしいところだ。

体育館はスポーツをするところだった。

今年はAbemaTVでFリーグを観戦する機会が増えたという人も多いだろうが、それでも会場には会場の味や熱があり、他メディアや他競技からのスパイスが活かせることもあると思う。

外部からはわからない制約が色々とあるのかとは思うが、狙いが明確な施策ならファンは納得するものなので『今までこれでやってきたから』の壁を壊してドンドン攻めてみてほしい。

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ゴール数は少ないが前線からのプレスと、ボールを受けて時間を作り冷静な判断で好アシストを連発する岡村選手。
フィジカルが強いピヴォというイメージがあったが実際は最前線のゲームメーカー。
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岡村選手が作った時間を活かしてゴール前に飛び込み、ダイレクトプレーでゴールを決める宮崎選手。
岡村→宮崎ラインは1stセットの大きな武器。
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2点目のゴールは清水&ボラvs皆本という豪華キャストの2v1カウンターからボラがクロモトのニアを抜いて手堅くゲット。
全員が芸達者の緊張感は生観戦ならでは。
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片膝を折り、もう片方を伸ばして前に詰める変則ダブルニーが面の幅・高さ・移動距離とも効果テキメンで大きな武器。
充実のシーズンを送る矢澤選手。
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トルクメニスタンでのアジアインドアゲームズではクアトロをこなすアラとして奮闘した田村選手がフィジカル自慢の上福元選手をマーク&先制点をアシスト。
清水/田村/矢澤の日本代表組は異国の経験値が余裕に繋がっているなという印象。
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毎年新加入やトップ昇格のあるチームで出場時間を伸ばす栗本選手。
諸江/栗本/渡井/清水というテクニックのある3フィクソ+ピヴォの仕掛け担当が明確になれば面白そうな新セットで攻守に奮闘。
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完山選手がケガで不在の1stセットに入って出場時間を伸ばす内田選手。
ゴールという形で一気にブレイクしたいところ。
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こぼれ球から肩口を抜くコントロールショットと、パワープレーからのファー詰めで2ゴールの渡邉選手。
24試合で35ゴール。残り9節でヴィニシウスの持つシーズン最多得点の43点越えが見えてきた。
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冷静な判断と時々見せる正確なスライディングが光るマルキーニョ。
右角から中に侵入してフリーで受ける展開でチャンスを多数作ったパワープレーは今後各チームの脅威になりそう。
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まだ地域リーグに在籍していたすみだが名古屋と戦った2013年の全日本選手権決勝戦。
PKまでもつれた大熱戦でシュートをブロックされた諸江選手にすみだの選手が歩み寄り肩を組んだのが、個人的にフットサルで一番美しかった場面。

苦しい時に肩を組める仲間がいるのはとても嬉しく、頼もしいのではないだろうか。




21 10月

2017/10/21(土) Fリーグ第22節 アリーナ立川立飛 『ゴレイロの型』

2017/10/21(土) Fリーグ第22節 アリーナ立川立飛 
ヴォスクオーレ仙台 1 - 4 湘南ベルマーレ
フウガドールすみだ 2 - 0 アグレミーナ浜松
府中アスレティックFC 3 - 0 ヴォスクオーレ仙台

2012年末の第2次安倍内閣から『アベノミクス』の謳い文句でテコ入れされた経済政策による好景気の結果、今年9月の有効求人倍率が1.5倍を越えた。


就職氷河期と呼ばれ『0.54』という激シブな有効求人倍率と、求人&離職率の兼ね合いでこの業種以外の求人が極端に少ないという理由で自分は2002年にシステム業界に就職した。

それから15年間なんとか働き続けているが、当時はシステム業界を舞台にサービス残業/未払い休日出勤/パワハラ/管理者不在のザ・ブラック会社を描いた『ブラック会社に勤めてるんだが、もう俺は限界かもしれない』という掲示板発のコンテンツが業界あるある(あるいはこれ以上も普通にあるある)として話題になるくらいの無茶苦茶なスケジュールや体制の案件も多々あった(らしい)。

当時に比べて労働環境は格段に良くなったが、今は介護・福祉・保育・飲食などの労働環境の悪化が度々取り上げられるし、仕事=自分自身という方程式で成り立っている一見華やかな報道・広告業界はふと冷静になってみると労働者の時間の搾取で成り立っている感がありありだ。

こと、仕事を進めるうえで通過する一般的な成長サイクルは、

・自分の能力を把握する
・能力に適した仕事の入出力を管理する
・必要な入出力をこなす
・自分の能力を開発をする
・能力も認めてもらう

といったものだろう。
このサイクルを繰り返すことで自分の基本になる『型』が構築でき、その型を活かして複数の事象が連続する応用にも適応できる。

ある程度成熟している業界であればいわゆる『業務経験』という定性的な経験だけでなく、省庁や業界団体が運営し、合格者の質を担保する定量的な『資格』が整備されていて、資格取得へのプロセスが型の構築の助けになったりもする。

どちらが牽引する形になるかはその人のキャリア次第だろうが、一定の年齢を越すと経験を過信して軽んじがちな資格勉強にも経験を知識として定着させる効果があり、やってみると自分のキャリアの答え合わせをしているような感覚で意外と面白い。

なんにせよ『型』を作り、壊し(あるいは壊され)、振り返り、修復し、徐々に強固にしていくプロセスは自分に自信を持つために避けては通れないものだろうし、型の獲得がそのまま自分の武器になるものだ。


『型』という観点でフットサルを観ると特徴的なのが『勝敗の50%はゴレイロで決まる』と言われるゴレイロだ。

カザフスタンのイギータや、元大阪の宮竹選手のようにマイボールから流れの中で持ちあがってパワープレーに参加するような場合を除き、自分のサイズや身体能力を理解した上で、ボールの位置に合わせたポジショニング、ブロック姿勢、相手との距離などを微調整するリアクションが要求されるポジションで、ゴールの中央とボールの直線状に立つことや、手+足/腹/顔で保険をかけて捕球体勢を取ることなど、サッカーとの類似点も多いが、フットサルのゴレイロとしての花形は以下のブロックの3姿勢だろう。

①クロス
上半身を起こして片膝を折り、両手を体側に構え、手のひらを相手に見せて正対する。
1vs1で最も良く見る姿勢で、足は股を抜かれない、手は脇を抜かれないよう隙間をケアしつつ上体を起こして面の面積を稼ぐ。
フットサルのゴレイロというとこの姿勢を連想する人も多いだろう。

面の面積が大きく、両足がフロアに着いているため次の動作に移りやすいのが長所だが、面を作るのに時間がかかることと、再現性に欠けること(不十分な場合は股/脇を抜かれたり、面を作る位置がズレて折った足の上から対角に決められる)が弱点だ。

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少々極端だがクロスの型。
今期嬉しいFリーグデビューを飾った遅咲き苦労人の飛騨選手のウオーミングアップ。


②フェンス
上体を起こしてスライディング+両手を足の上に被せて柵を作り相手のシュートコースをカバーする。
ファー詰めや2vs1カウンターなど早いボールを振られてクロスでは間に合わない場合に対応する型。

勢いをつけて飛びこむので距離を移動しながら面を作れることが長所だが、シュートコースへ体を投げ出すことになるため、ナメてかわされる、止めて見られるなど相手がシュート以外を選択した場合のリアクションに弱い。

また、基本的には股を抜かれないことがゴレイロのイロハのイとしてあり、そのためスライディングは低くあることが必須で、中腰で構えるクロスに比べて高さに欠ける(ファー詰めは浮かせて上を狙え、と言われるのはこの逆説)。

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フェンスの型。
ニアサイドで一度ボールを止めてからファー詰めにフェンスで対応する。


③ダブルニー
クロスの上半身から両膝を前に折って正座の姿勢で膝で滑る型(学校の廊下などの滑る床面で一度はやったことがあるだろう)。
両膝を着くため2次動作の選択が極端に狭まる捨て身技で、この姿勢を取る場合はボールをラインから出す、大きくクリアできることが必須条件になる。

長所はフェンスと同じく距離を移動しながら面を作れることと、姿勢自体が簡単(姿勢を作り切れば股のケアが不要)でフェンスよりも高さと面積が稼げる点。
短所は前述した2次動作の関係で相手のリアクションに弱いことと、ゴールから離れることになるためボールに触れられなかった場合のリスクが甚大なこと。

使い所は限られるがシチュエーションを間違えなければ阻止率は非常に高く、1vs1で相手がコントロールをミスした場面や、ゴール前の混戦でのこぼれ球、セットプレーで裏をかかれた際に一気にブロックに入るなど、出しどころを心得たゴレイロにとっては一撃必殺の見せ場だ。
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はっきりとしたダブルニーではないが、2v1カウンターでパスを出された後の場面。
相手のトラップが乱れたのを確認し、片膝を立てて滑って詰めている。
矢澤選手はこの詰めの判断が抜群にいい。

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名古屋戦では大量7失点を食らったがFリーグ屈指のダブルニーの使い手である府中のクロモト選手。
ここぞの場面で必殺技が出るかがこの人の調子のバロメータ。


上記、クロス・フェンス・ダブルニーの3つの型を股と脇と上体の傾斜を意識しつつスムーズに出せるまで熟練することがゴレイロにとっての型の獲得だろう。

その後は3型の出しどころを考えつつスピードやステップを活かした距離の詰め方や、シュート力を活かして前線に上がってのロングシュートなど各自の個性の上乗せがあり、経験を積むことによる予測や視野の広がりによる判断力の向上がゴレイロとしてのスケールアップに繋がる。


仙台、すみだ、府中、湘南、浜松、名古屋の6チームが集まった立川立飛のハーフセントラルには矢澤(すみだ)、石黒(浜松)のふたり(前身のバンフを含めれば飛騨(府中)の3人)が集まり、リーグ全体を見渡しても小石峯(神戸)や岡島(浜松)など、名古屋トップ/サテライト出身のゴレイロが数多く活躍している。

強シュートを持つ石黒選手、サイズを活かす矢澤選手/岡島選手、安定感の小石峯選手/篠田選手と、在校生、卒業生ともに個性的なゴレイロが多いが、共通するのはクロス、フェンス、ダブルニーの3型が非常にしっかりしていることだ。
(試合展開にもよるが、北海道出身で名古屋在席2年目の関口選手は出足の良さと前目のポジショニングで型を使わず前で処理するケースが目立つのが篠田選手との比較として面白い)
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強シュートを持つ石黒選手と、出足の早さ&反応で勝負する関口選手


日本唯一のプロチームである名古屋だからと言ってしまえばそれまでだが、このチームには型をベースに優れたゴレイロを育成するメソッドがあるのだろうし、各自が違うチームに移っても活躍できるのは自分のベースとなる型をしっかりと身につけられたからなのではと思う。

涼しい顔で繰り出す安定感抜群のクロス
ファー詰めに追いすがる迫力満点のフェンス
居合切りよろしくここぞの場面で飛び出すダブルニー

『勝敗の50%はゴレイロで決まる』と言われるフットサルだが、ゴレイロの面白さはどの局面でどの型を使う(あるいは型ではなく前や反応で勝負する)かの判断にあるのではと思う。

チームの最後尾に構えるゴレイロの面々が、その局面でその型を出した必然性にゼヒ思いを巡らせてみてほしい。

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通常ゴレイロが装着する肘当てを身に着けないフィウーザ選手。
クロス→不要
フェンス/ダブルニー→膝当てがあればよくない?
という高度な判断か。
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今期台風の目になっている湘南。
エースロドリゴの覚醒が数字的には顕著だが、鍛代/刈込/内村/植松選手らのサボらず技術とフィジカルを活かして貢献するレベルの高いアラが攻守の屋台骨を支える。
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湘南の小門選手(25歳)と仙台の堀内選手(24歳)の若手ピヴォ対決。
近いうちに日本代表で再会なんて展開も十分ありそう。
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一気に日本代表のピヴォに定着したすみだの20歳、分厚い体躯で強烈なシュートを放つ清水選手。
山元選手、須藤選手ら海千山千の浜松ベテラン勢に削られてイイ表情。
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今期、戦力の劣る仙台から、勝てるチームのすみだに移籍して頭角を現した矢澤選手。
185cm/75kgのサイズに目が行きがちだが、安定した型と、どの距離でどの型で止めるかの判断が抜群で日本代表選出&出場時間を伸ばしたのも大いに納得。

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来季のホームアリーナになりそうな立川立飛で名古屋相手に0-7のスコアで敗れた府中。
皆本選手のアイソレーションからのドリブルで活路を見出したかったが、Y字プレスの頂点で踊るような鬼ステップで追い込むラファ&吉川選手に大苦戦。
9 9月

2017/9/9(土) Fリーグ第15節 墨田区総合体育館 『助っ人の条件』

2017/9/9(土) Fリーグ第15節 墨田区総合体育館
府中アスレティックFC 4 - 3 名古屋オーシャンズ
フウガドールすみだ 4 - 2 アグレミーナ浜松

昨年はアルトゥール、チアゴ、ヴィニシウスの3人で113得点を荒稼ぎした大阪がリーグと全日本の2冠に輝き、今年もブラジルトリオのラファ、ヴァルチーニョ、ルイジーニョらがゴールを量産する名古屋がリーグをリードしている。
開幕から11連敗を喫していた仙台もアレックス、ノエ、マクロンの3人が馴染んできた12節からクラブ史上初の3連勝を果たし、第一クールを席巻した湘南はエース・ロドリゴのキレのあるドリブルと強烈なシュートが光った。

チーム力のバロメータやゲームの分水嶺のポイントとして、

『助っ人外国人選手』

の有無が話題になる。

助っ人という身も蓋もない言葉が示すように、日本人より優れているとされる彼らの何が助っ人たらしめているのかを考えてみた。

①フィジカル
パッと思いつくのが静止姿勢からの初速でブチ抜くスピードや問答無用の強シュートだが、コートサイズが小さく、カバーの距離が短いフットサルでこういった場面に出くわすことは1試合で数回だろし、これだけでは簡単に研究される。

個人的にフットサルのフィジカルと聞いて思い浮かぶのは、背中からお尻をアーチ状に曲げて面を作り、腰周りの厚さを活かして後ろ向きにボールを収めて『時間を作る』場面だ。

仙台に加入した187cmのアレックス、192cmのノエ、182cmのマクロンのサイズを活かした起点作りや、173cm/80kgのタンク体型のジョンレノン(浜松)の振り向きシュートなど、日本人相手ならガブって届きそうな距離を前述のアーチのキープでガッツリ収めたところの攻防戦は日本人VS外国人の花形だろう。

8名2セット+オプション2名のFP登録ではスピード自慢の切り込みや、キャノンシュートだけではオプションに周りがち。
説得力十分な背中とお尻をお持ちの外国人の存在感はなかなか魅力的なものがある。

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ボディバランスのいい諸江選手を鋭いターンで振り切ってシュートを放ったジョンレノン。
一本決めればノッてきそうな存在感のあるパワーシューター。

②テクニック
数試合前にアラウージョ(浜松)がヒールリフトでのサイド突破という派手なシーンを見せたが、左右の揺さ振りで相手の重心をズラして右足シュートというわかっていても止められないロドリゴ(湘南)のゴールパターンや、ボールの中央から上下左右へ僅かにミートポイントを微調整したトゥーキックでゴールの四隅を器用に打ち分けるボラ(すみだ)など、基本を仙人レベルまで突き詰め、再現度を極限まで高めたものにこそテクニックの本質はあるだろう。

特に胸の高さのボールを肩の窪みで受け止めるトラップや、腿から爪先まで左右両足をムダなく使ったリフティングなど、基本技術のオンパレードでボールを奴隷のように使役するボラのウォーミングアップは見惚れること必至でゼヒ早目に会場入りをしてほしい。
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抜群の足技を持つアラウージョは2016年のワールドカップでアゼルバイジャン代表としてベスト8とFリーグ在籍外国人ではワールドカップ最上位の選手。
トランジション過多のゲームでテクニックを活かせるかがこれからの課題か。

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現役時代は多彩なキックで名古屋の攻撃陣を操ったペドロコスタ。
負けゲーム後半のパワープレーの場面でニヤリの笑み。

③イマジネーション
ラファ(名古屋)が見せたボールをホイップするバックヒールや、ボラの相手を背負った状態でのヒールキックなど『そうきたか!!』や単純に『スゲー!!』といってしまうプレーは彼らならではだろう。

見た目は派手だがこういったプレーは相手を手や間接視野で確認したり、プレーのセオリーから逆算してこそ成功するもので平常時の状況判断も非常に長けている。

前に立っていたり、スライディングに来ているディフェンスにシュートを当てる回数が少なく(それでも打つ場合は股下や、体の側面から巻くなど相手DFすらゴレイロのブラインドとして利用)、キックフェイントで相手を寝かせてからのループや、天井から状況を俯瞰しているように味方のフリーの選手にスラす好選択が多いのもファンタジスタの特徴だ。

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割とマイペースそうなリーグ屈指の天才、ボラとラファ。
今期の仙台戦でのボラの4ゴールは圧巻。

④競技の理解、フットサルIQ
強烈なシュートやズバ抜けたテクニックがあるわけではなく、170cm/68kgという中肉中背のマルキーニョ(府中)が来日後から着々と出場時間を伸ばしている。
カウンター合戦から自軍のバランスが崩れた時にファウルを受けてゲームを切るなど冷静な状況判断が光り、セットプレーやパワープレーのメンバーに入っていることからもプレッシャーの中でも再現性の高い技術を持っていることが伺える。

数字が評価材料となる助っ人としては物足りなく映るかもしれないが、地味だが的確な繋ぎと戦術眼でどのセットに入れても潤滑油として計算できる彼らがいるだけで監督としては非常に楽だろう。

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セットプレーの場面で指差し確認をするマルキーニョ。
攻守にサボらない勤勉助っ人。

⑤勝負強さ
バスケットボールではここぞという場面での得点の多い選手のことをクラッチシューターというが、どの競技でもプレッシャーのかかる局面において良い働きができるのは名選手の証。
最近ではシビアゴール(先制/同点/逆転/勝ち越しなどゲームの趨勢に意味のあるゴール)という言葉も見かけるようになってきたが、相手の戦意を挫き、味方の士気を上げるゴールは何よりも価値のあるもので、美しさよりも感動とともに何十年後も語り草となるゴールはこの文脈からあげたものだろう。

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ゴールを量産するヴァルチーニョ(10)/ルイジーニョ(11)/ラファ(13)。
贔屓チームとの対戦で『名古屋の外国人にゴールを決められる』というだけで、一気にガックリくるファンは少なくないはずだ。

⑥間合い
外国人というよりは彼らが主戦場にしていたリーグの特性と言える。

パスラインを切りつつジワジワ詰めてヘッドダウンさせてからガッツリ追い込むこともあれば、内腿にヒザをブチ込む勢いで突進してくることもある。
国際試合や外国人選手のデビュー戦は彼らのプレスの距離感にリーグ文化が透けて見えていて非常に興味深い。

ここが激しいほどその選手の球際の強さが図れる。


助っ人外国人を助っ人たらしめるものについてダラダラと書いてきたが、当然これは日本人選手にも当てはまる。

今日の試合であれば岡村選手の背面キープで相手を引きつけてからの展開がすみだの1stセットの強みになっていたし、西谷選手や吉川選手(両名古屋)の相手の狙いを削ぐワントラップ目でのマークの外し、渡邊選手(府中)のボレーシュートには様式美すら感じる。
小兵ながらゴールを挙げた関選手(府中)や中村選手(大分)の痒いところを埋めるフォアザチームの献身は感動的で、追い込まれた時に見せる皆本選手(府中)の火事場のクソ力的なクラッチシュートは助っ人外国人顔負けだ。

他競技になるが体操では内村航平選手がオリンピック個人総合を2連覇し、陸上の桐生祥秀選手が100メートル走で10秒の壁(9.98秒)を破る。
野球では並み居る大男たちを相手に松坂大輔やダルビッシュ有、イチローらの力と技を武器にWBCを2連覇してもいる。

毎大会メダルラッシュに沸くレスリングや柔道、長谷川穂積(10回)、内山高志(11回)、山中慎介(12回)らが連続防衛記録を伸ばしたボクシング、型の追究とメンタルと相手の分析がキモになる卓球やバドミントンでも世界と伍する日本は控えめに言っても個人、団体種目ともスポーツ先進国だ。

半面フットボール全般はとかく『世界との距離』や『日本人だから』という言葉をネガティブな用途で使いがちで、お釣りがくるほど他競技で溜まっている正しいプロセスを踏み、努力を信じれば結果に繋がったという事例は忘れがちだ。
大国に学ぶことはもちろん大事だが、過度な劣等感は日本サッカー協会側の神田川にでも即刻沈めるべきだろう。

個人的な考えだが日本人選手に足りないのはゴール前の工夫だ。

今日の試合も11本のシュートを撃った清水選手(すみだ)のシュート力が目立ったが、決まったのはゴールを横断するサイドからの速いパスにファーから飛び込んで決めた1ゴールのみだ。
ゴールの狭いフットサルではゴレイロを外す、寝かせるのがゴールへの早道で、正対したゴレイロに向けた強烈なシュートがゴールの量産に繋がるとは言えず、③のイマジネーションの項目でも述べた、ラファやボラのゴール前で相手を観察し、相手DFすら活かしてしまうイヤらしさをゼヒ盗んでみてほしい。

9/16からトルクメニスタンで開催されるアジアインドアゲームズへ育成を観点にU25日本代表という苦戦必至の謎カテゴリー(対戦相手はすべてフル代表)で挑む日本代表だが、未来ある若者たちにはゼヒ自信を持ち、相手をよく見て小馬鹿にするようなプレーにチャレンジしてもらいたい。


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スペインでの2シーズンの経験で判断を含めたスピードアップが顕著な吉川選手と、ボレー/ミドル/ファー詰め/振り向き/1VS1と万能型ピヴォに変貌した渡邉選手。
30歳前後で一皮向けたベテラン勢の今後も非常に楽しみ。
19 8月

2017/8/19(土) Fリーグ第11節 府中市立総合体育館『マイナースポーツの自縄自縛』

2017/8/19(土) Fリーグ第11節 府中市立総合体育館
府中アスレティックFC 5 - 4 湘南ベルマーレ

最近なにかと耳にする評価項目『インスタ映え』に無縁な会場、それが府中市立総合体育館だ。

最寄駅の府中本町駅からご新規さんには敷居の高い府中競馬場、大東京綜合卸売センターを横目に15分ほど歩き、地元の親子連れが1周100円のゴーカートで遊んでいる光景を尻目に、風化した体育館の公民館然としたタイルの床を歩く。

チケットのもぎりをお願いしてアリーナに入るとオレンジ色の観客席がコの字型にフロアを取り囲む光景が飛び込んでくる。
ゴール裏は手前側ゴール前の攻防が見切れて見えず、両サイドの席は通路が非常に狭いし、躍動する選手を間近に見られるアリーナは迫力はあるものの、座席高がイマイチで個人的にはもう少し高い位置から観戦できるとありがたい。

キャパシティはFリーグ規定の2,000人に満たない1,500人前後。
コートサイズはこちらも規定の縦40メートル×横20メートルに満たない縦38メートル×横20メートル。
Fリーグ参入初年度はクーラーが無く夏場のデーゲームは蒸し風呂状態だった。

2008年に府中アスレティックがFリーグに参入する際、キャパシティとコートサイズを満たす代替のアリーナの確保(あるいは現会場の改修)を条件として提示されていたとのことだが、今シーズン開幕前に突如今年の8月を期限として府中市立総合体育館の利用禁止が決まったらしい。

駅近で公園内に設置された都市型総合施設の典型である墨田区総合体育館や、美術館を彷彿とさせる外観のオーシャンアリーナのような利便性や快適さはないド・昭和な会場だが府中市立総合体育館の試合は非常に盛り上がる。

小さ目のハコに毎回1,000~1,200人の観客がコンスタントに入るギュッとした会場密度はコッテリ濃い目。
異常に近い観客席と周囲を壁が取り囲み、目の肥えた観客が挙げるブーイングはアウェーの選手たちにとっては牢獄に入れられてプレーをしているような感覚だろう。

ワンプレーを一同が目で追い、狭い体育館に熱のこもった歓声を響かせた後は、入口前のロビーに三々五々集まり、くたびれた長椅子に腰かけて世間話や感想戦に興じる。

おひとり様、友人、カップル、ファミリーと客層も多様で、そんな姿をアリーナ併設の学食風のレストランけやき(試合日は営業を途中で切り上げスタジアムフードを提供)が見つめる光景はどのスポーツも理念に掲げる地域密着や、スポーツを通したコミュニティの相互理解の理想的な姿だ。

およそ近代的ではないが個性という点ではこの会場がFリーグでNo1なのではないかと思うし、全てのジャンルのスポーツチームが欲しがる試合以上のものを提供しているアリーナの使用を禁じたリーグの決定が本当に残念でならない。


マイナーからメジャーへのブレイクスルーを目指して2007年に始まったFリーグは昨シーズンから観客動員数の減少が顕著で500人を切る試合も珍しくない。

11年目を迎えたリーグで2,000人以上の会場を持っていて2,000人をコンスタントに集客できているのは北海道(と集客力のあるイベントを打った際の名古屋)ぐらいだろうし、喫緊の課題は2,000人規模の会場を保持しているかではなく、落ちこむ観客動員数を上げるためにリーグとして指針を示し各チームのアプローチを先導することだ。

参入希望のチームを集めて運営能力をテストするとして2012年から始まった準加盟リーグ(現Fチャレンジリーグ)だが、今年は5年間参戦した柏TOR(今シーズンからトルエーラ柏に名称変更)が脱退し、3年目を迎えるはずだった徳島ラパスは特にアナウンスもなくチーム自体が解散した。

今年はボアルース長野、浜田フットサルクラブが参戦したが、2014年の仙台(2011年で脱退した花巻の後継および地域的なバランス)とすみだ(人気、実力が抜群)の加入以降、これはと思う強力なファクターを持つチームは現れていないし、準加盟リーグは目指すステージに対して勝敗よりも金銭面や体制、全体の意思統一やモチベーションの維持が現実的な目標となる場で、優勝イコールFリーグ参入となるわけでもないリーグでチームの各員がそれぞれの立場で設定する『勝利』を得るのは並大抵のことではないはずだ。

昨年開幕したBリーグをはじめ、スポーツ、音楽、演劇などの競合が多々おり、首都圏のアリーナが相次いで体育館の改修期に入った現状で条件のいい会場の争奪戦は熾烈だ。

率直に言って今のFリーグの観客動員数で2,000人の体育館は不要だし、国際大会の規約としては縦38~42m×横18~22mの幅が認められており、フットサル以外のラインをすべて消しているピッチも、海外リーグを見ると割合雑でバレーやバスケットボールの線が残っている会場も多く見られる(スポーツコートを設置する場合や、国際大会を除きほぼそんな感じだ)。

Fリーグは必ずしも必要のないルールで自縄自縛している。

会場は見に来る観客数に見合ったキャパシティがあれば十分だし、フロアサイズの差異を肴に語る感想戦も面白いだろう。
ラインは外枠とゴールエリアが判別できれば競技進行には問題ないので、その分の労力を集客営業に充ててほしい。

納得のできるプロセスを踏み、結果に満足する。
選手はフットサルの練習と試合が、運営は営業と利益がそれにあたるだろうし『競技を楽しむ」という本質は選手も運営も同じだろう。

現状に即していないルールがあるせいでリターンが出ないようであれば、ルールは負担でしかないし、ナンセンスに向き合わされる組織は疲弊していく。
お金はモチベーションとして非常に重要な要素であり、情報が多様化した現代では武士は喰わねど高楊枝よりも貧すれば窮ずの傾向は顕著だ。

府中のホームアリーナ問題は代替会場の確保が第一の解決策になりそうだが、至近のエスタルフォアリーナ(狭間駅から徒歩2分。3,000人収容)はボルダリングの大会で利用されるなど、新興競技との争奪戦も年々出てくるだろうしすんなり決まるとも思えない。

強弱がハッキリ分かれたチームが混在するリーグで拡大路線は時期尚早だとは思うが、ルールに納得ができ、継続的な体制の強化が可能な現実的に参入したいと思えるリーグでなければ未来はないだろう。

史上初のホームアリーナ引退試合となる湘南戦のキックオフ前に、府中のキャプテンである皆本選手が『ラストゲームとして伝説に残る試合をする』とインタビューに応え、その通りThis is 府中劇場な逆転劇に熱狂する展開になったが、伝説とは物語が続き、対象の価値が輝き続け、担い手と語り部がいてこそ成り立つもので、2017-2018シーズン第11節の府中アスレティックFC対湘南ベルマーレ戦は現時点でただの好ゲームのひとつでしかない。
そしてこんな『伝説』は不要だ。

府中のホームアリーナ問題は府中アスレティックFCと府中市立総合体育館に限定されて論じる問題ではなく、リーグは11年を過ぎた現状を分析し、トップリーグの敷居が現状に即しているかどうかを判断すべきだろう。

試合後、皆本選手がスタンドにミニボールを投げ入れる際、背番号5のブカブカのレプリカユニフォームの上下を着た少女が最前列にかぶりついてボールをねだっていたが、こういう子をガッカリさせず、伝説の語り部でいてもらい続ける姿勢を見せることがリーグとしてあるべき姿であり、11年前に敷いたルールが今後の自分たちの競技の発展を縛る鎖になっていないかを見直すフェーズにあると思う。

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9 7月

2017/7/8・9(土・日) Fリーグ第5・6節 浦安市総合体育館/墨田区総合体育館『ハーフセントラルの意義』

2017/7/8・9(土・日) Fリーグ第5・6節 浦安市総合体育館/墨田区総合体育館『ハーフセントラルの意義』

※2017/7/11初稿→7/12末尾に観客数の比較について追記

ハーフセントラル

『256』

2の累乗としてシステムの世界ではキリが良く、個人的にはそろそろSSDやmicroSDでも手頃な価格になりそうだなというのが職業柄連想される数字だが、7/8(土)、7/9(日)のハーフセントラル(浦安、墨田総合体育館に6チームづつを集めて3試合×2日開催)の最低入場客数(7/8(土)の浦安での仙台府中戦)がこの数字だった。

カードとしては墨田に強豪、人気チームが集中した印象だったが、今年台風の目になりつつある湘南や健闘の光る浜松、外国人トリオが入った仙台とそれなりに見所はあっただけに正直意外だった。

唐突だが『256』という観客数が独り歩きしている感もあったので、1節の開幕戦セントラルと5&6節のハーフセントラルの観客数を各日の同一時間での試合の合算でまとめた。
以下を見てほしい。

観客数

こうして見ると2会場で行われたハーフセントラルと、1会場で行われたセントラルの差はわずか(1試合平均で93%、110名程度今回のハーフセントラルの観客が少ない)で、

『東京(関東近郊)で行われるセントラルの集客数は最高2,000人/平均1,500人程度』

というのが定量化された11年目のFリーグのリアルだ。
(ファンの母数は変わらない以上、セントラルを2箇所でやる=それぞれにセントラルの観客が動員されてトータル2倍の観客、は期待値とはならない。ファンを1/2づつ分け合うというのが数学的な道理だろう)

苦戦を余儀なくされた浦安会場も、スマホで課金ゼロで観られるAbemaTVの視聴者数は20万人(実際はセッション切れになった同一ユーザのアクセス数も集計されているだろうからもう少し少ないだろう)とのことで、手の平の世界での観客数は結構多く、露出の減ったフットサル界としてはここから現地観戦への導線を持ってこれればしめたものだ。

Fリーグ11年目に生まれた新職業『フットサル解説員』を務める名古屋9連覇の立役者、北原亘氏のコメントも毎回素晴らしく、コメント入力が可能なAbemaTVでコメント者の中から抽選で当選アカウントを発表し、2試合以内に会場に足を運べばプレゼントの実物を受け取れるなんてのをやっても面白いかもしれない。

セントラルの観客数の落ち込みが顕著であり『256』という数字にヒステリックになっていたこともあるが、今回のハーフセントラルは開幕戦と同程度の集客だったというのを念頭に、あと5回あるハーフセントラルと、シーズンのオーラスである駒沢セントラル→同プレーオフの観客数を冷静に評価していけばいいのではないだろうか。


全国リーグの費用の大半は会場費と移動費だろう。

集中開催のいいところは1チームが借りた会場への1度の移動費で2試合行えることだ。
昨シーズン観客が500人を切り明らかに赤字と思われるホームゲームを行うよりも通年の収支は大きくなるのではと思う。

簡単にだが1回あたりのホームゲームの開催費を素人が想像できる範囲でまとめてみた。

ホームゲーム費用

平日:900,000円/土日祝:1,100,000円というのが簡単な試算で、以下がチケット代を2,000円としての損益分岐点(緑が平日/水色が土日祝)だ。

損益表

こう見ると損益分岐点はそこまで高くないことが分かるがここでのプラスが後述する遠征費に充当されるのでプラマイゼロで喜んでばかりもいられない。

なお会場設営(体育館に元々あるラインを床色のラインで消してフットサルのラインを引く、せり出し式のアリーナ席を出す)だったり、諸々の雑多なことは全額有志によるボランティアで賄っての試算となる。
試合を楽しんで帰りにあーだこーだ感想を言うだけのフットサルファンとしては毎回感謝の言葉しかありません。


移動についてだが、12チーム3戦総当たりの全33試合をフラットに分ければ11試合が上記のホーム、残りをアウェーとセントラルで22試合、各11試合を分け合うことになる。
かなり乱暴な試算が続くが遠征メンバーを16名として遠征2回とハーフセントラルで2試合のモデルケースをいくつか出してみた。

移動費

今回のような集中開催だと移動費を節約できるケース2、3の試合になるチームにメリットが大きい。

北海道(対浜松、湘南)、大分(対名古屋、すみだ)はありがたかっただろうし、同一地域の対戦が組まれた町田、すみだ、大阪、神戸は結構な好カードをホームゲームでできたかもと考えるとちょっとガッカリだったかもしれない。

神戸対大阪の関西ダービーが関東のハーフセントラルで開催というKYなカードもあったが、去年の同カードはグリーン神戸/グリーン神戸/高知春野で開催されていて、大阪の純ホーム会場の試合はひとつもない。
半ば形骸化されたホーム/アウェー/セントラルの煽りを食った形だが、関東のフットサルファンに試合終盤までハラハラドキドキの4-4の引き分けという熱戦をお披露目出来たのなら腐らずドヤってもいいのではないだろうか。

結論をまとめよう。

①観客動員
→開幕戦とほぼ同等の動員であり健闘した。
気の毒だがこの開催地の近さだと256人という数字はありえなくもないとしか言えない。

②費用
→長距離移動が発生する対戦をするチームには大幅なメリットがある。
集客を見込めたかもしれないハーフセントラルだったが、浦安は墨田とのキャスティング差で入場料収入面で割を食った。

浦安会場に行かれた方には意外かもしれないが、トータルで見るとハーフセントラルはそれなりに成功したのだと思っている。

実業団形式であるVリーグや、昨年産声を上げたBリーグも土日(あるいは金土)に2試合づつの試合形式で実施しており、多くの競技が採用する以上、この形式のメリットは確実にある。
全チームの体力を現実的に考えると体制が強いところに抱っこや、負債の持ち回りをした方が長い目で見るとプラスになりそうだし、これを何年か続けて全チームが一定の体力をつけるのを待つのもひとつの選択肢だろう。

色々と妄想の域を出ない推論が続いたが1チームでリーグは成り立たない。

『256』という観客数や、関西ダービーを関東でというカードの妙(正確には妙なカード)もあり、大いに不安を感じたハーフセントラルだが説得力のある答えがあるならファンは納得するしかない。
アナウンスがないからヘイトや不信感が生まれるわけで、何らかの意図や理由があって始めたハーフセントラルならファンに目的を伝えてほしいし、何が達成できて何が課題として残ったのかをリーグは明示してほしい。

※補足 観客数の比較について
観客数の比較は『同一地域での2会場開催なので、同一日時で足を運ぶファンの母数は変わらない』という仮説の論証が目的で、代々木1会場⇔浦安/墨田2会場合算を同一時間での試合順ごとに比較した。
(①②は各日の同一時間での試合数(3)で各日の合計を、③は全体の同一時間での試合数(6)で2日間の合計を除算:以下:試合順比較)

本記事のUP後『開幕は1節6試合/今回は2節12試合だから節ごとの平均でないとおかしいのでは?』という意見をいただいたのでそちらについても考察した。
(④⑤は各日の試合数(6)で各日の合計を、③は全体の試合数(12)で2日間の合計を除算(以下:節比較))

観客数_R1

観客数_R2

当然だが試合順比較、節比較とも合計の観客数は変わらないので、

『東京(関東近郊)で行われるセントラルの集客数は最高2,000人/平均1,500人程度』
というのが定量化された11年目のFリーグのリアルだ。

というのは変わらない。

反面、

⇒ファンの母数は変わらない以上、セントラルを2箇所でやる=それぞれにセントラルの観客が動員されてトータル2倍の観客、は期待値とはならない。ファンを1/2づつ分け合うというのが数学的な道理だろう

について初稿では実数が明示されていなかったので、同一地域内でのハーフセントラルの量の決まったパイの食い合いというマイナス面がテキストのみでしか表現できておらず(節比較の表はその点が50%以下という数字でハッキリする)、アンフェアな見せ方(自分はただのファンなのでどこに対して公正であるのかは不明)だったのではと反省している。

そんなこともありハーフセントラルで本来あるべき姿とは、というのを13&14節に予定されているきたえーる(北海道)/オーシャン(名古屋)でのハーフセントラルで、それぞれ単独開催でそれなりに観客が入った試合をモデルケースに簡単に妄想してみた。

観客数_R3

観客数_R4

同一地域で観客を取り合うこともなく、各地域で集まったファンの前で選手・関係者が1日3試合づつのコンテンツをより盛り上げようという相乗効果で切磋琢磨する。
ハーフセントラルは今シーズン6回あるがおそらく本来あるべきはこういった形での開催だろう。

いずれにしろハーフセントラルが興味深い試みであることは間違いないし、最近ではセントラルが一部会場に固定されていることもあり、各地域ごとの期待値をもう一度おさらいできるのはリーグとしても貴重な機会だろう。

やってみたら意外と面白かったこともあり、ハーフセントラルの観客動員については3回目、6回目終了時にでも実数を紹介していこうと思う。

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