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Futsal Philosophy (フットサル・フィロソフィー)

コラム(フットサル関連)

20 3月

2017/3/20(月・祝)第22回全日本フットサル選手権大会 国立代々木競技場第一体育館『王者の自己肯定感』

2017/3/20(月・祝)第22回全日本フットサル選手権大会 国立代々木競技場第一体育館
◆3位決定戦
府中アスレティックFC 1 - 0 デウソン神戸
◆決勝
フウガドールすみだ 2 - 7 シュライカー大阪

古い話題だが2007年に賞金女王に輝いた上田桃子選手がTVのドキュメンタリー番組でプロとしてお金を稼げないスポーツを選択することを不思議だと発言したことがある。
 
人気も実績もない選手でなければ大した話題にもならないだろうが、当時の若手女子ゴルファーブーム真っ只中で年間1億6千万円を稼いだ若干21歳の賞金女王の発言として非常にヘイトを集め有体に言って炎上した。

他者と競い、結果に応じた報酬を得ることはごく普通なことで、成り上がりの波に乗る野心的な若者の発言として至極もっともだと思ったが、こういった発言は理屈よりも受け手の感情が優先される。
彼女が言うところの稼げないスポーツを愛好する人達からのやっかみや、ゴルフを稼げるスポーツとした先人へのリスペクトが欠けているというのが当時の論調だったと思うが、要するに『勝者として空気を読め』ということだろう。

貧すれば鈍する(貧しさによる生活苦が才気や高潔さを奪う)という言葉がある。
スポットライトが当たる前の下積みは誰にでもあるが、美談としてそこにフォーカスが当たるのは成功した後だ。
スポーツに限らず不安で暗い鍛錬の時期を越えた勝者が賞賛や利益を得るのはむしろあってほしいことで、トップランナーは後進の励みのためにも頂点に立った自己肯定感を大いに表現してほしいと思う。


22回を迎えたプロ・アマ混合トーナメントの全日本選手権はシュライカー大阪の優勝で終わった。

決勝トーナメントの8試合中、大阪以外の試合はどれも1点差のゲームで今期中盤からの大阪のクオリティーはズバ抜けていたと思う。
 
開幕以来9連覇中の唯一のプロチームである名古屋が敗れたものの、大阪の構成も名古屋と同じく違いを作れる外国人選手+脇を締める代表クラスの日本人選手という構成で、歴史が変わったと表現される今期の王位継承劇だったがプロセスは木暮監督自身が選手時代に名古屋で体験したメソッドに沿ったもので、これが日本のトップリーグで優勝するチームのモデルケースなのかなというのがシーズンを振り返ってみての印象だ(実際に引退を宣言した最後の全日本決勝トーナメントの3試合で木暮監督は出場機会を与えられていない)。

2013年の全日本決勝(すみだ4-4(PK3-4)名古屋)ではPK戦でゴールを決めた後に名古屋のリカルジーニョがすみだのサポーター席に挑発的に拳を突き立て、今年は2-0から同点になる第2PKを決めたアルトゥールがすみだのベンチの前で派手なガッツポーズを見せた。

どちらも憎々しげな行為だが、地力は劣るもののゾンビのようなしつこさや異様なテンションで会場の雰囲気をがっちりすみだに掴まれた苦しい展開の裏返しでもあり、ワールドクラスの相手をここまでいきり立たせたのは大したものだろう。

特にアルトゥールとチアゴの活躍が光った決勝戦だったが、彼らを越えるためにどうすればいいかを対戦相手もチームメイトも考えることに意義がある。
来シーズンも文字通り日本フットサル界のドデカイ目標になれる選手が日本に来てくれたことにありがとうと言いたい。

大会の前後に選手の退団・引退のリリースがあり、勝っても負けてもセンチメンタルな雰囲気が漂う全日本。

甲斐選手、鈴村選手、小宮山選手らの記憶にも記録にも残る黎明期からトップランナーでありつづけたベテラン達のカーテンコールは惜しむらくも祝福する気持ちにもなるが、若干21歳、大学3年生でFリーグ、全日本優勝の2冠を飾った大阪に所属する水上洋人選手の引退は衝撃だった。

2015年のプレーオフで加藤未渚実選手、田村友貴選手と共に頭角を現し、今シーズンは日本代表候補にノミネートされた前述のふたりと水をあけられた感はあるが、技術が高く冷静で真面目な大阪らしいアラとして非常にポテンシャルを感じる若手で、来期の契約のオファーもあったという。

こちらは木暮監督と水上選手のインタビューだが、トップリーグでの競技生活から一線を引いた後は大学4年生として就職活動を行うということで、ケガでも能力的な壁でも燃えつきでもなく、キャリアのピークを今後迎えるであろうアスリートが安定した生活のために下した決断は正直言葉に詰まるものがあるし、フットサル黎明期からジャンルのアイコンだった木暮監督が『このスポーツにかける思いがないとまずはスタートラインには立てない』と語るようにマイナースポーツであるフットサルを取り巻く環境は22年前と本質はほとんど変わっていないのではと思ってしまった。

スポーツは麻薬だ。

キツイ練習に耐え、タフなチームメイトと競って出場枠を掴み、同じ過程を越えてきたであろう対戦相手とシノギを削る。
そんな中、自分を応援してくれる人達の前であげるゴールや勝利は格別だろう。

そんな快感にズブズブと嵌ってマイナースポーツ故の狭いムラ社会の中で苦心するよりは、普通の会社に就職して趣味でフットサルをするほうが賢い付き合い方かもしれないし、普通の会社勤めをして土日と周りの顔色を伺いつつ有給休暇を使ってフットサル観戦をしている自分にも現場の温度感はなんとなくだがわかるものはある。

来シーズンのFリーグはセントラルの代替として6チームを1会場に集めて2日間連続の大会方式を何節か入れるという発表があった。
宿泊費と移動費の負担が全国リーグで最も大きな費用になるが、大幅な収入増を見込めない以上、支出を減らすのは理に適った施策でこういうアイディアはどんどん実践してほしい。

運営は費用を極力減らす。
ファンは行ける範囲で会場に足を運ぶ。

入場料(グッズ収入を含む)、放映権料、スポンサー収入が主な財源となるプロスポーツだが、後者の2つが大きく見込めない以上、ファンができることは会場に足を運んで、よさそうなグッズがあったら買うことぐらいだろうし、もちろん自分もそうする。
ごくごく小さいことだが自分が落したお金が選手や関係者の環境の改善になってくれたらこれ以上に嬉しいことはない。

何度か『Fリーグを目指したいけどどうしようか迷っている』という相談を受けたことがある。

地域リーグを含めた選手のインタビュー記事などを紹介し、いくつかのモデルケースを説明したがみな普通に就職した。
いい選択なのではと思う。

同じ顔ぶれの選手たちが時にチームを変えつつ活躍してきたFリーグ。
黎明期のアイコン達が去ったものの、次のチームの顔と呼べる選手は育っていないのではないだろうか。

マイナースポーツのトップリーグが『憧れだけど現実的に目指すにはリスクが高いもの』というのはありがちだ。
否定はできないし、そんな世界が魅力的かどうかは人それぞれだし、各自が考える価値感を100%尊重する。

大会の前後に選手の退団・引退のリリースがあり、勝っても負けてもセンチメンタルな雰囲気が漂う全日本。

トップリーグに所属し、最強のチームでベンチ入りの枠を掴み、ビックタイトルを獲得する。
 
競技者として最高の自己肯定感を得られるシチュエーションで、競技者として本意でないであろう引退の涙を流す若者の姿を見るのはとても切なく、胸にくるものがあった。
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今期で引退を表明した神戸の闘将鈴村選手と、献身的なアラとして出場時間を延ばした若手の川那部選手。
準々決勝の浦安戦では貴重な3点目をゲットしベスト4に貢献。
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出場時間に恵まれなかった府中の若手、岡山選手と水田選手は全日本でブレイク。
大分戦での右サイドからのダブルタッチ→トゥーでの強烈な一撃がインパクト絶大な水田選手は移籍先でコンスタントな活躍を狙う。
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3位に輝いた府中。
キャプテン皆本がメガホンを手に締めの一言。
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決勝に進んだ大阪とすみだ。
久々に見たすみだの円陣。Fリーグでもまたやってほしい。
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開始早々に大阪から2点を奪った諸江/宮崎/清水/西谷のすみだの1stセット。
素早い揺さぶりと果敢なプレスで先制パンチを浴びせるも、後半は地力のある大阪になすすべなし。
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大阪の強力な縦のライン。
半径2メートル以内は俺の制空権と言わんばかりの存在感のアルトゥールと、縦パスをことごとく収めてゴールに突進するピヴォのチアゴ。
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試合前、試合後の水上選手。
才能のある選手が挑戦しがいのある舞台であるか、という問いかけに答えが出ない。
4 3月

2017/3/3(金)~4(土) FリーグプレーオフFinal Round 岸和田市総合体育館『決勝戦の風景』

2017/3/3(金)~4(土) FリーグプレーオフFinal Round 岸和田市総合体育館
◆1戦目
シュライカー大阪 2 - 3 ペスカドーラ町田
◆2戦目
シュライカー大阪 3 - 2 ペスカドーラ町田
※シュライカー大阪が年間王者

リーグ1位に勝ち点4のアドバンテージが与えられる勝ち点5先取(勝:3点/分:1点の勝ち点のため町田は2連勝が必須で最大2試合開催)のレギュレーションになった今年のプレーオフ決勝だが、第1戦の開始数秒で町田のエース、森岡選手が筋肉系のトラブルで早々に負傷退場。

相手を問わず1試合1~2点を見込める大駒を失った町田だったが、今シーズン目立った活躍のなかった本田選手がこの機会に発奮し大阪のゴレイロの柿原選手を落ち着いてかわして2ゴールを挙げると、相手ゴール前でしぶとくボールを奪った室田選手が蹴り込み町田が0-3で前半を折り返す。
後半はカウンターから大阪の王将、アルトゥール選手がゴールが浮くほどの強烈なミドルシュートをブチ込み、出場メンバーが固定されたチームでしっかりポジションを掴んだ24歳の田村選手が詰めて2-3と追い上げるも、3分間のパワープレーをズバ抜けた団結力で凌いだ町田が次戦に繋がる1勝を挙げた。

2戦目は町田のラフファイトに終始イライラしていた永井選手が若干20歳の仁井選手のシュートパスをスラして先制し、その後大阪のフロントラインをゴリゴリと引っ張るチアゴが決めて2-0と大阪がリードを奪うも、町田が残り20秒で得た第2PKを前日の負傷から強硬出場の森岡選手が沈めて2-1とし前半が終了した。
後半21分に篠崎選手のコーナーキックがオウンゴールを誘い町田が同点に追いつき、その後は2.5セットで回す町田と、ブラジルトリオと小曽戸選手を中心に少人数ながら強力なカードを順次フロアに送る大阪の鍔迫り合いが続く。

2戦目の町田は森岡選手の調子が万全でないと判断し、本田選手とのダブルピヴォを随所に織り交ぜて森岡選手への注意を逸らし、代名詞の俊敏なターンや強烈なシュートではなく狩猟犬のような嗅覚で後方からゴール前に侵入しての一噛みを狙う工夫が光った。

勝利が必須条件の町田が残り3分からパワープレーに打って出るも、最後は来日1年目からここぞという時の異常なガッツキでゴールを奪ってきたチアゴが横江選手の足元に入ったボールを引っかけて奪ってのパワープレー返しを成功させて3-2とし、引き分けでもOKだった初優勝にアリーナがどっと沸く歓声を添えた。

全体としては1年を通じ安定して実力を発揮してきた大阪が2戦合計のスコアで接戦を制したという格好だったが、シーズン後半からのピーキングがバチッとはまった町田の集中力とテンションの高さがピカピカに光った2試合で、惜しくも優勝を逃したものの熱戦を盛り上げた助演俳優賞として堂々と胸を張ってほしい。


今シーズンはFリーグを中心に観戦したが、シーズンの上澄みのプレーオフでもというか、だからこそというか気になるところはいくつかあった。

①レフリング
1戦目はルーズボールを追う際に町田の選手が前腕で相手の顔を叩いてから体を入れる場面が数度あり、初回で笛を吹かないことでラフプレー→抗議→ラフプレーの連鎖が目立った。
選手はプレーに対するリアクションで審判を試し、審判もプレーに対する笛で選手にメッセージを伝えるのはごく自然なことで、審判は笛を含めた初回のリアクションにこだわるべき。
2戦目の前半は両チームに第2PKが与えられたが、こちらは荒れるというよりは妥当な判断の積み重ねによる好(公)演出で◎。

②試合日程
すみだと大阪のホームアリーナで金、土曜に実施されたプレーオフ1st/2nd、ファイナルラウンドだが、両日とも金曜日の方が観客が多かった(それぞれ1,835人/1,361人と1,485人/1,170人)。
アリーナの賃料も平日の方が割安になることが多く、Jリーグを含め土日に集中する各種イベントとのバッティングも回避できることから、定時退社でギリギリ間に合うキックオフ時間でのスケジュール設定はマイナースポーツとして一考の価値があるのでは。

③シーズンのハイライト作り
プレーオフ4試合を戦った町田の集中力、緊張感、一体感の高さはどれも素晴らしく、トップリーグとして非常に魅力的で説得力のあるものだった。
12チーム3戦総当たりの33節は中弛みや、時間とともに点差が広がるだけの上位下位の対戦あり、内容・客足ともパッとしない試合も多かった。
12チーム2戦総当たり→1~6位/7~12位で上位下位リーグで1戦総当たり→上位3チームでプレーオフなど、上位下位とも意味と価値があり、勝敗に興味の持てる試合を意図的に増やす施策は急務。

④コンディションの維持とピーキング
維持については大阪、名古屋が◎。
ピーキングについてはすみだ(シーズン前半)、名古屋(AFC~シーズン中盤)、町田(シーズン後半)が◎。
AFCやワールドカップなど短期~中期決戦で挑む国際大会でカギになるコンディションの維持とピークの設定だが、③が充実するほどスタッフや選手にとっては良いチャレンジになり、観客は見所が増える。
2016年に苦杯を舐めたAFCに向けてのトライアルにもなるのでは。

⑤名古屋と森岡選手の存在感
不在の在。
なんだかんだで彼らがいない、万全でない決勝戦に物足りなさも感じた。
歴史が変わったと表現された今期のFリーグだが、一時の特異点になるかどうか来シーズンに向けての名古屋の動向も非常に楽しみ。
MVP4回、得点王4回の森岡選手は心身共に万全ならまだまだ3~40点を狙える選手だろう。

いずれにしろ3/20(月・祝)の全日本選手権決勝で2016/2017年シーズンも終わる。
 
少し気が早いかもしれないが、33節とプレーオフを戦い抜いた各チームの選手・スタッフ、東と西の横綱としてリーグの千秋楽をシッカリと締めた大阪と町田には心からお疲れさまと、ありがとうを言いたい。

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12 2月

2017/2/12(日) Fリーグ第32節 町田市立総合体育館 『お尻の価値』

2017/2/12(日) Fリーグ第32節 町田市立総合体育館
府中アスレティックFC 2 - 1バサジィ大分
ペスカドーラ町田 5 - 2シュライカー大阪

サッカーのユニフォームや、F1のボディにペイントされたロゴなど、プロ・アマ問わずスポーツでは協賛やスポンサー企業の企業名や、企業が推す商品名を背負って競技を行う光景をまま目にする。

競技を行う上でのギア、競技力向上のための食事、練習場、移動、試合の登録費、会場の確保、試合前後を含めた会場運営や広報など、個人、チーム、運営団体といったそれぞれの立場でスポーツにはとかくお金がかかり、その一助を担うのが広義で言うところの『スポンサー』だ。

スポンサーは対価と引き換えに個人、チーム、競技を通して自社(あるいは個人)を宣伝してもらえる権利を得、ユニフォームやスタジアムへのロゴや看板の掲示、企業名/商品名の入った冠ゲームの開催などで露出を増やす。

意思決定層が競技の愛好家であったり、支援対象の選手の熱意に意気を感じたりということがスポンサードのきっかけとして一般的だが、マイナーだがビジュアル的にキャッチーな競技だったり、社会貢献性や意義の高い大会、共感できるストーリーを持つ選手など、場合によってはスポンサードしていること自体が好意的なイメージに繋がることもありブランディングとしても有効な手段といえるだろう。

単純にロゴを貼り付けただけでなく大相撲では力士が巻く化粧まわしでは熊本県のPRキャラであるくまもんや、よーじやのあぶらとり紙のトレードマークである女性の影絵が登場したりと、単純なデザイン性だけでなく『強さ』や『真摯さ』の象徴でもある力士が脱力系のキャラクターや女性向けの商品の訴求を行うという意外性がまた目を引くものがある。

最近なにかと飽和状態の『●●女子』のひとつである相撲女子に向けてのマーケティングだろうが、厳粛な国技館のランウェイを精悍な力士が土俵上では少々不釣り合いな化粧まわしを巻いてを歩き、土俵というステージで大相撲の花形の所作である四股のポーズをキメる光景はどこかファッションショーにも似て非常にユニークでありアピールの効果は抜群だろう。


シャツ&パンツのユニフォームで競技を行う一般的なスポーツでここ最近増えてきたのがお尻への広告だ。

一般的には胸→背中→袖・パンツ(腿の前/お尻)の順に掲示金が高くなり、テレビや写真で見る姿はバストショットが多く金額通りに胸のロゴが目立つものの、選手のプレーの動作の終わり(走る/飛ぶ/打つ/蹴るなど)は上屈してお尻が突出しているポーズが多く、鍛えられた見事なお尻に貼られたロゴやマークがピンと伸びて『おお...。ここにもロゴがあったか(しかしディドゥダはいいケツしてるぜ(照))』と感嘆することがままある(私だけかもしれないが)。
 
情報元により諸説あるがJ1の年間の掲示料は胸が2~3億円/背中が1億円/袖・パンツが5千万円(J2はその半額程度)と言われており、TV中継は少ないが、会場にはそこそこ客が入りコアなファン層が支える構図になるマイナースポーツのスポンサーになるならお尻のスポンサーはそこそこ魅力なのではと思う。


『どこで』『だれが』『どこに』のユニークさが際立っていたのが前述の化粧まわしの例だが、数年前からお尻の部分にスポンサー企業の『ネピア』のロゴが入るようになったエスポラーダ北海道のユニフォームはなかなかインパクトがある。

フットサルのトップリーグが行われる体育館で北海道出身の爽やかな選手たちがお尻にティッシュやトイレットペーパーを主力商品とするネピアのロゴを入れて戦うところにシリアスとコメディーのギャップがあり、シャツ&パンツのスポーツはシャツをパンツの外に出してプレーしがちだが、北海道の選手はお尻のロゴを見せるためにシャツをパンツに入れてプレーしており印象的にも非常に良い(シャツをパンツの中に入れることをキチンとした所作であると評価する古いファッション観かもしれないが、そういった価値観を持つ層は一定数存在する)。

『どこに』と訴求商品のギャップやマッチを生み出しやすいのがお尻の広告の魅力であり、価格的にも安価なことから比較的営業しやすいのではとも思う。
ポライトなユニフォームな着こなしがイメージアップにも繋がるという2次効果も期待できるのでまだ入っていないチームはゼヒ営業してほしいところだ。

そんなスポンサーとスポーツの関係だが、昨年あるチームが行ったスポンサーマッチデーのプログラムの中で新加入選手のインタビューがあり『スポンサー企業についての印象は』という質問に『移籍してきたばかりでよくわからない』という回答が掲載されていてちょっとガッカリしてしまった。
ほかにも意味不明で目にするとなんとも言えない気持ちになるが、お尻にスポンサーのロゴが入っているのに入場時からシャツをパンツの外に出して入場してくる選手がいたりする。

ないよりあったほうがなにかとよいのがお金であり、即効性の高いのがスポンサーマネーだが当然そこには対価を要求される。
 
それがプロスポーツの常識だ。

前述のインタビューの選手は実力はありながらもチームを転々とした苦労人タイプであり、シャツをパンツの外に出している選手は十分ネームバリューもある選手だったりで、単純に素直なだけのような気もするが、結果や行動ですべてを判断されるのが見られる立場の人間であり、直接的であれ間接的であれ自分に関わってくれる人に対する言動を想像できることがスポーツ選手云々の前に社会人として必要なことだろう。
 
インタビューの内容に対するチェックがなかったのかチェックの上でゴーサインを出したのかはわからないが、選手だけでなくチームが所属選手のマッチデープログラムの言動に無関心なのもどうかと思うし、SNSでゴハン食べに行きました写真をアップするチームメートはいてもユニフォームを出していることを注意する仲間はいないのかと少々心配になった。

以前は観客数が1,000人を下回ると少ないと感じていたが、ワールドカップの出場権を逃し、Bリーグという強力なアリーナスポーツが華々しく誕生した今期は500人前後の観客数の試合もザラにあり、フットサルがメジャーになってほしいという想いよりもなんとか現状維持をという焦燥感が強い。
それでも自分が観られる立場であり、観客、スポンサーを楽しませ、応援することを誇りとして感じてもらえる存在であると意識し、それに沿った振る舞いをしようという気概がなくなったら終わりだろう。

フットサル界は2016年に長年全日本選手権をサポートしたPUMAが、Fリーグからは開幕からの付き合いである森永製菓がそれぞれ冠スポンサーから撤退したが、前述の北海道のように地域に根差して観客動員数を伸ばし、地元企業のスポンサードを獲得する好循環を生んでいるチームもある。

今期は大阪がブラジルトリオと質の高い日本人選手を揃えて名古屋の10年連続のリーグ1位をハッキリとした実力差を見せて阻んだ。
量より質の密度を高めて得た経験値の蓄積で相手を上回る少数精鋭型の木暮采配が異彩を放つ大阪だが、彼らの群を抜く強さの裏にはハッキリとしたリリースはないもののそれを支える金銭面での充実もあるのではと思う。

ニワトリが先かタマゴが先かの不毛な議論になりがちだが強化にはお金が必要で強力なチームが増えることがリーグや代表のボトムアップに繋がる。
景気のいい話は皆無といっていい日本フットサル界だが、お尻のスポンサーロゴが入るチームが増えることがひとつのバロメータになるのではと勝手に思っている。

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日本を代表するドリブラー、仁部屋選手。
華麗なスラロームを支える形のいいお尻に輝く地元大分の不動産企業『豊後企画集団』の広告はインパクト大。
大分はユニフォームとロゴの色見の相性も◎。
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強烈な炸裂音を響かせるシュートと、正確で球足の速いインサイドパスを操る大分の大型フィクソ、ディドゥダ選手。
ヴィニシウス、ボラ、ディドゥダらブラジル人独特のクイックネス/テクニック/パワーを生む彼らのムッチリとしたお尻は説得力抜群。
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5位でのプレーオフ進出を決めた府中。
クラブの初期を支えた上澤選手の7番を着る若干20歳の内田隼太選手は前半2分間の出場ながら機を見て斜めに抜ける動きでゴレイロとの1対1のチャンスを作る。
J1で絶賛売り出し中の鈴木優麿と同期の鹿島アントラーズの下部組織出身で今後に期待大。 
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2020年ワールドカップの主役後方の左利きドリブラー加藤選手を全治9カ月の重傷で欠き、ヴィニシウスとチアゴも不在。
飛車角金が抜けた大阪もこれまた20歳の仁井選手がセットに入って活躍。
左サイドの定位置からスタートする決めごとタップリな大阪のオフェンスを見事にこなす。
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2年前のプレーオフで頭角を現した田村選手がゴール前のセットプレー、相手エースの森岡選手のマンマークに体を張るも、森岡選手もゴールに繋がるプレーでやり返す。
今シーズンの決勝でこのマッチアップも十分ありそう。
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この日出場した唯一のブラジルトリオ、投げやりなアウトサイドキックにも風格が漂うアルトゥール。
体の厚みとリーチを活かして相手にアタックできないところにボールを置いて攻守のタクトを振る。
今期のMVP最有力候補。
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シーズンごとに若手が活躍する町田。
日本代表にも初選出された前線のプレスマシーン、原選手は今日も元気一杯。
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中央とサイドではスピードを活かしてハイテンションな攻守を見せ、ゴール前では周囲を見て冷静な落しを選択する町田の次代のエース。
森岡選手との好連携で1ゴール2アシストの中井選手は俺の尻でチームを引っ張るとばかりにユニフォームの着こなしもバッチリ。
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今期で引退する日本フットサル界のレジェンド、44歳の甲斐選手の引退セレモニー。
大阪の選手も交じっての胴上げに胸が熱くなる。

23 1月

2016/11/26(土) 国際親善試合 MFP味の素スタジアム 『ウサギとカメ』

2016/11/26(土) 国際親善試合 MFP味の素スタジアム
ファイルフォックス府中 5-4 トルクメニスタン代表

※こちらからの続きです:2016/11/23(水) 国際親善試合 郷土の森府中市立総合体育館 『外国人の視点』

2016年11月17日~11月30日までの14日間日本に滞在するトルクメニスタン代表だが11/27(日)が唯一のオフとのこと。

東京近郊での行きたい観光スポットを選手に聞いたところ、意外にも忠犬ハチ公のエピソードにいたく感動したらしく渋谷のハチ公像を見たいというリクエストが多いらしい。
試合中はファイター気質の選手が目立ち、テンションの高い一対一で勝負する彼らだが、衣食住には困らず自然も豊かで鎖国状態の牧歌的な国が儒教的な感覚を持っていたとしてもあながち驚かない。

どこかで見た今風な若者たちがたむろするスポットで、主人の死後も彼を待ち続けたハチ公を尊敬してトルクメニスタンの若者たちが集合写真を撮っている様子を想像し、ちょっと微笑ましい気持ちになってしまった。

先制されるも粘り強い守備と少ない攻撃の手札で勝ちを拾ったリガーレ東京との初戦。
前後半開始時の集中力のエアポケットを一気に突かれ、終始主導権を握られてクローズされたすみだとの2戦目。

中2日の3戦目は関東1部のファイルフォックス府中。
プレス&カウンターもあり、フロアに人を広く配置してから縦パスを機に一気にラッシュする定位置攻撃も強力。
セットプレーやパワープレーにも見る物が多く、今年の関東1部リーグを準優勝した引き出し豊富なフットサルらしいフットサルをするチームを相手にどんな試合になるのかが非常に楽しみだった。

試合はすみだ戦と同様、集中力を欠く前半早々にキックインからのチョンドンとカウンターで2失点。
すみだ戦と同じく立ち上がりにフワフワする悪癖でビハインドを負うも、ここからトルクメニスタンが厚みのあるフィジカルを活かしたディフェンスで盛り返し、強烈なシュートと突進→切り返しに迫力のあるドリブル突破を活かして同点に追いつくと、ボールカットから3人が駆け上がっての3v1カウンターを決めて前半を2-3のリードで終えた。

後半、オフェンスに過重したファイルのボールをいい形で奪うとそのまま2v1のカウンターに出る。
これを手堅く決めて2-4としグッと勝利を引き寄せたかに見えたが、2点のリードの余裕でこれまでのテンションが緩んだのか、ここからディフェンスラインが下がり、相手に強く当たれなくなると徐々にファイルペース。

サイドから入れられたボールをクリアしきれずにボールがパチンコ式にゴールに収まる形でのオウンゴールで3-4。
残り8分過ぎからファイルがパワープレーを始めると、不慣れなディフェンスを早々に攻略されて4-4の同点。
その後もファイルがパワープレーを継続すると、終了間際に素早い動かしで作ったズレを活かしてファーからのシュートを決められて5-4。
後半に作った2点のリードの甘みはどこえやらのホロ苦い敗戦となった。

今シーズンは準優勝に輝いたものの、一昨年は優勝、昨年は9チーム中8位で関東2部との入れ替え戦という落差の大きいシノギを余儀なくされたファイル。

昨シーズンはセット間の温度差と、試合中に激昂する吉成選手兼監督の姿がチームの状態をよく表していたが、この日は後半に試合中に頭を打って退場した西川選手を全員が気遣う。
 
なかでも印象的だったのが、FPでは最年長の吉成選手兼監督が内容はアツいものの、です/ます調の丁寧な言葉使いでメンバーに指示を与え、その指示を各自が真剣に話を聞いていたことで、昨年との結果や温度感の違いはここに集約されているように見えた。

今シーズン、Fリーグから復帰した藤本選手、三木選手、曽根選手がトップカテゴリーでのスキルと経験をチームに還元しての好成績とも取れるが、チームの得点は10点の町田選手がトップで、以降は吉成(9)、三木(7)、西川/丸/小原/藤本(5)、曽根(4)、長尾(3)、田辺(2)、江良/真部/三ヶ尻(1)と満遍なく続いていることが示すようにチーム内のバランスは非常に良さそうだ(もちろん3選手の経験、スキルがバランスの構築に大きく貢献していると思う)。

チームは生き物であり、1シーズン、1試合という単位だけでなく、試合中の得点差/ファウル数/出場メンバー/時間帯で必要なスキルや情報は大きく異なる。
各場面で適切なコミュニケーションは毎回異なり、どういった雰囲気作りや声掛け、姿勢を示すかも監督が考えなければならないタスクだ。

後半2-4にされてからチグハグになったトルクメニスタン代表攻略戦でメンバーに指示を与え、猛追、逆転した吉成監督の手腕はお見事で、2失点を逆転して2点を勝ち越しも、徐々に盛り返されてパワープレーで敗戦というフットサルらしい難ゲームを体験できたことはトルクメニスタンも嬉しい悲鳴だったろう。


細かい例外はあるがフットサルは、

①プレスラインの設定とプレス回避
②トランジションの強度
③練度とキャラクターのある2セット
④キックイン、フリーキック、パワープレーなどのデザインプレーの攻守

の4点のどこかで相手を上回って多くゴールを決めたほうが勝つスポーツだと思う。
3戦だけだがトルクメニスタン代表を評するなら、

①プレスが利いている時間もあるが、プレス回避はまだまだ。

②攻撃→守備の切り替えとボール奪取までは◎。
守備→攻撃の切り替えは△だが、各局面で何人まで人数をかけるのかを検討中といった感じでドリブルでの持ち出しはかなり迫力がある。

③3セットでのローテーションを採用。
どのセットも2人以上の連動での攻撃は非常に少ないが、1試合で数回はよい形も見せ、ポテンシャルはありそう。

④強シュートと体格を活かしてのブロックを駆使したキックイン、フリーキックの攻撃は◎。
パワープレーディフェンスは△で、リードを奪ってもここがお留守だと強豪相手には絶対に勝てないので直近の必修科目か。
パワープレーオフェンスは今後の他戦術の習熟度を見ながら練習時間との相談になりそう。

となり、率直に言って関東1部の中位~下位程度の実力だろう。

だが、AFCではベトナムが日本を破ってワールドカップに出場し本大会では決勝トーナメントに進出、史上最強との呼び声もあった日本を敗者復活トーナメントでキルギスが2-6で敗るなど、継続的な強化(あるいは強化の不足)や勝負の波はどんな結果を生んでも不思議ではない。
そしてトルクメニスタン代表は2017年9月に同国で開催が予定されているアジアインドアゲームズまで、日本から派遣された中村氏、前川氏の指導の元、継続的にトレーニングキャンプや親善試合をミッチリ続けていくとのことで、短期間で一気に伸びる可能性は大いにある。

日本では名監督と聞くと試合中に絶妙な選手交代や、奇抜な采配でゲームを動かす勝負師を連想しがちだ。
だが、最も大事なのは自分が率いるグループに今何が必要かを考え、各自が理解し、納得して行動できるように伝え、人間関係を構築していくことで、『妙手』や『奇手』はあくまでその過程で生まれたものでしかない。

2016年2月のAFC敗退し、10月にブルノ・ガルシア氏が代表監督に収まったが数回の選考合宿が組まれただけで、JFAがリリースしたスケジュールでは2017年に国内で日本代表のお披露目の場はなく、3月の2週間の海外遠征と6月の1週間の合宿後に9月のアジアインドアゲームズに向かう。
 
ワールドカップで3位に輝いたイランがロシアを相手に親善試合を行い、タイ、ベトナム、オーストラリアを含むワールドカップに出場したアジアの列強がAFF(ASEAN諸国を集めた地域大会)の連戦を戦うなど、各国が勢力的にトレーニングマッチを行っているのに対し、自称イランのライバルである日本の強化日程は非常にお寒いもので、こういうスケジュールについても代表監督は(常識的に結果を出せるプランではないのですでに言っているかもしれないが)ドンドン文句を言っていってほしい。

3/23(木)~4/4(火):海外遠征(未定)
5/30(火)~6/4(日):トレーニングキャンプ(兵庫)
9/17(日)~27(水):アジアインドアゲームズ(トルクメニスタン)
10/16(月)~18(水):トレーニングキャンプ(未定)
11/1(水)~11(土):AFC フットサル選手権2018予選(未定)

日本には色々なタイプの優れた選手がいる。
試合展開、パーソナリティに合わせたアプローチができる優れた監督もいる。

惜しむらくは彼らが国際経験を積む舞台が非常に少ないことで、アウェーでの戦いは勿論大事だが、自分のナショナリティを再認識し、代表選手としてのプライドを育てる国内での親善試合も絶対に必要だろう。
 
国外から優れた指導者を招聘し、海外武者修行に励むトルクメニスタン代表はかつて日本が歩いた道程だろうし、国を挙げて強化に励む彼らが2020年、2024年のワールドカップ出場を賭けた戦いで日本に立ちはだかる可能性は決して低くない。

海外からの観光客が増え、彼らの指摘の元、当たり前のものとして見飽きていた日本の良さ、悪さを我々が再認識するということがままある。

・選手たちの謙虚さ
・監督と選手の信頼関係
・タイプの異なる対戦相手との腕試し
・協会からの適切なバックアップ
 
ベトナム戦、キルギス戦で特に顕著であり、AFCで顕在した日本のウィークポイントはもちろんどのチームも潜在するものだが、それを埋めるためのアプローチをする時間や機会は絶対的に足りていない。

昨年のAFCを名古屋が制し、その名古屋を今シーズンは大阪が圧倒している。
この状況を見てもFリーグのレベルが低いとは決して言えないが代表チームはまったくの別物で、今年9月に行われるアジアインドアゲームズの日本とトルクメニスタンの成績が、ウサギとカメの童話よろしく、目標へのアプローチとして何が正しいかを示すひとつのバロメーターになるはずだ。

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4 1月

2016/11/22(火) 国際親善試合 MFP味の素スタジアム 『トルクメニスタンという国をご存知だろうか』

2016/11/22(火) 国際親善試合 MFP味の素スタジアム
リガーレ東京 1-2 トルクメニスタン代表

トルクメニスタンという国をご存知だろうか。


中央アジア南西部に位置する共和制国家。
カラクム砂漠が国土の85%を占めており、国民のほとんどは南部の山沿いの都市に住んでいて、豊富な石油や天然ガスを埋蔵する。
西側でカスピ海に面し、アフガニスタン、イラン、ウズベキスタン、カザフスタンと国境を接する。
首都はアシガバートで、永世中立国である。20世紀の末から21世紀にかけてソ連からの独立を果たした。

とある。

日本にトルクメニスタンを知る情報はほとんどなく、60分ほどネットサーフィンをすればURLは一周する。

得た情報を整理すると、議会や政党はあるものの大統領制による独裁政治で出入国は厳しく管理されており、ガソリンや住居は国が国民に安価に提供し、都市部は整備された道路と団地のようなビル群が並ぶ。
半ば鎖国状態にありながら資源の輸出で得た外貨を背景に国民生活はそれなりの水準で、国としてもよく統制が取れている穏健な独裁国家といった少々不思議な国、それがトルクメニスタンだ。

そんな国にフットサル黎明期を駆け抜けたふたりの日本人指導者が滞在し、同国のフットサル代表チームの強化に携わっている。
ひとりはFリーグ府中のGM/監督を務めた中村恭平氏、もうひとりはペスカドーラ町田の前身であるカスカヴェウ、Fリーグの湘南等を率いた前川義信氏だ。

JFAの活動のひとつに『国際交流・アジア貢献活動』というものがある。

経済およびサッカー先進国としてアジアのサッカー後進国への支援(当然だがAFCでの議会選挙の際に各国が持つ票を日本が取りたいという政治的な目的もある)として物品提供を行っていた同活動だが、2011年から指導者の派遣も開始するリリースをAFCに提出する。
それまで物品提供にはリアクションを示さなかったトルクメニスタンだったが、このアナウンスには興味を示し指導者の派遣を要請。

ただしそれは『サッカー』ではなく『フットサル』としてだった。

協会が驚きとともに適任者を探した際に白羽の矢が立ったのが中村氏であり、2011年から2012年までコーチとして同国を指導。
(ただし国状から入国ビザが許可されないためUAE、タイ、ベラルーシなど第3国でのトレーニングキャンプや親善試合、2012年W杯予選に帯同。
当時のJFAのレポートでは本大会で16強に進出したタイ、2016年W杯予選で日本に引導を渡したキルギスを相手に健闘したとある。
氏の熱を感じられる非常に濃い内容なのでゼヒ読んでほしい)

その後、2017年9月にアジアインドアゲームズの開催が決定したトルクメニスタンがフットサルの強化の一環として再び中村氏に監督就任を打診。
トルクメニスタン代表監督就任に合わせて同氏が前川氏をコーチに推挙し、特例的な入国ビザが発行されトルクメニスタンフットサル代表に2人の日本指導者が携わることになった。

そしてそのトルクメニスタン代表が強化合宿とトレーニングマッチを行うため、2016年11月17日~11月30日までの14日間日本にやってきた。

前述の通りミステリアスな国情の彼らがスポーツを媒介として海外に渡るというのは非常に稀で(少々事例は異なるが1995年に世界的に孤立していた北朝鮮でアントニオ猪木がプロレスを開催した無茶苦茶さを思い出してしまった)親善試合は、

11/22(火):リガーレ東京(関東1部/2015・2016年同リーグ優勝)
11/23(水):フウガドールすみだ(Fリーグ/2015年同リーグ3位)
11/26(土):ファイルフォックス府中(関東1部/2016年同リーグ準優勝)
11/29(火):バルドラール浦安(Fリーグ/2015年同リーグ8位)
11/30(水):ペスカドーラ町田(Fリーグ/2015年同リーグ2位)

といった関東の強豪が堂々と待ち構えるスケジュールになっていて、トルクメニスタン代表来日について情報提供いただいたスティーブ・ハリスさん(府中アスレティックFCのFacebookでコラムを連載)と幸運にも初戦のリガーレ東京戦を一緒に観戦させていただいた。

トレーニングマッチの舞台はFC東京のホーム、味の素スタジアムの横の民間施設であるMFP味の素スタジアム。
22:00からの施設の利用開始時間に合わせ、21:30頃からナショナルカラーの緑を基調にしたジャージを着たトルクメニスタンの選手たちが登場し、施設の外でランニング&ダッシュのウォーミングアップを開始する。

日本人コーチに率いられて日本でのトレーニングマッチに挑むトルクメニスタン代表。

まったく知らない言葉を話す彼らが薄暗いアスファルトの上でテンションの高い円陣を組み、屋内の逆光を受けて施設に入る後ろ姿がミステリアスさも相まって少し神々しく見えた。

試合は前半8分前後に右サイドからのキックインを小山選手がチョンドンで決めてリガーレが先制。
その後はハーフに引いて2ラインを形成して守るトルクメニスタンがしぶとく凌ぎ、フットサルに長けたリガーレがボールを保持して押し込む展開になる。

後半は徐々にトルクメニスタンが試合に慣れ出し、胸板や臀部の分厚さが光るフィジカルと負けん気の強さで球際に激しく当たる。
トルクメニスタンの攻め手はピヴォ当てもパラレラもなく、カウンターを含めドリブル突破→シュートの一辺倒だったが、迫力のある鋭い切り返しを駆使したドリブルと堅守を誇るリガーレディフェンスとの1対1は非常に見応えがあった。

試合全体を通し大方はリガーレペースだったが、後半10分過ぎにキックインからのチョンドンでトルクメニスタンが同点に追いつくと、コーナーキックから中央で待ち受けた選手が豪快に蹴り込む連続ゴールで1-2と逆転。

フットサルとしての引き出しの多さでは圧倒的にリガーレに軍配が上がるだけのチームクオリティの差があったが、フィジカルと気持ちで球際を制し、ドリブルで好機を演出、セットプレーから丸太のような足で繰り出す強烈なシュートで得点を挙げるという、非常に小さいパズルのピースを組み合わせてトルクメニスタンが嬉しい日本初勝利をあげた。

もう亡くなってしまったが私の祖父は終戦時に満州で捕虜となり、数年間ロシアに抑留されシベリア鉄道の工夫をしていた。
戦傷なのか凍傷なのか経緯は聞けなかったが手の指が数本なく、小柄だが筋骨隆々で、愛想のいい好々爺といった風貌で大好きだった。

普通に暮らしていれば接点のないミステリアスな国であるロシアの印象を聞くと『暗いイメージのある国だが、総じて陽気で、礼儀正しく、素直で純粋だ』とのことで、捕虜になっていた際に祖父が身につけていた腕時計を羨ましそうに見ていた彼らに、彼らの食事と腕時計の交換を持ちかけたところ嬉々として交換に応じたというエピソードを顔をくしゃくしゃにして語ってくれたのを今でも覚えている。

日本に住んでいると本当かどうか実感できない話だったが、2012年のワールドカップで巨体を揺らして自国を陽気に応援する祖父と同年代のサポーターのおじさまを見て、なぜかロシアを身近に感じた。

それ以来、旧ロシア領を含めロシアはいつか行ってみたい国としてどこか心に引っかかっている。

リガーレ東京との試合前のわずかな時間に中村氏と話しをできる時間があり、祖父のロシアのエピソードを話すと同様の事を氏も祖父から聞いたことがあるとひとしきり盛り上がった。
また、当時は100名弱ほどの日本人捕虜がトルクメニスタンに工夫として派遣されていたらしく、彼らは首都アシガバートから続く幹線道路のトンネルの掘削に尽力したとのことで、現地の方は日本人に対する感謝や尊敬の念があるということをトルクメニスタンで聞かされたという。
想像すらしていなかった日本人も知らない日本人の異国での活躍になんだか胸が熱くなってしまった。

トレーニングマッチ終了後、施設の使用時間の24:00までのミニゲームが終わる。
ホテルへの移動手段が必要とのことでハリスさんの車にもトルクメニスタンの選手を3名乗せて彼らのホテルへ向かった。
資源国国家であるところの一国の代表チームが14日間過ごすということでさぞ立派なホテルではと想像していたが、目的地に着くと長期出張のサラリーマンが常宿に使うようななんてことのないウィークリーマンションで、三々五々入口前に少々興奮気味の選手たちが揃う。

黒髪を短く刈り、深い瞳の緑のジャージを着た朴訥とした青年たちがひとりづつ中村氏と健闘を称える握手をし、深夜である時間帯を気にしてか話し声も小声に行儀よくマンションに入っていく。

『フットサル』というマイナースポーツで彼らは繋がっている。

監督と選手という言葉で彼らの関係を表すことは勿論できるが、母国を離れて異国に渡り、自分たちの成長を促すために時間を使い、経験を伝えてくれる異邦人にどれだけの敬意を払っているかは彼らの振る舞いを見ればよくわかる。

『国際貢献』という言葉は定量的にお金や物品を提供することと考えられがちだが、ウィークリーマンションの前の光景には何億円よりも重い説得力があった。

深夜1時。
予定がつく11/23(水)のすみだ戦と、11/26(土)のファイル戦を見に行くことに決めた。

彼らを無性に応援したくなった。

※続きます 2016/11/23(水) 国際親善試合 郷土の森府中市立総合体育館 『外国人の視点』

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施設の外でアップをするトルクメニスタン代表
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アップ中の選手たちと見つめる中村恭平トルクメニスタン代表監督。
非常にお茶目な好々爺といったトルクメニスタンのドクターがアジアの強国、日本のフットサル選手をパシャリ。
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書かれているスペイン語がかすれたレガース。
彼らの練習の跡が伺える。
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戦術面は前川義信コーチがボードを駆使して指示。
試合前のモチベーションを中村監督が鼓舞する。
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ドリブル突破でトルクメニスタンの攻撃を牽引した10番と、得点能力の高い7番。
次に見るのはアジアインドアゲームでのトルクメニスタンの躍進のニュースと共にか。

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 トレーニングマッチ終了後は全員で握手と記念撮影。
マイナースポーツであるフットサルが果たせる国際交流を考えさせられた少し不思議な光景。 
18 11月

2016/11/18(金) Fリーグ第20節 大田区総合体育館『オラが街のフットサルチーム』

2016/11/18(金) Fリーグ第20節 大田区総合体育館
フウガドールすみだ 4 - 5 ペスカドーラ町田

度々府中のホームの郷土の森に観戦に行くが、最寄駅から徒歩15分程度の立地にも関わらず、Fリーグに1チーム(府中AFC)/関東1部に1チーム(ファイルフォックス府中)/関東2部に2チーム(FUTURO/府中AFCサテライト)を送り込む『フットサルの街』の名前に違わず客入りは上々で、試合終了後、郷土の森から仲間と連れ立って徒歩や自転車で試合結果を語りながら三々五々家路に着く光景が非常に羨ましかった。
 
全国から12チームが参戦するFリーグだが、家から電車を乗り継いで贔屓のチームの応援することはあっても『オラの街のフットサルチーム』を肌で実感できることは少ないだろう。

今シーズンのFリーグのカレンダーで楽しみにしていたのが11月18日の金曜日、19:00キックオフのすみだ対町田だ。
 
トランジション攻撃だけでなく遅攻も見につけて地力を増したすみだと、全日本選手権を制しFリーグを代表するエースの森岡選手も加入した町田の対戦という競技面の魅力ももちろんだが、最大の理由は会場の大田区総合体育館は私の職場から近く、家からも徒歩で行ける圏内だということで疑似的であれ『オラの街のフットサルチーム』を感じることができそうだったからだ。

せっかくの機会なので職場の友人を観戦に誘い、早々に仕事を切り上げて一旦帰宅。
会場時刻に合わせて自転車で会場に向かい、人数分の席を確保してから物販を物色する。
スーツで来ていることもあり、すみだの須賀監督が着用するチームネクタイを購入しコスプレ気分で観戦するも、町田が森岡選手の個の能力を活かしてスコアメークする展開で結果は4-5でホームのすみだが敗れた。

今日に関してはこの場所で1,697人の観客と試合を見つめたことが重要で試合の分析や試合結果は正直どうでもいいだろう。

試合後、最寄駅の梅屋敷ぷらもーる商店街をぶらつき、メニューを開こうとすると油で引っ付いたページがピリピリ鳴るような地元感溢れる中華料理屋の瓶ビールでつまみを囲む。
試合の感想云々は3分とかからず終わり、その後は仕事やなんやかんやの近況報告をしつつほどよく出来上がったところで徒歩なり自転車なりで三々五々家路に着く。

どのチームのメインアリーナでもなく過去には府中もホームゲームを開催し、来年開催があるかもわからない大田区総合体育館でのフットサル観戦だったが『オラの街のフットサルチーム』みたいなものを体験をさせてもらえたなんとも幸せな日だった。


今シーズン、Fリーグの客足はすこぶる鈍い。
 
12チームが6試合をこなす1節で1,000人を越える試合が過半数を切ることがザラで500人代の客入りにも驚かなくなってきた。

第19節に至っては、

①神戸 6-0 北海道:グリーンアリーナ神戸(観客数 489人)11/12(土)15:00
②仙台 3-6 府中:塩釜ガス体育館(観客数 512人)11/12(土)15:00
③大分 2-4 すみだ:べっぷアリーナ(観客数 536人)11/13(日)13:00
④名古屋 2-4 大阪:テバオーシャンアリーナ(観客数 1,526人)11/13(日)14:00
⑤湘南 8-1 浦安:小田原アリーナ(観客数 640人)11/13(日)16:00
⑥町田 3-1 浜松:町田市立総合体育館(観客数 818人)11/14(月)19:00開始
※対戦カード:会場(観客数)開催日時

と1試合あたり平均753人という観客数で『一度試合を見に来てくれれば魅力はわかってもらえる』や『次の試合も頑張りますのでまた応援お願いします』と語る関係者や選手の声も空しいものがある結果になった。

各チームとも開催会場近辺の学校や、ジュニアカテゴリーのサッカーチーム、イヤースポンサーやマッチスポンサーを招待客として多く入れて集客策を練り、リーグへの報告書やスポンサー訴求に向けて数字の体裁を揃えようとしているが一番大事にしてほしいのは正規の金額を払って会場に来る観客だ。

スタンド席に比べて高額のアリーナ席の半分に招待客を入れたり、スタンド中央を含む広大なスペースを関係者席にしたりといった光景をまま目にするが、本来この場所はコアなリピーターがお金を出して座りたい場所だろう。
 
目の肥えていない招待客はフロアと同レベルの視点より、高い位置から見下ろした方が町田の定刻運転を刻む山手線のようなクアトロや、すみだのキビキビとしたトランジションを楽しめるだろうし、関係者と言われる人たちも業務の特性上記録員の方が中央最前列に座る必要はあるものの、それ以外の数名のために必要な席数は人数分を確保できれば十分なはずだ。

入場ゲートを越え、アリーナに入って初めに見る場所は人によって変わる。
 
コアなリピーターであれば自分が好きな観戦場所を探すし、ビギナーであればアリーナ全体を見て雰囲気を楽しみたいのではないだろうか。
招待客でアリーナ席に座れないことも、アリーナ中央にだだっ広い空席が空いていることもどちらも公平ではないだろうし、会場に足を運ぶにつれ段々と疑問に感じていくものだ。

客数が伸びないFリーグだが個人的にはスタンド席(1,500~2,500円程)とアリーナ席(2,000~3,500円程)の席種しかないことが不満だ。
 
スタンド/アリーナという大まかなゾーン指定の中から招待席や関係者席でない場所に座るというのがFリーグの会場のお作法だが、良席は開場時間より何分も前から待機列に並べる人たちに負けてしまうし、そもそも絶対数が少ない。
 
自分だけの裁量で何ともしがたい不都合があるならいっそお金で解決してしまいたいし、試験的にスタンド/アリーナの一部に指定席エリアや、選手のメッセージカード/グッツ付きのもう1グレード上の席種を作って売れ行きや反応を見てみてほしいとも思う。

目に見えて客足の鈍化が進むFリーグだが、前述の第19節は正直ぶったまげた。

実力は西高東低ながら人気は東高西低といった印象で実際にチケットの細分化をして納得感がありそうなチームは半分にも満たなそうだが、無いなりの見栄を張ってプレミアム感を演出してみせるのもトップリーグの気概ではとも思う。

少なくとも招待客で埋まったアリーナと、だだ広い関係者席は観ていてあまり気持ちのいいものではない。

サッカー協会の後援会特典での入場が今年から厳格になったことに不満の声も聞こえるが、協会の規定に謳っているとおり毅然とキッチリと先着30名の運営を守ればいいだけの話だろう。
 
長くなったがフルフェアのチケット料金を払っている人を一番に大事にしてほしいし、さらに言うならフルフェアのチケットを買って会場に来る人には新たな楽しみも創出してほしい。
Fリーグは前者もさることながら、後者の取組が圧倒的に不足している。

なくても一向に構わないし、それでもリーグは細々と続いていくのだろうが、トップリーグであればファンにとって特別な存在であってほしい。

例えばオーシャンアリーナのメインスタンド最上段に座って天下人気分で観戦という体験に値段がつくならマニアにとってはなんとも興味がそそられる話だ。
どこになるかはわからないが5桁のお値段でそれに似合った価値を提供するチケットを売り出すチームが現われることをヒッソリと期待している。
 
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須賀監督が身に着けるすみだオフィシャルネクタイはこちら
レプリカを着ての観戦に飽きたら、スーツにネクタイの観戦スタイルはいかがでしょうか。
前半はジャケット着用→後半は脱いででなりきっていきましょう。
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0-2から2-2に追いつかれてからのゲームプランで『我慢』の一手。
辛抱に応えた選手たちは見事2-4にしてからのパワープレー返しで4-5の勝利。
渋みを利かしたスーツ姿が絵になる町田の岡山監督。
ちょっといいスーツがほしくなる金曜日ナイターゲームの主役のふたり。 
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すみだのゴレイロは前節4連敗をストップした清家選手。
ベンチからは前半戦の快進撃を続けた大黒選手が出場機会を狙う。
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後半40分にブザービートの4点目を挙げた稲葉選手。
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抜群のテクニックと愛らしい笑顔で会場人気抜群のボラ。
2-3とされてからの満を持しての登場も、個の能力を武器とする町田のセットに置いて行かれて失点の一因に。
出さないのではなく出せない、オフェンスのベネフィットとディフェンスのリスクの判断は今後も続きそう。
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すみだの看板ピヴォの太見選手&清水選手。
内容は悪くないだけに今は我慢の時期か。
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ピッチ上でタクトを振るう諸江選手。
森岡選手とのデュエルでは後れを取ったが、こういうリスク度外視の1vs1の斬り合いにもトップリーグの醍醐味があるのでは?
同じ局面ではゼヒリベンジマッチを仕掛けてほしい。
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日根野谷/横江/森岡/室田のセットは森岡選手のアイソレーションの仕掛けからファー詰めとこぼれを狙うシンプルな組み立て。
負傷の金山選手から受け取ったキャプテンマークを巻く日根野谷選手にビックリしつつもなかなかお似合い。
キャプテンの立場でフロアに立つ時間は大きな選手になるための貴重な経験になるはずだ。 
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度々マイナーチェンジするヒゲがトレードマーク。
イゴールの代役とは言わせない活躍を見せる町田のゴレイロ、小野寺選手。
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ドリブルでのプレス回避を選択した諸江選手との1VS1からボールを奪ってズドン、ドリブルで相手を外してのシュートパスでアシストと1ゴール2アシストの森岡選手。
フロアに立った金狼の圧力はまだまだ健在。
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町田らしいクアトロ環状線を披露する本田/滝田/宮崎/原が個の力を全面に出した裏セットへのライバル心を見せる。
溌剌としたプレス&狭いスペースで高い技術を披露する原選手(下/左)が2-2から均衡を破る3点目をゲット。
20 10月

2016/10/20(木) ブルノ・ガルシア 日本代表監督就任『トップカテゴリーは見られてこそ』

AFCで惨敗し、ワールドカップ出場権を逃してミゲル・ロドリゴ監督が退任してから約7ヵ月。

ミゲルの同郷の友人でもあり、ベトナム代表を率いてAFCで日本に致命傷を与えたブルノ・ガルシア氏の新監督就任が決定した。

ここ最近のアジアで活躍するスペイン人指導者を見ると、

プルピス:タイ→ウズベキスタン
ミゲル:日本→タイ
ブルノ:ベトナム→日本

と遷移しており、以前、Fや地域リーグで知り合いをツテとして選手や監督がローテーションする政界やプロレス界に似た狭いコミュニティの日本フットサルと書いたが、アジアの代表監督すらそれに似た感じになってきたことや、やり方は変わるとは思うものの、AFC、W杯で披露したハーフマンツーで自陣を固めて粘っこく守って、一歩目で前に出ることを意識したアタックでボールを奪取→少人数で手数をかけずに多少強引でもシュートで終わるベトナム代表のフットサルを日本代表に置き換えての魅力や選考過程に若干の不安を感じる。

ただ、ベトナム代表は非常に気持ちの入った軍隊タイプの集団といった印象で、ちょっと自由すぎる感のあったミゲルから緩んだ空気を引き締めたり、メンタルの立て直しといった部分を期待してなのなら格下に2連敗でW杯を逃したタイミングで鬼軍曹タイプへのチェンジは刺激という意味では◎。

選考理由についてはまだまったく語られていないが、人事は何を指向してるから誰にしたのかの説得力が非常に大事でここがおかしいと下につく人の求心力にも影響あるので、今後語られるだろうリリースで『ミゲルの知り合いだから』が決め手ではなくキッカケであってほしいと思う。

いろいろ思うところはあるものの、トップカテゴリーは見られてこそ。

2015年に乱発したオーシャンアリーナでの観戦無料のトレーニングマッチとかはもういいので、年に4試合は国内で有料観客での代表戦をやり、大いに普及、告知、検証の場としてほしいところです。

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ベトナム代表を率いて臨んだAFCでは日本代表を土俵際で振り切り、初出場となったワールドカップでは見事決勝トーナメント進出。
新監督就任が決定したブルノ・ガルシア日本代表監督。

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タイ代表をアジアの強豪に仕立て、同国のクラブチームのチョンブリをアジアNo1チームに引き上げたプルピス。
現在はウズベキスタン代表を指揮。

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日本代表を8年に渡って指揮し、2012年はW杯で決勝トーナメントに進出、2012、2014年のAFCを2連覇したミゲル・ロドリゴ。
タイ代表監督就任からわずか1ヵ月で臨んだワールドカップでもオフェンスに光るものを見せる印象的なゲームを披露。タイ代表の任期延長からもわかるように再評価の兆し。

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トップカテゴリーの義務と価値は、関わる人たちの目標であり、指標であり、誇りを持てる対象であること。 平日の14時から開始されるトレーニングマッチに代表される露出のない活動に価値は薄い。
11 10月

2016/10/11(火) フットサル書籍紹介 『読むフットサル』

2016/10/11(火) フットサル書籍紹介 『読むフットサル』

今年2月、7月のAFCやワールドカップなど今年に入って増えてきたフットサルのテレビ放送。

舐め技と言われるドリブルテクニックに関する書籍は多いものの、フットサルの競技としての教則本が非常に少ないので、蹴る/見る両面で個人的に印象に残った初心者~上級者向けの本をいくつか紹介しました。

◆初心者向け

中学、高校とサッカー部在籍から部活を引退。
知人から誘われたり、体を動かしたくなって個サル行こうかな、というサッカーからの移行や、TVで代表戦を見てボール蹴りたくなった純ビギナーまで間口の広い入門書。
 
インサイド、インステップキックといったサッカーで習得する技術から、トゥーキックや足裏で動かすトラップといったフットサルの特有の技術を前段に、ピヴォ当て、パラレラといった個人戦術、エイトやヘドンドといったボール廻しまでをカバーし、基本の動きをまとめたDVDも◎。
 
この本は卒業したと思っても、読み返してみると発見や昔を振り返ってクスリと笑える薀蓄が多数。


◆初心者・中級者向け

2007年の刊行から約10年が経ちながら初心者~中級者向けとしてこちらを越えるものが見当たらない名著。

ゴレイロ、フィクソ、アラ、ピヴォのポジションごとのTips、セットプレー、カウンター時の優先順位など、単純な足の速さや、キックの強さではなく、攻守のTPOを抑えておくことの重要さが詰まっており、共著者である中村氏とオスカー氏の考え方の相似、相違もひとつひとつが非常に興味深い。

スッキリとした図説と、編集者の問いかけに対して両氏が対談形式で最適解を提示するテキストがバランスも良くレイアウトされていて、巻末には本書の内容をまとめた携帯用のポスターも付録。
訴求対象のニーズ把握にも優れていて、スポーツの解説書として非常に優秀。
フットサル界の名士ふたりのナレッジを上手く料理した好編集も光る。


『切り替えゼロ秒』に代表されるように、遅行よりも速攻、効率性へのフォーカスに特徴のある須賀監督と、『なぜボランチはムダなパスを出すのか?』などサッカーでもスマッシュヒットを飛ばす北健一郎氏の共著。
 
短い練習時間でもお互いの共通認識を高め、手数をかけずにゴールへ向かうための意識づけを主とした内容は、舐め技や華麗なパスアンドムーブといったステレオタイプな『フットサルらしさ』に対するアンチテーゼであり、アマチュアチームながら名古屋を破って2009年の全日本を制した源泉。

相手の裏を突くオフェンスの奇策が目立つが、要所を抑えたディフェンスについても見るべき点がある良書。
各巻末にあるすみだの選手、縁者を集めた座談会はチームワーク、マネジメント、目的意識の統一といったテーマが散見され、おまけページとバカにできない内容になっている。
 
テーマに合わせて須賀監督からキャッチーな言葉を引き出す北氏のインタビュアーとして、コピーライターとしての発想にもハッとさせられるものがあり、難しいことをわかりやすく、面白く伝えるという仕掛けが秀逸。
チームとしてのブランディング、イメージ戦略という点でも一読の価値あり。


◆中級者向け
2010年、2012年の2シーズン、名古屋に在籍していた世界の魔術師、リカルジーニョのテクニック本。
付録のDVDでは常人の1.5倍速のスピードで高難度のマジックを振るうブルースリーの殺陣を見るような美しさを堪能できる。

反復練習→型の習得→再現性の向上が個人技習得の地味な道程だが、リカルジーニョの笑顔に釣られてどうせやるならここまでやってみたいと思わせるモチベーションアップを兼ねた良教材。
見た目の割に習得が容易な技もいくつかあり、コートでフットサルボールを使って試す前に、家具を傷つけないゴムボールを買って自室で動きの確認をしてみるのが上達の近道。
コツさえつかめば自分が繰り出すしゃちほこシュートの飛距離に驚くはずだ。

一通りテクニックの模倣を楽しんだ後に、リカルジーニョの一番の特徴はボールを持つ姿勢の良さ(常にDFと正対してルックアップ)と次動作への移行の速さだということに気づいたらこの本を開く機会は徐々に減るだろう。


◆中級者~上級者向け
紙面は地味。
面白味はまったくないものの、個人、集団戦術の宝庫で少々マニアックな内容。
特にセットプレーとディフェンスに関しては書籍として未見のものが多く一読の価値アリ。
現地、映像でいくつか試合を見たあとに本書を読むとなんとなくの流れで決まったと思っていたゴールの解法が記されていることが多数。
Fリーグのセントラルに持って行って空き時間にペラペラしてみる使い方が非常にオススメ。

各プレーの名称がスペイン語で表記されており「もったいぶった割にはこの動きかよ・・・」といった用語の図解解決の辞書としても役立つことうけあい。
この本に発見や面白さを見出せたころがマニアへの仮免許か。

・・・そんなわけで読書の秋。
たまには『読むフットサル』もいかがでしょうか?

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