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Futsal Philosophy (フットサル・フィロソフィー)

全日本選手権

11 3月

2016/3/11(金) 第21回全日本フットサル選手権 決勝トーナメント1日目 国立代々木競技場 第一体育館 『2011年、2016年、2022年の3月11日』

2016/3/11(金) 第21回全日本フットサル選手権 決勝トーナメント1日目 国立代々木競技場 第一体育館
府中アスレティックFC 3 - 2 シュライカー大阪
バルドラール浦安 2 - 1 デウソン神戸
フウガドールすみだ 1 - 3 ペスカドーラ町田
エスポラーダ北海道 3 - 4 名古屋オーシャンズ

2011年3月11日。
第16回全日本フットサル選手権 決勝トーナメント1日目 代々木第一体育館。

第2試合が終わり、第3試合の花巻VS湘南戦のアップ時間。
はじめは僅かに揺れを感じる程度の違和感だった。
どこからかシンシンという音が聞こえ、その後、徐々に音が大きくなる。

天井を見上げると天井についているファン状の板が大きく揺れていて、音の正体は板同士が激しく強くぶつかりあうものだった。
シャンシャンという無機質で大きな音を聞きながら、各自が天井を見上げ、不安げな表情で顔を見合わせる。
事態の異常さに気付いた瞬間、席を立ち、出口に向かって走った。
床が大きく揺れて、壁から異音がして、静止の声を挙げる係員にも出口に向かうよう叫びながら、ぐらつく床を無心で蹴る。
転がるように会場を出て、代々木第一体育館を見上げると、初春の空は変わらずに澄んでいた。

毎年3月の第2金曜日に国立代々木競技場 第一体育館で開催される全日本フットサル選手権決勝トーナメント1日目。
この日はなんとなく天井を見上げてしまう。
ファン状の板と、中央にある立方体は、私にとって突然現れる得体の知れない恐怖と、なんとなく続く日常の価値の象徴だ。

震災から5年が経ち、5年前と同じ金曜日の3月11日。
席に座りぼんやりと会場を眺める。
選手は熱い試合をしていて、客足はまばらで、ある種牧歌的な決勝ラウンド1日目は続いて行く。

次に3月11日が金曜日になるのは2022年。
全日本選手権のスケジュールがこのままなのかも、自分がフットサルに興味を持ち続けているかもわからないし、自然に対して自分ができることはまったくない。
 
それでも毎年、3月の第2金曜日に代々木体育館の天井を見つめて、2011年3月11日に起きたことを思い出し、関心を持ち続けるキッカケにし続けることは続けたいと思う。

フットサルのことは少し忘れて、今、何気なく過ごしている日常を考える。
全日本決勝トーナメント1日目は私にとってそんな1日になっています。
 









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文中の天井の板と立方体。
この板が左右に大きく揺れ、シャンシャンという音を立てていました。
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4月に行われる日本代表戦を指揮すると噂される大阪の木暮監督。
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木暮チルドレンとも言うべきタイプの異なる個性的な若手達。
独特なリズムのドリブルが持ち味のNo26加藤選手と、攻守に堅実なNo18田村選手
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機械仕掛けのパス&ムーブから試合を決める大駒。
2016年のFリーグ得点王・MVPのNo10ヴィニシウスと、No5アウトゥール。
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定石、奇策と変化に富んだ木暮采配を象徴するゴレイロNo1宮竹選手。
ケガをした左手をかばうために左手のみにグローブを装着する姿に初期のUFCを思い出したのは私だけでしょうか。
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終了2秒前に勝ち越しのパワープレー返しを決めた府中のゴレイロNo96クロモトと、今期で引退を表明している宮竹選手の抱擁。
残酷で、美しい勝負の世界のコントラストに胸が熱くなる。
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第2試合のキックオフ前。
2011年3月11日 14時46分に起きた東日本大震災に向けての黙祷。
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今期限りでの引退を表明しているNo19高橋選手。
出場時間は短いながら正確なプレーはさすがの一言。
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前半のハイ・トランジションな流れを活かせなかったすみだ。
同じく今期で引退を表明している明るく、溌剌としたすみだの象徴、No3金川選手。
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前半4分、6分に連続ゴールを上げたNo9十川 祐樹。同じく同一セットで出場するNo室田 祐希。
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前に出る判断と好セーブ、感情が高まった場面での地団太に好感が持てるNo1関口選手。
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今期引退を表明しているNo3北原選手、No14ペドロコスタ選手(来シーズンから名古屋の監督就任が決定)、今期で契約終了となるNo9森岡選手
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2点のビハインドから個の力でAFCでの失地回復の2得点を上げた森岡選手。
28 11月

2015/11/28(土) 全日本選手権 東京都決勝大会 葛飾総合スポーツセンター 『いつ終わってもいい夢みたいなもの』

2015/11/28(土) 全日本選手権 東京都決勝大会 葛飾総合スポーツセンター 
ゾット早稲田 3 - 1 闘魂
BRB 5 ー 5(PK 4 - 5) FUTURO
ファイルフォックス府中 4 - 3 府中AFCサテライト
町田アスピランチ 7 - 4 カフリンガ東久留米

2013年4月の引退宣言から2年半。
晴天の霹靂のように突如再登場したディベルティード八王子戦を見てからの2ヶ月弱、難波田選手本人が語った『いつ終わってもいい夢みたいなもの』になんだか熱くなった。

◆2015/10/10(土) 第21回全日本フットサル選手権 東京都大会 『希代のロックスター』

◆2015/11/3(火・祝) 第21回全日本フットサル選手権 東京都大会 『夢中の価値』

口ではいつ終わってもいいと言いつつも、やる前から負けるなんてことは微塵も考えず、結果を出すために全員が行動する。
そんなベテラン達の今日の対戦相手は実質5カテゴリー上になる関東1部のゾット早稲田で、ここを突破すれば全日本関東予選進出という大快挙だ。

総力戦を避け、ゴレイロの石渡選手を中心とした堅守で守り、体力を温存しての遅攻から難波田選手のミドルシュートや、稲田選手のピヴォ当てといった局地戦に活路を見出すこれまでの3試合のゲームプランに反し、会田選手、一木選手が縦に推進するアクティブなフットサルを見せると、前半9分にファイルフォックスで活躍した佐藤選手がエリア内で倒されて得たPKを、日本代表経験のある岩田選手がズバリと決めて闘魂が先制する。

観客席からアップセットを予感させるざわめきが沸き起こるものの、すぐさま左キックインからニアの選手が絡んで流したところを関東リーグを代表するエースの1人、米谷選手がアウトサイドで冷静に引っ掛けて名ゴレイロ石渡選手のタイミングを外して同点に追いつき、このまま終了と思われた前半終了間際、コーナーキックをニアで受けた選手が、フリーの選手をチョイスして中に落とすデザインプレーから武内選手がプッシュ。

ゾットが得意のセットプレーで逆転し、前半は2-1で終了した。

後半5分。
闘魂石渡選手、ゾット渡邊選手の両ゴレイロが締まった1点差ゲームを演出する美技の競演を見せるものの、ベテラン故にスピードに弱い闘魂ディフェンスを加藤選手が高速ドリブルで振り切ってのシュートパスを松田選手がファーで合わせて3-1とすると、闘魂は後半11分からパワープレーを開始する。

東京都のオープンリーグ(競技系チームで最下層のカテゴリー。実質東京都4部に該当)で活躍する闘魂が、20分プレイングタイムかつ屋内フロアコートで試合をすることはまずない。

今日、観客が入る葛飾スポーツセンターで試合をしているのは、玉石混合のオープントーナメントをひたすらに勝ち抜き、勝ち抜けばどのチームにもチャンスがある全日本だからこその光景であり、リーグとしては東京都2部までは観客席のある会場で試合が行われることはないだろう(年度ごとに1カテゴリーずつの昇格となるため東京都2部でのリーグ参戦は最低でも2017年)。
 
これで負ければ奇跡のような快進撃を続けた闘魂劇場は終了するという刹那感の中『いつ終わってもいい夢みたいなもの』という言葉を思い出す。
それは試合を見つめる観客にとっても同じことで、いい年のオジサン達が夢のために全力を出す姿を見るのはとても気持ちがよかった。

終盤、試合は接触プレイを巡って荒れ模様になり、老獪な闘魂相手に冷静にゲームを進めていたゾットも熱くなる。
 
普段はテクニシャンながら適切な球離れの判断をする米谷選手が止めを刺さんとばかりの執拗なドリブルから4点目を狙いに行き、終盤は指揮に専念した清野選手兼監督が、判定で一悶着あった後にイラつきを隠さず憮然とした表情で試合を見つめる一幕があった。
 
良くも悪くも爽やかな若者たちで構成され、喉越しや読後感の良さが目立つようになった関東リーグ。

試合展開を読んでの局地戦や、審判を巻き込んでの老獪な駆け引きを見せる闘魂は、かつて難波田選手が抜群の存在感で牽引していた、勝ちたがりで個のアクが強いファイルフォックスと対戦する各チームとのヒトコマを彷彿させるものがあり、なんだか微笑ましかった。

観客にも対戦相手にも普段と異なる緊張感とテンションを要求した一戦は、このまま3-1で終了し、闘魂の快進撃はこれで打ち止めとなる。
もっと見てみたいという想いは残ったものの、闘魂の面々も素直に夢の終わりを受け入れ、彼らの夢を介錯したゾットもどこかホッとした表情だったのがとても印象的だ。

闘魂の面々は黎明期にこそFリーグで活躍したものの、競技者の旬としては不幸にもややはずれた選手たちだ。
それでも観客たちの視線を釘付けにし、フットサルファンの話題に上る。
あの時熱中したあの選手をもう一度見るのは誰にとっても嬉しいことだったろうし、嬉しいのはその選手のこれまでを知っているからであり、その『これまで』は決して恵まれているとは言えないフットサル界をひとりひとりが少しずつ広げながら駆け抜けてきてくれたからだ。

普段はどこか俯瞰だったり一歩引いて試合を見ているが、この試合にとても感情移入し、熱くなり、試合終了間際、気がつけば痛くなるほどに右手を握っていることに気づく。

Fリーグが開幕して8年が経ち、9年目も終盤に差し掛かるものの、未だブレイクの兆しは見えない。
それでも続けることに価値があるはずだし、熱くなる姿を必ず誰かは応援してくれている。
それだけは確実に言えることだ。

かつて『闘将』と呼ばれ、今はフットサル界の問題点を鋭くコメンテイトし『フットサル界のセルジオ越後』と呼ばれたりもする難波田選手。
喜怒哀楽の塊のようだった現役時代からいくらか『怒』は削ぎ落とされ、フロアの上を歩く姿を追うと髪にもどこか白いものが見える。

彼が座長となって率い、突如としてフットサル界にムーブメントを巻き起こした闘魂劇場は3日、4公演で幕を閉じた。
一度はそれぞれの理由でケジメをつけたフットサルに、それぞれの立場でもう一度向き合ってくれた彼らの夢に心からありがとうと言いたい。

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闘魂と対戦するのは5日前に13-2で敗れたブラックショーツを10-2で破り意地のリベンジを果たしたゾット。
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今日はベンチからのスタートとなった闘魂の発起人、日本フットサル界のアイコンの1人、難波田選手
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闘魂のゴレイロNo12石渡選手と、ゾットのゴレイロNo1渡邊選手。
Fリーグ、関東リーグでも凌ぎを削った間柄。
安定感のあるセーブで締まった試合を演出しました。
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前半一気に押し込み先制点に繋げた闘魂。
縦への推進力を作ったNo8会田選手、No15一木選手。
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ゴール前で脅威になり続けたNo11稲田選手と、殊勲のPKを獲得したNo3佐藤選手(写真下・右)
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闘魂の先制PKの場面。キッカーは日本代表、湘南、ファイルフォックスで活躍したNo7岩田選手。
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2-1で迎えたハーフタイム。
集中して話を聞く闘魂メンバーとゲームプランを説明する難波田選手。
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同点ゴールを決め、終盤意地をむき出しにしてトドメの4点目を狙いに行ったゾットNo22米谷選手と、稲田選手をはじめとした闘魂のピヴォを抑えたNo5丸山選手。
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3-1。残り9分からNo10難波田選手をゴレイロにしての闘魂のパワープレー。
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パワープレー中の接触プレーから一触即発の事態に発展した終盤。
ここ数年の関東リーグでは見られなくなったこういう雰囲気をなんだか懐かしく感じてしまった。
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試合終了後、観客席に挨拶をする競技系チームのゾットと、記念写真を撮るサークル活動の闘魂。
今のフットサルとの関わり方が現れたリアルな一幕。
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こちらもレジェンドの1人、40歳で関東2部を戦うフトゥーロNo5上村選手。
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BRB躍進の立役者、No11直江選手とNo99佐藤選手。
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府中サテライトで光る動きを見せたNo5日永田選手。
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難波田選手引退後のファイルフォックスを引っ張り、関東リーグを制覇。
選手兼監督としてFリーグに数々の選手を送り込む名伯楽。
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昨年、ファイルフォックスで関東リーグを制し、今年は再度Fリーグに挑戦する瀬戸選手。
アスピランチで存在感のある活躍を見せています。
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昨年、全日本で準優勝をした神戸からアスピランチの監督に就任し、今年多くの選手をトップチームに昇格させた小川監督。
今日の試合でもトップの岡山監督が見に来るなど、トップ、サテライトの連携、雰囲気の良さが伺えます。 
3 11月

2015/11/3(火・祝) 第21回全日本フットサル選手権 東京都大会 『夢中の価値』

2015/11/3(火・祝) 第21回全日本フットサル選手権 東京都大会
◆準々決勝
BRB(東京都1部) 3 - 0 闘魂(東京都オープンリーグ)
十条FC(東京都2部) 0 - 9 ペスカドーラ町田アスピランチ(東京都1部)
◆3位決定戦
闘魂 4 - 1 十条FC

4チーム負け残り、1勝勝ち抜けのトーナメントで争われる全日本選手権東京都決勝大会プレーオフ。

9人で試合に臨んだ闘魂は開始から3カテゴリー上のBRBを相手に、開始早々から難波田選手をゴレイロに置いたパワープレーを仕掛け、長らく女子フットサル界を牽引してきた宇津木選手を起用するというトコトンエッジの効いた試合を見せた。
 
試合は前半を1-0で折り返し、ロースコアの接線に持ち込むも、後半17分に佐藤選手が3-0となるパワープレー返しを決める。
おそらく初戦に疲労を残さず、2戦目での勝ち抜けを狙っていたであろう闘魂。
カウンターの場面でも前に出ず、パワープレーでの遅攻で省エネに徹していた彼らだが、ここからの3分間、意地になって前から詰める姿を見せる。

結果的には質量ともに十分な12人を揃えたBRBが闘魂をシャットアウトしたものの、経験豊富なベテラン達が燃費計算だけではないギラついたものを見せる姿に私も思わず前のめりになった。

トーナメント別山の十条FCと町田アスピランチの対戦中、以前SNSで闘魂の記事をシェアしていただいたこともあり、難波田選手にご挨拶をさせていただいた。
40分間続けたパワープレーのことを指してつまらない試合をしてしまって申し訳ないという謝罪の言葉に始まり、2戦目は初戦にいなかった稲田選手、石渡選手が来るので狙いに行く、という話を聞き大いに高ぶった。
今日勝てば次は関東1部のゾット早稲田との対戦ですね、と高ぶった余勢を駆って問いかけると、なんとも闘将らしい言葉が返ってくきて、今日一日、私はこの言葉が頭の中で巡ることになる。

十条FCと町田アスピランチの対戦は7人の十条FCを12人の町田アスピランチが0-9と一蹴し、16時からの3位決定戦は闘魂と十条FCに決まり、インターバルとなった13時過ぎから15時までの間、持っていた本を読んで過ごしていると、それぞれの事情で一戦目を欠場した闘魂と十条FCのメンバーが徐々に集まりだす。

最終的に闘魂は12人(内ゴレイロ2人。宇津木選手は登録を外れる)、十条FCは9人(内ゴレイロ1人)での試合となり、試合は前半10分にハーフラインで相手のボールを奪った難波田選手が独走してのゴール&シャウト。
前半終了間際に稲田選手が右サイドの角度の無いところから豪快に反転ボレーを突き刺し、自陣第2PKあたりでルーズボールを拾うと、前に出ていた十条FCの頭上を抜く超ロングシュートを決め、闘魂が前半を3-0で折り返した。

後半5分。
不用意なファウルでのフリーキックを十条FCがクイックリスタートで沈めて3-1とすると、ここから闘魂がガクッと落ち込む。 
若い十条FCがラインの間を利用した攻めで押し込むと、前に強いベテランが後ろ向きで相手を追うことが増え、4度全日本を制した難波田選手がベンチから激を送り、長くFリーグで活躍した一木選手が苛立ちの声を上げる泥仕合になり、前回、ドラマチックな逆転劇を演じた彼らは、今日は逃げ切りに腐心することになった。

ふと難波田選手の言葉を思い出す。
「俺たちのこの大会はいつ終わってもいい夢みたいなもの」
今日勝てば次は関東1部のゾット早稲田との対戦ですね、という私の問いかけにこう返し、その後、
「(競技レベルとして)価値のないものかもしれないけれど(3位決定戦も見てみてほしい)」
と続けた(カッコ内は私の解釈で行間を補完したもの)。

第1試合では長らく女子のトップカテゴリーで活躍した宇津木選手が試合に登場し、ゴレイロスロー見事に収めて起点になったかと思えば、サイドの攻防ではスライディング2連発で相手のシュートをブロックし会場の喝采をさらう。
腕に障害を持つ十条FCの屋宮選手は、肩と額を上手く使って背中で押してくるピヴォに対応する。

そんな姿を目にし、思い浮かべ、ふと自分にとっての夢とは何だろうと考える。
1ヶ月、2ヶ月先の締め切りや、年度目標の達成を目指すことはあっても、今自分に明確な夢というものはない。
誰かが言った目標とすり替えたものを夢とは言わないし、明確に思い続けなければ夢を意識することもなくなるのだろう。

夢中というものは特権だ。
いつ終わってもいい夢に夢中になり、その価値を自分自身で決めている彼らがとても羨ましくなった。

活きのいい十条FCの若者たちの食いつきに肝を冷やした闘魂は、一木選手、横山選手、稲田選手、難波田選手のセットで建て直しにかかる。
隅に選手を配して相手のプレスをいなし、最後は難波田選手の縦パスを横山選手が軸足裏を通すバックヒールでゴールに流し込んで4-1とすると闘魂ベンチは息を吹き返したように一気に盛り上がり、残り5分で再び3点差となった十条FCも意地の追い上げを見せるものの試合は4-1のまま終わった。

わかりやすい逆転劇ではなく、ハラハラする撤退戦という演目で今日も会場を沸かせた闘魂劇場。
今年の全日本選手権の関東予選は東京で行われるため、次の試合に勝てば関東予選進出が決まり、関東予選で3勝を上げれば全国大会出場が決まる。
さすがにそこまで夢が続くかはわからないが、いい夢ならわざわざ覚める必要もないだろう。

夢中というものは特権だ。

Fリーグで、日本代表で活躍したものの一線を退いた選手で構成された闘魂。
トップカテゴリーではあるものの、実業団でもプロリーグでもないマイナースポーツであるフットサルの引退の理由はきっと様々で、競技レベルの衰えというスポーツ界での一般的な理由よりも、経済面、モチベーション、生活の安定ということのほうが多いのではと思う。
一度はそれぞれの理由でケジメをつけたフットサルにもう一度向き合う彼らのフットサルへの想いはとてもフレッシュで、いい年のオッサンたちがそれぞれの立場でもう一度夢と向き合う姿を見るのはとても清々しい。

ステージを纏める難波田座長が発した言葉を思い出す。
夢のために頑張る姿はいつだって観客の心を打つものだ。

かつて『闘将』と呼ばれ、今はフットサル界の問題点を鋭くコメンテイトし『フットサル界のセルジオ越後』と呼ばれたりもする難波田選手。
今のフットサル界に閉塞感を感じている選手や関係者、物足りなさを感じているファンはぜひ彼と闘魂劇場を見に来てほしい。
 
そこには人を動かす感情があり、忘れてしまっているかもしれない熱を、夢を思い出させるものが確かにある。

※東京都決勝大会は11/28(土)葛飾スポーツセンターで開催されます。

※同大会準決勝の闘魂について
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上中里駅から徒歩5分ほどにあるフットサル界の古刹、滝野川体育館。
道中は四季で景色が変わる風情のある坂道。
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BRB(赤)対闘魂(白)
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試合開始前の時間でゴレイロユニフォームを手に持ってゴレイロのアップをする、No10難波田選手。
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ファイルフォックス、カフリンガで活躍したNo99佐藤選手。
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見事なカットインシュートで先制点を挙げるも、自らのシュートのブロックが額を直撃し、退場した直江選手。
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気の利いた繋ぎと仕掛けを見せたNo4中沢選手。
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パワープレーでは主に左右の角に入り、折り返し、ファー詰めを狙ったNo6宇津木選手。
要所を見極めて攻守に光ったプレイを見せていました。
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東京都選抜でも活躍した町田のNo5瀬戸選手と、No15宮崎選手
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町田の横断幕のセンスは毎回お見事です
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7人のメンバーで町田戦を戦った十条FC
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文中に登場する十条FC、No12の屋宮選手。
スキルも高く、非常に印象に残る選手でした。
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2戦目から登場の大阪、すみだで活躍したNo15一木選手と浦安等で活躍した11番稲田選手、No18平塚選手。
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フィールドプレイヤーのユニフォームを着るNo10難波田選手。
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守りの要、No5北選手。
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本日の防球柵(?)
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3-1となった後、リズムの建て直しに一度はパワープレーを選択するも、その後4人での展開をチョイス。
ここでの凌ぎ方が勝敗を分けました。
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勝利後の闘魂ポーズ。
各メンバーの温度差が微笑ましいです
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2015/10/10(土) 第21回全日本フットサル選手権 東京都大会 『希代のロックスター』

2015/10/10(土) 第21回全日本フットサル選手権 東京都大会 
ディベルティード八王子 2 - 4 闘魂

2013年4月の引退宣言から2年半。
1年前に立ち上げた闘魂というチームで難波田選手が返ってきた。

難波田選手についてはこちら:2015/5/2(土) Fリーグ 第1節 代々木第一体育館 『闘将の問いかけ』

Facebook等の情報を見ると、難波田選手をはじめ北選手、岩田選手、稲田選手、石渡選手といったフットサル黎明期のメインストーリーを張った元Fリーガー、元日本代表の面々は嘘か本当か普段はチームとしての練習はせず、試合だけに集まってフットサルを楽しんでいるという。
 
今日の相手はFリーグ湘南、町田でも活躍したテクニシャンのシニーニャ(沖村リカルド)を擁し、東京都1部を戦うディベルティード八王子(東京都オープンリーグを戦う闘魂としては3カテゴリー上)。

試合は前半13分に闘魂ディフェンスの頭上を抜くシニーニャの優しいループパスをボレーで突き刺して八王子が先制し、17分に難波田選手のミドルをゴレイロが弾いたところを稲田選手が蹴り込み1-1の同点で前半終了。

フットサル黎明期を駆け抜け、めでたくアラフォーを迎えた闘魂のレジェンドたち。
体力を温存するためかカウンター合戦には付き合わず、体の強さを活かして粘り強く戦うスローペースな試合にベテランらしく持ち込んでいく。

後半2分。
シニーニャの冷静な組み立てから闘魂のミスを誘い2-1と八王子が再びリードを奪う。

シニーニャがドリブルで持ち込んでラストパスを狙い、Fリーグで得点王も獲得した稲田選手の強烈なミドルシュートがゴールを襲う。
軽快にボールを運ぶ八王子と、体の強さでどっしりとポイントを作って攻める闘魂のジリジリとした鍔迫り合いに、このカテゴリーとしては異例の満員御礼となった泉体育館は固唾を呑んだ。

若干ナーバスなジャッチで八王子が退場になったペナルティキリングの2分間で得点を奪えなかった闘魂。

嫌な流れで迎えた後半11分。
コーナーからの流れを岩田選手がズドンと決めて闘魂が2-2に追い着き、後半18分にはゴレイロ石渡選手からのスローを受けた稲田選手が抜群のキープから放ったシュートのこぼれ球を、横山選手が無人のゴールへ流し込み、闘魂がこの試合初めてリードを奪った。

試合時間残り2分での八王子のタイムアウト。
八王子はパワープレーの準備をし、闘魂は難波田選手がスコアボードを持ってディフェンスの確認をする。

現役時代、強烈な個性を放った難波田選手。

試合中に大きくボールを蹴り出しては吼え。
スライディングしては吼え。
シュートを決めては吼える。
 
感情を剥き出しにし、チームに要求し、ワンプレーを諦めず、勝つためにできることに妥協しない。
ファイルフォックスの6番としてのこの人のプレイを追った3年間、勝っても負けても難波田劇場は常に熱く、自分にはない強烈な自我と溢れ出る俺様イズムに大いに憧れた。

残り2分。
1点差でのパワープレー。

ボールがディフェンスの網にかかり、右サイドに流れたルーズボールを闘魂では10番をつける難波田選手が必死で追いかける。
首を振り、血走った目でゴールの位置を確認し、並走する相手よりもボールに早く触るため歯を食いしばってスライディングに入る。
タッチラインギリギリ、右足で捉えたボールはスローモーションを見るように静かにフロアを転がり、ボールがゴールに入った瞬間、一瞬の静寂に包まれていた会場はドカンと沸いた。

雄叫びを挙げ、防球用の柵を持ち上げ、観客の喝采に応える難波田選手。
余りに興奮した喜びっぷりに主審からイエローカードが提示され、その後、足を押さえて倒れ込み、チームメートに脇を抱えられベンチに退く。
今日一番観客が期待していたであろう主役の大活躍とコミカルな一幕に、会場からは喝采と笑いが長く続いた。

試合はこのまま2-4で闘魂が勝利し、観戦していたサッカー少年たちの話題は背番号10で持ち切りになる。
関東リーグでよく見た光景で、自分もそんな話題で盛り上がった1人だ。

ファイルフォックスの6番としてのこの人のプレイを追った3年間、勝っても負けても難波田劇場は常に熱く、自分にはない強烈な自我と溢れ出る俺様イズムに大いに憧れた。

全力出してる? 
真剣にやってる? 
夢中になってる?

プレイを見るたびにそんな問いかけを受けているような気がする。
そして自分も強くなれるような気がする。
そんなロックスターのようなフットサル選手は今のところ彼だけだ。

今日の試合、競技力は決して高くない。
それでも自分は大満足で、周りの観客もいい表情をしている。

かつて『闘将』と呼ばれ、今はフットサル界の問題点を鋭くコメンテイトし『フットサル界のセルジオ越後』と呼ばれたりもする難波田選手。
今のフットサル界に閉塞感を感じている選手や関係者、物足りなさを感じているファンはぜひ彼を見に来てほしい。
そこには人を動かす感情があり、いつの間にか忘れてしまっていたかもしれない熱が確かにある。

ふただび表舞台に登場した握手会や総選挙と対極にいる無骨なロックスター。
次のライブは11/3(水・祝)、フットサル界の古刹、滝野川体育館。
一公演でも多く希代のロックスターのステージを見れるのを楽しみにしています。

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多摩モノレール泉体育館駅徒歩1分の泉体育館。
ボルダリングの施設もある体育館です。
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黄色:ディベルティード八王子
オレンジ:闘魂
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チームの発起人、日本代表、ファイルフォックス、大洋製薬(名古屋オーシャンズの前身)で4度全日本選手権を獲得した難波田選手
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日本代表、ファイルフォックスで活躍したゴレイロNo12石渡選手。
長身を活かしたシュートセーブは圧巻でした。
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日本代表、浦安のピヴォとして活躍し、Fリーグで得点王を獲得したこともある稲田選手。
強烈なシュート、抜群のボディバランスは別格でした。
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体の強さで攻守に貢献した元日本代表、ファイルフォックスで活躍したNo5北選手。
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Fリーグ湘南、町田で活躍したシニーニャことNo7沖村リカルド選手。
華麗なテクニックは健在でした。
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ファイルフォックスでピヴォとして活躍したNo3佐藤選手。
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運動量とスピードアップが必要な場面で出色の活躍を見せるNo8会田選手と、No16横山選手。
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ファイルフォックスで選手兼スタッフとして活躍したNo14田代選手。
プレスと裏に抜け出す動きが光るチームのムードメーカー
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1-1と追いついた稲田選手のゴールの場面
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後半、フリーキックを直接狙う難波田選手。これは左に外れます。
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ベンチから戦況を見つめる難波田選手と北選手
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パワープレーの場面。
闘魂は難波田選手、北選手、会田選手、横山選手でのディフェンス。
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試合後の闘魂ベンチ。
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試合後の集合写真。
下は闘魂ポーズとのこと。流行ると思います・・・。
15 3月

2015/3/15(日) PUMACUP2015 第20回全日本フットサル選手権 決勝トーナメント3日目 代々木第一体育館 『それぞれの孤独』

2015/3/15(日) PUMACUP2015
第20回全日本フットサル選手権 決勝トーナメント3日目 代々木第一体育館
◆3位決定戦
ペスカドーラ町田 4 - 1 バルドラール浦安
◆決勝
デウソン神戸 1 - 3 名古屋オーシャンズ

2013年3月17日。
第18回全日本フットサル選手権決勝戦。

当時地域リーグ所属のフウガすみだが、Fリーグの絶対王者名古屋を相手に3度リードを奪い、延長で勝ち越されるものの終了4秒前にキックインからのクイックリスタートに体から突っ込み同点のゴール。
最後は大会を通じて出色のパフォーマンスを見せた諸江選手がPKを外して無念の敗退に終わったが、PKを外して目を腫らす諸江選手にキャプテンの金川選手が駆け寄り、チームメートが二人を中心に優しく輪を作る光景はなんとも感動的だった。

その横ではこの大会での引退を表明していた木暮選手(現シュライカー大阪監督)がひとり佇んでいる。
約半年前にフットサルワールドカップのキャプテンを務め、優勝したブラジル、稀代の天才リカルジーニョを擁するポルトガルと同組から、史上初の決勝トーナメント進出を果たす原動力になった日本フットサル界の巨星は、決勝戦を含むトーナメントの3試合とも試合時間を与えられず引退することになった。
試合中はトコトンいやらしく、試合後は底抜けに明るいラファエル・サカイが木暮選手を肩車して場内を一周する。
引退という感傷に囚われず、ただひとりの選手として今日プレイするレベルに達していなかったという判断をしたアジウ監督は素晴らしくフェアで、誰よりも木暮選手のことをプロとして尊重していたと思うし、そういうスポーツだからこそ木暮選手もフットサルにすべてを賭け、清々しい表情で場内を埋め尽くした観客に手を振っていたのだと思う。

今大会での引退を表明したフウガドールすみだの半田選手は1次ラウンド、決勝ラウンドともメンバー外。
メンバー入りしたものの古巣浦安を相手に何もさせてもらえなかった同じくすみだの杉尾選手は男泣きし、Fリーグでの出場時間は短かった町田の橋本選手は、自身の引退試合となる3位決定戦で見事なゴールを決めた。

全日本を戦った多くの選手は、仕事後に練習をして、金曜日の試合はきっと周りに気を遣いながら休みを取って体育館へ向かっている。
勝利給が出るかも、決勝戦の翌日の月曜日が仕事かも私にはわからないし、わざわざ大変な思いをしてとりつかれたようにボールを追う彼らが全員幸せになってほしい。

辟易とするファンもいるものの、唯一のプロチームである名古屋の4冠は文句なく素晴らしく、彼らはフットサルへの愛情を体制と結果で表現しているだけだ。
ただ、彼らの孤独を理解できるチームがないことが残念で仕方がない。

名古屋とそれ以外のFのチーム。
Fのチームと地域のチーム。

このバランスが取れていないことに競技フットサルの閉塞はあると思っている。

仕事があり、生活があり、意地を張って夢中になれる大切なものがある。
気軽に頑張ってくださいとは言えないけれど、頑張りがいのあるものに賭けている姿に今シーズンも感動させていただきました。
その感動に見合うだけのリターンがあればいいのになと思ってしまうのがとても歯痒いです。

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14 3月

2015/3/14(土) PUMACUP2015 第20回全日本フットサル選手権 決勝トーナメント2日目 代々木第一体育館 『想う』

2015/3/14(土) PUMACUP2015
第20回全日本フットサル選手権 決勝トーナメント2日目 代々木第一体育館
◆準決勝
ペスカドーラ町田 1 - 1 (PK 2 - 3)デウソン神戸
バルドラール浦安 1 - 3 名古屋オーシャンズ

20代半に、父方、母方とも私の祖父母は他界した。
祖父母が健在な知人の話を聞くと素直に羨ましいし、自分が成長して余裕ができたらこんなことをしてあげたかったな、という気持ちがあったことに気がつく。
父方の祖母は西武ライオンズが大好きで、祖母の家に行くといつもラジオで西武ライオンズの番組を聞いていた。

若手の誰々が・・・。
昨日の試合では・・・。
監督の采配が・・・。

今なら一緒に試合を見に行ったり、話を聞いてあげたい。
熱く語る価値のある、祖母が好きなものを理解してあげたい。
ただ残念なのはそれがもう叶えられないことだ。

浦安VS名古屋の準決勝。
Fリーグ1、2年目の優勝を激しく争い、熱戦を繰り広げた両チームの8年間の明暗はハッキリしていて、名古屋は2年連続の3冠を含み、開幕からFリーグを8連覇し、浦安はFリーグ、全日本ともタイトルが取れそうで取れない。

前日の準々決勝で難敵フウガドールすみだを相手にチャンスらしいチャンスすら作らせずに完封した浦安。
久々の優勝と名古屋撃破を期待し、今日はゴール裏を埋め尽くすばかりのサポーターが駆けつけた。
試合は互角の鍔迫り合いから前半8分に名古屋に在籍経験もある完山選手が豪快に蹴り込んで浦安が先制。
浦安サポーターの大騒ぎも収まらない直後のキックオフから、森岡選手がキレキレのストップアンドゴーで持ち込んでシュートのこぼれ玉を、仕事師ラファエル・サカイが押し込んですぐさま同点とし、
続く12分にはセルジーニョからのロビングを渡邉選手が丁寧にボレーで合わせて1-2と勝ち越した。

名古屋の強さは相手が調子に乗りそうな時間帯に、バケツで冷や水を浴びせるように黙らせることができる勝負士が何人もいることだ。
後半24分には森岡選手がゴールエリア内で平常心を絵に描いたようなダブルタッチでゴールへボールを転がして1-3。
強い名古屋の勝ちパターンで試合の大勢は決まった。

浦安という土地柄か、横ノリでオシャレなイメージのあるチームとサポーター。
稲葉選手をはじめとするイケメン勢に歓声を送るスタイリッシュな女性ファンと、秀逸なトランペットと野太い美声が魅力的な頼り甲斐のある男性ファン。
そんな中で今風の若者達と遜色のない応援を見せる、周りと3、4回り年の離れた初老の白髪のサポーターの女性の方を私は大好きだ。

浦安の得点に諸手を上げて喜び、名古屋の得点に憮然とし、その後おもむろにコールに合わせて手拍子を再開する。
好きなものを追い駆けて、一緒に追い駆ける仲間がいて、自分もこんな風に年を取りたいと思って、この人が応援しているのをいつの間にか自分は応援してしまう。

この人も家に帰ったら家族やご近所の方に、浦安のこと、名古屋のこと、フットサルのことを熱く語るのだろうか。
何年もタイトルから遠ざかっているけれど、サポーター同士がお互いを理解し、チームを応援してくれている。
こんなファンがいる浦安はきっと幸せだ。

フットサルはマイナースポーツで、マイナーからメジャーにするためにはどうすればいいか、という話題がここ数年のフットサル界の命題だ。
選手。監督。チームスタッフ。ライター。マニアックなファン。
その人の立場と視点から見える意見はあるのだろうけれど、まずは今一番自分達のチームのことを大事にしてくれている人を想い、向き合い、理解し、考えてみてはどうだろうか。
夢中になったキッカケはそれぞれに絶対にあって、それを紐解き、まだ感じたことのない人に追体験してもらうためにはどうすればいいかを考えることに答えがあると私は思っている。

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13 3月

2015/3/13(金) PUMACUP2015 第20回全日本フットサル選手権 決勝トーナメント1日目 代々木第一体育館 『想起するもの』

2015/3/13(金) PUMACUP2015
第20回全日本フットサル選手権 決勝トーナメント1日目 代々木第一体育館
ペスカドーラ町田 2 - 2 (PK 5 - 4)府中アスレティックFC
フウガドールすみだ 0 - 3 バルドラール浦安
デウソン神戸 3 - 2 シュライカー大阪
バサジィ大分 2 - 3 名古屋オーシャンズ

2011年3月11日。
第16回全日本フットサル選手権 決勝トーナメント1日目 代々木第一体育館。

第2試合が終わり、第3試合の花巻VS湘南戦のアップ時間。
はじめは僅かに揺れを感じる程度の違和感だった。
どこからかシンシンという音が聞こえ、その後、徐々に音が大きくなる。
天井を見上げると天井についているファン状の板が大きく揺れていて、音の正体は板同士が激しく強くぶつかりあうものだった。
シャンシャンという無機質で大きな音を聞きながら、各自が天井を見上げ、不安げな表情で顔を見合わせる。
事態の異常さに気付いた瞬間、席を立ち、出口に向かって走った。
床が大きく揺れて、壁から異音がして、静止の声を挙げる係員にも出口に向かうよう叫びながら、ぐらつく床を無心で蹴る。
転がるように会場を出て、代々木第一体育館を見上げると、初春の空は変わらずに澄んでいた。

毎年3月の第2金曜日に代々木第一体育館で開催される全日本フットサル選手権決勝トーナメント1日目。
この日はなんとなく天井を見上げてしまう。
ファン状の板と、中央にある立方体は、私にとって突然現れる得体の知れない恐怖と、なんとなく続く日常の価値の象徴だ。

年間120試合フットサルを見て、良くも悪くもフットサルそのものが興味の対象で、他人にはあまり興味がない。
それでも今日は会場を一周し、スタンドを眺め、声をかける仲ではないけれどどこかの会場で見た知ってる顔を見つけて、それぞれがそれぞれに変わらない日常を送り、自分もその中のひとりであることを確認して安心する。

フットサルのことは少し忘れて日常を考える。
全日本決勝トーナメント1日目は私にとってそんな日になっています。

平和や安全という言葉の意味は少しづつ変わっていて、維持するためにすべきことは日々変わり、時に難しくなり、時に人の手ではどうにもできない。
来年の第2金曜日は3月11日。
全日本決勝トーナメント1日目が変わらない日常の延長にあることを祈っています。

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8 3月

2015/3/8(日) PUMACUP2015 第20回全日本フットサル選手権 予選ラウンド3日目 舞洲アリーナ 『期待はやっかいだ』

2015/3/8(日) PUMACUP2015
第20回全日本フットサル選手権 予選ラウンド3日目 舞洲アリーナ
◆グループC
湘南ベルマーレ 8 - 1 名古屋オーシャンズ サテライト
ペスカドーラ町田 4 - 2 SWHフットサルクラブ
◆グループD
ヴォスクオーレ仙台サテライト 2 - 5 池田誠商店
バサジィ大分 5 - 5 FCmm

湘南が名古屋サテライトに勝利したため、SWHが決勝トーナメント進出するためには、Fリーグ最高のゴレイロ、イゴールからの大量得点が必要になった。

選手の質量。チームの格。下馬評。
相手ができることを自分ができないと思うことは不健全だ。
楽しむというのは期待をすることで、やれる準備をやりきって覚悟を決めたらあとはトコトン楽しんで期待する。

『今日は5点取りましょう』
『まずは3点ですね(2勝1敗で湘南、町田、SWHが並び、得失点差で町田が脱落になる)』

他人が聞けば滑稽な会話をするファンが少なくとも私を含め2人いた。
フリーで前を向いてボールを受けるためのパス&ムーブにこだわり、ゴールへの解法を数多く持つこのチームならイゴールの壁も越えられる。
得点力はさほどでもない町田を抑えて、SWHが先行する形になれば十分チャンスはある。
・・・期待はやっかいだ。

試合はゴール前をフリーで抜け出した滝田選手が豪快に蹴り込んで町田が先制も、今大会5ゴールで波に乗る清水選手が取り返す。
お互いが期待と焦燥を背負って熱くなる荒れた展開で得た5ファウルの第2PKを、職人横江がズバリと決めて町田が再度リードで前半終了。
後半は10分過ぎまでお互い無得点の展開から、SWHがパワープレーを選択しクインテッドで押し込むも、町田のパワープレー返しで4-1。

散らばる星を星座にするような美しいパス&ムーブの1stセット。
小田選手がタクトを振るう手堅い2ndセット。
西牧選手、山本選手がひたすらがっつくプレスが感動的ですらある3rdセット。

期待しがいのある個性的な14人がそれぞれに輝きを放った40分間はあっという間で、決勝トーナメント進出のために大量点を取って勝つ、という目標よりも、なにかに取り付かれたようにフロアを駆ける彼らに気がつけば魅了されていた。

残り2分で青山選手が意地で蹴り込むも大方の予想通り町田の勝利で終わった。
糸が切れたようにSWHの選手がフロアに倒れ込み、町田の選手が彼らを起こす。
フロアに起こった熱に応えるように観客席から長い拍手が続いた。

ファンは期待する。選手は夢中になる。

東京に住む私が関西を主戦場にするSWHを観るのは年に1、2回。
毎回新しい価値観が輝き、個性的な選手が躍動する。
フィジカルが先に立つFリーグにこんなチームがポンっと入ったらきっと面白いだろう。

期待はやっかいだ。
またどこかで試合が観れるのを楽しみにしています。
 
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