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Futsal Philosophy (フットサル・フィロソフィー)

Fリーグ

28 10月

2017/10/28(土) Fリーグ第24節 墨田区総合体育館『体育館はスポーツをするところだった』

2017/10/28(土) Fリーグ第24節 墨田区総合体育館
フウガドールすみだ 3 - 2 府中アスレティックFC

体育館はスポーツをするところだ。

大人になるとなぜかできなくなっている後転を練習した体操用のマットや跳び箱、やたら高く感じたバスケットボールのゴール。
夏はムシ暑く、冬は足先が痛くなるほど寒く、やたら茶色いハコの中はちょっと息苦しい思い出だ。

そんなスポーツをするところだった体育館だが、TVやインターネットなどの普及により、スポーツがコンテンツとして楽しまれるようになってからは『アリーナ』という名称が広く使わられ、やる人よりも観る人に向けての施設が大多数になってきた。


各チームともハーフセントラルを2日間開催することになる今シーズン、府中市立総合体育館が8月いっぱいでFリーグでの利用が禁止になることから、10/21(土)・22(日)の府中担当分のハーフセントラルはリーグ開幕時点ではオーシャンアリーナを間借りして開催されることになっていたが、府中の隣町の立川に10月にオープンするアリーナ立川立飛での開催に変更されることが9/14に発表された。

試合自体は仙台/府中/すみだ/湘南/浜松/名古屋の6チームのキャラクターがギュッと詰まった好ゲームが多かったが、アリーナ立川立飛の床面は観客席から非常に見づらい角度にあり、バックスタンドからは手前のサイドラインが見切れ、ゴール裏からは手前のゴール前が見えないという具合だった。

メインスタンドの中段が全体の把握にはもっとも良さそうだったが、観客席最前列には転落防止の腰高の柵があり、これがまた競技中のフロアへの視界に干渉するというKYぷり。
もっともこの施設自体が、予算を安く、工期を短く済ませるために組み立てが容易な汎用的な資材を調達して施工するという建築方式だったので贅沢も言っていられないというところだろう。

SNSを見るとBリーグのアルバルク東京がホームアリーナとして利用する場合でも同様の見切れ、柵干渉に関する話題が出ているらしく、全席から問題なく観戦できるコンテンツは中央に舞台装置を用意する格闘技くらいになりそうで、意思決定のプロセスはわからないが、自分がやることよりも観られることにフォーカスすべき現代式の体育館が帯に短く襷にも足りなさそうな風体で仕上がったのがなんとも残念だった。

SNSを見るとBリーグのアルバルク東京がホームアリーナとして利用する場合でも同様の見切れ、柵干渉に関する話題が出ているらしく、全席から問題なく観戦できるコンテンツは中央に舞台装置を用意する格闘技くらいになりそうだが、2,000人規模で現実的に使用料をペイできる府中近郊の会場としてはアリーナ立川立飛は及第点というしかないだろう。

煽る気はまったくないが民営管理でお値段相当のアリーナ立川立飛の1週間後に、墨田区が事業主体の墨田区総合体育館に訪れると快適さはある程度お金で保障されることが非常によくわかる。
(もちろんロー/ハイコストとも利用用途から逆算した設計は必要だが、ローコストほど工夫や知恵が必要であり、他の構成要素とのトレードオフになることは間違いない)

コスパという言葉が評価項目の上位にノミネートされる昨今だが、コスパは本来『価格性能(内容)比』を表現する言葉だったはずで、本来の目的を実現するための性能を度外視し、安さのみにフォーカスする安易な意思決定材料として大小様々なところで用いられている雰囲気があるところがちょっと気になるところだ。

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こちらがアリーナ立川立飛。
写真中央の赤枠の列が見切れ、柵干渉のない良席。


地域リーグだとありがちな最寄駅から徒歩30分の会場までのアクセス、見切れ席、柵の干渉、冷暖房なしという酷アリーナなだが(これはこれでどうすれば解決できるかを色々考えるのが結構楽しい)、せっかくの機会なのでいいアリーナとは何かを勝手に考えてみた。

①アクセス
マニアにはたまらない酷アリーナ3箇条に入れたが、競技のトップカテゴリーであるFリーグなら駅近(徒歩10分程度/遠方でも敷地へのバスの乗り入れありなら○)が当然望ましい。

もちろん条件を満たさないアリーナもあるが、大分がホーム開催する別府駅から徒歩20分のビーコンプラザは温泉地別府のワクワク感と小高い山を登っていく度に高鳴る高揚感がなんとも言えなかった。

近いに越したことはないが会場までの道のりで地域性を感じられたり、高揚感が高まるような環境であればそれはそれで歓迎だ。

②見やすさ
手前のゴール前が見切れてしまうものの、狭い体育館に響く歓声が集積されるゴール裏の熱気は府中市立総合体育館ならではのものだった。
個人的には一部が見切れていても見切れに代わりうる価値が提供されていれば問題ないのではと思う。

2,500人のキャパを誇るものの見やすさに難点があるアリーナ立川立飛だが、均等にフロアを使うのではなくコートの設置場所をメインスタンドから見やすいようにバックスタンド側にズラしてアリーナを設置、バックスタンドを立ち見として価格差を出すのもアリではないだろうか。

府中市立総合体育館でのホーム開催(ラストゲームの8/19(土)が1,520人)と10月のハーフセントラル2試合(メインイベント感満載の府中vs名古屋が1,217人)を見ると動員は1,200~1,500人の枠内に落ち着きそうなので、2,500人の集客を目指すよりはまずはこの人数の満足度を上げる施策がベターだろう。

全員が等しく座って応援する全角度から見やすいアリーナ、というのも理想だが、ライブの醍醐味はそれぞれの楽しみ方でコンテンツを楽しめることだ。

バックスタンドでサポーター同士が応援合戦を繰り広げ、アリーナでは間近に迫る選手の表情に熱くなり、全体が見やすいメインスタンドでは監督の采配や戦術論に花を咲かせ、スペースに余裕のあるゴール裏ではファミリーがゆったりも騒々しくフットサルを見つめる...。

そんな光景を想像するだけでとてもワクワクするのは自分だけだろうか。
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Fリーグで一番好きな席種。墨田区総合体育館の選手ベンチ裏に常設されている『スミダイルシート』。
ハーフタイムには愛想のよいマスコットのスミダイルを愛で、試合終盤にはタイムアウト時のボードを覗き込む体験はここならでは。

③冷暖房完備。
酷3の最後の一角。
会場によっては空調の使用料が施設使用料と別立てのところもあり冷房が50,000円/1時間なんて話も聞くが、これについては①②のようにトレードオフになるものがない。

無い袖は振れないだろうが夏場は熱中症などの安全面からも必要な要素なので頑張ってほしい。

④物販
定番どころだとタオルマフラー、レプリカシャツ、Tシャツ、キャップあたりだろうが、モバイルバッテリーやハンドスピナーなんてご時世やトレンドを抑えたものもある。
趣旨を凝らしたチームの物販ブースの前に立っていたらいつの間にか散財していたしていた、という人も結構いるのではないだろうか。

プラス要素のみの入場料収入に比べて、在庫が損益にもつながる物販は人気選手のグッズを作ったのにケガで露出機会が減ったり、移籍でお蔵入りなんてリスクもつきまとう。

個人的に上手いなと思うのがすみだ浦安で、すみだはスポンサーのスーツメーカーのネクタイ(これを須賀監督が清々しく着用)や、お出かけのお供に定着しつつあるモバイルバッテリーを一見スポーツチームらしからぬスタイリッシュなデザインでリリースしている。
浦安は前述のハンドスピナー(定着するかはまだ不透明なので在庫時の損益が若干心配)や、フットサルのサポーターアイテムとしてベースボールシャツ(チームの女子選手にダボッと可愛らしく着させる販促がお見事)など攻めたラインナップが光る。

わかりやすさとしては定番どころがあれば十分だし、グッズの少なさで不満の声があがることは少ないだろうが、無くても我慢できるがあったら便利なもの(モバイルバッテリー)や、話題性があり機会があれば欲しいと感じるもの(ハンドスピナー)はビジネスチャンスとして機を見るに敏で裏方陣の才覚が光る。

⑤スタジアムグルメ
もはやそれ自体が目的にもなる規模のサッカーと比較するとひっそりと営業されるフットサルのスタジアムグルメ。
スタジアム近辺の名店か、スタジアム近辺の土地柄に合わせたものが並ぶことが多い(ブラジル人コミュニティが至近の浜松のブラジルフード(ポンテケーニョやガラナ)など)が、昨・今シーズン衝撃だったのが町田の中井農園シリーズだ。

農業を営むご実家から町田に在席する中井選手が取り寄せた焼き芋に始まり、今シーズンは各種フレーバーを取り揃えてのオシャレな冷やし甘酒を披露。
選手との距離が近いフットサルならではの展開(?)で、寒さが堪えるこれからの時期に新たな施策もありそうだなと密かに期待している。

食事に関しては火を使う、使わないなどで色々と制約が厳しかったり、食中毒等の事故時の評判を考えてあえて出さないチームもあるのではと思うし、1試合開催よりもセントラル/ハーフセントラルなどの複数試合開催日のほうが商機ありなのでそこから限定的にというのもいいだろう。

個人的にはキックインすら4秒以内にこなさなければいけないフットサルを見ながら飲み食いするのはムリがあると思うので、ないならないでまったく不満はない。

⑥トレーニング
やる/観るを両立させた近代型のアリーナをざっと見渡すと、きたえーる、小田原アリーナ、墨田区総合体育館、浦安市総合体育館あたりはトレーニングルームやプールが常時営業していてFリーグ開催日も利用可能だ。

市販されているレプリカウェアを身に着けて試合を観戦し、試合終了後に普段選手たちも使ってるであろう器具で軽くトレーニングをし、おもむろにプロテインをキメるなんてなりきりツアーもまた一興だろう(もちろん自分はやったことはない)。


昨年始まったBリーグは会場ごとに10種類前後の席種が細かく設定されていて、半ば無理やり感があるがそれだけの価値を創出し、提示している(360度カメラから各客席の画像を用意した千葉ジェッツのコンテンツが非常に秀逸なのでゼヒ見てみてほしい)
個人的に最も手を入れるべきは②の見やすさだと思っていて、長く同じ設営でやってきたホームゲームにも何か新しいアイディアがないかは年に1度でいいのでゼヒ検討してほしいところだ。

体育館はスポーツをするところだった。

今年はAbemaTVでFリーグを観戦する機会が増えたという人も多いだろうが、それでも会場には会場の味や熱があり、他メディアや他競技からのスパイスが活かせることもあると思う。

外部からはわからない制約が色々とあるのかとは思うが、狙いが明確な施策ならファンは納得するものなので『今までこれでやってきたから』の壁を壊してドンドン攻めてみてほしい。

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ゴール数は少ないが前線からのプレスと、ボールを受けて時間を作り冷静な判断で好アシストを連発する岡村選手。
フィジカルが強いピヴォというイメージがあったが実際は最前線のゲームメーカー。
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岡村選手が作った時間を活かしてゴール前に飛び込み、ダイレクトプレーでゴールを決める宮崎選手。
岡村→宮崎ラインは1stセットの大きな武器。
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2点目のゴールは清水&ボラvs皆本という豪華キャストの2v1カウンターからボラがクロモトのニアを抜いて手堅くゲット。
全員が芸達者の緊張感は生観戦ならでは。
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片膝を折り、もう片方を伸ばして前に詰める変則ダブルニーが面の幅・高さ・移動距離とも効果テキメンで大きな武器。
充実のシーズンを送る矢澤選手。
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トルクメニスタンでのアジアインドアゲームズではクアトロをこなすアラとして奮闘した田村選手がフィジカル自慢の上福元選手をマーク&先制点をアシスト。
清水/田村/矢澤の日本代表組は異国の経験値が余裕に繋がっているなという印象。
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毎年新加入やトップ昇格のあるチームで出場時間を伸ばす栗本選手。
諸江/栗本/渡井/清水というテクニックのある3フィクソ+ピヴォの仕掛け担当が明確になれば面白そうな新セットで攻守に奮闘。
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完山選手がケガで不在の1stセットに入って出場時間を伸ばす内田選手。
ゴールという形で一気にブレイクしたいところ。
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こぼれ球から肩口を抜くコントロールショットと、パワープレーからのファー詰めで2ゴールの渡邉選手。
24試合で35ゴール。残り9節でヴィニシウスの持つシーズン最多得点の43点越えが見えてきた。
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冷静な判断と時々見せる正確なスライディングが光るマルキーニョ。
右角から中に侵入してフリーで受ける展開でチャンスを多数作ったパワープレーは今後各チームの脅威になりそう。
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まだ地域リーグに在籍していたすみだが名古屋と戦った2013年の全日本選手権決勝戦。
PKまでもつれた大熱戦でシュートをブロックされた諸江選手にすみだの選手が歩み寄り肩を組んだのが、個人的にフットサルで一番美しかった場面。

苦しい時に肩を組める仲間がいるのはとても嬉しく、頼もしいのではないだろうか。




21 10月

2017/10/21(土) Fリーグ第22節 アリーナ立川立飛 『ゴレイロの型』

2017/10/21(土) Fリーグ第22節 アリーナ立川立飛 
ヴォスクオーレ仙台 1 - 4 湘南ベルマーレ
フウガドールすみだ 2 - 0 アグレミーナ浜松
府中アスレティックFC 3 - 0 ヴォスクオーレ仙台

2012年末の第2次安倍内閣から『アベノミクス』の謳い文句でテコ入れされた経済政策による好景気の結果、今年9月の有効求人倍率が1.5倍を越えた。


就職氷河期と呼ばれ『0.54』という激シブな有効求人倍率と、求人&離職率の兼ね合いでこの業種以外の求人が極端に少ないという理由で自分は2002年にシステム業界に就職した。

それから15年間なんとか働き続けているが、当時はシステム業界を舞台にサービス残業/未払い休日出勤/パワハラ/管理者不在のザ・ブラック会社を描いた『ブラック会社に勤めてるんだが、もう俺は限界かもしれない』という掲示板発のコンテンツが業界あるある(あるいはこれ以上も普通にあるある)として話題になるくらいの無茶苦茶なスケジュールや体制の案件も多々あった(らしい)。

当時に比べて労働環境は格段に良くなったが、今は介護・福祉・保育・飲食などの労働環境の悪化が度々取り上げられるし、仕事=自分自身という方程式で成り立っている一見華やかな報道・広告業界はふと冷静になってみると労働者の時間の搾取で成り立っている感がありありだ。

こと、仕事を進めるうえで通過する一般的な成長サイクルは、

・自分の能力を把握する
・能力に適した仕事の入出力を管理する
・必要な入出力をこなす
・自分の能力を開発をする
・能力も認めてもらう

といったものだろう。
このサイクルを繰り返すことで自分の基本になる『型』が構築でき、その型を活かして複数の事象が連続する応用にも適応できる。

ある程度成熟している業界であればいわゆる『業務経験』という定性的な経験だけでなく、省庁や業界団体が運営し、合格者の質を担保する定量的な『資格』が整備されていて、資格取得へのプロセスが型の構築の助けになったりもする。

どちらが牽引する形になるかはその人のキャリア次第だろうが、一定の年齢を越すと経験を過信して軽んじがちな資格勉強にも経験を知識として定着させる効果があり、やってみると自分のキャリアの答え合わせをしているような感覚で意外と面白い。

なんにせよ『型』を作り、壊し(あるいは壊され)、振り返り、修復し、徐々に強固にしていくプロセスは自分に自信を持つために避けては通れないものだろうし、型の獲得がそのまま自分の武器になるものだ。


『型』という観点でフットサルを観ると特徴的なのが『勝敗の50%はゴレイロで決まる』と言われるゴレイロだ。

カザフスタンのイギータや、元大阪の宮竹選手のようにマイボールから流れの中で持ちあがってパワープレーに参加するような場合を除き、自分のサイズや身体能力を理解した上で、ボールの位置に合わせたポジショニング、ブロック姿勢、相手との距離などを微調整するリアクションが要求されるポジションで、ゴールの中央とボールの直線状に立つことや、手+足/腹/顔で保険をかけて捕球体勢を取ることなど、サッカーとの類似点も多いが、フットサルのゴレイロとしての花形は以下のブロックの3姿勢だろう。

①クロス
上半身を起こして片膝を折り、両手を体側に構え、手のひらを相手に見せて正対する。
1vs1で最も良く見る姿勢で、足は股を抜かれない、手は脇を抜かれないよう隙間をケアしつつ上体を起こして面の面積を稼ぐ。
フットサルのゴレイロというとこの姿勢を連想する人も多いだろう。

面の面積が大きく、両足がフロアに着いているため次の動作に移りやすいのが長所だが、面を作るのに時間がかかることと、再現性に欠けること(不十分な場合は股/脇を抜かれたり、面を作る位置がズレて折った足の上から対角に決められる)が弱点だ。

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少々極端だがクロスの型。
今期嬉しいFリーグデビューを飾った遅咲き苦労人の飛騨選手のウオーミングアップ。


②フェンス
上体を起こしてスライディング+両手を足の上に被せて柵を作り相手のシュートコースをカバーする。
ファー詰めや2vs1カウンターなど早いボールを振られてクロスでは間に合わない場合に対応する型。

勢いをつけて飛びこむので距離を移動しながら面を作れることが長所だが、シュートコースへ体を投げ出すことになるため、ナメてかわされる、止めて見られるなど相手がシュート以外を選択した場合のリアクションに弱い。

また、基本的には股を抜かれないことがゴレイロのイロハのイとしてあり、そのためスライディングは低くあることが必須で、中腰で構えるクロスに比べて高さに欠ける(ファー詰めは浮かせて上を狙え、と言われるのはこの逆説)。

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フェンスの型。
ニアサイドで一度ボールを止めてからファー詰めにフェンスで対応する。


③ダブルニー
クロスの上半身から両膝を前に折って正座の姿勢で膝で滑る型(学校の廊下などの滑る床面で一度はやったことがあるだろう)。
両膝を着くため2次動作の選択が極端に狭まる捨て身技で、この姿勢を取る場合はボールをラインから出す、大きくクリアできることが必須条件になる。

長所はフェンスと同じく距離を移動しながら面を作れることと、姿勢自体が簡単(姿勢を作り切れば股のケアが不要)でフェンスよりも高さと面積が稼げる点。
短所は前述した2次動作の関係で相手のリアクションに弱いことと、ゴールから離れることになるためボールに触れられなかった場合のリスクが甚大なこと。

使い所は限られるがシチュエーションを間違えなければ阻止率は非常に高く、1vs1で相手がコントロールをミスした場面や、ゴール前の混戦でのこぼれ球、セットプレーで裏をかかれた際に一気にブロックに入るなど、出しどころを心得たゴレイロにとっては一撃必殺の見せ場だ。
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はっきりとしたダブルニーではないが、2v1カウンターでパスを出された後の場面。
相手のトラップが乱れたのを確認し、片膝を立てて滑って詰めている。
矢澤選手はこの詰めの判断が抜群にいい。

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名古屋戦では大量7失点を食らったがFリーグ屈指のダブルニーの使い手である府中のクロモト選手。
ここぞの場面で必殺技が出るかがこの人の調子のバロメータ。


上記、クロス・フェンス・ダブルニーの3つの型を股と脇と上体の傾斜を意識しつつスムーズに出せるまで熟練することがゴレイロにとっての型の獲得だろう。

その後は3型の出しどころを考えつつスピードやステップを活かした距離の詰め方や、シュート力を活かして前線に上がってのロングシュートなど各自の個性の上乗せがあり、経験を積むことによる予測や視野の広がりによる判断力の向上がゴレイロとしてのスケールアップに繋がる。


仙台、すみだ、府中、湘南、浜松、名古屋の6チームが集まった立川立飛のハーフセントラルには矢澤(すみだ)、石黒(浜松)のふたり(前身のバンフを含めれば飛騨(府中)の3人)が集まり、リーグ全体を見渡しても小石峯(神戸)や岡島(浜松)など、名古屋トップ/サテライト出身のゴレイロが数多く活躍している。

強シュートを持つ石黒選手、サイズを活かす矢澤選手/岡島選手、安定感の小石峯選手/篠田選手と、在校生、卒業生ともに個性的なゴレイロが多いが、共通するのはクロス、フェンス、ダブルニーの3型が非常にしっかりしていることだ。
(試合展開にもよるが、北海道出身で名古屋在席2年目の関口選手は出足の良さと前目のポジショニングで型を使わず前で処理するケースが目立つのが篠田選手との比較として面白い)
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強シュートを持つ石黒選手と、出足の早さ&反応で勝負する関口選手


日本唯一のプロチームである名古屋だからと言ってしまえばそれまでだが、このチームには型をベースに優れたゴレイロを育成するメソッドがあるのだろうし、各自が違うチームに移っても活躍できるのは自分のベースとなる型をしっかりと身につけられたからなのではと思う。

涼しい顔で繰り出す安定感抜群のクロス
ファー詰めに追いすがる迫力満点のフェンス
居合切りよろしくここぞの場面で飛び出すダブルニー

『勝敗の50%はゴレイロで決まる』と言われるフットサルだが、ゴレイロの面白さはどの局面でどの型を使う(あるいは型ではなく前や反応で勝負する)かの判断にあるのではと思う。

チームの最後尾に構えるゴレイロの面々が、その局面でその型を出した必然性にゼヒ思いを巡らせてみてほしい。

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通常ゴレイロが装着する肘当てを身に着けないフィウーザ選手。
クロス→不要
フェンス/ダブルニー→膝当てがあればよくない?
という高度な判断か。
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今期台風の目になっている湘南。
エースロドリゴの覚醒が数字的には顕著だが、鍛代/刈込/内村/植松選手らのサボらず技術とフィジカルを活かして貢献するレベルの高いアラが攻守の屋台骨を支える。
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湘南の小門選手(25歳)と仙台の堀内選手(24歳)の若手ピヴォ対決。
近いうちに日本代表で再会なんて展開も十分ありそう。
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一気に日本代表のピヴォに定着したすみだの20歳、分厚い体躯で強烈なシュートを放つ清水選手。
山元選手、須藤選手ら海千山千の浜松ベテラン勢に削られてイイ表情。
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今期、戦力の劣る仙台から、勝てるチームのすみだに移籍して頭角を現した矢澤選手。
185cm/75kgのサイズに目が行きがちだが、安定した型と、どの距離でどの型で止めるかの判断が抜群で日本代表選出&出場時間を伸ばしたのも大いに納得。

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来季のホームアリーナになりそうな立川立飛で名古屋相手に0-7のスコアで敗れた府中。
皆本選手のアイソレーションからのドリブルで活路を見出したかったが、Y字プレスの頂点で踊るような鬼ステップで追い込むラファ&吉川選手に大苦戦。
9 9月

2017/9/9(土) Fリーグ第15節 墨田区総合体育館 『助っ人の条件』

2017/9/9(土) Fリーグ第15節 墨田区総合体育館
府中アスレティックFC 4 - 3 名古屋オーシャンズ
フウガドールすみだ 4 - 2 アグレミーナ浜松

昨年はアルトゥール、チアゴ、ヴィニシウスの3人で113得点を荒稼ぎした大阪がリーグと全日本の2冠に輝き、今年もブラジルトリオのラファ、ヴァルチーニョ、ルイジーニョらがゴールを量産する名古屋がリーグをリードしている。
開幕から11連敗を喫していた仙台もアレックス、ノエ、マクロンの3人が馴染んできた12節からクラブ史上初の3連勝を果たし、第一クールを席巻した湘南はエース・ロドリゴのキレのあるドリブルと強烈なシュートが光った。

チーム力のバロメータやゲームの分水嶺のポイントとして、

『助っ人外国人選手』

の有無が話題になる。

助っ人という身も蓋もない言葉が示すように、日本人より優れているとされる彼らの何が助っ人たらしめているのかを考えてみた。

①フィジカル
パッと思いつくのが静止姿勢からの初速でブチ抜くスピードや問答無用の強シュートだが、コートサイズが小さく、カバーの距離が短いフットサルでこういった場面に出くわすことは1試合で数回だろし、これだけでは簡単に研究される。

個人的にフットサルのフィジカルと聞いて思い浮かぶのは、背中からお尻をアーチ状に曲げて面を作り、腰周りの厚さを活かして後ろ向きにボールを収めて『時間を作る』場面だ。

仙台に加入した187cmのアレックス、192cmのノエ、182cmのマクロンのサイズを活かした起点作りや、173cm/80kgのタンク体型のジョンレノン(浜松)の振り向きシュートなど、日本人相手ならガブって届きそうな距離を前述のアーチのキープでガッツリ収めたところの攻防戦は日本人VS外国人の花形だろう。

8名2セット+オプション2名のFP登録ではスピード自慢の切り込みや、キャノンシュートだけではオプションに周りがち。
説得力十分な背中とお尻をお持ちの外国人の存在感はなかなか魅力的なものがある。

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ボディバランスのいい諸江選手を鋭いターンで振り切ってシュートを放ったジョンレノン。
一本決めればノッてきそうな存在感のあるパワーシューター。

②テクニック
数試合前にアラウージョ(浜松)がヒールリフトでのサイド突破という派手なシーンを見せたが、左右の揺さ振りで相手の重心をズラして右足シュートというわかっていても止められないロドリゴ(湘南)のゴールパターンや、ボールの中央から上下左右へ僅かにミートポイントを微調整したトゥーキックでゴールの四隅を器用に打ち分けるボラ(すみだ)など、基本を仙人レベルまで突き詰め、再現度を極限まで高めたものにこそテクニックの本質はあるだろう。

特に胸の高さのボールを肩の窪みで受け止めるトラップや、腿から爪先まで左右両足をムダなく使ったリフティングなど、基本技術のオンパレードでボールを奴隷のように使役するボラのウォーミングアップは見惚れること必至でゼヒ早目に会場入りをしてほしい。
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抜群の足技を持つアラウージョは2016年のワールドカップでアゼルバイジャン代表としてベスト8とFリーグ在籍外国人ではワールドカップ最上位の選手。
トランジション過多のゲームでテクニックを活かせるかがこれからの課題か。

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現役時代は多彩なキックで名古屋の攻撃陣を操ったペドロコスタ。
負けゲーム後半のパワープレーの場面でニヤリの笑み。

③イマジネーション
ラファ(名古屋)が見せたボールをホイップするバックヒールや、ボラの相手を背負った状態でのヒールキックなど『そうきたか!!』や単純に『スゲー!!』といってしまうプレーは彼らならではだろう。

見た目は派手だがこういったプレーは相手を手や間接視野で確認したり、プレーのセオリーから逆算してこそ成功するもので平常時の状況判断も非常に長けている。

前に立っていたり、スライディングに来ているディフェンスにシュートを当てる回数が少なく(それでも打つ場合は股下や、体の側面から巻くなど相手DFすらゴレイロのブラインドとして利用)、キックフェイントで相手を寝かせてからのループや、天井から状況を俯瞰しているように味方のフリーの選手にスラす好選択が多いのもファンタジスタの特徴だ。

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割とマイペースそうなリーグ屈指の天才、ボラとラファ。
今期の仙台戦でのボラの4ゴールは圧巻。

④競技の理解、フットサルIQ
強烈なシュートやズバ抜けたテクニックがあるわけではなく、170cm/68kgという中肉中背のマルキーニョ(府中)が来日後から着々と出場時間を伸ばしている。
カウンター合戦から自軍のバランスが崩れた時にファウルを受けてゲームを切るなど冷静な状況判断が光り、セットプレーやパワープレーのメンバーに入っていることからもプレッシャーの中でも再現性の高い技術を持っていることが伺える。

数字が評価材料となる助っ人としては物足りなく映るかもしれないが、地味だが的確な繋ぎと戦術眼でどのセットに入れても潤滑油として計算できる彼らがいるだけで監督としては非常に楽だろう。

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セットプレーの場面で指差し確認をするマルキーニョ。
攻守にサボらない勤勉助っ人。

⑤勝負強さ
バスケットボールではここぞという場面での得点の多い選手のことをクラッチシューターというが、どの競技でもプレッシャーのかかる局面において良い働きができるのは名選手の証。
最近ではシビアゴール(先制/同点/逆転/勝ち越しなどゲームの趨勢に意味のあるゴール)という言葉も見かけるようになってきたが、相手の戦意を挫き、味方の士気を上げるゴールは何よりも価値のあるもので、美しさよりも感動とともに何十年後も語り草となるゴールはこの文脈からあげたものだろう。

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ゴールを量産するヴァルチーニョ(10)/ルイジーニョ(11)/ラファ(13)。
贔屓チームとの対戦で『名古屋の外国人にゴールを決められる』というだけで、一気にガックリくるファンは少なくないはずだ。

⑥間合い
外国人というよりは彼らが主戦場にしていたリーグの特性と言える。

パスラインを切りつつジワジワ詰めてヘッドダウンさせてからガッツリ追い込むこともあれば、内腿にヒザをブチ込む勢いで突進してくることもある。
国際試合や外国人選手のデビュー戦は彼らのプレスの距離感にリーグ文化が透けて見えていて非常に興味深い。

ここが激しいほどその選手の球際の強さが図れる。


助っ人外国人を助っ人たらしめるものについてダラダラと書いてきたが、当然これは日本人選手にも当てはまる。

今日の試合であれば岡村選手の背面キープで相手を引きつけてからの展開がすみだの1stセットの強みになっていたし、西谷選手や吉川選手(両名古屋)の相手の狙いを削ぐワントラップ目でのマークの外し、渡邊選手(府中)のボレーシュートには様式美すら感じる。
小兵ながらゴールを挙げた関選手(府中)や中村選手(大分)の痒いところを埋めるフォアザチームの献身は感動的で、追い込まれた時に見せる皆本選手(府中)の火事場のクソ力的なクラッチシュートは助っ人外国人顔負けだ。

他競技になるが体操では内村航平選手がオリンピック個人総合を2連覇し、陸上の桐生祥秀選手が100メートル走で10秒の壁(9.98秒)を破る。
野球では並み居る大男たちを相手に松坂大輔やダルビッシュ有、イチローらの力と技を武器にWBCを2連覇してもいる。

毎大会メダルラッシュに沸くレスリングや柔道、長谷川穂積(10回)、内山高志(11回)、山中慎介(12回)らが連続防衛記録を伸ばしたボクシング、型の追究とメンタルと相手の分析がキモになる卓球やバドミントンでも世界と伍する日本は控えめに言っても個人、団体種目ともスポーツ先進国だ。

半面フットボール全般はとかく『世界との距離』や『日本人だから』という言葉をネガティブな用途で使いがちで、お釣りがくるほど他競技で溜まっている正しいプロセスを踏み、努力を信じれば結果に繋がったという事例は忘れがちだ。
大国に学ぶことはもちろん大事だが、過度な劣等感は日本サッカー協会側の神田川にでも即刻沈めるべきだろう。

個人的な考えだが日本人選手に足りないのはゴール前の工夫だ。

今日の試合も11本のシュートを撃った清水選手(すみだ)のシュート力が目立ったが、決まったのはゴールを横断するサイドからの速いパスにファーから飛び込んで決めた1ゴールのみだ。
ゴールの狭いフットサルではゴレイロを外す、寝かせるのがゴールへの早道で、正対したゴレイロに向けた強烈なシュートがゴールの量産に繋がるとは言えず、③のイマジネーションの項目でも述べた、ラファやボラのゴール前で相手を観察し、相手DFすら活かしてしまうイヤらしさをゼヒ盗んでみてほしい。

9/16からトルクメニスタンで開催されるアジアインドアゲームズへ育成を観点にU25日本代表という苦戦必至の謎カテゴリー(対戦相手はすべてフル代表)で挑む日本代表だが、未来ある若者たちにはゼヒ自信を持ち、相手をよく見て小馬鹿にするようなプレーにチャレンジしてもらいたい。


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スペインでの2シーズンの経験で判断を含めたスピードアップが顕著な吉川選手と、ボレー/ミドル/ファー詰め/振り向き/1VS1と万能型ピヴォに変貌した渡邉選手。
30歳前後で一皮向けたベテラン勢の今後も非常に楽しみ。
19 8月

2017/8/19(土) Fリーグ第11節 府中市立総合体育館『マイナースポーツの自縄自縛』

2017/8/19(土) Fリーグ第11節 府中市立総合体育館
府中アスレティックFC 5 - 4 湘南ベルマーレ

最近なにかと耳にする評価項目『インスタ映え』に無縁な会場、それが府中市立総合体育館だ。

最寄駅の府中本町駅からご新規さんには敷居の高い府中競馬場、大東京綜合卸売センターを横目に15分ほど歩き、地元の親子連れが1周100円のゴーカートで遊んでいる光景を尻目に、風化した体育館の公民館然としたタイルの床を歩く。

チケットのもぎりをお願いしてアリーナに入るとオレンジ色の観客席がコの字型にフロアを取り囲む光景が飛び込んでくる。
ゴール裏は手前側ゴール前の攻防が見切れて見えず、両サイドの席は通路が非常に狭いし、躍動する選手を間近に見られるアリーナは迫力はあるものの、座席高がイマイチで個人的にはもう少し高い位置から観戦できるとありがたい。

キャパシティはFリーグ規定の2,000人に満たない1,500人前後。
コートサイズはこちらも規定の縦40メートル×横20メートルに満たない縦38メートル×横20メートル。
Fリーグ参入初年度はクーラーが無く夏場のデーゲームは蒸し風呂状態だった。

2008年に府中アスレティックがFリーグに参入する際、キャパシティとコートサイズを満たす代替のアリーナの確保(あるいは現会場の改修)を条件として提示されていたとのことだが、今シーズン開幕前に突如今年の8月を期限として府中市立総合体育館の利用禁止が決まったらしい。

駅近で公園内に設置された都市型総合施設の典型である墨田区総合体育館や、美術館を彷彿とさせる外観のオーシャンアリーナのような利便性や快適さはないド・昭和な会場だが府中市立総合体育館の試合は非常に盛り上がる。

小さ目のハコに毎回1,000~1,200人の観客がコンスタントに入るギュッとした会場密度はコッテリ濃い目。
異常に近い観客席と周囲を壁が取り囲み、目の肥えた観客が挙げるブーイングはアウェーの選手たちにとっては牢獄に入れられてプレーをしているような感覚だろう。

ワンプレーを一同が目で追い、狭い体育館に熱のこもった歓声を響かせた後は、入口前のロビーに三々五々集まり、くたびれた長椅子に腰かけて世間話や感想戦に興じる。

おひとり様、友人、カップル、ファミリーと客層も多様で、そんな姿をアリーナ併設の学食風のレストランけやき(試合日は営業を途中で切り上げスタジアムフードを提供)が見つめる光景はどのスポーツも理念に掲げる地域密着や、スポーツを通したコミュニティの相互理解の理想的な姿だ。

およそ近代的ではないが個性という点ではこの会場がFリーグでNo1なのではないかと思うし、全てのジャンルのスポーツチームが欲しがる試合以上のものを提供しているアリーナの使用を禁じたリーグの決定が本当に残念でならない。


マイナーからメジャーへのブレイクスルーを目指して2007年に始まったFリーグは昨シーズンから観客動員数の減少が顕著で500人を切る試合も珍しくない。

11年目を迎えたリーグで2,000人以上の会場を持っていて2,000人をコンスタントに集客できているのは北海道(と集客力のあるイベントを打った際の名古屋)ぐらいだろうし、喫緊の課題は2,000人規模の会場を保持しているかではなく、落ちこむ観客動員数を上げるためにリーグとして指針を示し各チームのアプローチを先導することだ。

参入希望のチームを集めて運営能力をテストするとして2012年から始まった準加盟リーグ(現Fチャレンジリーグ)だが、今年は5年間参戦した柏TOR(今シーズンからトルエーラ柏に名称変更)が脱退し、3年目を迎えるはずだった徳島ラパスは特にアナウンスもなくチーム自体が解散した。

今年はボアルース長野、浜田フットサルクラブが参戦したが、2014年の仙台(2011年で脱退した花巻の後継および地域的なバランス)とすみだ(人気、実力が抜群)の加入以降、これはと思う強力なファクターを持つチームは現れていないし、準加盟リーグは目指すステージに対して勝敗よりも金銭面や体制、全体の意思統一やモチベーションの維持が現実的な目標となる場で、優勝イコールFリーグ参入となるわけでもないリーグでチームの各員がそれぞれの立場で設定する『勝利』を得るのは並大抵のことではないはずだ。

昨年開幕したBリーグをはじめ、スポーツ、音楽、演劇などの競合が多々おり、首都圏のアリーナが相次いで体育館の改修期に入った現状で条件のいい会場の争奪戦は熾烈だ。

率直に言って今のFリーグの観客動員数で2,000人の体育館は不要だし、国際大会の規約としては縦38~42m×横18~22mの幅が認められており、フットサル以外のラインをすべて消しているピッチも、海外リーグを見ると割合雑でバレーやバスケットボールの線が残っている会場も多く見られる(スポーツコートを設置する場合や、国際大会を除きほぼそんな感じだ)。

Fリーグは必ずしも必要のないルールで自縄自縛している。

会場は見に来る観客数に見合ったキャパシティがあれば十分だし、フロアサイズの差異を肴に語る感想戦も面白いだろう。
ラインは外枠とゴールエリアが判別できれば競技進行には問題ないので、その分の労力を集客営業に充ててほしい。

納得のできるプロセスを踏み、結果に満足する。
選手はフットサルの練習と試合が、運営は営業と利益がそれにあたるだろうし『競技を楽しむ」という本質は選手も運営も同じだろう。

現状に即していないルールがあるせいでリターンが出ないようであれば、ルールは負担でしかないし、ナンセンスに向き合わされる組織は疲弊していく。
お金はモチベーションとして非常に重要な要素であり、情報が多様化した現代では武士は喰わねど高楊枝よりも貧すれば窮ずの傾向は顕著だ。

府中のホームアリーナ問題は代替会場の確保が第一の解決策になりそうだが、至近のエスタルフォアリーナ(狭間駅から徒歩2分。3,000人収容)はボルダリングの大会で利用されるなど、新興競技との争奪戦も年々出てくるだろうしすんなり決まるとも思えない。

強弱がハッキリ分かれたチームが混在するリーグで拡大路線は時期尚早だとは思うが、ルールに納得ができ、継続的な体制の強化が可能な現実的に参入したいと思えるリーグでなければ未来はないだろう。

史上初のホームアリーナ引退試合となる湘南戦のキックオフ前に、府中のキャプテンである皆本選手が『ラストゲームとして伝説に残る試合をする』とインタビューに応え、その通りThis is 府中劇場な逆転劇に熱狂する展開になったが、伝説とは物語が続き、対象の価値が輝き続け、担い手と語り部がいてこそ成り立つもので、2017-2018シーズン第11節の府中アスレティックFC対湘南ベルマーレ戦は現時点でただの好ゲームのひとつでしかない。
そしてこんな『伝説』は不要だ。

府中のホームアリーナ問題は府中アスレティックFCと府中市立総合体育館に限定されて論じる問題ではなく、リーグは11年を過ぎた現状を分析し、トップリーグの敷居が現状に即しているかどうかを判断すべきだろう。

試合後、皆本選手がスタンドにミニボールを投げ入れる際、背番号5のブカブカのレプリカユニフォームの上下を着た少女が最前列にかぶりついてボールをねだっていたが、こういう子をガッカリさせず、伝説の語り部でいてもらい続ける姿勢を見せることがリーグとしてあるべき姿であり、11年前に敷いたルールが今後の自分たちの競技の発展を縛る鎖になっていないかを見直すフェーズにあると思う。

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9 7月

2017/7/8・9(土・日) Fリーグ第5・6節 浦安市総合体育館/墨田区総合体育館『ハーフセントラルの意義』

2017/7/8・9(土・日) Fリーグ第5・6節 浦安市総合体育館/墨田区総合体育館『ハーフセントラルの意義』

※2017/7/11初稿→7/12末尾に観客数の比較について追記

ハーフセントラル

『256』

2の累乗としてシステムの世界ではキリが良く、個人的にはそろそろSSDやmicroSDでも手頃な価格になりそうだなというのが職業柄連想される数字だが、7/8(土)、7/9(日)のハーフセントラル(浦安、墨田総合体育館に6チームづつを集めて3試合×2日開催)の最低入場客数(7/8(土)の浦安での仙台府中戦)がこの数字だった。

カードとしては墨田に強豪、人気チームが集中した印象だったが、今年台風の目になりつつある湘南や健闘の光る浜松、外国人トリオが入った仙台とそれなりに見所はあっただけに正直意外だった。

唐突だが『256』という観客数が独り歩きしている感もあったので、1節の開幕戦セントラルと5&6節のハーフセントラルの観客数を各日の同一時間での試合の合算でまとめた。
以下を見てほしい。

観客数

こうして見ると2会場で行われたハーフセントラルと、1会場で行われたセントラルの差はわずか(1試合平均で93%、110名程度今回のハーフセントラルの観客が少ない)で、

『東京(関東近郊)で行われるセントラルの集客数は最高2,000人/平均1,500人程度』

というのが定量化された11年目のFリーグのリアルだ。
(ファンの母数は変わらない以上、セントラルを2箇所でやる=それぞれにセントラルの観客が動員されてトータル2倍の観客、は期待値とはならない。ファンを1/2づつ分け合うというのが数学的な道理だろう)

苦戦を余儀なくされた浦安会場も、スマホで課金ゼロで観られるAbemaTVの視聴者数は20万人(実際はセッション切れになった同一ユーザのアクセス数も集計されているだろうからもう少し少ないだろう)とのことで、手の平の世界での観客数は結構多く、露出の減ったフットサル界としてはここから現地観戦への導線を持ってこれればしめたものだ。

Fリーグ11年目に生まれた新職業『フットサル解説員』を務める名古屋9連覇の立役者、北原亘氏のコメントも毎回素晴らしく、コメント入力が可能なAbemaTVでコメント者の中から抽選で当選アカウントを発表し、2試合以内に会場に足を運べばプレゼントの実物を受け取れるなんてのをやっても面白いかもしれない。

セントラルの観客数の落ち込みが顕著であり『256』という数字にヒステリックになっていたこともあるが、今回のハーフセントラルは開幕戦と同程度の集客だったというのを念頭に、あと5回あるハーフセントラルと、シーズンのオーラスである駒沢セントラル→同プレーオフの観客数を冷静に評価していけばいいのではないだろうか。


全国リーグの費用の大半は会場費と移動費だろう。

集中開催のいいところは1チームが借りた会場への1度の移動費で2試合行えることだ。
昨シーズン観客が500人を切り明らかに赤字と思われるホームゲームを行うよりも通年の収支は大きくなるのではと思う。

簡単にだが1回あたりのホームゲームの開催費を素人が想像できる範囲でまとめてみた。

ホームゲーム費用

平日:900,000円/土日祝:1,100,000円というのが簡単な試算で、以下がチケット代を2,000円としての損益分岐点(緑が平日/水色が土日祝)だ。

損益表

こう見ると損益分岐点はそこまで高くないことが分かるがここでのプラスが後述する遠征費に充当されるのでプラマイゼロで喜んでばかりもいられない。

なお会場設営(体育館に元々あるラインを床色のラインで消してフットサルのラインを引く、せり出し式のアリーナ席を出す)だったり、諸々の雑多なことは全額有志によるボランティアで賄っての試算となる。
試合を楽しんで帰りにあーだこーだ感想を言うだけのフットサルファンとしては毎回感謝の言葉しかありません。


移動についてだが、12チーム3戦総当たりの全33試合をフラットに分ければ11試合が上記のホーム、残りをアウェーとセントラルで22試合、各11試合を分け合うことになる。
かなり乱暴な試算が続くが遠征メンバーを16名として遠征2回とハーフセントラルで2試合のモデルケースをいくつか出してみた。

移動費

今回のような集中開催だと移動費を節約できるケース2、3の試合になるチームにメリットが大きい。

北海道(対浜松、湘南)、大分(対名古屋、すみだ)はありがたかっただろうし、同一地域の対戦が組まれた町田、すみだ、大阪、神戸は結構な好カードをホームゲームでできたかもと考えるとちょっとガッカリだったかもしれない。

神戸対大阪の関西ダービーが関東のハーフセントラルで開催というKYなカードもあったが、去年の同カードはグリーン神戸/グリーン神戸/高知春野で開催されていて、大阪の純ホーム会場の試合はひとつもない。
半ば形骸化されたホーム/アウェー/セントラルの煽りを食った形だが、関東のフットサルファンに試合終盤までハラハラドキドキの4-4の引き分けという熱戦をお披露目出来たのなら腐らずドヤってもいいのではないだろうか。

結論をまとめよう。

①観客動員
→開幕戦とほぼ同等の動員であり健闘した。
気の毒だがこの開催地の近さだと256人という数字はありえなくもないとしか言えない。

②費用
→長距離移動が発生する対戦をするチームには大幅なメリットがある。
集客を見込めたかもしれないハーフセントラルだったが、浦安は墨田とのキャスティング差で入場料収入面で割を食った。

浦安会場に行かれた方には意外かもしれないが、トータルで見るとハーフセントラルはそれなりに成功したのだと思っている。

実業団形式であるVリーグや、昨年産声を上げたBリーグも土日(あるいは金土)に2試合づつの試合形式で実施しており、多くの競技が採用する以上、この形式のメリットは確実にある。
全チームの体力を現実的に考えると体制が強いところに抱っこや、負債の持ち回りをした方が長い目で見るとプラスになりそうだし、これを何年か続けて全チームが一定の体力をつけるのを待つのもひとつの選択肢だろう。

色々と妄想の域を出ない推論が続いたが1チームでリーグは成り立たない。

『256』という観客数や、関西ダービーを関東でというカードの妙(正確には妙なカード)もあり、大いに不安を感じたハーフセントラルだが説得力のある答えがあるならファンは納得するしかない。
アナウンスがないからヘイトや不信感が生まれるわけで、何らかの意図や理由があって始めたハーフセントラルならファンに目的を伝えてほしいし、何が達成できて何が課題として残ったのかをリーグは明示してほしい。

※補足 観客数の比較について
観客数の比較は『同一地域での2会場開催なので、同一日時で足を運ぶファンの母数は変わらない』という仮説の論証が目的で、代々木1会場⇔浦安/墨田2会場合算を同一時間での試合順ごとに比較した。
(①②は各日の同一時間での試合数(3)で各日の合計を、③は全体の同一時間での試合数(6)で2日間の合計を除算:以下:試合順比較)

本記事のUP後『開幕は1節6試合/今回は2節12試合だから節ごとの平均でないとおかしいのでは?』という意見をいただいたのでそちらについても考察した。
(④⑤は各日の試合数(6)で各日の合計を、③は全体の試合数(12)で2日間の合計を除算(以下:節比較))

観客数_R1

観客数_R2

当然だが試合順比較、節比較とも合計の観客数は変わらないので、

『東京(関東近郊)で行われるセントラルの集客数は最高2,000人/平均1,500人程度』
というのが定量化された11年目のFリーグのリアルだ。

というのは変わらない。

反面、

⇒ファンの母数は変わらない以上、セントラルを2箇所でやる=それぞれにセントラルの観客が動員されてトータル2倍の観客、は期待値とはならない。ファンを1/2づつ分け合うというのが数学的な道理だろう

について初稿では実数が明示されていなかったので、同一地域内でのハーフセントラルの量の決まったパイの食い合いというマイナス面がテキストのみでしか表現できておらず(節比較の表はその点が50%以下という数字でハッキリする)、アンフェアな見せ方(自分はただのファンなのでどこに対して公正であるのかは不明)だったのではと反省している。

そんなこともありハーフセントラルで本来あるべき姿とは、というのを13&14節に予定されているきたえーる(北海道)/オーシャン(名古屋)でのハーフセントラルで、それぞれ単独開催でそれなりに観客が入った試合をモデルケースに簡単に妄想してみた。

観客数_R3

観客数_R4

同一地域で観客を取り合うこともなく、各地域で集まったファンの前で選手・関係者が1日3試合づつのコンテンツをより盛り上げようという相乗効果で切磋琢磨する。
ハーフセントラルは今シーズン6回あるがおそらく本来あるべきはこういった形での開催だろう。

いずれにしろハーフセントラルが興味深い試みであることは間違いないし、最近ではセントラルが一部会場に固定されていることもあり、各地域ごとの期待値をもう一度おさらいできるのはリーグとしても貴重な機会だろう。

やってみたら意外と面白かったこともあり、ハーフセントラルの観客動員については3回目、6回目終了時にでも実数を紹介していこうと思う。

会場

12 6月

2017/6/12・13(土・日) Fリーグ第1節 国立代々木競技場第一体育館 『今シーズンの注目点』

2017/6/12・13(土・日) Fリーグ第1節 国立代々木競技場第一体育館
シュライカー大阪 4 - 3 エスポラーダ北海道
ペスカドーラ町田 4 - 1 デウソン神戸
バルドラール浦安 0 - 1 アグレミーナ浜松
フウガドールすみだ 9 - 1 バサジィ大分
名古屋オーシャンズ 1 - 0 府中アスレティックFC
湘南ベルマーレ 6 - 0 ヴォスクオーレ仙台

11年目のFリーグが開幕。
今回は個人的な2017-2018シーズンの注目点をいくつか紹介します。


①シュライカー大阪のAFCフットサルクラブ選手権の挑戦(2017/7/20~7/30)
AFCフットサルクラブ選手権は2011から7度開催されており、2011/2014/2017年に名古屋が同大会最多の3度優勝している。

昨季、就任3年目の木暮監督のもと、ブラジルトリオ+小曽戸/田村/加藤未渚実の6名を中心に群を抜いた結果で優勝したが、酷暑のベトナムで7/20~7/30の11日間、最大6試合の連戦はそうもいかないだろう。
同大会のレギュレーションでは参加チームの国外選手の起用はベンチ入り2名/出場1名(Fリーグではベンチ入り3名/出場2名)となっており、今季加入した相井選手、芝野選手、堀米選手らのアタッカーと既存の日本人勢力を活かしつつのパズルを余儀なくされそうだ。

昨年の名古屋はシンビーニャが負傷のため、唯一の外国人だったセルジーニョがバランサー的な役割で八木/橋本/齋藤らの若手3人集をバックアップ。
森岡/北原らの大黒柱が去った新生名古屋は1勝3分1敗(イランキラー関口選手の嫌がれせのようなストップ連発による2PKで勝ち抜け)という奇跡的な結果でカーテンコールを迎えたが、今回の大阪はAFC向けに日本人選手の駒を上乗せし、盤石の体制での参戦になる。

名古屋以外ももちろんだが日本人監督が同大会を率いるのも史上初で、日本フットサル界のアイコンのひとりである木暮監督にはミゲル・ロドリゴ監督の後任をスペイン人に限定した日本代表監督人事を後悔させる結果を期待したい。
グループリーグ同組であり、日本のライバルのイランから出場するパサンには昨年のワールドカップでブロンズシュー(MVP序3位)を獲得したキャノンシューターのイスマイルプールが所属している。
日本人監督としては他から一歩リードした感のある木暮監督にとっては、手腕を証明するには願ってもない最高の大会だろう。
若干面倒くさそうなニヒルな笑みを浮かべて優勝トロフィーを掲げてもらいたい。


②アジアインドアゲーム(2017/9/17~9/27)
2014年のAFC(各国代表)の2連覇以降、一気に強化予算やスケジュールの冷遇が目立つフットサル日本代表。

2015年は年数回の強化合宿とトレーニングマッチで強化を図ったもののあえなく本番で撃沈しワールドカップ出場権を逃し、先日バンコクで行われた第1回U20選手権は国内合宿と名古屋サテ&トップとの練習試合で臨みベスト8敗退。
続くU25という珍妙なカテゴリーで神戸フェスタに出場したがトルクメニスタンフル代表に3-3の引き分け、U25クロアチア代表(実際は25歳以上の選手も参加)に1-3で敗れてグループ最下位に沈み、参加6チーム中の5、6位を賭けた順位決定戦でオーストラリアのGalaxyFCを11-0で退け、明確な1弱の大会で見事5位を死守した。

同大会に日本フットサル黎明期の名指揮官である中村氏、前川氏に率いられて出場したトルクメニスタン代表は1、2位決定戦に進出し、デウソン神戸に次ぐ2位に輝いた。
このチームは昨年11月の日本遠征ではリガーレ東京、ファイルフォックス府中、すみだ、浦安、町田を相手に1勝4敗の戦績だったが、その後、今年同国で開催されるアジアインドアゲームズに向けて国内合宿、スペイン遠征と精力的に強化を重ね、世界最高リーグであるスペインリーグ1部チームに勝利するまでに成長している。

意欲を持ち、良い師に学び、強敵と鍛錬を積む。

先日開催された甲斐選手の引退試合で散見したエピソードだが、90年代後半から2000年代前半にかけて、チーム、個人でブラジルへ武者修行に行くことが日本のトップランナーの間でトレンドになっていて、愚直な正攻法とも言える先人たちの強化の種が日本代表の2000年代後半の躍進から2014年のAFC連覇に繋がっていたことは間違いない。

アジアインドアゲームズには(フル代表であるかの公式なアナウンスはまだないが)日本代表も参戦する。
トルクメニスタンをはじめ諸外国から優秀な指導者を招聘し勢力的に強化に励むアジア各国との対戦を通して、せっかくのスペイン人監督を迎えながら研鑽の機会がない元強豪国の現在地がハッキリとわかるはずだ。


③府中アスレティックのホームアリーナ問題(2017年シーズン通年)
もともとメインアリーナに据えた府中市総合体育館がFリーグの規定(ピッチサイズが縦40メートル×横20メートル必要だが、おそらく縦38メートル×横20メートルほど。観客席数が2,000人以上必要だが1,500人程度。また空調があること)に満たなかったものの、今後の是正を条件に2010年からFリーグに加入した府中。

空調は整備されたものの、(元々いつまでに必要かのリリースはなかったが)ピッチサイズと観客席数が是正期間を越えても未達であることを理由に8月以降の府中市総合体育館でのホーム開催がリーグとして許可されなかった(ここは多少の憶測を含む)。

開幕以降、名古屋9連覇時代の対抗馬の一角として名勝負を演じ、2015年には決勝戦で名古屋を破ってオーシャンカップ優勝に輝く。
席数は少ないながら着席率が高いアリーナからコの字に囲んでピッチを見つめる昭和感とローカル色たっぷりの府中市総合体育館は、オシャレでカッコいいという近年のアリーナスポーツと対局にあるもののギュッと詰まった熱を持ち、一緒に共通のコンテンツを楽しむという観るスポーツを体現している素晴らしいアリーナだと思う。

今年、今後のFリーグ参入へのトライアルを目的としたFチャレンジリーグから柏が脱退し、徳島ラパスはチーム自体が何のアナウンスもなく消滅した。
代わりにボアルース長野、浜田フットサルクラブが参入したものの、現有リソースに勝算ありと見込んだ2チームがなぜ脱退したのかの議論やフィードバックが行われたのかが非常に気になった。

ルールに準拠することはもちろん大切で、違反を起こせばペナルティが待っている。
それが契約や法に準拠した現代社会のベースであることは間違いないし、否定する気は一切ない。
だが公序良俗やモラルに反したわけでもなく、フットサル界の盛り上がりに貢献し、熱狂的に応援してくれている人たちの感情面を無視する裁定はちょっと空気が読めない気がしてならないのは私だけだろうか。

暫定条件での参入という経緯もあり、府中側も強く出れないというのは想像に難くない。
こういう事例は言った言わないや、声の大きい人の意見が通りがちで、当事者以外は沈黙が金だ。

もちろん府中がピッチサイズと観客席数を満たせるアリーナの算段を付けることが最もスッキリする解決策だが、現状がパワーゲームに終始しているようなら各関係者は以下のFリーグ設立時の理念に目を通してみてほしい。

11年前の憲章は有名無実化していないか、Fリーグが目指していた未来に向かっているかを確認するにはいい機会だろう。

『F』はフットサル(FUTSAL)の頭文字というだけではなく『Fight』『Fun』『Friend』『Fair Play』『Future』という意味も込められている。
Fリーグは理念として、日本のフットサルの競技レベルを向上することやフットサルを普及して競技人口を拡大すること、フットサルコミュニティを創出して国民の心身の健全な発達に寄与すること、国際交流を行って国際親善に貢献することを掲げている。


④販売/観戦の多チャネル、多メディア展開を軸としたIT活用(2017年シーズン通年)

2016年に開催されたオールスター、2017年の全日本選手権で実施されたAbemaTVによるライブ放送が今シーズンからFリーグ本戦についてもフォローされることになった。
『AbemaTVがあるから会場よりも家からAbemaTVで観ればいいや』という層が増え来場者数への影響があるのではと懸念されたが、開幕セントラルの最多入場者数は2日目14:30キックオフの名古屋府中戦で2,018人となった。

昨シーズンの開幕セントラルの最多入場者数は1日目17:00開始の町田神戸戦の2,934人で、3カ月前に行われた全日本選手権の決勝戦が3,228人だったことを考えると、確かに観客は減ったように思うが、アリーナ/スタンドともどこかの会場で観たことのある面々はやっぱりいて(すいません。自分もですが...)、なんだかんだで骨の髄までジャンキーなコア層はAbemaTV云々を抜きに確実に会場に来てしまうのだろう。

年々客足の落ち込みは顕著だが、開幕バブルとワールドカップの余勢を駆った2008年代々木セントラルの名古屋浦安戦が7,081人の観客を集めたことを忘れてはいけない。

就職、転勤、結婚、出産、介護・・・。
9年という時間は生活を変えさせるライフイベントを迎えるには十分だ。

新規顧客獲得も勿論大事だが、色々な要因でフットサルを観ることから離れた元フットサルファンの7,081人にフットサルを思い出してもらうことにもAbemaTVは非常に強力だ。

ネット環境があればどこでも観れるチャネルで定期的な露出の場を持てたことは機会があればまた観に行きたいだったり、懐メロや同窓会感覚でのお久しぶり層にとっても今後大きな力になるだろう。

反面、Fリーグのサイト運営は迷走している。

6/10(土)の10時(開幕戦キックオフの2時間前)にFリーグのサイトがダウン。
2時間後にTwitterでダウンのお詫びを掲載し、18時に限定復旧の報を掲載したが、その後、6/15(木)22時現在までAndroidスマートフォン/タブレットからはトップ画面のタブ(ニュース、試合結果などの項目)が反応しなくなっている。

また、一般発売の6/1よりも3日早い5/29に電子チケットDMM.Eで売り出すことを5/28にリリースしたが、アプリからは検索がヒットせず、ホームページの最下部にある小さなリンクのみからしか遷移できなかった。

電話やメールでのお客様問い合わせ窓口のないチケットビジネスでこのあたりのリテラシーやセンスのなさは閉口ものだし、何を持ってシステム的に正しいと判断できるかの人材がいないのではと思う。
SNSが全盛の昨今だが、そこからの流入先はチケット販売サイトや公式ホームページになるわけでここを抑えられなければ売上や利便性に寄与しない。

公式ホームページ、SNS、AbemaTV、そして会場での現地観戦をリンクさせることがIT活用のキモで、2017年は個体として駒が揃っている。
有名無実化した役職を増やすのではなく、ここを俯瞰的にデザインできるCEO補佐なり報道官をゼヒとも招聘してほしいところだ。
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7 5月

2017/5/7(日) 甲斐選手引退試合 町田市総合体育館 『16年後の笑顔』

2017/5/7(日) 甲斐選手引退試合 町田市立総合体育館
ペスカドーラ町田レジェンド - CASCAVELレジェンド
CASCAVELレジェンド - KAI SHUJI FRIENDS
KAI SHUJI FRIENDS - ペスカドーラ町田レジェンド

『フットサルのすすめ』という本をご存じだろうか。

副題は『Super League 2001 Official』と打っており、2001~2003年(2000年にプレ大会を実施)にかけて行われた競技フットサルの通年全国リーグ(といっても関東7チーム+関西1チームで行われたJFA主管ではない私設リーグであるスーパーリーグのオフィシャルガイドブックである。

選手名鑑もついており未だに現役でFリーグを戦う選手は金山選手(町田)、三井選手(府中)、岩本選手(浦安)の3名のみだが、各地域リーグで選手や指導者として活躍している面々はまだまだ結構な数がおり、インターネットではほとんど情報が残っていないフットサル黎明期で彼らが期待の若手と呼ばれていた時代の貴重な文献である。

このスーパーリーグの代表が昨シーズン45歳で引退した甲斐修侍氏で、本の冒頭にあるスーパーリーグの意義を語る言葉が非常に奮っている。

『今後の課題としては、いかにして『観る楽しみ』を提供していくか、ということですね。
そして多くの人に観られることによってプレーヤーの技術も上がるわけです。
そういういい循環を作っていけば必ずスーパーリーグは成功すると思っています』

当時流行していた細めのセルフレームのサングラスから覗く笑顔がなんとも印象的だ。

それから16年。
2007年にJFA主管による全国リーグのFリーグが開幕し、2012年にはワールドカップベスト16に進出。
名実ともに日本のフットサルのレベルは大いにアップしたと思う。

観客動員数の伸び悩みはもちろんあり、プロ化も進まず、チームごとのレベルの格差もあるが、観客動員はどちらかと言うと健闘と不振が目立つチームの差が開いているのが顕著(前者が北海道/町田/すみだで後者が仙台/大阪/大分)で、2000年前半のフットサルナビやピヴォを見てみると関東リーグを戦う主力選手がインタビューでファーストフード店で週4日バイトをして生計を立てているといったことが普通に記事になっていたりもしたが、現在のトップリーグであるFリーグでは金額の過多こそあれサラリーを貰える選手は増えてきているのではと思う。
競技レベルの不均衡については、F開幕前の1996年~2006年の11年間は関東の強豪チームが全日本を8度制していて、いい選手がその時にいい環境の組織や地域に属するようになるのは競技者として当然のことだろう。

過去のエントリーで散々現状に対する不満を書いてきたが、日本フットサル界が正当に進化してきたことは間違いがない。
ただ、最近の停滞感や他競技の躍進を見ると歯がゆさや、意思決定層の無関心さが目立つように感じて率直にとても寂しい。

ゴールデンウィークの最終日、5/7(日)に行われた甲斐選手の引退試合は1990年後半からの黎明期に鎬を削った戦友たちの同窓会を、ずば抜けた股関節の柔軟性と、バランスを備えた分厚い体躯をベースに奇術のようなテクニックを操り『フットサルの神様』と称されるファルカンが見守る好イベントになった。

引退試合はペスカドーラ町田レジェンド、CASCAVELレジェンド、KAI SHUJI FRIENDSの3チームに、今年3月に全治2ヶ月の怪我を負った甲斐選手が入ってランニング15分ハーフで戦う巴戦形式。

第一試合に登場した相根選手が寄せに来た甲斐選手の状態が万全でないことを視野に捕らえるとなんでもないパスをさりげなくトラップミスしてサイドラインを割らせる。
古くから主役をよく知る戦友たちにとっては、今日のハイライトが何かの話し合いは不要ということだろう。

3試合の総当り戦はファルカンが代名詞のファルカンフェイント、アウトサイドでのリフティングからサソリの尻尾のように後ろ足を振り上げてのパス、シャチホコシュート、鎖骨の窪みを利用してボールをピタリと止めるトラップと妙技の数々をご祝儀代わりに披露して喝采を集めれば、甲斐選手が親子競演を果たし、最初に立ち上げた競技系チームのAZUR(98年全日本準優勝)のチームメートである黒岩氏とマッチアップ。
イゴール選手の肩口を負傷明けとは思えないループシュートで狙うと、これを防いだイゴール選手が申し訳なさそうに手を合わせるなど各出場者が見せる笑顔が非常に印象的だった。

ダブルタッチを活かしたサイドのドリブル突破を武器にした橋本選手がファルカン相手にファルカンフェイントからヒールリフトを見せて会場を笑いの渦に巻き込めば、ファルカンと森岡選手が抜群のテクニックと局所的なスピードアップでゴールを呼び込むなど、笑いと競技としての見せ場も十分で、職業ファルカン/趣味フットサルといった風情な神様の美技を堪能しつつ、甲斐選手になんとかゴールに絡んでもらおうという気遣いが交錯して時間が進む。

最後はこの日得点がなかった甲斐選手のために急遽審判に入った阿久津氏が突如PKを指示すると、ベンチから3チームの選手が応援に飛び出し、甲斐選手が周囲の期待と共にペナルティスポットへ。
公式戦とちょっと違った緊張感の中で放ったシュートは無常にもゴールを外れ、フロアに集まった3チームの選手がコテコテのズッコケ芸を披露した後のセカンドショットを確実に決めると、やっつけ感と愛のある胴上げでこの日の主役が宙に舞った。

フットサルに熱中して青春時代を過ごし、めでたくアラフォーを迎えた壮年の志士たち。

近いようで遠かった憧れのファルカンとの絡みと、日本の競技フットサルで長くメインキャストを務めた甲斐選手への惜別の想いが交錯する笑顔が印象的な引退試合は最高のカーテンコールで幕を閉じた。

『今後の課題としては、いかにして『観る楽しみ』を提供していくか、ということですね。
そして多くの人に観られることによってプレーヤーの技術も上がるわけです。
そういういい循環を作っていけば必ずスーパーリーグは成功すると思っています』

16年前に語った甲斐選手の言葉はシンプルだ。
だが、とても重い。

フットサルはメジャーになりうる可能性を持った魅力的なスポーツだと会場に集まった誰もが思っているだろうし、それが叶っていないことももちろん知っている。
それを叶え、年間1億円以上のサラリーを集めているのは世界中で黄色と赤の縞模様のシャツを着て町田に現れた『観る楽しみ』の権化のようなファルカンだけだろう。

2007年のFリーグ開幕。
カズこと三浦和良(Jリーグ横浜FC)が参加しベスト16に進出した2012年のワールドカップ。

ブレイクしそうでしきれない歯がゆい競技だが、マイナースポーツなんてどれもそんなものだ。

フェンシング
バドミントン
ハンドボール
ラグビー
女子サッカー

オリンピックやワールドカップで、金星、メダル、優勝と話題になった各競技も印象的なトピックや名場面は覚えているものの、数字に残る客足として定着しているかというと首を横に振らざるを得ない。
その中でフットサルが人気も待遇も一気に飛び抜けるというのは神業に近いものがあるし、一番に必要なものは残念ながら『我慢』だ。

我慢とわずかな進歩の16年間。
今回の引退試合はそんな我慢を感じさせない笑顔が沢山あった15分ハーフ×3試合で、出場した選手たちは久々に再開した戦友との同窓会を心から楽しめたのではないだろうか。

冒頭に観客動員数の伸び悩み、プロ化への停滞、チームごとのレベルの格差について触れたが、全体としては16年間で少しづつ確実に進歩している。
ふと現実を見ると暗いニュースが多かった2016年シーズンだが、新シーズンへの谷間の時期に沢山の笑顔を見れたのがとても嬉しかった。

没頭し、ジレンマを感じ、喜怒哀楽を共に感じた仲間たちはいつの間にかお腹が出て、髪には白いものが増え、笑えば目尻に皺が寄っている。
切磋琢磨した当時の戦友たちとの再開を笑い合えるのは濃い時間を過ごした彼らだけが味わえる最高のご褒美だろう。

おそらく何年か後にあるだろう誰かの引退試合でも同じ光景が広がっていてほしい。
その時、2001年の言葉をまた思い出すはずだ。



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こちらが2001年に毎日新聞社刊から出版されたフットサルのすすめ。
まれにAmazonで出品のある一冊で、あの人がこのチームに的な発見もあり。
フットサルファン歴が10年未満の人に非常にオススメ。
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試合前の整列時に森岡選手が記念撮影。
試合中は鬼気迫る気力を見せるタレントたちもこの日は笑顔。
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2004、2008年のワールドカップで日本の底を支えたふたりの闘将、難波田選手と鈴村選手。
残念ながらワールドカップには縁がなかったものの、まだまだ現役の岩本選手も交えてイイ笑顔。

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この体格差ながら異なる武器で勝負するふたりの背中。
2008年のブラジルワールドカップで対戦経験もあるファルカン選手と金山選手がガッチリ握手。
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本日の主役のふたり。
5番と12番へ炊かれてできるフラッシュの後光。
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フットサル界のレジェンドとJリーグのユースチームに所属する親子鷹の初競演。
押してもビクともしない稲田選手をマークして分かる父の偉大さ・・・。
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文中の黒岩選手とのマッチアップ。
迎え撃ついい笑顔が非常に印象的。
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試合の待ち時間で生まれたファルカン/イゴール/森岡のスリーショット。
東京の観光情報か、日本/ブラジル/中国のリーグを経験した3人の次の旅路への情報交換か。
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華試合で目立った稲田選手の強烈な右足と石渡選手の平然としたセーブ。
ここ数年グラスルーツカテゴリーで猛威を振るった闘魂のふたりはFでも全然やれそうな存在感。
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笑顔が目立った試合で突如発生したシュートファイト。
フィジカルでゴリ押しする稲田選手の仕掛けを岡山監督が後ろからユニフォームをクラッチして抑える。
普段は柔和な岡山監督が見せるシブカッコいい真剣な表情。
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こちらは闘魂劇場。
プロレス式に稲田選手に当たって盛り上げる難波田選手。
ファルカン→森岡の伯日キングのお膳立てから美味しいゴールをゲット。
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右45度からの甲斐選手の左足ループを防いだイゴールがゴメーンとばかりにこの笑顔。
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昨シーズンの町田の出世頭、日本代表にも定着しつつある原辰介選手の兄、過去に町田でゴレイロとして活躍した原章展選手が石渡選手とスイッチ。
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世界最高のテクニシャンであるファルカンの惚れ惚れするような胸板、お尻の大きさ、足首の細さ。
生で見る機会があった場合は、背中に鉄板が入ったような姿勢の良さと、それを支える均整の取れたフィジカル、試合前のルーティンである単純な足上げや、股割りの柔軟さといった彼のハードの部分にゼヒ注目してほしい。
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試合の合間にファルカンがアリーナのファンにサインとセルフィーの大サービス。
文字通りの神対応を受けようとアリーナ最前列の人口密度が急上昇。
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ダブルタッチで会場を沸かせた足技自慢の橋本選手がファルカンと対峙。
本家相手にファルカンフェイントからのヒールリフトを見せると会場は大爆笑。
町田総合に世界初のドリブル芸が誕生の瞬間・・・。
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3分ほど出場し、pepperのような動きから1ゴールを上げたFリーグ報道官の加藤未央さん
今期は報道官らしい報道を沢山お願いします・・・。
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文中のPKの場面。
『えーと。これは何のイベントだって言われて来たんだっけ・・・』とばかりに所在なさげなファルカン。
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試合後の引退セレモニー。
長く同じチームで戦った藤井選手、市原選手、前田選手、相根選手らから花束を贈られて目を抑える。
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最後はファルカンからも花束贈呈。
『えーと。これは何のイベントだって言われて来たんだっけ・・・』
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少しずつだが確実に進歩した時代を駆け抜けた卒業生からの贈る言葉。
昔もこれからも本質は16年前の言葉がすべてだろう。


4 3月

2017/3/3(金)~4(土) FリーグプレーオフFinal Round 岸和田市総合体育館『決勝戦の風景』

2017/3/3(金)~4(土) FリーグプレーオフFinal Round 岸和田市総合体育館
◆1戦目
シュライカー大阪 2 - 3 ペスカドーラ町田
◆2戦目
シュライカー大阪 3 - 2 ペスカドーラ町田
※シュライカー大阪が年間王者

リーグ1位に勝ち点4のアドバンテージが与えられる勝ち点5先取(勝:3点/分:1点の勝ち点のため町田は2連勝が必須で最大2試合開催)のレギュレーションになった今年のプレーオフ決勝だが、第1戦の開始数秒で町田のエース、森岡選手が筋肉系のトラブルで早々に負傷退場。

相手を問わず1試合1~2点を見込める大駒を失った町田だったが、今シーズン目立った活躍のなかった本田選手がこの機会に発奮し大阪のゴレイロの柿原選手を落ち着いてかわして2ゴールを挙げると、相手ゴール前でしぶとくボールを奪った室田選手が蹴り込み町田が0-3で前半を折り返す。
後半はカウンターから大阪の王将、アルトゥール選手がゴールが浮くほどの強烈なミドルシュートをブチ込み、出場メンバーが固定されたチームでしっかりポジションを掴んだ24歳の田村選手が詰めて2-3と追い上げるも、3分間のパワープレーをズバ抜けた団結力で凌いだ町田が次戦に繋がる1勝を挙げた。

2戦目は町田のラフファイトに終始イライラしていた永井選手が若干20歳の仁井選手のシュートパスをスラして先制し、その後大阪のフロントラインをゴリゴリと引っ張るチアゴが決めて2-0と大阪がリードを奪うも、町田が残り20秒で得た第2PKを前日の負傷から強硬出場の森岡選手が沈めて2-1とし前半が終了した。
後半21分に篠崎選手のコーナーキックがオウンゴールを誘い町田が同点に追いつき、その後は2.5セットで回す町田と、ブラジルトリオと小曽戸選手を中心に少人数ながら強力なカードを順次フロアに送る大阪の鍔迫り合いが続く。

2戦目の町田は森岡選手の調子が万全でないと判断し、本田選手とのダブルピヴォを随所に織り交ぜて森岡選手への注意を逸らし、代名詞の俊敏なターンや強烈なシュートではなく狩猟犬のような嗅覚で後方からゴール前に侵入しての一噛みを狙う工夫が光った。

勝利が必須条件の町田が残り3分からパワープレーに打って出るも、最後は来日1年目からここぞという時の異常なガッツキでゴールを奪ってきたチアゴが横江選手の足元に入ったボールを引っかけて奪ってのパワープレー返しを成功させて3-2とし、引き分けでもOKだった初優勝にアリーナがどっと沸く歓声を添えた。

全体としては1年を通じ安定して実力を発揮してきた大阪が2戦合計のスコアで接戦を制したという格好だったが、シーズン後半からのピーキングがバチッとはまった町田の集中力とテンションの高さがピカピカに光った2試合で、惜しくも優勝を逃したものの熱戦を盛り上げた助演俳優賞として堂々と胸を張ってほしい。


今シーズンはFリーグを中心に観戦したが、シーズンの上澄みのプレーオフでもというか、だからこそというか気になるところはいくつかあった。

①レフリング
1戦目はルーズボールを追う際に町田の選手が前腕で相手の顔を叩いてから体を入れる場面が数度あり、初回で笛を吹かないことでラフプレー→抗議→ラフプレーの連鎖が目立った。
選手はプレーに対するリアクションで審判を試し、審判もプレーに対する笛で選手にメッセージを伝えるのはごく自然なことで、審判は笛を含めた初回のリアクションにこだわるべき。
2戦目の前半は両チームに第2PKが与えられたが、こちらは荒れるというよりは妥当な判断の積み重ねによる好(公)演出で◎。

②試合日程
すみだと大阪のホームアリーナで金、土曜に実施されたプレーオフ1st/2nd、ファイナルラウンドだが、両日とも金曜日の方が観客が多かった(それぞれ1,835人/1,361人と1,485人/1,170人)。
アリーナの賃料も平日の方が割安になることが多く、Jリーグを含め土日に集中する各種イベントとのバッティングも回避できることから、定時退社でギリギリ間に合うキックオフ時間でのスケジュール設定はマイナースポーツとして一考の価値があるのでは。

③シーズンのハイライト作り
プレーオフ4試合を戦った町田の集中力、緊張感、一体感の高さはどれも素晴らしく、トップリーグとして非常に魅力的で説得力のあるものだった。
12チーム3戦総当たりの33節は中弛みや、時間とともに点差が広がるだけの上位下位の対戦あり、内容・客足ともパッとしない試合も多かった。
12チーム2戦総当たり→1~6位/7~12位で上位下位リーグで1戦総当たり→上位3チームでプレーオフなど、上位下位とも意味と価値があり、勝敗に興味の持てる試合を意図的に増やす施策は急務。

④コンディションの維持とピーキング
維持については大阪、名古屋が◎。
ピーキングについてはすみだ(シーズン前半)、名古屋(AFC~シーズン中盤)、町田(シーズン後半)が◎。
AFCやワールドカップなど短期~中期決戦で挑む国際大会でカギになるコンディションの維持とピークの設定だが、③が充実するほどスタッフや選手にとっては良いチャレンジになり、観客は見所が増える。
2016年に苦杯を舐めたAFCに向けてのトライアルにもなるのでは。

⑤名古屋と森岡選手の存在感
不在の在。
なんだかんだで彼らがいない、万全でない決勝戦に物足りなさも感じた。
歴史が変わったと表現された今期のFリーグだが、一時の特異点になるかどうか来シーズンに向けての名古屋の動向も非常に楽しみ。
MVP4回、得点王4回の森岡選手は心身共に万全ならまだまだ3~40点を狙える選手だろう。

いずれにしろ3/20(月・祝)の全日本選手権決勝で2016/2017年シーズンも終わる。
 
少し気が早いかもしれないが、33節とプレーオフを戦い抜いた各チームの選手・スタッフ、東と西の横綱としてリーグの千秋楽をシッカリと締めた大阪と町田には心からお疲れさまと、ありがとうを言いたい。

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